心源性ショック
Tl(上)、BMIPP(下)の dual SPECT
Tl(上)、BMIPP(下)の dual SPECT
(済生会滋賀県病院循環器内科提供)
💚 解説
- 心肺停止で搬入された60才代男性の第21病日に施行された上段Tl、下段BMIPPの心筋イメージングである。
- 搬入時の心電図ではaVRとaVLでSTが上昇していた。 蘇生された後も心室頻拍・心室細動を繰り返し、緊急冠動脈造影では狭窄はなかった。
- CKは459、トロポニンT定性は陰性であった。
- カテコラミン投与、PCPSでの長期管理を余儀なくされた。
- PCPS離脱後の第21病日にTl/BMIPP dual SPECTが施行された。
- Tlは前壁と側壁が中等度に集積低下し、BMIPPでは同部位が高度集積低下―欠損となっている。
- 左室は拡大し、右室が明瞭に描出されている。
- 冠動脈支配領域に一致するミスマッチの集積低下であるため、再度冠動脈造影が施行され、アセチルコリン負荷により、左前下行枝と回旋枝の同時spasmが確認された。
- 高度に心収縮力は低下したままであるが、spasm予防を含めた治療が続いている。
👤 裏話
- 心源性ショックの原因としての多枝冠攣縮の診断にTl/BMIPPイメージングが大きく寄与したと言える。
- 心臓核医学カンファレンス中に皆が身を乗り出してこの画像に見入った。
- 搬入時冠動脈造影正常であったが、冠攣縮誘発試験をしようとの意見でまとまった。
- 冠攣縮での突然死があり得ることを実感できる症例である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)