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2023-10-25

PERC rule パーク・ルール

  • Pulmonary Embolism Rule-out Criteriaの略で肺塞栓症を除外する基準のひとつ
  • オリジナルは米国の救急医Klineらの報告(J Thromb Haemost 2004;2:1247-55
  • 目的は救急室で肺塞栓症除外の不要な検査を回避(CTだけでなくDダイマー含)
  • 以下の8項目をすべて満たせば肺塞栓症は除外:感度は96% (90–99%),特異度27%

💣 PERC基準
  1. age <50 years(50歳未満)
  2. pulse <100 bpm(脈拍100回未満)
  3. SaO2 >94%(酸素飽和度94%より高値) 
  4. no unilateral leg swelling(片側の下肢腫脹なし)
  5. no hemoptysis(血痰なし)
  6. no recent trauma or surgery(直前4週以内の手術あるいは外傷なし)
  7. no prior PE or deep venous thrombosis(肺血栓塞栓症や深部静脈血栓の既往なし)
  8. no exogenous estrogen use(エストロゲンなどホルモン剤の未使用)

💁 肺塞栓のWells スコアコチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-13

循環器学会専門医試験問題より

😅 独り言
  • 先日の出題「心拍出量のFick法」のページに記載されていた問題です.全く分からなかったので,適当に答えたら(もちろん)間違っていました.
  • 薬理作用を考えたら「なるほど…」の選択肢です.反省を込めてここにアップします.当院採用の肺高血圧の治療薬はココ(2022年時点ですが…)


【問題】特発性肺動脈性肺高血圧症の臨床診断で Macitentan と Sildenafil で初期併用療法を行ったとこ ろ,急激な肺うっ血をきたした.最も可能性が高い診断はどれか.







判定


😐 解説:正解 a
  • 肺静脈閉塞性疾患(PVOD)はまれで,診断も治療も難しい難病である.有病率は人口100万人あたり2名以下で,2年以内で死亡する例も多い.肺毛細血管腫症(PCH)とはその異同が議論されている.特発性,遺伝性,薬剤性のほか膠原病と関連しても発生する.
  • PVOD/PCHでは,肺胞中隔から小葉間中隔の微小な肺静脈で狭窄や閉塞が起こる.この抵抗に逆らって血液を流すために右室は高圧を出すが,やがて耐え切れずに右心不全となり,死に至る.確実な診断には肺生検が必要だが,リスクが高いので現実に行われることはあまりない.肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診断基準に合致するが,肺拡散能が低下していたり,運動時に極端に低酸素になったり,肺のHRCTで小葉中心性のすりガラス陰影が見られたり,縦隔リンパ節の腫大や小葉中隔壁肥厚が見られたりする場合に,臨床的に診断することが多い.
  • 主病態は肺細静脈の閉塞であり,しかもその閉塞は線維性であるので,平滑筋細胞に働きかけるPAH特異的治療薬は,普通に使えば無効か有害である.肺細動脈を拡張させれば血流は増えるが肺細静脈が閉塞しているのでその手前の肺胞で水腫が起こりうる.しかし,わが国では脳死肺移植は希望者登録をしてから3年以上の待期期間があるのが一般で,移植を待つ間に死亡する例も多い.そこで,肺血管抵抗を少しでも下げて右室の負荷を軽減しようと,PAH特異的治療薬をあえてPVOD/PCHの患者に試みることもある.これには相当な技術と経験が必要で,しかも決して移植に代わる治療とはならない.


(投稿者 川崎)

2017-02-03

肺血栓塞栓症の発症時期

大腸癌術後の退院直前に酸素飽和度の低下が判明した症例
胸痛や失神の自覚はない.臥床が多く息切れの有無は不明
心エコー図で右心系の拡大があり,CTで肺血栓塞栓症と診断

問題 急性肺血栓塞栓症? 慢性肺血栓塞栓症? どっち?



