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2026-03-02

頚静脈:右 vs 左

動悸で来院時(前半)+息切れで来院時(後半)
同一症例で共に座位

😗 解説
  • 前半:右鎖骨上窩に速い拍動(矢印)
  • 静脈性拍動でフロッグサインと診断
  • 心電図は発作性上室頻拍(2:1伝導)
  • 後半:左側に遅い隆起性拍動(矢頭)
  • 用手圧迫が可能なので内頚静脈拍動
  • 心電図は洞徐脈で心不全発症と診断

💫 右 vs 左
  • 内頚静脈の拍動は,その解剖学的特性から,ほとんどの症例で右側優位に異常が出現します.稀に認める左側優位の内頚静脈拍動には,さまざまな原因(内臓逆位や頚部手術後,ペースメーカ留置後など)が考えられます(過去の投稿
  • 上記の動画は同一症例で,前半が6年前(ココ).頻脈時には右側の内頚静脈に異常が出現し,徐脈時には左側に異常が出現していることが面白いと思います(ちなみにTシャツも同じ?).両者の間に行ったアブレーションが何かしら影響?

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-12-25

今週の一枚 🎯

呼吸困難感を訴える高齢者(数年前にペースメーカ植込み後)
血圧84/40mmHg,心拍数60bpm,酸素飽和度93%(酸素3L)


(投稿者 川崎)

2025-12-21

第140回日本循環器学会近畿地方会より

😗 個人的に気になった報告
 
2-7 世界遺産姫路城天守閣で心肺停止になった身長190cm,体重100kgのドイツ人旅行者を後遺症なく救命し得た一例
  • 症例は68歳ドイツ人男性。姫路城天守閣登頂後に心肺停止となり,同伴者によりCPRが開始された。姫路城常駐看護師がAEDを携行して駆けつけ除細動2回で心拍再開。救急隊と他院ドクターカー医師が急峻で狭小な階段を駆け上がり,身長190cm,体重100kgの大柄な患者を迅速に搬出した。

5-18 繰り返す心室細動を伴った難治性冠攣縮発作に対して塩酸ファスジルが著効した1例
  • ニトログリセリン等の投与を行なったが,心室細動に対して頻回に除細動を要した。冠攣縮発作によるものと判断し塩酸ファスジルを投与したところ,ST上昇は改善を認め,心室細動も停止した。その後薬剤調整を行い,第10病日に塩酸ファスジルを終了したが,ST上昇および心室細動の再発なく経過した。※塩酸ファスジルの効能または効果:くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善/#Rhoキナーゼ阻害薬冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)にも記載あり(P14) ➜ 難治性冠攣縮性狭心症患者の発作寛解のためのファスジル投与(クラス IIa)

6-33 診療報酬改定を契機に在宅強心薬療法を導入し得た重症心不全の1例
  • 令和6年診療報酬改定で「在宅強心薬持続投与管理料」が新設された。本制度を活用し在宅強心薬持続投与を導入した症例を報告する。【症例】60代男性。虚血性心疾患により心不全ステージⅣ,EF10〜15%,CRT-D植込み,MVR施行歴あり。カテコラミン依存状態で一年半の間に入院8回167日在院。【経過】入退院を繰り返す中で「自宅で過ごしたい」と希望し,ハートケアチームで検討し在宅DOB導入を決定。【結果】導入後6か月で再入院は1回18日のみ。

8-12 胸骨圧迫で Sapien3 Ultra Resilia が変形した一例
  • 第8病日にTAVIを施行して人工弁S3UR 23mmを留置した。帰室後long pauseを来したため胸骨圧迫を行い心拍再開を得たが,その後も洞不全症候群が遷延するため一時的ペースメーカを留置した。その際の透視で人工弁の変形が疑われた。CTで確認するとS3URが扁平な楕円に変形しており,血栓弁の合併や弁周囲組織の損傷はなかった。


