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2022-05-31

梅毒の病期

【問題】




判定


👹 梅毒の病期
  • 第1期(感染から通常1ヵ月前後)侵入門戸に丘疹や潰瘍+所属リンパ節腫脹
  • 第2期(感染から約1~3ヵ月後)全身に紅斑や丘疹,脱毛斑,肉芽腫等など
  • 第3期(感染から数年〜数十年)心血管症状やゴム腫,進行麻痺,脊髄癆など
※第1期と第2期はいずれも無投薬でも数週間〜数ヵ月で軽快

参考)日内会誌 2019;108:2518-23

💁 梅毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-30

個室ベット ≠ 有料

🏥 先日の内覧会での一コマ
  • 案内事務 「新病院はすべて個室です」
  • 見学医師 「いいですね.でも患者さんからお金の苦情はでませんか?」
  • 案内事務 「それはありません.公立病院なので7割は無料個室ですから」
  • 見学医師 「公立だから7割は無料? 市が負担??」

🛏 差額ベット代(特別療養環境室料)
  • 大原則:患者さん自身の希望で個室利用した場合に限り全額自己負担
  • ただし差額ベッドは全病床数の5割まで(国立では2割・公立は3割)
  • 不可は同意書なし・治療上要(重篤,免疫低下,終末期,感染症など)

😳 日々勉強
  • 医療以外の仕組みで知らないことが多すぎ ➜ これって僕だけ?

(投稿者 川崎)

2022-05-29

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

運動誘発冠攣縮解除後の反応性充血
運動負荷心筋イメージング施行時の心電図変化(上)、tetrofosmin/Tlを静注のプロトコール(中)およびそれぞれの像(下)
Sugihara H et al : Circulation 99 : 589-590, 1999



※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 杉原)

2022-05-28

呼吸反応+拍動パターン:判定量的評価

慢性左心不全で加療中の症例が息切れの悪化を訴えた

🐦 解説
  • 深吸気保持で鎖骨上窩に陥凹(矢印)が出現(クスマウル徴候が陽性)
  • よくみると通常呼吸時にも吸気時に陥凹(広義のクスマウル徴候陽性
  • さらによく見ると,内頸静脈の陥凹はy谷が優位(通常ではx谷が優位)
  • 慢性左心不全の増悪と診断して内服薬の調整を行なった(利尿薬追加)

🐤 追加コメント
  • 内頸静脈拍動は二峰性の陥凹が基本です(復習).通常はx谷>y谷で,中心静脈圧の上昇に伴いx谷<y谷収縮期陽性波と変化することが多いと思います.
  • 座位で鎖骨上に内頸静脈拍動の有無を視覚的に判定する簡易定性法はあくまでも定性法ですが,上記の拍動様式を評価すれば半定量的な評価もできます.
  • さらに呼吸に対する反応も追加可能(例:通常呼吸の吸気時に認めれば,通常のクスマウル負荷陽性よりも重症で,拍動パターンがx谷の閉塞ならより重症)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-05-27

SEO対策 MEO対策

  • SEO=Search Engine Optimization=検索エンジン最適化
  • Googleなどで検索時に上位表示させるための対策のこと
  • タグ最適化,キーワード選定,被リンク獲得などが重要


  • MEO=Map Engine Optimization=マップエンジン最適化
  • Googleマップなどで上位に表示させるための対策のこと
  • Googleマイビジネス登録,口コミ数増加,SEO対策など

😑 独り言
  • 病院としてネット対策はとても重要です.実態を伴わずに,SEO対策やMEO対策に専念する施設には感心できません.しかし質の高い医療を提供しているにも関わらず,ネット対策が不十分であるため上位に表示されないことがあります.これはその病院だけでなく患者さんにとっても不幸なことです.