答え 急性肺血栓塞栓症 (急性発症を示唆する症状ははっきりしないが・・・)
右室心尖部(動画の上部左側)に限局した過剰運動は急性期の病態であることを示唆する
マッコーネル徴候と呼ばれている (McConnell MV,et al. Am J Cardiol 1996;78:469-73) 

(投稿者 川崎)

2020-07-12

骨髄増殖性疾患 vs シーテフ(CTEPH)

臨床現場
  • 骨髄増殖性疾患とCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症:chronic thromboembolic pulmonary hypertension)が合併する症例が続いたので調べてみました

肺高血圧は2009年のダナポイント分類とその改訂版である2013年のニース分類,および本邦のガイドラインで共に5つの群に分類されている
  • 第1群:肺動脈性肺高血圧症
  • 第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症,
  • 第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
  • 第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
  • 第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症

前述のガイドラインでは骨髄増殖性疾患は第5群の血液疾患に含まれているが,肺高血圧のメカニズムは不明(多因子)と記載されCTEPHには言及していない.ヨーロッパのガイドラインでは2009年版で骨髄増殖性疾患がCTEPHのリスクになることが示唆されたが,2015年の改訂版では削除されている.しかし最近,骨髄増殖性疾患とCTEPHの関連を示す報告が散見される.

その一例Int J Mol Sci 2020;21:3339
  • CTEPH 40例中4例(10%)が遺伝子変異を有し,その内3例はJAK2遺伝子の異常
  • 同遺伝子異常は骨髄増殖性疾患のリスクで,その頻度はCTEPH例で有意に高率

★ 関連投稿(CTEPH編)

(投稿者 川崎)

2023-09-03

日本内科学会 第241回近畿地方会より

😐 個人的に気になった報告

演題7 落下胃石腸閉塞で発症し残存胃石に対してコーラ溶解療法が奏効した1例
  • 胃石腸閉塞では従来は早期の開腹手術による胃石の回収が治療の第1選択とされていたが、Ladasらの報告以降、コーラによる溶解療法の有用性が多数報告されている。

演題30 心房細動に対するカテーテルアブレーション後の肺静脈狭窄に対し経皮的ステント留置術を行った1例
  • カテーテルアブレーション後の肺静脈狭窄による肺うっ血が原因となり,血痰を認めたと考えられたため、左下肺静脈に対し経皮的肺静脈ステント留置術を実施した.高周波カテーテルアブレーション後の肺静脈狭窄の頻度は1%程度とされ,3~5ヵ月程度経過した後に徐々に発症することが多い.

演題43 Dual Energy CTを用いて電撃型脂肪塞栓症を疑い、V-A ECMOによる早期の集学的治療で良好な転帰を辿った超高齢者の1例
  • 左大腿骨転子部骨折に伴う電撃型脂肪塞栓症を強く疑いV-A ECMOを導入した。造影CTで肺動脈に造影欠損を認めなかったが,脂肪塞栓症の肺病変で胸部造影CTに異常を認めることは非常に稀である。本例ではDual Energy CTで浸潤影に一致して血流低下を認めた。

演題81 術後にHungry bone syndromeとともに腎機能悪化を認めた原発性副甲状腺機能亢進症の一例
  • 原発性副甲状腺機能亢進症と診断し副甲状腺摘出術を施行したが、術後より血清Ca低下に対した。活性型ビタミンD3製剤やカルシウム製剤の投与を行うとともに、十分な補液を継続したところ血圧と腎機能は徐々に改善。副甲状腺摘除術後はHungry bone syndromeとともに、血中PTH濃度の変化に伴う腎機能の変化にも注意する必要がある。

演題125 肝機能障害を伴わない門脈体循環短絡症の1例
  • 門脈体循環短絡症は門脈血流が体循環系に流れ込み、肝代謝が行われず高アンモニア血症となり多彩な神経症状を呈する疾患であり、猪瀬型肝性脳症ともよばれる。肝機能障害を背景とせずに発症する場合もあり、意識障害の鑑別の際には念頭に置く必要がある。

演題164 セフトリアキソンナトリウムによる薬剤性腎障害が疑われた症例
  • CTRX 2g/日の投与を開始したが腎機能低下が急速に進行した。尿細管マーカーの上昇および尿中好酸球を検出したため、CTRXによる薬剤性腎障害を疑った。同剤は中止し、メチルプレドニゾロン250mg/日×3日間、および後療法としてプレドニゾロン30mg/日の内服治療を行った。腎機能は著明に改善した。CTRXによるリンパ球刺激試験(DLST)を行ったが陽性所見は認めなかった。