😀 当院からの発表
  • 2-16 術前評価の冠動脈CTで稀な冠動脈起始異常を発見した1例(循環器内科 中野 佑哉ほか)
  • 4-5 β遮断薬を含む点眼薬で誘発された薬剤性3度房室ブロックの1例(循環器内科 吉富 新一ほか)
  • 5-17 難治性の冠攣縮に対してステロイド治療が有効であった急性下壁梗塞の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • 6-27 心不全症例の末梢温と予後との関係(循環器内科 川﨑達也ほか)

3編は発表前に英語論文化(2編は出版済,1編は投稿中) 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-11-13

今週の一枚 🎯 手抜きダメ

10年前にペースメーカ植込み術を受けた症例
ひと月前から息切れ(座位ですべて吸気後)

😐 解説
  • 頚静脈の拍動なし(ただし下部は見えず)
  • 吸気後の鎖骨上窩にわずかに陥凹あり?
  • 立ち上がって診察室内を2周してもらった
  • すると頚部の中央に明瞭な陽性波(矢印)
  • 触診にて動脈拍動でなく静脈拍動を確認
  • 本例は最終的に心不全と診断(HFpEF)
  • ペースメーカ本体も確認したが問題なし

😞 現場実況
  • 長年安定している症例でありシャツの襟を立てたまま観察(反省)
  • 安定しているというバイアスで鎖骨上窩の拍動もスルー(反省2)
  • 患者さんの訴えが強くしぶしぶ歩行負荷を追加で陽性波(反省3)

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-08-30

論文 🏆

  • 近隣クリニックから当院へ紹介例が論文になりました
  • 労作時の動悸がありマスター負荷で2:1伝導ブロック
  • 心エコー図や運動負荷タリウム、ホルターに問題なし
  • その後に目薬(β遮断薬含む)の使用(片眼)が判明
  • 目薬の中止後は安定するも1年後に完全房室ブロック
  • なんと今度は両眼に点眼 → 中止後にブロックは消失
  • その後に眼科で閉塞 隅角ぐうかく緑内障に対して手術を実施

- 3度房室ブロックが出現時の心電図 -

😀 知識の整理
  • ベータ遮断薬を含む点眼薬の全身的な影響は,正常な心血管機能を有する個人では極めて軽微で無視できる.
  • しかし房室ブロックを呈した243症例の検討では,その内12症例でβ遮断薬を含む点眼薬を処方されていた.
  • 点眼薬の中止後この12例中7例では洞調律が回復したが,5例では最終的にペースメーカ植込み術を要した.
💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-07-13

第139回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
2-12 クレアチニンキナーゼ欠損症を合併したST上昇型急性心筋梗塞の一例
  • 右冠動脈(RCA)#2 閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した(total ischemic time 144分)。術後,高感度トロポニンI(hs-TnI)の上昇は認めたが,クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇は認めなかった(peak CK[IU/L]/CK-MB[IU/L]/hs-TnI[pg/mL])=169/5/16863)。

2-16 自己免疫性心筋症の関与が示唆された虚血性心筋症の一例
  • 心臓MRI検査では冠血流支配領域に一致しない壁運動低下を認めた。さらに血液検査や心筋病理において,自己免疫性心筋症を疑う所見が得られ,至適薬物療法にも関わらず心機能は進行性に低下を認めた。

7-31 irAEによる洞不全症候群に対して心房リードレスペースメーカ植え込みを行った1例
  • ペースメーカ感染を認め全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行,全システム抜去術に成功した。元々のペースメーカ設定はAAIR⇔DDDR,60ppmであったが,累積心室ペーシング率が1%未満であったため心房リードレスペースメーカ(Abbott社製Aveir AR)の植込みを選択,右心耳基部に留置しAAI60ppmの設定とし た。

8-27 シトステロール血症の病原性変異の網羅的文献検索と早発性冠動脈硬化症
  • シトステロール血症はABCG5/G8遺伝子の病原性変異により発症する疾患で血中シトステロール高値に加えLDL-C高値,アキレス腱肥厚を伴い,家族性高コレステロール血症との鑑別を要する。


