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2020-11-30

🙇 一句できました

拡張型心筋症による慢性左心不全で通院中の症例

🐤 独り言
  • コロナ禍の診察で身体所見を詳細に確認することは難しい.しかし頸静脈はちょっと覗くだけ
  • 本例は通常呼吸時に内頸静脈を視認しないが深吸気息止め後に鎖骨上窩に拍動が出現し要注意
  • 「頸静脈・座位で陰性・一安心・深吸気でも陰性・かなり安心」(字余り:読人知らず?)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2020-11-29

第130回日本循環器学会近畿地方会より

🐤 個人的に気になった演題(コロナ禍のためWEB発表)

 演題T1-20   デバイス通過困難時にKIWAMI ロック法が奏功したCTOの1症例
  • キワミ ロックとは4Fr KIWAMI ストレート(テルモ株式会社)を用いた親子カテーテルの変法.主枝の近位部位で子カテーテルであるKIWAMIの外側をバルーンで拡張することにより強力なバックアップを生み出す.

😎 当院からの報告(敬称略・演題順)
  • 演題T3-18 右室心尖部に塊状構造物を認め右室肥大型心筋症が疑われた1例(循環器内科 車古大樹)
  • 演題T3-21 肥大型心筋症に対する二峰性心尖拍動の診断能(循環器内科 川﨑達也)
  • 演題T4-39 短期間に再発を繰り返した急性心膜炎の1例(循環器内科 奈村晃輔:下図)
  • 演題T5-33 経過中に心雑音が変化した僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流の1例(循環器内科 本田早潔子)
  • 演題T6-11 ペースメーカ新規植込み時にJ型タイン ドリードがキアリ網に捕捉された1例(循環器内科 酒井健紀)

🎓「学会」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2020-11-28

研修医・若手医師のための総合診療カンファレス2020

  • 当院の総合診療科が主催しているカンファレンスが昨日,WEBで開催されました
  • 特別講演は例年通り群星沖縄臨床研修センター センター長の徳田安春先生です

ご視聴,ありがとうございました 🙇 岡田先生も司会,ご苦労様でした

💁「徳田先生」に関連した過去の投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2020-11-27

👀 めばちこ?

麦粒腫あるいは霰粒腫のことで近畿地方で多用されている方言

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
  • 眼瞼のマイボーム腺や脂腺の急性化膿性炎症(黄色ブドウ球菌など)
  • 英語表記はstye(発音 ➜ stai/スタイ)

霰粒腫(さんりゅうしゅ)
  • マイボーム腺の開口部が閉塞して分泌物が貯留(細菌感染はない)
  • 英語表記はchalazion(発音 ➜ kəléiziən/カレイズィアン)

👻 他の方言(あいうえお順)
  • いもれ(鹿児島),おきゃくさん,おでき,おともだち(沖縄),おひめさま,おひめさん,こんじき,でんぼ,のめ,のんめ,ばか,ばちく,ほいど,ほいどっこ,みんでえ(沖縄),めいぼ(京都),めかいご,めけご,めこじき,めっぱ(北海道),めっぱち,めっぱつ,めぼ,めぼいた,めぼう,めぼら,めぼろ,めまんじゃ,めんちょ,めんぼ(愛知),めんぼう,ものむらい,ものもらい(東京),よのめ,他

👉 すごいページ ➜ ものもらいマップ(なんと都道府県別に検索可能!)

(投稿者 小林/川崎)

2020-11-26

🎯 今週の一枚

ニコニコして特に症状はないという高齢者(家族が何かおかしいと感じて受診)




(投稿者 川崎)

2020-11-25

レイノー現象 Raynaud syndrome

臨床現場
  • だんだん寒くなってきました.この病気の相談を受ける時期です.簡単にまとめておきます
  • 病態 小動脈の攣縮による皮膚の色調変化(例:蒼白→紫色→発赤の3相性で計20分程度)
  • 部位 手指末端(特に第2〜5指),足趾,耳,鼻,口唇,眼周囲など(対称性>非対称性)
  • 分類 原発性(レイノー病)と続発性(膠原病・末梢動脈疾患・職業性・薬剤・化学物質)
  • 疫学 全人口の4%程度に認め,特に原発性は15〜30歳の女性に多い(逆に続発性は高齢者)
  • 免疫 強皮症,混合性結合組織病,全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎,シェーグレンなど
  • 治療 原因の除去+患部の保温(必要ならビタミンEやプロスタグランジン製剤、Ca拮抗薬)
  • 由来 仏の医師 Auguste Gabriel Maurice Raynaud (1834–1881) の報告(Paris: Didier, 1862