👻 当院からの発表
  • 演題42 たこつぼ心筋症が急性冠症候群によって誘発されたと考えられる1例(循環器内科 西川 晶生先生)

😇 循環器内科の張本先生が座長でした

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2018-01-20

松下金曜会 「咳」

咳のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 喀血を伴う咳 ⇒ 肺癌,結核,肺塞栓症,肺炎
  2. 喘鳴および息切れを伴う咳 ⇒ 喘息,慢性閉塞性肺疾患の増悪,うっ血性心不全
  3. 胸痛を伴う咳 ⇒ 肺塞栓症,急性冠症候群(狭心症)
  4. 過剰な慢性痰産生を伴う咳 ⇒ 気管支拡張症,肺膿瘍,肺癌
  5. 呼吸困難および下腿浮腫を伴う咳 ⇒ うっ血性心不全,肺梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2026-01-03

心拍出量のFick法

【日本循環器学会専門医試験問題】より
 心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(投稿者 川崎)

2022-11-02

論文 🏆 if you miss the goiter…😱

  • 当院の初期研修医 熊田先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の息切れで受診 ➜ 心エコー図で肺高血圧(推定収縮期圧50 mmHg)
  • 頻脈はないが甲状腺の軽度びまん性腫脹あり ➜ 最終的にバセドウ病と診断
  • 心肺疾患や血栓症なし ➜ 肺高血圧症のダナポイント分類第1群または第5群
  • 本例は甲状腺治療のみで肺動脈収縮期圧は経時的に低下して最終的に正常化


😀 臨床現場
  • 肺高血圧のガイドラインには第5群として①血液疾患(慢性溶血性貧血,骨髄増殖性疾患,脾摘出),②全身性疾患(サルコイドーシス,肺組織球増殖症,リンパ脈管筋腫症),③代謝性疾患(糖原病,ゴーシェ病,甲状腺疾患),④その他(腫瘍塞栓,線維性縦隔炎,慢性腎不全,区域性肺高血圧)の4つが記載されています.
  • 本例では「甲状腺疾患をたまたま合併した第1群肺高血圧」(共に若い女性に多い)と「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」が考えられました.甲状腺の治療と並行して,肺高血圧の特異的薬物治療(プロスタサイクリン経路・エンドセリン受容体拮抗薬・一酸化窒素経路)の導入の要否を判断する必要があります.
  • 本例では(患者さんと協議の上)甲状腺治療のみを開始しました.肺高血圧が特異的薬物治療なく消失したため,「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」と考えられました.肺高血圧と甲状腺疾患が合併した場合,17症例中16例で甲状腺治療のみで肺高血圧が正常化したという(すごい😮)報告があります(Angiology 2006;57:600-6).

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2018-07-08

心電図クイズ(呼吸困難感)

黒線は来院時/茶色は以前の記録




(投稿者 川崎)

2023-06-22

今週の一枚 🎯

肺高血圧が疑われる症例の肺血流シンチグラフィ




(投稿者 川崎)

2022-07-19

肺塞栓症重症度指数:PESI 

  • Pulmonary Embolism Severity Indexの略で,発症30日後の予後を予測
  • スイスのAujeskyらが提唱(Am J Respir Crit Care Med 2005;172:1041-6
  • 年齢,男性,担癌,心不全,慢性肺疾患,バイタル,精神変化で判定
  • 同様の予測が可能な易版PESIあり(J Thromb Haemost 2011;9:2115-7
  • 簡易版PESIでは1点以上の場合は30日死亡率が高いことが示されている

 簡易版PESI

💁 肺塞栓に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2017-04-30

松下金曜会 「発熱」

発熱のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 高熱(>41℃) ⇒ 中枢神経系感染症,神経弛緩薬悪性症候群,熱中症
  2. 発疹 ⇒ 髄膜炎,敗血症性ショックの菌血症,リケッチア症
  3. 精神状態や感覚の変化 ⇒ 髄膜炎,脳炎,神経弛緩薬悪性症候群,熱中症,敗血症性ショックの細菌感染
  4. めまいやふらつき感 ⇒ 敗血症性ショックの細菌感染,迷路炎を伴うウイルス感染,副腎機能不全,肺塞栓
  5. 直近の化学療法 ⇒ 発熱性好中球減少症
  6. 息切れおよび胸痛 ⇒ 肺塞栓,肺炎,蓄膿症
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2022-03-22