👻 当院からの発表
  • 2-10 冠動脈ステントで誘発されたコーニス症候群の1例(循環器内科 角本拓也ほか)
  • 4-16 心電図変化が気胸部位の推定に有用であった1例(循環器内科 江上 晟ほか)
  • 8-24 シンプル頚静脈©:負荷頚静脈法の学習アプリ(循環器内科 川﨑達也ほか)

江上先生は優秀賞ゲット & すべて英語論文として発表前に出版 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-04-30

左脚領域ペーシングの初報

  • 心室内刺激伝導系ペーシングであるHis束ペーシングは2000年に報告
  • 左脚ペーシングはHis束ペーシングに少し遅れ2017年頃に中国で開発
  • 循環器医 Huang W らの症例報告(Can J Cardiol 2017;33:1736.e1-3
  • 右室中隔側よりリードをねじ込んで左脚を直接捕捉するという新発想
  • His束ペーシングの弱点(閾値上昇や手技困難など)を補うため注目
  • 左脚を捕捉できることもあれば左脚近傍ペーシングになることもある


各種ペーシング法のシェーマ(心電図は左脚領域ペーシング時)

💁 ペースメーカに関する過去の投稿 ➜ コチラ ペースメーカー

(投稿者 川崎)

2025-03-21

医科診療報酬点数

👥 夜8時半にようやくシャントPTAが終わって...
  • 専門医A 「エコーでVAIVTができると楽だね」
  • 専門医B 「そうです.それで12万ですからね」
  • 専門医A 「高っ! ペースメーカって数万だよ」
  • 専門医C 「でも3ヵ月で2回までですけどね…」

📪 医科診療報酬点数(令和6年)
  • 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 ➜ 12000点
  • ペースメーカ ➜ 経静脈電極移植術9520点,リードレス移植術9520点,交換術4000点
  • 経皮的冠動脈ステント留置術 ➜ 急性心筋梗塞34380点,不安定狭心症24380点,その他21680点
  • 心臓カテーテル法による諸検査 ➜ 左心4000点,右心3600点
  • 冠動脈、大動脈バイパス移植術 ➜ 吻合80160点,吻合以上89250点
  • 経カテーテル弁置換術 ➜ 経皮的39060点,経心尖61530点
  • 弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術 ➜ 157840点
  • 経皮的カテーテル心筋焼灼術 ➜ 心房中隔・心外膜アプローチ40760点,その他34370点
  • 下大静脈フィルター ➜ 留置10160点,除去6490点
  • オープン型ステントグラフト内挿術 ➜ 弓部大動脈114510点,下行大動脈89250点


    😑 独り言
    • 手技料に関しては皆,いろいろな想いがあると思います.循環器内科医なら,「なんでペースメーカ植込みよりシャントPTA(VAIVT)の方が高いの?」って思うかもしれません.逆に心臓外科医は,「循内の経皮的な手技料,高すぎだろう!」って怒っているかも…
    • 手技の難しさ(学ぶのに要する時間)やリスク(術者のストレスを含む),効果(予後改善など)が,手技料に総合的に反映されていることが大切です.例えば下大静脈フィルター植込みの手技料は10160点と高めですが,比較的簡単かつ安全で臨床効果は微妙

    👉 診療報酬に関するの過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2025-03-02

    眼科用マイクロジアテルミー

    • 先日,眼科から循環器内科に「ICD(植込み型除細動器)を有する症例の白内障術前コンサルト」がありました

    👀 眼科用マイクロジアテルミー
    • ジアテルミー(diathermy)とは日本語では透熱療法と訳され,高周波電磁流や電気を用いて,体の組織に熱を発生させる治療法
    • 眼科手術で,患部組織を凝固・止血する装置である.白内障だけでなく,網膜剥離術や緑内障術,など広範囲な手術に適応できる
    • 禁忌・禁止:埋め込み型ペースメーカー及び埋め込み型除細動器を使用している患者にコアギュレーション機能を使用しないこと


    (製造販売企業:有限会社田川電気研究所)

