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2025-05-25

オリゴジェニック遺伝 Oligogenic inheritance

📗 単一遺伝子遺伝
  • 一つの遺伝子の変異によって病気が発症する遺伝形式のこと
  • 例:嚢胞性線維症(CFTR変異)やハンチントン病(HTT変異)

📘 二遺伝子遺伝
  • 二つの異なる遺伝子が協力し一つの表現型を決定する遺伝形式
  • 単一の遺伝子変異では発症しない病気が二つの変異で発症する
  • 例:遺伝性難聴(GJB2とGJB6という二つの異なる遺伝子が関与)

📙 三遺伝子遺伝
  • 三つの異なる遺伝子が協力して一つの表現型を決定する遺伝形式
  • それぞれの遺伝子が独自の役割を持ち補完し合い最終的な表現型
  • 例:バルデ-ビードル症候群(BBS1、BBS2、BBS6が関与して発症)


📚 オリゴジェニック遺伝
  • 少数の遺伝子のレアバリアントの組み合わせによって発症する病態
  • 例:先天性心疾患(MYH7、MKL2、NKX2-5などの遺伝子が相互作用)

参考)ミネルバクリニック、ほか

💁 遺伝に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右下らんから選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-05-21

用語:Genetics and Epigenetics

  • genetics 【名】遺伝学、遺伝的特徴(dʒənétiks/ジェネティクス/音声)
  • epigenetics 【名】エピジェネティックス,後成的遺伝学,後生学(èpidʒinétiks/エピジネティクス/音声)

🌎 ウィキペディアより
  • エピジェネティクス(英語: epigenetics)とは、一般的には「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」である。ただし、歴史的な用法や研究者による定義の違いもあり、その内容は必ずしも一致したものではない。(一部省略)
  • 一般的にエピジェネティクスとは、下記のリッグス(1996年)の定義のように理解されている。しかしながら、いくつかの定義あるいは説明が存在し、結果として、何を意味するべきかについては議論がある。
    • 「遺伝物質からはじまり最終的な生物を形づくるすべての制御された過程」(ウォディントン, 1942年) 
    • 「同一遺伝子型の細胞が異なる表現型を細胞分裂を越えて維持していること」の説明(Nanney, 1958年)
    • 「複雑な生物の発育中における遺伝子活性の時間的·空間的制御機構の研究」(ホリデー, 1990年)
    • 「DNA配列の変化では説明できない体細胞分裂および/または減数分裂に伴う遺伝子機能における遺伝的な変化の研究」(リッグス, 1996年)
    • 「変化した活性状態を記録・信号伝達または継続させるような染色体領域の構造適応」(バード, 2007年)
    • 「エピジェネテックな形質とは、DNA塩基配列の変更を伴わない染色体の変化に起因する安定した遺伝性の表現型を示すもの」(Bergerら, 2009年)

💁 用語に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-08-21

HCMの遺伝子検査:保険収載

  • HCM患者の約60%が常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式に従う家族歴
  • そのうち40~60%でサルコメア構成蛋白をコードする遺伝子に変異あり
  • HCMに対する遺伝学的検査が2022年に保険収載(下記の実際を参照)
  • ただし同一変異を有す患者間でも臨床病型や経過は異なることが多い
  • 原因変異から臨床経過を正確に予測することは現時点では困難である

💰 保険収載されている肥大型心筋症の遺伝検査の実際(詳細)
  • 実施施設 国立循環器病研究センター
  • 保険点数 5,000点
  • 検体採取 血液 5 mL(EDTA採血管)

💁 遺伝子検査に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2019-10-18

遺伝性血管性浮腫 HAE (hereditary angioedema)