(投稿者 川崎)

2022-05-26

🎯 今週の一枚

労作時の胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2022-05-25

マーカス・ガン現象 Marcus gunn phenomenon

  • 顎の運動に伴って,上眼瞼が上方に不随意に運動する病態
  • 別名はJaw-Winking Syndromeまたは下顎眼瞼連合運動現象
  • スコットランドの眼科医 Marcus Gunn (1850-1909)が発見
  • 機序は上眼瞼挙筋と咀嚼筋である外側翼突筋の異常な連絡
  • 性差はなく左側に出現することが多い(両側の症例も有)
  • 不同視(両眼の屈折度が異なること)や弱視の原因になる
  • 特異的な治療法はなく成長に伴い眼瞼下垂に至ることあり
  • 眼瞼下垂の2〜13%が同現象に関連する(重症下垂なら手術)


YouTubeからの動画

(投稿者 川崎)

2022-05-24

主治医のナイスプレイ!

🚑 現場中継
  1. 強い腹痛を訴える若者が深夜ER室に搬入された
  2. 本例には癒着性イレウスで複数の開腹歴があった
  3. 採血や腹部CTに特記すべき異常所見はなかった
  4. 試験開腹は見合わせて,その日は観察入院した
  5. 翌朝の採血にも特記すべき異常は認めなかった
  6. 自覚症状と臨床データの乖離から詐病を疑った
  7. 関連者の病歴聴取から過去の詐病歴が判明した
  8. 最終的に本人も詐病であったことを認めて退院

👹 つぶやき

(投稿者 川崎)

2022-05-23

座位心尖拍動の呼吸負荷

肥大型心筋症に発作性心房細動が発症した症例

🐳 解説
  • 左乳輪の下に心尖拍動を認める(矢印).その拍動は早く不規則であり,頻脈性の心房細動と矛盾しない.興味深いのは深吸気では拍動が不明瞭になること.吸気で胸腔が拡大するため心尖拍動が不明瞭になることは直感的にわかりやすい.しかし吸気時に右室拍動が明瞭化する症例があるため要注意(自験例).また肺疾患によるフーバー徴候が合併することもある(自験例). 

🐋 ひとり言
  • 端座位で心尖拍動を観察している時に,深呼吸や深吸気保持をよく行ってもらいます.これは心尖拍動の観察が意外に難しいからです.深吸気で心尖拍動をリセットしておくと,呼気時に出現した微妙な拍動に気がつきやすいと個人的に思っています.僕の好きな「天然とんこつラーメン一蘭」のゆで卵と同じ 🍜 ラーメンをいただく前に味覚を一旦リセットして美味に集中 😁

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-05-22

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

圧容積曲線
心プールシンチグラフィによる左室容量曲線と左室圧の同時測定(上)と両者から作成した圧容量曲線と Emax(下)
稲垣末次、他 : 核医学26(2):177-187, 1989.



(投稿者 杉原)

2022-05-21

手掌単一屈曲線 Single transverse palmar crease

  • 手掌の頭脳線(親指側〜)と感情線(小指側〜)が繋がって掌を横断している皺
  • 別名はsimian crease(猿線:さるせん,非推奨)あるいは枡かけ(ますかけ)線
  • ヒトの数%(男>女)に認めアジア人やネイティブアメリカンでより一般的(
  • 診断的価値には乏しいが,ダウン症候群など一部の先天性疾患で頻度がやや多い

CC BY-SA 4.0

💁 手掌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-20

結節性硬化症 Tuberous sclerosis complex: TSC

  • 全身に生じる過誤腫を特徴とする遺伝性の疾患(常染色体優性遺伝)
  • 原因は遺伝子TSC1またはTSC2の産生タンパク複合体の機能不全
  • ただし60%近くが孤発例であり,家族例が明らかな症例は半数以下
  • 症状は全身の過誤腫+皮膚白斑,精神発達遅滞や行動異常など多彩
  • 海外の頻度は6,000人に1人で,本邦では約1万5千人の患者と推定
  • 死因は10歳以上で腎病変が多く10歳未満では心臓の横紋筋腫など
  • 根本的な治療法は未確立(腫瘍の外科的切除や薬物による対症療法)