    😑 コメント
    • 本症例の手術は他の理由で中止になりましたが,今後の対策は必要です.ガイドライン中のジアテルミーに関する記載は一ヵ所で,「マイクロ波ジアテルミーの使用は避ける」のみです(P 14).ペースメーカの誤認に加えて,ジアテルミー自体が心室細動を誘発した症例報告もあり(J Innov Card Rhythm Manag 2021;12:4410–2).
    • 内視鏡ジアテルミーなどは比較的安全と考えられているようですが(Endoscopy 1998;30:544-7),やはりペースメーカを植込んでいる症例ではジアテルミーの使用は避けた方がよさそうです.(おまけ:歯科領域の超音波スケーラーも同様にペースメーカ禁忌とされていますが,実際には使用されていることが多いと思われます ➜ 過去の投稿

    (投稿者 川崎)

    2025-02-10

    ペースメーカ植込み時のポケット洗浄

    洗浄 vs 非洗浄
    • 対象 心臓埋込型電子機器の植込み術を受けた5467人のデータ(10件の臨床研究)
    • 感染 ポケット感染症の頻度はポケット洗浄群1.48%,非ポケット洗浄群3.49%
    • 効果 メタ解析でポケット洗浄の感染予防は有意(RR=0.44、95%CI:0.31-0.63)
    • 追加 生理食塩水と比較し抗生物質洗浄ではポケット感染の発生率が約59%減少

    - ポケット洗浄の感染予防:メタ解析 -


    生食洗浄 vs 抗菌薬洗浄
    • 対象 2018年1月から2022年2月までに心臓デバイス植込み術を受けた連続2,736人の成人患者
    • 追加 リードレスペースメーカーは除外し全ての患者は術前に予防的静脈内抗生物質の投与
    • 手技 皮下ポケットをバシトラシンまたはバンコマイシン溶液で洗浄,あるいは生食での洗浄
    • 感染 ポケット感染は20名(生食 vs バシトラシン, P=0.33/生食 vs バンコマイシン,P=0.21)

    - グループ間比較(NS=生食)-

    😋 独り言
    • ペースメーカを植込む直前に生食でポケットを洗浄しておくだけで良さげかな...

    👉 ペースメーカに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

    (投稿者 川崎)

    2024-12-24

    嚥下性失神 Swallow syncope

    • 慢性心不全で長年フォローしている患者さんが定期受診の時に,不意に「先日,失神したんですよ」と笑いながら言いました.その時の状況をお聞きすると食事中に一瞬生じたようです.循環器疾患は長年安定しています.
    • 窒息という感じではなかったのですが,高齢者で嚥下機能も心配です.そこで耳鼻咽喉科をコンサルトしたら,嚥下性失神(疑)と診断されました.少量ずつよく噛んで食べるなどの食事指導も行ってくれました 😊 感謝

    🍚 嚥下性失神(Swallow syncope)
    • 嚥下という特定の動作で誘発される神経調節性失神のひとつ
    • 食道の拡張や収縮による食道壁の緊張が迷走神経反射を誘発
    • 機序は徐脈や心停止,血圧低下,両者の合併から失神に至る
    • 基礎疾患は食道疾患(痙攣やヘルニア,癌)や心筋梗塞など
    • 治療は食事指導(難治性ならペースメーカ植込み術を検討) 


    嚥下性失神が生じたパーキンソン病の73歳女性
    • 頸部食道をバルーン拡張するとP波が消失し5.9 秒の静止と意識消失
    • 引き続いてバルーン拡張を解除するとP波が出現し洞調律へ復帰した

    (投稿者 川崎)

    2024-12-15

    日本内科学会 第246回近畿地方会より

    😀 個人的に気になった報告

    演題101 肝硬変に生じたパスツレラ症の1例
    • パスツレラ症は代表的な人獣共通感染症であり,Pasteurella multocidaはヒトを除く哺乳類の口腔内常在菌で,イヌでは75%,ネコではほぼ100%に常在するとされる.免疫能の低下した症例で重症化しやすい.

    演題179 Burkholderia属菌によるCepacia症候群の1例
    • Burkholderia属菌は特に嚢胞線維症に致死的な呼吸器感染症を起こす菌として報告され,Cepacia症候群と呼ばれる急性に進行する菌血症を伴う壊死性肺炎は致死率が非常に高く臨床的に問題となる.