  • 病態 血管透過性の亢進による血管性浮腫をきたす常染色体優性遺伝疾患
  • 機序 C1インヒビター欠損・活性低下よるによりブラジキニンの過剰産生
  • 疫学 有病率は5万人に1人と稀であらゆる年齢で発症しうる(家族歴あり)
  • 特徴 真皮・皮下粘膜下組織の境界不明瞭な非圧痕性浮腫で痒みと伴わない
  • 部位 四肢・顔面(結膜は稀)・腸管・喉頭(致死的)など全身に生じえる
  • 誘因 ストレス,妊娠,月経,薬物など(24時間でピーク/72時間で改善)
  • 診断 C1インヒビター活性測定/除外目的なら血清C4(正常ならほぼ否定)
  • 治療 C1インヒビター著効(エピネフリンや抗ヒスタミン薬は無効が多い)



💋 おまけ
  • クインケ浮腫は血管性浮腫の別名で遺伝性(遺伝性血管性浮腫:HAE)と後天性(特発性,アレルギー性,ACE阻害薬など)に大別できる.命名はドイツの内科医かつ外科医クインケ(Heinrich Irenaeus Quincke: 1842–1922)で,大動脈弁逆流などで認める爪床拍動のクインケ徴候(Quincke's sign)にも名前が残っている.クインケ先生は腰椎穿刺法(Quincke's puncture)も確立している.命名のハットトリックだね!

(投稿者 川崎)

2021-12-31

安易な検査は慎むべし

🧖 循環器内科の外来診察室での一コマ
  • 担当医師 「では次は採血を予約しておきますね」
  • 患者さん 「分かりました.ついでに血で調べて欲しいことがあるんですけど…」
  • 担当医師 「どうぞ.どんなことですか?」
  • 患者さん 「実は父がハンチントン舞踏病で亡くなっているんです.」
  • 担当医師 「ハンチントン? 今,何か症状があるのですか?」
  • 患者さん 「症状はありませんが採血で遺伝検査ができるって書いてあったんで…」

💥 ハンチントン病(Huntington's disease)
  • 遺伝検査自体は容易に可能:例えばSRLの外注検査「HTT遺伝子CAG反復配列解析」で血液(EDTA-2Na加) 5.0mlで判定(100点)
  • ただし常染色体優性遺伝で治療法のない進行性疾患(罹病期間10~20年)であるため,無症候例に対する検査には注意が必要! 



💢 遺伝子検査を行う場合の注意(難病センター ハンチントン病より)
  1.  発症者については、本人又は保護者の同意を必要とする。
  2.  未発症者の遺伝子診断に際しては、所属機関の倫理委員会の承認を得て行う。また、以下の条件を満たすことを必要とする。
    • 被検者の年齢が20歳以上である。
    • 確実にハンチントン病の家系の一員である。
    • 本人または保護者が、ハンチントン病の遺伝について正確で十分な知識を有する。
    • 本人の自発的な申出がある。
    • 結果の告知方法はあらかじめ取り決めておき、陽性であった場合のサポート体制の見通しを明らかにしておく。

(投稿者 川崎)

2024-01-05

遺伝性乳がん卵巣がん症候群
HBOC: Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome

  • 概要 BRCA1/2病的バリアントによる常染色体顕性遺伝性腫瘍症候群
  • 癌種 乳癌,卵巣癌が多いが,前立腺癌や膵臓癌,メラノーマも関連
  • 検査 2020年にHBOCの診断を目的としたBRCA1/2の検査が保険収載
  • 方法 血液や腫瘍からDNA解析を行う(4週間ほどかかり約20,200点)
  • 結果 Negative,Positive,VUS(variants of uncertain significance)
  • 方針 HBOCと診断された時は遺伝学的診断に基づいた医療介入が可
  • 活用 リスク低減卵管卵巣摘出術や薬物療法・手術方法の選択(下図)
  • 重要 検査の限界(陰性でも他疾患の可能性)や遺伝カウンセリング


乳癌診療における BRCA1/2 遺伝子検査(2023年2月現在)

(投稿者 川崎)

2024-04-02

トリーチャー・コリンズ症候群 Treacher Collins Syndrome (TCS)