(投稿者 川崎)

2020-11-24

AHI: Apnea hypopnea index(無呼吸低呼吸指数)

  • 終夜睡眠ポリグラフィー(polysomnography: PSG)から算出される指標(1泊入院する必要あり)
  • 無呼吸(>10秒)と低呼吸(換気量低下>30%・持続>10秒・SpO2低下>3%)の1時間の回数
  • AHIに基づく重症度分類:正常は5回未満/軽症は5~14回/中等症は15~29回/重症は30回以上
  • AHI 20以上+自覚症状で持続気道陽圧(continuous positive airway pressure: CPAP)の保険適応 

  • 最近では簡易検査にてスクリーニング(入院は不要:2〜3日連続施行)➜ 疑わしい症例に対しPSGを実施する施設が多い
  • 夜間SpO2モニターでは1時間あたり3%以上の低下回数(3% Oxygen Desaturation Index: 3%ODI)を算出しAHIの代用している
  • 簡易無呼吸モニターでAHI(つまり3%ODI)が40回/1時間以上+自覚症状がある場合はPSGを施行しなくてもCPAPの保険適応 
  • 他の治療には生活指導(減量+側臥位で睡眠+節酒),口腔内装置(マウスピース),口蓋扁桃摘出術(扁桃肥大が強い場合)など

💁 一読をオススメ ➜ SASガイドブック
(投稿者 川崎)

2020-11-23

3時間バンドル 3-Hour Bundle

  • Surviving Sepsis Campaign 2012ガイドラインで推奨された方法
  • バンドル=Bundle=束(ここでは普遍的かつ重要な介入項目)
  • 敗血症が疑われた場合には3時間以内に以下の4項目を完了する
    1. 乳酸値の測定
    2. 抗生剤投与前に血液培養を行う
    3. 広域抗生剤を投与
    4. 低血圧もしくは乳酸値4 mmol/l以上の時は30 ㎖/㎏の晶質液を投与


💫 最近では1時間敗血症バンドルも提唱 💨
  1. 敗血症を認識したらまず乳酸値を測定
  2. 想定される病原菌をカバーする抗菌薬を1時間以内に投与
  3. 抗菌治療開始前には血液培養
  4. 低血圧や高乳酸血症(>4 mmol/l)に対し30ml/kgの急速等張輸液負荷
  5. 急速輸液後も平均血圧<65 mmHgの低血圧が存在すれば血管収縮薬を投与


(投稿者 川崎)

2020-11-22

📣 連続しない連続






(投稿者 川崎)

2020-11-21

ワクチン:筋注 vs 皮下注

💉 意外であるが…
  • ワクチン投与は日本では皮下注が多いが,海外では圧倒的に筋注
  • 副反応や抗体産生の点でワクチン皮下注は筋注より劣る報告あり


💊 クチン豆知識
  1. イギリスの医師エドワード・ジェンナー(Edward Jenner:1749-1823)は現在のワクチンの原型である牛痘接種法を開発しました(Med Phys J 1801;5:505–8).ワクチンという名称はジェンナーが最初に牛を用いたため,ラテン語のVacca(雌牛)に由来するそうです.
  2. その後にフランスの生化学者・細菌学者ルイ・パスツール(Louis Pasteur:1822–1895)がニワトリコレラの研究で弱毒化した病原体の接種でも免疫が得られることを突き止めました.この発見によってワクチンの安全性が高められ現在に至っています(牛痘接種法では数%の死亡率が大きな問題).
  3. 現時点で主流である皮下・筋肉注射に替わる次世代ワクチンのデリバリー経路として,経口(舌下含む)や経粘膜投与,経皮ワクチン製剤の開発が進められているようです(薬剤学 2016;76:18-24薬剤学 2016;76:2-3

🉐 関連投稿(ワクチン編)

(投稿者 川崎)

2020-11-20

ECG vs SAH

雷鳴頭痛で来院した症例

  • クモ膜下出血(Subarachnoid hemorrhage, SAH)時の心電図変化は有名
  • 頻脈に加えてQT延長ST低下陰性T波などが多い(特に重症例:下表)