    演題218 溺水により運動後急性腎不全(ALPE)を発症した 1 例
    • 溺水後の急性腎障害は溺水患者の43%に発生した報告もあり,原因は低酸素による尿細管障害,横紋筋融解症,多臓器不全による全身性炎症反応等が考えられる.

    演題234 COVID-19肺炎の経過中にセフトリアキソン脳症が疑われた腹膜透析患者の1例
    • 抗菌薬投与中に意識障害,不随意運動を認めた際には,抗菌薬関連脳症を疑い抗菌薬の中止または変更が必要である.原因薬剤の診断のためには,血中濃度を測定しておくことが望ましい.


    👻 当院からの発表
    • 演題35 左鎖骨下静脈経由の二腔ペースメーカ植込み後に両側気胸を生じた1例(総合診療科 國延拓也先生 🎉 すでに論文化してPubMedに収載
    • 演題210 腰椎神経根症による脱神経性筋障害を高CPK血症とともに呈し,炎症性筋疾患との鑑別を要した1例(膠原病・リウマチ内科 正木 暁先生)

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2024-12-13

    焦点てんかん Focal epilepsy

    📚 てんかんの分類
    • 1981年:部分発作(焦点性あるいは局在関連性),全般発作,未分類発作
    • 2010年改訂版:焦点発作(意識ありと意識なし),全般発作,未分類発作

    追加解説
    • 改訂版では部分発作という用語がなくなり焦点発作に統一された.発作が両側大脳半球のネットワーク内に起こり,このネットワークが急速に発作に巻き込まれるものが全般性である.一方,一側大脳半球だけのネットワーク内に起始し,はっきりと限局する,あるいはそれよりもう少し広汎に一側半球内に広がったものが焦点性である.


    焦点発作(2010年改訂版発作型分類)
    • A.意識障害なし ➜ 運動徴候または自律神経症状が観察される.これは「単純部分発作」の概念にほぼ一致する(発作の症状の表れ方によっては,本概念を適切に表現する用語として「焦点性運動発作」または「自律神経発作」を用いることができる).自覚的な主感覚・精神的現象のみあり.これは2001年の用語集に採用された用語である「前兆」の概念に一致する.
    • B.意識障害あり ➜ これは「複雑部分発作」の概念にほぼ一致する.この概念を伝える用語として「認知障害発作」が提案されている.


    😐 追加コメント
    • 先日,意識消失から転倒・骨折した症例を経験しました.他院で焦点てんかんと診断されていましたが薬への反応が悪く時々意識消失があったようです.
    • 術前の心エコー検査中に一過性の2:1房室ブロックが記録されました.その後のモニターで5~7秒の心室静止(その時に失神あり)が確認されました.
    • 本例は伝導障害と焦点てんかんが合併していたのか,実は伝導障害による失神だったのかは不明ですが,最終的にはペースメーカ植込み術を行いました.

    👉 てんかんに関するの過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-11-27

    左脚領域ペーシングの予後

    • 近年,左脚領域ペーシング(LBBAP)が臨床現場に普及しつつあります.本邦から同手法を右室心尖ペーシング(RVAP)およびヒス束ペーシング(HBP)と比較検討した論文が出版されたのでアップしておきます. 

    • 対象 徐脈でペースメーカを植込んだ日本人424人を後向きに解析
    • 手技 成功率はLBBAP群の方がHBP群よりも高い(94.9%と81.5%)
    • 経過 閾値上昇>1VはLBBAP群でなし,HBP群9.4%,RVAP群5.1%
    • 予後 心不全入院の累積発生率はLBBAP群で有意に低率(下図参照)
    • 関連 予後不良因子は高齢,右室ペーシング割合,EF<50%,RVAP
    • 結語 RVAPやHBPと比較してLBBAPは徐脈患者のペーシングに有用


    ペーシング方法と予後(右図はペーシング率>20%の症例)