  • 概略 特徴的な顔面形態を認める稀な先天性疾患(頻度は1万人あたりおよそ1人)
  • 命名 英国医師 Treacher Collins の初報(Trans Ophthalmol Soc UK 1900;20:190–2)
  • 別名 下顎顔面骨形成不全症あるいはTreacher Collins-Franceschetti Syndromeなど
  • 遺伝 多くは常染色体優性遺伝(約60%は新規突然変異/患者の子は50%の確率で罹患)
  • 外観 頬骨欠損や下顎骨形成不全,外耳奇形,下眼瞼欠損,伝音性難聴,口蓋裂など
  • 診断 臨床所見と画像,遺伝子変異(TCOF1が78%~93%, 他にPOLR1C・POLR1Dなど)
  • 治療 頭蓋顔面再建(口蓋裂含む),気道管理,外耳道再建,遺伝カウンセリング他 


異なる年齢のトリーチャー・コリンズ症候群(TCS)患者

(投稿者 川崎)

2024-06-18

遺伝性多発性骨軟骨腫 Hereditary Multiple Osteochondromas: HMO

  • 多発性骨軟骨腫の増殖を特徴とする常染色体顕性(優性)遺伝性疾患
  • 旧名は遺伝性多発性骨腫である(Hereditary Multiple. Exostosis: HME)
  • 頻度は 約1/5万出生で診断年齢の中央値は3歳(全員が12歳までに診断)
  • 原因遺伝子として90%以上の症例でEXT1もしくはEXT2にヘテロ変異
  • 症状は成長低下,骨変形,関節運動制限,低身長,末梢神経圧迫など
  • 軟骨腫は特に成長軟骨の閉鎖する思春期終了時期までに増大傾向あり
  • 神経圧迫症状や関節可動域制限などが出現する場合は外科的切除術
  • 軟骨腫は多くが良性であるが生涯で約2~5%が癌化すると思われる


軟骨腫の多発を認めた5歳7ヵ月のHMO男児

(投稿者 川崎)

2018-09-26

Lynch Syndrome リンチ症候群

常染色体優性遺伝の非ポリポーシス大腸癌で別名はHNPCC (Hereditary nonpolyposis colorectal cancer)
初報は米国の予防医学の医師Henry T. Lynch (1928〜) (Arch Intern Med 1966;117:206-12)

リンチ症候群
  • 大腸癌のうち遺伝性で最多(3%),子宮内膜癌などを合併することがある
  • 特徴は右半結腸のムチン産生の低分化型,印鑑細胞様あるいは髄様癌様
  • DNAミスマッチ修復遺伝子検査で診断(EpCAMなど/健康保険適応)
  • 欧米ガイドラインでは新規に大腸癌と診断された全症例の遺伝検査が推奨
  • 治療は腫瘍の外科切除(大腸亜全摘),転移では免疫チェックポイント阻害薬

参考文献:Lynch Syndrome-Associated Colorectal Cancer. (N Engl J Med 2018;379:764-73)

(投稿者 川崎)

2018-05-22

大腸癌の危険因子

米国へ移住した日本人は日本に留まる日本人より大腸癌が4倍増加(BMJ 2000;321:805-8)
➜ 大腸癌の発症には加齢や遺伝的要因以外にも何らかの環境因子の影響が示唆される💨

修正できない因子
  • 加齢(40歳~増加,50歳~急増)
  • 大腸ポリープの既往
  • 炎症性腸疾患の既往
  • 大腸癌あるいは大腸ポリープの家族歴
  • 遺伝(家族性大腸腺腫症や遺伝性非ポリポーシス大腸癌など)

修正できる因子
  • 食事(動物脂肪,西洋食,赤肉,果物や野菜不足など) 食物繊維は統一見解なし?
  • 運動不足
  • 肥満
  • 喫煙
  • 大量飲酒(適量は コチラ へ)

参考文献)Clin Colon Rectal Surg 2009;22:191–7

(投稿者 川崎)