- クモ膜下出血102例の急性期心電図所見 -

👻 おまけ
  • SAHの心電図変化はカテコラミン濃度の上昇に起因すると考えられています(Stroke 1991;22:746-9).しかし同様にカテコラミンが上昇する褐色細胞腫では心電図変化がそれほど多くないようです(例えばST-T変化は25例中6例:Am J Emerg Med 2000;18:622-5). 100年以上の歴史がある心電図ですがまだまだ分かっていないことが少なくありません😓

(投稿者 塩見/川崎)

2020-11-19

🎯 今週の一枚

胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2020-11-18

BIS vs TCI

  • BISbispectral index(バイスペクトラルインデックス,二つの波長の指標)
  • 1994年に米国のAspect Medical Systems社(現Coviden社)が開発した指標
  • 全身麻酔中の鎮静度モニターで前頭部に貼付したセンサーから導出(下図)
  • BIS値は0(平坦脳波)~100(覚醒状態)で全身麻酔中は40-60の間を維持
  • 詳細なアルゴリズムは未公開であるが脳波をデータベースと比較して算出
  • 超高齢者や小児,脳機能障害例あるいは筋弛緩薬併用時には誤差に要注意

参考)医機学 2016;86:543-8,他

Wiki

  • TCItarget control infusion(目標濃度調節静注あるいは標的濃度調節静注)
  • 薬物動態モデルから予測された血中濃度を目標にプロポフォールの量を調整
  • BISと組み合わせて全静脈麻酔(TIVA,total intravenous anesthesia)が可能
  • 予測と実測の濃度差が大きいことがあり吸入麻酔薬と比べて個人差は大きい


日本臨床麻酔学会誌 2016;36:441-7/オリジナルは総合医学社 東京 2009:140-1)

💁「麻酔」に関連した過去の投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2020-11-17

デイサービスとデイケア

☆ デイサービス通所介護
  • 利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう,自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持,家族の介護の負担軽減などを目的として実施される.
  • 利用者が施設に通い,食事や入浴などの日常生活上の支援や,生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受ける.
  • 生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり,施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行う.デイサービスは要支援1・2の人は利用できない.

★ デイケア通所リハビリテーション
  • 利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう,リハビリテーション施設(老人保健施設・病院・診療所など)に通い,食事や入浴などの日常生活上の支援や,生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する.

参考)公表されている介護サービス(厚生労働省)

👻 つまり…
  • 上記の説明ではピンとこないかもしれませんが,デイサービスは日帰りの介護で,デイケアは日帰りのリハビリテーション
  • 利用者負担は1割(一定以上の所得者は2割または3割)で,居住地域区分(1級地~7級地、その他)によって異なるようです.

(投稿者 川崎)

2020-11-16

Löfgren syndrome レフグレン症候群

  • 関節炎と結節性紅斑,両側肺門リンパ節腫脹を三主徴とする急性サルコイドーシスの一型
  • 欧州で罹患率が高い(デンマークで20%,トルコで19.1%,ドイツで8.4%)が本邦では稀
  • 欧米186例の検討:平均37歳で女性85%,多くは無投薬やNSAIDsで1年以内に軽快している
  • 名称はスウェーデンの医師 Löfgren SH の初報に由来(Acta Med Scand 1953;145:424-31


👽 独り言
  • Löfgrenのöにはなかなか馴染めません.ラテン文字 O にウムラウト(¨)を付した文字で,ドイツ語やトルコ語,北欧などで用いられています().ウムラウト(変母音)が表示できないときは大文字は Oe、小文字は oe と代用表記することになっているようです().Löの発音はではなくてのようです.Löffler心内膜炎もフレルと読んでいます.
🉐 サルコイドーシスに関連する過去の投稿 ➜ コチラ (ウェブ版なら右欄の分類からも検索可能)

(投稿者 川崎)

2020-11-15

ハリス・ベネディックトの式
Harris-Benedict Equation (HBE)

  • 基礎エネルギー消費量(基礎代謝量)を算出するために用いられる数式
  • 必要エネルギーはその基礎代謝に活動係数やストレス係数を乗じて算出
  • 米国のHarrisとBenedictが提唱(Proc Natl Acad Sci USA 1918;4:370-3
  • 男性の計算式 ➜ 66.4730➕13.7516✖️体重➕5.0033✖️身長-6.7550✖️年齢
  • 女性の計算式 ➜ 655.0955➕9.5634✖️体重➕1.8496✖️身長-4.6756✖️年齢
  • ハリス・ベネディクトの式を用いた基礎代謝量は ココ から計算できます
  • ただし欧米人を対象とするため本邦では少し高めに算出される可能性あり
  • 日本での簡易版例:男性 ➜ 14.1✖️体重➕620/女性 ➜ 10.8✖️体重➕620