    👉 ペースメーカに関するの過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-11-26

    🏆 論文

    • 総合診療科の専攻医 國延先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
    • 左鎖骨下静脈経由のペースメーカ植込み術後に両側の気胸が判明した症例です
    • 心房スクリューリードが原因?(ただし心エコーやCTで心嚢液や穿孔像なし)
    • 左側のみ胸腔チューブを留置し1週間後に抜去.その後に無事退院されました


    😀 追加コメント
    • ペースメーカ植え込みに伴う気胸の発生率は1%程度と報告されています(引用).対側気胸の機序としてリード穿孔がありますが発生頻度は0.0001%未満(引用).
    • 他に胸膜内交通(バッファロー胸:先天性あるいは手術や外傷後),縦隔気腫や皮下気腫などが提唱されていますが,今回の症例ではどちらもありませんでした.

    🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2024-11-19

    ヘルストロン Healthtron

    • 白寿生科学研究所が製造販売している電位治療器
    • 1963年に医療機器として承認済(当時の厚生省)
    • 頭痛や肩凝り,不眠,慢性便秘の症状緩解に有用
    • 累計100万台以上の出荷実績(5,000以上の施設)
    • 身体に電気を直接流すのではなくて電界で包む
    • ペースメーカやO2吸入器,薬剤注入器などは❌
    • 時間の目安は20分程度で費用は1割負担で110円

    - ヘルストロンの外観 -

    (投稿者 川崎)

    2024-08-15

    今週の一枚 🎯

    労作時の息切れを訴える女性(座位)

    😐 解説
    • 頸部の左側が周期的に拍動している(矢印)
    • 触診で静脈性の拍動を確認(心不全と診断)
    • 深吸気で右側にも明瞭な拍動が出現(矢頭)
    • 本例は最終的に心不全(PEF)と診断された

    💙 なぜ左?
    • 左側優位の内頚静脈拍動は稀です.今までに内臓逆位(ココ)やペースメーカ(ココ)に関連した症例を経験したことがあります.
    • 本例には乳がんの手術歴がありました(ただし術式は未確認).また胸部CTでは右腋窩〜頚部のリンパ節郭清が示唆されました.
    • 本例ではこれらの影響で安静時に左側の内頚静脈の拍動が目立ったのかもしれません(もっとも吸気後は右側が目立ちましたが...😯)

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

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    (投稿者 川崎)

    2024-07-13

    左優位 Lefty JVP

    息切れと下腿浮腫の高齢女性(座位)

    👿 解説
    • 頸部の左側に周期的な隆起あり(動脈?)
    • 深吸気で明瞭化+上縁上昇(静脈の疑い)
    • 触診で静脈性拍動を確認(心不全と診断)
    • 心エコー図で高度の三尖弁逆流TRを確認

    💙 なぜ左?
    • 左側優位の内頚静脈の拍動は稀です.内臓逆位では左側優位ですが(自験例),聴診からは考えにくい病態でした.右内頚静脈の狭窄や左上大静脈の遺残では左側優位の拍動になりますが,いずれもCTで否定.原因不明の症例(微妙な静脈解剖に由来?)も経験あり(自験例1自験例2).
    • 本例はペースメーカ植込み後の症例でした.リードの影響で上大静脈から左内頚静脈への角度が浅くなっているのではと推測しました(下図).また液体(血液)が物体(リード)に引き寄せられるコアンダ効果の影響もあるのかもしれません.後に判明した心膜剥離術の既往も影響あり?



    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)

    2024-05-26

    第137回日本循環器学会近畿地方会より

    😃 個人的に気になった報告
     
    1-9 ペースメーカ留置時に偶発的に採取した心筋片より診断に至った心アミロイドーシスの一例
    • 経静脈PM植込み時にポケットから採取した脂肪とリード先端より偶発的に採取できた心筋を提出し,病理検査で心筋組織にアミロイド沈着を認めた。伝導障害例や高齢者では生検の実施が困難な場合があり,我々は経静脈PMの植込み時に低侵襲でアミロイド沈着を証明できた症例を経験したので報告する。