2023-01-17

遺伝性脳小血管病: CADASILカダシル & CARASILカラシル

🔒 CADASIL(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)
  • 常染色体優性遺伝(NOTCH3変異)で若年性脳梗塞を発症
  • 40~50歳(日本では60歳以上が多い)で発症し性差はない
  • 一過性脳梗塞やラクナ梗塞を繰り返し,認知症やうつ症状へ
  • 前兆を伴う片頭痛を認めることがある(全症例の20~30%)
  • MRI のT2強調画像で前頭極と外包に対称的に高信号域あり
  • 皮膚生検などで小・細動脈の血管壁肥厚+血管内腔狭小化


🔓 CARASIL(cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)
  • 常染色体劣性遺伝(HTRA1遺伝子変異)
  • 頭部MRI所見で多発性ラクナ梗塞の所見
  • 早発性の禿頭と腰痛,脊椎変形などあり
  • CADASILほど片頭痛の発作は合併しない

CADASILカダシルと CARASILカラシルの診断基準
カラシル カダシル
(投稿者 川崎)

2020-02-29

家族性PSVT

👶 現場レポート

先日,外来に発作性上室頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia; PSVT)が疑われる方が来られました.親と兄弟がPSVTでアブレーションを受けておられるようです.遺伝性疾患の認識はなかったので調べてみました.

  • 発作性上室頻拍(PSVT)の多くは房室結節回帰性頻拍(AVNRT)または房室回帰性頻拍(AVRT/WPW症候群)
  • AVNRTの頻度は一般人1万人あたりおよそ22.5人/AVNRT症例の1.27%に少なくとも2親等以内の家族歴あり
  • 家族性AVNRTの特徴は比較的若い(44.2歳 vs 54.8歳)・男女差なし・親子が兄弟よりも多い(67% vs 29%)
  • 遺伝様式は不完全浸透(incomplete penetrance)の常染色体優性(顕性)遺伝(Autosomal dominance)の疑い



🉐 関連投稿(PSVT編)

(投稿者 川崎)

2017-11-16

QT延長症候群(Long QT syndrome, LQTS)

心電図でQT延長+T波の形態異常(ノッチなど)を認め,心室頻拍や心室細動などの致死性心室性不整脈を生じる症候群

QTが延長した心電図(松下心電塾 初級29より) T波がRR間隔のおよそ半分を超えている点に注目

QTが延長した心電図を見たら家族歴を問診し遺伝関係が明らかな場合
  • 先天性聾なし ➜ Romano-Ward syndrome(ロマノ・ワード症候群)=常染色体優性(顕性)遺伝=遺伝子型でLQT1~LQT13に分類
  • 先天性聾あり ➜ Jervell and Lange-Nielsen syndrome(ジャーベル・ランゲ-ニールセン症候群)=常染色体劣性(潜性)遺伝=遺伝子型でJLN1とJLN2に分類


    (投稿者 川崎)

    2022-05-20

    結節性硬化症 Tuberous sclerosis complex: TSC

    • 全身に生じる過誤腫を特徴とする遺伝性の疾患(常染色体優性遺伝)
    • 原因は遺伝子TSC1またはTSC2の産生タンパク複合体の機能不全
    • ただし60%近くが孤発例であり,家族例が明らかな症例は半数以下
    • 症状は全身の過誤腫+皮膚白斑,精神発達遅滞や行動異常など多彩
    • 海外の頻度は6,000人に1人で,本邦では約1万5千人の患者と推定
    • 死因は10歳以上で腎病変が多く10歳未満では心臓の横紋筋腫など
    • 根本的な治療法は未確立(腫瘍の外科的切除や薬物による対症療法)


    心臓横紋筋腫を伴う結節性硬化症の1乳児例

    💁 遺伝に関連する過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2023-02-05

    二分口蓋垂 Bifid uvula

    👄 二分口蓋垂(Bifid uvula)
    • 分岐した口蓋垂のうち二分した状態で,口蓋棚の不完全な融合に起因する.通常の口蓋垂よりも筋肉量が少ないため、中耳感染症を繰り返したり,食物が鼻腔に入る可能性がある.
    • その頻度は一般人口の0.42%(※)であるが,ネイティブ アメリカンでは10%と高率(#).ロイス・ディーツ症候群(Loeys-Dietz syndrome: LDS)に合併が多い(90〜92%:引用)