60/60 Sign


三尖弁逆流CWの圧格差は43mmHgかつ肺動脈血流PWの加速時間は46ms

💁 肺塞栓に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2017-01-20

松下金曜会 「胸痛」

胸痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 持続性または休息中におこる定型狭心症 ⇒ 心筋梗塞,不安定狭心症
  2. 労作性胸痛の新規発症または進行 ⇒ 不安定狭心症
  3. 左上肢,右肩まで放散する胸痛 ⇒ 心筋梗塞,不安定狭心症
  4. 突発の胸痛および急性の呼吸困難 ⇒ 肺塞栓,自然気胸,心筋梗塞
  5. 喀血を伴う胸痛 ⇒ 肺塞栓,肺炎
  6. 発熱を伴う胸痛 ⇒ 肺炎,急性の消化器系の病態
  7. 突発の胸痛・重篤な移動性の胸痛および背部痛・マルファン体形 ⇒ 大動脈解離
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-01-25

身体所見 収縮性心内膜炎 vs 心タンポナーデ

収縮性心膜炎
  • 心音心膜ノック音=拡張早期の過剰心音(高調音を広範囲に聴取)
  • 頸静脈 ➜ W型あるいはM型=深いy谷(心内圧dip and plateauのdipに相当)
  • 呼吸変化 ➜ Kussmaul徴候=吸気時に頸動脈の怒張(通常は吸気時に減弱する)

心タンポナーデ
  • 心音 ➜ 特記所見なし(減弱あるいは心膜炎初期なら心膜摩擦音はありえるが・・・)
  • 頸静脈 ➜ y谷の消失(心周期を通じて持続的な圧迫を受けるため)=V sign
  • 呼吸変化 ➜ 奇脈=吸気時の収縮期血圧が10mmHg以上低下(通常は3-9mmHgの低下)

Kussmaul徴候は心不全や肺塞栓でも出現することあり
※奇脈は肺塞栓,出血性ショック,COPD,緊張性気胸でも出現する
※心膜液かつ>12mmHg以上の奇脈なら心タンポナーデの陽性尤度比5.9
収縮性心膜炎で奇脈は稀,同様に心タンポナーデKussmaul徴候は稀

🔮 収縮性心膜炎は心エコー図でも気づきにくいから身体所見で疑うことが重要 🔮

参考:白石裕一先生の心タンポナーデ.心エコー 2018;19:70-76

(投稿者 川崎)

2023-09-05

脂肪塞栓症候群 Fatembolism syndrome: FES

  • 病態 骨髄や脂肪組織の脂肪滴が体循環に流入して生じた微小循環障害
  • 誘因 長管骨や骨盤の骨折を伴う外傷,整形外科術後,熱傷,膵炎など
  • 機序 脂肪球による直接的な末梢組織損傷および全身性炎症反応の惹起
  • 症状 三徴は呼吸不全,点状出血,中枢神経症状(特異的な症状はない)
  • 画像 胸部X線で吹雪様陰影(下図右B),造影CTで肺塞栓症の所見なし
  • 治療 原疾患の治療+対症療法(輸液や酸素投与,人工呼吸器,ECMO)
  • 頻度 重篤な交通外傷の90%,複雑骨折では10~20%(受傷24~48時間後)
  • 予後 死亡率10%/受傷後短時間で呼吸・意識障害の電撃型は33.3~50%


左大腿骨頸部骨折後に脂肪塞栓症候群を発症した78歳女性
(身体所見は入院4日後/胸部画像のA・C・Dは入院時,Bは4日後)