    3-21 右腋窩-右外腸骨動脈バイパスにより心不全の改善を認めたCoral reef aortaの1例
    • 主に腎動脈上の腹部大動脈に起こる限局性,珊瑚状の石灰化及び狭窄病変が特徴的であるCoral reef aortaは,難治性高血圧,臓器・下肢虚血を呈する。後負荷増大による心不全をきたしExtra-anatomical bypassが奏功した症例を報告する。

    3-28 右総腸骨動脈の慢性完全閉塞病変に対して0.035 CROSSLEADを用いて秒でwire crossできた一例
    • CTO病変にCROSSLEADを“秒”で通過させることに成功。0.035 CROSSLEADは従来の0.035ワイヤーと異なりトルクレスポンスも良く操作性にも優れているため,このようなCTO病変 治療における1stワイヤーとなり得ると思われた。

    6-19 Ehlers-Danlos 症候群に合併した特発性尺骨動脈瘤破裂の1例
    • エコーでは,右尺骨動脈瘤を認めた。しかし,造影剤アレルギーの既往があり,TEAは困難と判断し,経過観察となっていた。翌週に,急激に右前腕の腫脹,尺骨側の神経障害を認めた。エコーで,同部位の破裂を認め,緊急手術となった。術中所見は,血管壁は破綻しており,尺骨動脈の中枢側および末梢側を同定して結紮。

    6-35 心膜外脂肪壊死の一例
    • 数日前からの上下肢浮腫と深吸気時胸痛を主訴に前医を受診,両側胸水貯留を指摘され当院へ紹介。入院加療とするも,約1週間で症状は自然軽快し心嚢水と胸水も減少したため,第9病日より外来フォローとした。その後も症状は再燃せず,2か月後のCTでは楕円形腫瘤と心膜肥厚は消失。心膜外脂肪壊死は急性の胸痛を呈するが,保存的治療で自然軽快する良性疾患である。腹膜垂炎等と同様の機序による脂肪壊死が病因とされている。胸痛をきたす疾患の一つとして考慮すべきと思われた。


    👻 当院からの発表
    • 3-7 頸静脈所見が診断に有用であった心房頻拍の1例(循環器内科 林 寛人ほか:優秀賞,写真中央)
    • 4-6 身体所見が診断に有用であった急性大動脈弁逆流の1例(循環器内科 髙林彩香ほか)
    • 6-1 急性心筋梗塞を契機に診断された心アミロイドーシスの1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
    • 6-2 身体所見から形態学的診断に迫ることができた右室流出路狭窄を有する両室肥大型心筋症の1例(循環器内科 川崎達也ほか)

    すべて英語論文化(1つは掲載済,2つは投稿中,もう1つは投稿準備中)

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2023-12-15

    リードレスペースメーカ植込みリスク

    👤 日本不整脈心電学会のコメント文言そのまま
    • 心嚢液貯留、心タンポナーデ発生のリスクに関しては、体格 (BMI<25)、高齢者(>75歳)、女性、慢性肺疾患、非心房細動例などがリスクファクターとなります。患者背景におけるリスク因子の重なりが、心嚢液貯留、心タンポナーデ発生に関与していることが判明していますが、特に体格の小さい高齢患者に対する植込み選択においては、慎重にも慎重を期して適応を検討いただきますようお願いいたします。

    👥 国際臨床レジストリーの解析Europace 2022;24:1119–26
    • 対象 Micra国際共同試験で植込みを試みた2817例の解析
    • 定義 イベントは心嚢液貯留(心穿孔,タンポナーデ含)
    • 頻度 イベント発生は32症例(1.1%, 95%CI: 0.8~1.6%)
    • 因子 単変量は18変数(上図),多変量は11変数(下図)
    • 結語 イベントは経年的に減少かつ妥当な指標で予測可能



    心嚢液貯留との単変量関連



    多変量ラッソ・ロジスティック回帰分析とスコアリング・システム
     (*LASSO: least absolute shrinkage and selection operator)

    💁 ペースメーカーに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら左欄からも選択可能です)
    ペースメーカ
    (投稿者 川崎)