🉐 関連投稿(栄養編)

(投稿者 川崎)

2020-11-14

再登場:触ってナンボの法則

心電図異常を指摘された無症状の症例

🔗 肥大型心筋症
  • 触診では典型的な二峰性の抬起性心尖拍動であった.しかし視診や舌圧子(収縮期に左方移動)では分かりにくい.抬起性拍動は明瞭であるが,その直前にあるatrial kickはあまり伝わらない.
  • これも”触ってナンボの法則”が当てはまる.右手の第2〜3指腹を拍動部に当ててみる.ダブルインパルスは肥大型心筋症の特徴であるが,視診で明瞭に認識できる例は決して多くない(自験例).
  • 視診はわずかな色調差の認識は得意であるが,微妙な凹凸の判定は苦手である.一方,指腹は超高精度の圧センサーである.フィジカルをとるときには,視診・聴診・触診をうまく使い分けたい.

🉐 関連投稿(ダブルインパルス編)

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(投稿者 川崎)

2020-11-13

放射線治療 vs 弁膜症

🕐 後ろ向き研究BMJ 2009;339:b4606
  • 対象は21歳未満で悪性疾患と診断され5年以上生存できた14,358症例
  • 兄弟姉妹よりも心不全,心筋梗塞,心膜疾患,弁膜症が高頻度に発生
  • 弁膜症は初診から平均20年後に238名(1.6%)に発生(同胞は0.5%)
  • 1500 cGy以上の放射線治療(特に縦隔へ)で弁膜症は有意に増加する
  • 1500-3500 cGyで発症ハザード比は3.3,3500 cGy以上でハザード比5.5
  • 放射線治療後の弁膜症は観察期間である30年後まで一貫して増加した

ホジキンリンパ腫と診断後の弁膜症の発生率(線量別)

🔍 おまけ
  • 放射線治療が弁膜症の発症と関連する正確な機序は不明ですが,動脈硬化と同様に炎症の関与が推察されているようです (J Natl Cancer Inst 2015;107:djv008).

(投稿者 川崎)

2020-11-12

スマート療法 SMART therapy

  • SMART=Symbicort Maintenance And Reliever Therapy(シムビコート®を用いた喘息治療法)
  • 同薬剤は長期管理薬(maintenance)であるが,発作治療薬(reliever)の働きも兼ね備える
  • シムビコート®=ICS(吸入ステロイド薬)+LABA(長時間作用性β2刺激薬フォルモテロール)
  • フォルモテロールは長時間作用性であるが発現時間がSABA(短時間作用性β2刺激薬)に匹敵
  • 維持療法として一日2吸入+発作治療として一日最大6吸入(一日当たり合計8吸入まで可能

スマート療法は従来のICS/LABA+発作時SABAよりも増悪率を1年間で30%減少

😅 おまけ
  • SMARTのSはSymbicort®ではなくてSingleと定義している論文も散見されます(むしろ多い? Google Scholarでは164件 vs 197件)
  • SMARTのTはTherapyなのでSMART therapyは変な用法ですがレビュー論文でも気にせず利用されています(Thorax 2010;65:747-52
  • 呼吸器領域のSABAやLABA,ICSなどの略語の確認 ➜ コチラ/当院で採用されている吸入薬の確認 ➜ コチラ(最新ではありませんが…)

(投稿者 川崎)

🎯 今週の一枚

労作時の息切れで受診した症例・左半側臥位で心尖部を記録





(投稿者 川崎)

2020-11-11

I-ROAD(アイロード)

👤 院内肺炎の重症度分類
  • Immunodeficiency 悪性腫瘍または免疫不全状態
  • Respiration SpO2 90%以下(PaO2 60 Torr 以下)
  • Orientation 意識障害あり
  • Age 男性70歳以上,女性75歳以上
  • Dehydration 乏尿または脱水

👥 市中肺炎の分類であるA-DROPとの違いは最初のIだけだよ(A-DROPでは代わりに血圧低下のP:収縮期血圧<90mmHg)


🉐 関連投稿(肺炎の重症度分類編)

(投稿者 川崎)

2020-11-10

甲状腺不応症 Syndrome of Resistance to Thyroid Hormone(RTH)