💣 塞栓に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-06-04

心不全の増悪因子:FAILURE

  • Forgot medication:薬の服用忘れ
  • Arrhythmia/Anemia:不整脈や貧血
  • Infections/Ischemia/Infarction:感染,虚血,梗塞
  • Lifestyle:塩分過剰摂取やストレス
  • Upregulation of cardiac output:甲状腺疾患や妊娠
  • Rheumatic valve or other valvular diseases/Renal failure:弁疾患あるいは腎不全
  • Embolism:肺塞栓など

🚜 ガイドラインに記載されている心不全の増悪因子(82ページの表50)
  1. 急性冠症候群
  2. 頻脈性不整脈(心房細動,心房粗動,心室頻拍など)
  3. 徐脈性不整脈(完全房室ブロック,洞不全症候群など)
  4. 感染症(肺炎,感染症心内膜炎,敗血症など)
  5. アドヒアランス不良(塩分制限,水分制限,服薬遵守などがで きない)
  6. 急性肺血栓塞栓症
  7. 慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
  8. 薬剤(NSAIDs,陰性変力作用のある薬剤,癌化学療法など)
  9. 過度のストレス
  10. 過労
  11. 血圧の過剰な上昇
  12. ホルモン,代謝異常(甲状腺機能亢進・低下,副腎機能低下, 周産期心筋症など)
  13. 機械的合併症(心破裂,急性僧帽弁閉鎖不全症,胸部外傷, 急性大動脈解離など)

🙆 循環器疾患の語呂合わせ(英語ですが…)➜ List of cardiology mnemonics

💁「語呂合わせ」に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-10-13

CTED シーテッド

CTED=chronic thromboembolic (pulmonary) disease=肺高血圧に到らない慢性の肺血栓塞栓症

  • CTEPH=chronic thromboembolic pulmonary hypertension=慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  • PEA=pulmonary endarterectomy=肺動脈内膜摘除術
  • PTE=pulmonary thromboendarterectomy=肺動脈血栓内膜摘除術(PEAの旧名)
  • BPA=balloon pulmonary angioplasty=バルーン肺動脈形成術

※現時点では肺高血圧の定義は平均肺動脈圧≧25mmHgですが将来20mmHgに引き下げられるようです

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2025-10-24

フィジカル忘備録

  • 先日,循環器 Physical Examination 研究会が主催するフィジカル合宿に参加してきました。身体所見のマイスターたちが興味深い症例を持ち寄って議論するというとても充実した2日間でした(夜の宴会も😉)。ディスカッションの中で耳にした巨匠達の貴重な言葉をここに記録しておきます。聞き違いがあればすいません。

  • 高心拍出状態での収縮期雑音はスクラッチ様(scratch murmur)
  • 甲状腺雑音はバセドウ病で出現するが破壊性甲状腺では通常なし
  • 破壊性甲状腺は症状で亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎へ大別可
  • 甲状腺中毒では雑音の有無で方針(破壊性へのメルカゾール回避)
  • 破壊性甲状腺炎ではサイログロブリンが病態と並行して増減する
  • 傍胸骨で右室拍動は心機図でRF有、左房拍動は収縮後期にピーク
  • シャイエ症候群(ムコ多糖症Ⅰ型の軽症)では沈着による弁膜症
  • 重症の僧帽弁逆流(MR)は頚動脈の立ち上がりが早く持続が短い
  • 重症MRでは駆出が早く済むから右脚ブロックがなくてもⅡ音分裂
  • 純粋なMRでは重症でもランブルは稀(狭窄が多少でもあると出る)
  • 4LSBで汎収縮期雑音でもTRとは言えない(MR雑音の伝播がある)
  • 急性肺血栓塞栓の肺高血圧は40-50mmHgまで(それ以上なら虚脱)
  • 一方、慢性やacute on chronicは70-80 mmHg以上可(例:CTEPH
  • 急性肺塞栓症で頚静脈陰性なのは発症時に体液量が多くないため?
  • 心室からの駆出流波形と開始が合致する心音は駆出音と考えられる

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2017-12-05

右心負荷を来す稀な病態

心エコー図で右心の圧負荷を認めた症例(収縮期に心室中隔が扁平化)
肺血栓塞栓症を疑い99mTc-MAAを用いて肺血流シンチグラフィを撮像した





(投稿者 川崎)