    Loeys-Dietz syndromeの症例で認めた二分口蓋垂

    🔎 臨床現場での活用
    • 遺伝性大動脈疾患(マルファン症候群,ロイス・ディーツ症候群,エーラス・ダンロス症候群:血管型など)は類似した臨床所見です.ただしロイス・ディーツ症候群(特にタイプ1)は眼間解離,口蓋裂・口蓋垂裂,動脈ねじれ,頭蓋縫合の早期閉鎖,動脈管開存・心房中隔欠損などからマルファン症候群とは鑑別できるようです.
    • またロイス・ディーツ症候群タイプ2は皮膚異常 (あざができやすい半透明のビロード様皮膚),関節の緩み,および内臓破裂などを伴います.一方,マルファン症候群の半数近くに認める水晶体亜脱臼などの眼症状は,LDSには見られないようです.
    • ちなみにマルファン症候群,ロイス・ディーツ症候群,エーラス・ダンロス症候群:血管型はいずれも常染色体顕性(優性)遺伝(autosomal dominant inheritance)形式であるため子孫には性別に関係なく50%の確率で遺伝します.

    ロイス・ディーツ症候群の男児

    (投稿者 川崎)

    2019-05-06

    「医学生研修医の日本内科学会ことはじめ2019名古屋」より

    演題5 胃癌を合併し内視鏡治療が奏功したCronkhite-Canada症候群の1例(神鋼記念病院消化器内科)
    • クロンカイト・カナダ症候群は胃や大腸,小腸になどに多数のポリープが発生する非遺伝性疾患疾患.中年以降の男性に多く,胃癌や大腸癌を合併しやすい.

    演題211 TINU症候群の臨床経過から学んだこと(川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学)
    • TINU=tubulointerstitial nephritis and uveitis syndrome.間質性腎炎にぶどう膜炎を伴う 症候群で原因は解明されていない.分かりやすい症例報告 ➜ 日児腎誌 2007;20:31-34

    演題222 Dent病にネフローゼ症候群を合併した一例(千葉大学総合医療教育研修センター)
    • デント病はX染色体性の遺伝性疾患で出生時から近位尿細管性蛋白尿が持続する.経年的に高リン尿症と腎石灰化が進行し50歳前後に末期腎不全へと進行する.患者のほとんどは男性で推定患者数は400名.(参考:難病情報センター)

    演題242 胸腺腫摘出5年後に診断されたGood症候群の1例(仙台厚生病院研修センター)
    • Goodらによる初報(J Lancet 1955;75:245-71)では胸腺腫+低γグロブリン血症であったが,現在は胸腺腫+易感染性と広義で捉えることが多い.

    演題356 健康な若年女性に発症し,Gianotti症候群を合併した横断性脊髄炎の1例(厚生中央病院総合内科)
    • ジアノッティ症候群とは乳幼児に多い病態で,EBウイルスなどのウイルス感染後に発疹を生じ数週間持続した後に自然に改善する.B型肝炎ウイルスの初感染により生じるジアノッティ病(発疹や肝機能障害など)とは異なる.

    (投稿者 川崎)

    2023-08-30

    化膿性汗腺炎 Hidradenitis suppurativa

    • 概要 毛包の慢性・炎症性・再発性・消耗性皮膚疾患で生活の質を著しく障害
    • 発症 思春期以降アポクリン腺の多い部位(腋窩や鼠径,肛門性器部,臀部)
    • 所見 結節や瘻孔,萎縮性・網状・肥厚性・ケロイド様瘢痕,分泌物,悪臭
    • 疫学 男女比1:3で,頻度は欧州で1~4%,米国で 0.1~0.2%,韓国で0.06%
    • 原因 汗腺の感染症ではなくて,自然免疫の活性化を背景にした病態の疑い
    • 遺伝 30~40%は家族性の常染色体優性(顕性)遺伝(家族性化膿性汗腺炎)
    • 併存 脊椎関節症,SAPHO,壊疽性膿皮症,毛包閉塞性疾患,Crohn病など
    • 鑑別 Crohn病による皮膚症状,悪性腫瘍,毛包炎やせつなどの細菌感染症
    • 病期 Hurley分類:病期 I(単発),病期II(瘻孔や瘢痕),病期III(広範囲)
    • 治療 外用薬,抗菌薬,モノクローナル抗体製剤,外科的切除,レーザーなど