  • 病態 甲状腺ホルモンに対する標的臓器の作用が減弱している病態
  • 別名 Refetoff(レフェトフ)症候群やTSH不適切分泌症候群(SITSH)
  • 初報 米国の医師Refetoffら(J Clin Endocrinol Metab 1967;27:279-94
  • 原因 常染色体優性の遺伝子疾患/約85%にTRβ変異(TRα変異もあり)
  • 頻度 発症頻度は約40,000人に1人と推定(計算上は日本に3,000人?)
  • 検査 FT4およびFT3の上昇にもかかわらずTSHが上昇または正常範囲
  • 鑑別 Basedow病の初期や破壊性甲状腺炎,薬剤性,下垂体腫瘍など
  • 診断 最終確定には遺伝子検査によるTRβ変異などの同定が必要となる
  • 治療 多くは代償されるため治療不要/頻脈や動悸などにはβ遮断薬


💁「甲状腺」の過去の投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2020-11-09

自己診療 & 自家診療

😈 先日の外来合間の会話
  • スタッフ 「先生は自分に薬を出せるの?」
  • 医師   「自分には出せないんだ」
  • スタッフ 「じゃあ,インフルエンザのワクチンはいいの?」
  • 医師   「自分に注射? う〜ん,どうだろう?」

自己診療
  • 自己診療について医師が、自身に対して診察し治療を行うことを「自己診療」といい、健康保険法等に基づく現行の医療保険制度は、被保険者、患者(他人)に対して診療を行う場合についての規定であるとされていることから、自己診療を保険診療として行うことについては、現行制度下では認められていない。保険診療として請求する場合は、同一の保険医療機関であっても、他の保険医に診察を依頼し、治療を受ける必要がある。

自家診療
  • 自家診療について医師が、医師の家族や従業員に対し診察し治療を行うことを「自家診療」という。 自家診療を保険診療として行う場合については、加入する保険医療制度の保険者により取扱いが異なるようである。認められる場合についても、診療録を作成し、必ず診察を行い、その内容を診療録に記載し、一部負担金を適切に徴収するのは当然である。無診察投薬、診療録記載の省略、一部負担金を徴収しない等の問題が起こりやすいため、診察をする側、受ける側ともに注意が必要である。

 
🙅 おまけ:保険請求できない診療行為
  • 押し掛け往診
  • 健康診断
  • 無診察投薬
  • 自己診療

(投稿者 川崎)

2020-11-08

NHCAP エヌエイチキャップ

👀 サマリー
  • Nursing and HealthCare Associated Pneumoniaの略(=医療・介護関連肺炎)
  • NHCAPの特徴は薬剤耐性菌が多く,予後が不良で救急外来からの入院が多い
  • 2005年に米国学会が共同提案(Am J Respir Crit Care Med 2005;171:388-416

 定義  以下のいずれかに該当する場合(日本呼吸器学会ガイドライン
  1. 長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床を含)
  2. 90日以内に病院を退院した
  3. 介護(PS 3以上)を必要とする高齢者、身障者
  4. 通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬等による治療)を受けている

日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2014;24:33-6
CAP: community-acquired pneumonia(市中肺炎)
HAP: hospital acquired pneumonia(院内肺炎)

👽 NHCAPの発症機序
  1. 誤嚥性肺炎
  2. インフルエンザ後の二次性細菌性肺炎
  3. 透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)
  4. 免疫抑制薬や抗癌剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎


(投稿者 川崎)

2020-11-07

ランチージ徴候 vs クスマウル徴候

労作時の胸部症状がニトロで改善する症例

👌 解説
  • 陽性波なので頸動脈のコリガン脈(大動脈弁逆流)or 頸静脈のランチージ徴候(三尖弁逆流)
  • 通常は,頸静脈には呼吸性変動が存在し頸動脈には存在しない ➜ 本例には呼吸性変動はない
  • 拍動は圧迫で容易に消失 ➜ 内頸静脈と判断(触診や聴診を併用した視診もその鑑別に有用)
  • 最終的に高度の三尖弁逆流によるランチージ徴候を伴った慢性左心不全の増悪と診断された