心臓横紋筋腫を伴う結節性硬化症の1乳児例

💁 遺伝に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-19

意外な最終診断 🎯 今週の一枚

🚑 臨床現場
  • 散歩から帰宅後,急に両下肢の脱力を自覚し立てなくなった
  • ソファーで休んでいたら少し動けるようになったため当院ER
  • バイタルサインは正常で,神経学的所見に特記すべき異常なし
  • 採血でCRPが20 mg/dlと上昇していたため原因検索でCT施行
  • 大動脈解離(下図の矢頭)+心嚢穿破(下図の矢印)が判明
  • スタンフォードA型の解離で,緊急手術目的に高次機関に搬送


👀 振り返り
  • 大動脈解離には無痛例あり(約4.5%:以前の投稿
  • 心電図はコンピューターの自動診断で正常であった
  • ただし見直すと広範囲の誘導でST上昇あり(下図)
  • 心膜摩擦音があったと予想(心音のカルテ記載なし)
  • 本例ではCRP値の上昇を契機に体幹のCTが行われた
  • ただし上昇の理由は不明(解離4時間後では説明難)


💁 大動脈解離に関する過去の投稿 ➜ コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-05-18

リチウム中毒 Lithium Intoxication

  • 炭酸リチウムは躁病および双極性障害の躁状態に対して広く使用されている薬剤
  • 主に小腸から吸収され生体利用率100%(肝で代謝や排出なし)で95%が腎排泄
  • 治療域(0.6~1.2 mmol/L),中毒域(1.5~),致死域(3.0~)と濃度が近接
  • 過量服薬,脱水,感染,他薬との相互作用(利尿剤,降圧剤,NSAIDsなど)で上昇
  • 症状は中枢神経(意識障害や振戦,構音障害)と消化器(悪心,嘔吐,下痢)他
  • 重症例では昏睡,痙攣,循環器所見(洞不全やQT延長症候群,致死性不整脈など)
  • 急性リチウム中毒の治療は輸液療法,胃洗浄,HDやCHDFなど積極的な血液浄化療法
  • 透析の適応:腎機能障害,重度の中枢神経障害,リチウム濃度が致死域・上昇傾向


 リチウム中毒の一例の経過

💁 中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-17

ベータ遮断薬の禁忌:ABCDE

一概には言えませんが綺麗な並びなので...

  1. Ashma(喘息)
  2. Block(房室ブロックなどの徐脈一般)
  3. COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  4. DM(糖尿病)
  5. Electroyte (高K血症などの電解質異常) 

🐥 独り言
  • ベータ遮断薬の特性(主に心臓はβ1で肺はβ2受容体)を考慮すると,もちろん肺疾患でも投与可能です.また糖尿病があるため心疾患患者でベータ遮断薬を投与しないという選択肢はありません.上記のゴロ合わせはあくまでも目安です.個人的にはABCDまででいいかも 😗 AとCもちょい被りが気になります.

💁 ベータ遮断薬に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-16

翼状片 Pterygium

  • 強膜(白目)の表面にある結膜が角膜(黒目)に入り込んだ状態
  • 妙な病名はギリシャ語で“wing(翼)”を意味するpterygosが語源
  • 先頭pはサイレント/tərídʒiəm,タリジアム,実際の音声はコチラ
  • 鼻側(目頭)から三角形の進行が多いが,外側(目尻)からもある
  • 基本的に無症状で,進行すれば充血や異物感,視野・視力障害など
  • 原因不明(環境や遺伝?)/両側に出現し緩徐に進行する事が多い
  • 良性疾患で放置可能/自覚症状が強い場合は手術(約半数に再発?)