    化膿性汗腺炎:ハーレーステージ I ( A )、ハーレーステージ II ( B )、ハーレーステージ III ( C )

    (投稿者 川崎)

    2024-06-30

    最近の耳学問 👂

    • 心不全症例のBNP変動は±30%ならOKで,>50%なら原因を考える
    • 則末先生らの著書「終末期ディスカッション」は一読の価値あり
    • 大動脈弁逆流の手術はDd, Ds, EFが70, 50, 30mmまでに(いわゆる七五三)
    • 糖尿病の昔の名前は蜜尿病,近い将来にダイアベティス(Diabetes)?
    • 神経生検は通常,踝の腓腹神経(純粋な感覚神経で運動麻痺の後遺症なし)
    • BRCA1とBRCA2は遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)に多い変異で性別を問わず50%の確率で遺伝
    • ラエンネックは第2音を発見したが心房収縮に関連と考えた(弟子のBertinが訂正)
    • Stereotactic Radiosurgeryとは大線量を1回で照射する定位手術的照射で外科手術とは無関係(複数回に分割する方法はstereotactic radiotherapy)
    • 眼振は緩徐相と急速相が明瞭な衝動性眼振と不明瞭な振子様眼振に分類
    • 生活習慣病は医学用語ではない(日本医学会 医学用語辞典に掲載されていない)

    💁 忘備録に関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2017-10-14

    水晶体脱臼と言えば・・・(国試的)

    水晶体は瞳孔の中心に位置するようにチン小帯と呼ばれる細い糸で支持されている
    水晶体が本来の位置からずれた状態が水晶体脱臼(完全脱臼・亜脱臼・偏位に細分)
    またずれた方向によって前方脱臼・後方脱臼・上方脱臼・下方脱臼・側方脱臼に分類

    水晶体脱臼を生じる先天性疾患 ⇒ マルファン症候群 ・ ホモシスチン尿症 ・ エーラス・ダンロス症候群

    共通点
    • 痩せ型,クモ状指,高身長,側湾などの体型
    相違点
    • マルファン症候群 常染色体優性遺伝,水晶体の上方脱臼
    • ホモシスチン尿症 常染色体劣性遺伝,水晶体の下方脱臼

    (投稿者 川崎)

    2022-08-20

    マルファン症候群のMARFANS

    📌 Marfan syndrome の特徴を表す下記病態の頭文字
    1. Mitral valve prolapse (medial necrosis of aorta) ➡️ 僧帽弁逸脱(大動脈の中膜壊死)
    2. Aortic aneurysm ➡️ 大動脈瘤
    3. Retinal detachment ➡️ 網膜剥離
    4. Fibrillin defect ➡️ フィブリリン欠損(フィブリリンは結合組織中の弾性線維の形成に不可欠な糖タンパク質)
    5. Arachnodactyly ➡️ クモ指症
    6. Negative Nitroprusside test ➡️ ニトロプルシド試験が陰性
    7. Subluxated lens ➡️ 水晶体亜脱臼

    参考)@khaledalotibe1のTwitter 投稿

    😅 おまけ
    • ニトロプルシドといえば血管拡張薬ですが,メルカプタン(チオール基)の検出試薬でもあるそうです.よってマルファン様体型を示すホモシスチン尿症を除外するため,ニトロプルシドテストが陰性であることを確認する必要があるようです.
    • そういえば国試的には,「マルファン症候群は常染色体優性遺伝で水晶体の上方脱臼」,一方「ホモシスチン尿症は常染色体劣性遺伝で水晶体の下方脱臼」というのを以前,初期研修医の先生から教えてもらったことがあります(以前の投稿)

    ※ 心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)