😸 独り言
  • ランチージ徴候陽性の高度の三尖弁逆流では持続性の心房細動になっていることが多いと思う.そして三尖弁に対する外科的介入の至適時期をすでに逃していることが少なくない.本例では陽性波が規則正しいため洞調律の疑い ➜ 実際に心電図で正常洞調律を確認
  • ランチージ徴候を認める症例では吸気負荷でも頸静脈拍動に変化を認めることは少ないと思う.本例でも変化なしと判定(クスマウル徴候陰性と表記すべし?).これは中心静脈圧はすでに十分上昇しているため前負荷の増加をもはや反映しないためであろうか?
  • 本例の症状はニトロ製剤で改善した.硝酸薬が狭心症の症状緩和に有効であることは有名(表在冠動脈の拡張).ただ心不全の症状緩和にも有用:低用量で静脈系容量血管を拡張(前負荷軽減効果)+高用量で動脈系抵抗血管も拡張(後負荷軽減).本例の冠動脈はまだ評価していないが,臨床現場では虚血と心不全の両者が並存することも少なくない ➜ 自験例

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(投稿者 川崎)

2020-11-06

小規模多機能型居宅介護

🐸 外来での一コマ
  • 患者さん「最近はデイサービスによくいっています」
  • 担当医師「それはいいですね」
  • 患者さん「時々,そこに泊まっているんですよ」
  • 担当医師「泊まる? デイサービスで?」

🏠 小規模多機能型居宅介護
  • デイサービスやデイケアの”デイ”は”通所”を意味するから宿泊は出来ない(
  • 2006年には介護保険の制度改革に伴い小規模多機能型居宅介護事業が創設された
  • 特徴は家庭的環境で「通い、泊り、訪問」のサービスを一体的かつ継続的に提供
  • 対象は概ね徒歩30分圏内(小・中学校区)で全国で5000ヵ所以上に事業所がある
  • 高齢単身や夫婦のみ世帯の利用が多く要介護度は低い(近隣利用は少なく約4割)

(投稿者 川崎)

グラム染色クイズ

胆管炎が疑われる症例の血培のグラム染色(強拡大=1000倍)


(投稿者 川崎)

2020-11-05

🎯 今週の一枚

発熱のため当院を受診した症例



(投稿者 川崎)

2020-11-04

👴 歴史クイズ

(Original)


(投稿者 川崎)

僧帽弁逸と体位

👂 臨床現場
  • 先日,僧帽弁逸脱症例の収縮期クリックを色々な体位で確認したのでまとめておきます


 😈 機序
  1. 前負荷が増加 ➜ 左室容積が増加 ➜ 逸脱が遅れる
  2. 前負荷が減少 ➜ 左室容積が減少 ➜ 逸脱が早まる

🉐 関連投稿(体位編)

(投稿者 川崎)

2020-11-03

器質化肺炎 OP: organizing pneumonia

  • 初報 アメリカの医師 Epler 他(N Engl J Med 1985;312:152-8
  • 旧名 Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)
  • 病理 末梢結合組織と肺胞隔壁へのリンパ球・形質細胞の浸潤
  • 分類 発症原因が不明な特発性器質化肺炎と続発性器質化肺炎
  • 原因 感染症・薬剤性・膠原病・悪性疾患・放射線照射後など
  • 感染 細菌(肺炎球菌が多い),ウイルス,寄生虫,真菌など
  • 疫学 平均年齢は50歳程度で,男女差はなく,非喫煙者に多い
  • 症状 咳嗽・発熱・倦怠感などの呼吸器症状で,経過は亜急性
  • 部位 通常は末梢側に好発し中枢側に発症することは稀である
  • 画像 浸潤影が主体の多発病変で,出現と自然消退を繰り返す
  • 治療 ステロイド0.5~1.5mg/kg/日で開始し4~6週間で漸減


肺炎球菌性肺炎後に続発性器質化肺炎を生じた28歳の症例の臨床経過

(投稿者 川崎)

2020-11-02

👴 歴史クイズ

(Original)


(投稿者 川崎)

2020-11-01

ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式 Henderson–Hasselbalch equation

  • 水素イオン濃度と酸性度を関連づける等式で,pHを予測できる便利な近似式
  • 米国の生理学者 Henderson (1878–1942) が提唱(Am J Physiol 1908;21:173–9

😅 もう少しわかりやすくすると...
  • 上記の式はヒトではpK=6.1よりpH=6.1+logHCO3-/0.03×pCO2と記載できる
  • つまり血中pHはpCO2(肺の呼吸器系)とHCO3-(腎の代謝系)で規定される

👻 血ガスの解釈 ➜ ゲーム 🎮 血ガス-30 

(投稿者 川崎)