💁 眼科に関連する過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-05-15

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

右室枝冠攣縮
左前斜位での運動負荷心プールシンチグラフィの左から安静時、運動負荷時、ニトログリセリン投与後像(上)、エルゴノビン投与時冠動脈造影(中)、その時の心電図
Sugihara H et al : Circulation 99 : 1644-1645,1999



(投稿者 杉原)

2022-05-14

マインド食 MIND Diet

Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delayの略で,邦名は神経変性遅延に介入する地中海式-DASH食事療法.加齢に伴う認知機能の低下を目的に米国のRush Universityで開発された食事方法(Alzheimers Dement 2015;11:1015-22).同研究では960人の参加者を平均4.7年観察して,マインド食に近い上位1/3は下位1/3より認知機能が7.5年若かった.

🍙 復習
  • 地中海式食事方法 ➜ 野菜・果物・豆類・オリーブオイル・魚介類・乳製品+適量のワイン=心血管疾患や糖尿病,癌等の予防
  • DASH食 ➜ Dietary Approaches to Stop Hypertensionの略で,野菜・果物・低脂肪乳製品↑+肉・脂肪↓=高血圧に対する食事
  • MIND食 ➜ 地中海式食事方法+DASH食+緑色葉物野菜やベリー類

⭕️ MIND食の推奨
  1. 全粒穀物:1日3食以上
  2. その他の野菜:少なくとも1日1食
  3. ワイン:1日1杯
  4. 緑の葉物野菜(ほうれん草やサラダの野菜など):少なくとも週に6食
  5. ナッツ:週5食
  6. 豆類:少なくとも週に3食
  7. ベリー類:週2食以上
  8. 家禽(鶏肉や七面鳥肉など):週に2食
  9. 魚:週に1食
  10. オリーブオイル:主な食用油として使用

MIND食の非推奨
  1. バターとスティックマーガリン:>1日大さじ1杯
  2. ペストリーとスイーツ:>週5食
  3. 赤身の肉:>週4食
  4. チーズ:>週1食
  5. 揚げ物またはファーストフード:>週1食

💁 食事に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-05-13

放射線性腸炎 Radiation enteritis

  • 骨盤内臓器への放射線治療に関連して発生した腸炎
  • 原疾患は前立腺癌子宮癌,膀胱癌,肛門部癌など
  • 頻度は前立腺癌で約22%,婦人科系疾患では約20%
  • 症状はS状結腸の出血性変化や潰瘍,狭窄,瘻孔など
  • 時期は早期(照射中~後数週)と晩期(数ヵ月後~)
  • 原因は早期なら腸管上皮細胞への直接的作用(浮腫)
  • 晩期は動脈内膜炎による血管壁肥厚+微小循環障害
  • 重症度は0(異常なし~血管拡張)~Ⅲ狭窄,Ⅳ瘻孔
  • 治療は基本対処療法(内服加療や内視鏡的治療など)


放射線性直腸炎の大腸内視鏡所見

💁 放射線に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-12

🎯 今週の一枚

倦怠感でERに搬入/座位で内頸静脈拍動+PaO2 150mmHg(酸素下)

問題 急性左心不全の重症度分類 ノリア・スティーブンソン で予想されるのは?





判定

🚑 現場実況
  • 酸素濃度は保持されているが爪床のチアノーゼあり ➜ 低心拍出量を反映
  • 実際に本例では手指冷感が著明で,末梢循環不全と診断(いわゆるcold)
  • 内頸静脈は座位陽性つまり中心静脈圧の著増が示唆される(いわゆるwet)
  • 以上よりNohria-Stevenson 分類のプロファイルCに分類(一番予後不良)
  • 本例は低左心機能例で electrical storm(incessant VT)に陥った状態
治療後に末梢循環は改善

💙 チアノーゼ
  • 低心拍出量による末梢循環不全のチアノーゼは見た目も冷たそう他の自験例).一方,末梢循環が保たれた心不全増悪による低酸素血症なら冷感なし(自験例
  • 末梢チアノーゼは先天性心疾患でも出現し,この場合はばち指を伴うことが多い(自験例).逆にチアノーゼを伴わないバチ指なら肺癌など肺疾患を疑う(自験例
👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-05-11

聴診だけで分かると言えば分かるが…

息切れで来院した症例

🐔 解説
  • 収縮期雑音は駆出性が疑われⅡ音が不明瞭なため重症の大動脈弁狭窄?(復習
  • 4拍目〜RR間隔が延長しているが,雑音の音量に変化ないため逆流性?(復習
  • 心エコー図では重症の僧帽弁逆流であった(後尖の短縮があり逸脱は目立たず)
  • 心音図ではⅣ音(矢頭)とⅢ音(矢印)が記録されているが聴診での認識は難

🐓 追加コメント
  • 僧帽弁逆流と言えば,汎収縮期雑音(全収縮期雑音,収縮期逆流性雑音)でⅠ音とⅡ音が不明瞭.特にⅡ音の聴診の有無が,駆出性雑音(大動脈弁狭窄)との鑑別に有用(自験例).
  • ただし僧帽弁逆流でも重症ならダイヤモンド型の漸増漸減雑音になることは有名.さらに本例ではⅢ音を減弱したⅡ音と誤認して,重症の大動脈弁狭窄と判断してしまうかも…
  • 幸いRR間隔の変動があったため,雑音の音量が影響されていないことから逆流性雑音+Ⅲ音と予想可能.もっとも頸動脈拍動を確認すれば,大動脈弁狭窄との鑑別には悩まない 😊

👿 僧帽弁に関する過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-05-10

HIV感染症の臨床病期(自然経過)

  1. 感染初期(急性期)➜ 通常は数日から数週間(自然に改善)
  2. 無症候期 ➜ 通常は数年から十数年
  3. AIDS発症期

無症候期が長いため,感染初期(急性期)での早期診断が重要

💁 HIVに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-09

頸動脈拍動と体位

他科で施行した心エコー図で異常を指摘され循環器内科を紹介受診

🍙 解説
  • 端座位で左頸部に異常なし(ただし頸静脈は通常,右側で評価 ➜ 復習
  • 仰臥位では頸部に明瞭な周期性の隆起 ➜ 触聴診で動脈性(コリガン脈)
  • クインケ徴候はなく肘部内側に明瞭な動脈拍動(別名は水槌脈・反跳脈)
  • 本例は重症の大動脈弁逆流+中等症の大動脈弁狭窄+重症の僧帽弁逆流

🌰 独り言
  • 重症の大動脈弁逆流によるコリガン脈は通常,重力による虚脱増強のため臥床より座位の方が分かりやすいことが多いと思います(自験例).しかし本例では臥床の方が明瞭に観察できました.
  • 以前に中等症の大動脈弁逆流で同様の経験をしたことがあります(自験例).本例は重症の大動脈弁逆流でしたが,他の弁膜症も合併していたため,このような体位に対する反応を示したのかも…

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(投稿者 川崎)

2022-05-08

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心尖部心室瘤
心尖部心室瘤を伴う心尖部肥大型心筋症の左前斜位の心プールシンチグラフィ(上)と負荷Tl心筋イメージングの負荷後像と後期像(下)



(投稿者 杉原)

2022-05-07

👥 似て非なる

問題 アルビノ(先天性白皮症)の原因は?



判定

🐾 復習
  • メラトニン(Melatonin)➜ 動・植物や微生物などに存在する内因性ホルモンで概日リズムを調整
  • メラニン(Melanin)➜ 動・植物や微生物などが作り出す色素で本体を紫外線から守る効果がある


(投稿者 川崎)

2022-05-06

気腫性膀胱炎 Emphysematous cystitis

💣 135例のレビューBJU Int 2007;100:17-20) 
  • CO2が膀胱粘膜下や内腔に貯留した膀胱炎のこと
  • 初報は1961年のBailey Hによる19例の報告(
  • 平均年齢66歳,女性が64%で糖尿病の合併が67%
  • 診断は84%が腹部X線で確定(最近ではCTが増加)
  • 症状は腹痛や気尿,尿閉,嘔気,発熱,血尿など
  • 最多の起因菌は大腸菌(58%)で肺炎桿菌が続く 
  • 90%が薬で治療,10%は手術要(部分切除や全摘)
  • 死亡率7%(ちなみに気腫性腎盂腎炎は21〜69%)

当院の循環器内科で経験した気腫性膀胱炎の一例
(糖尿病を合併する高齢女性/肺炎桿菌が原因で抗菌薬で治癒)

(投稿者 川崎)

2022-05-05

食後低血圧 Postprandial hypotension; PPH

  • 食後2時間以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下または100mmHg以上から90mmHg以下に低下
  • 冠動脈や脳血管に高度狭窄または閉塞がある場合には心筋虚血や脳虚血を生じることがある
  • 一過性脳虚血発作の18%は食後低血圧による血行力学的機序が原因(最多は塞栓症で41%)
  • 高齢者の25~38%に認められ,特に糖尿病やパーキンソン病,高血圧を合併する症例に多い
  • 機序のひとつに炭水化物摂取に伴うインスリン分泌やニューロテンシンなどによる血管拡張


実例:食後に血圧低下あり/心拍数の増加がないことにも注目

💁 低血圧に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-04

寒冷凝集素症 Cold agglutinin disease

  • 寒冷凝集素とは赤血球膜上にある糖鎖抗原に対するIgMクラスの自己抗体
  • 寒冷凝集素症とは寒冷暴露時に寒冷凝集素が原因で赤血球が凝集した状態
  • 溶血性貧血に加え,末端チアノーゼや感覚障害、レイノー現象などを発症
  • 寒冷凝集素症は広義の自己免疫性溶血性貧血と考えられる(冷式の原因)
  • 反応は可逆的であるため37℃に加温すると寒冷凝集素は赤血球から離れる
  • 特発性と続発性(マイコプラズマやEBウイルス感染症や血液疾患)がある
  • 根本的治療はなく寒冷回避+保温(感染による続発性なら2~3週間で消退)


💁 血液に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-03

CE or ME

💂 略語一覧
  • CE ➜ Clinical Engineer(臨床工学技士)
  • CTE ➜ Clinical Engineering Technologist
  • ME ➜ Medical Engineer(医用工学技士)

  • 1988年に誕生した医療系国家資格で邦名は臨床工学技士(≠技師)
  • 現場呼称は施設によって異なるが日本臨床工学技士会CEに統一
  • 人工呼吸器や体外循環,人工透析,ペースメーカなどを管理する

💁 略語に関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-05-02

心尖拍動:仰臥位 vs 左半側臥位 vs 座位

突然の動悸で来院した症例

😀 解説
  • 仰臥位では心尖拍動を認めないが,左半側臥位では視認可能(一つ目の矢印)
  • 拍動が不規則で心房細動の疑い(左半側臥位では心拡大の有無の判定は困難)
  • 座位でも心尖拍動は明瞭(二つ目の矢印)で,心拡大なしと判断(乳輪内側)
  • 頻脈であり抬起性か否かの視覚的判断は難しいが,触診ではチカラ強い隆起
  • 最終診断は心尖部肥大型心筋症例に合併した発作性の頻脈性心房細動でした

😎 独り言
  • 心尖拍動の評価は伝統的に仰臥位で行われますが,検出率が低いため左半側臥位を併用することが常です(過去の投稿).しかし臨床現場では座位で心尖拍動を評価することが少なくありません(過去の投稿例).
  • 座位での評価は何と言っても簡便で,起座呼吸を呈している症例などにも適応できます.座位での頸静脈評価(簡易定性法)が普及してきたように,座位での心尖拍動評価がもっと普及することを期待しています.


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-05-01

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

正常、大動脈炎症候群
RIアンギオグラフィ(First Pass)の正常例(上)と疾患例(下)



(投稿者 杉原)