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2026-10-02

プレアルブミンの深堀:ATTR関連

  • 先日,カンファレンスでATTR心アミロイドーシスに関し,プレアルブミン(=TTR)について混乱がありました。AIと一緒に整理してみたので忘備録として下記にアップしておきます.
  • なおTTRは血中では主にホモ4量体として存在し、T4やビタミンAの輸送を担います。4量体が単量体に解離し、単量体がミスフォールドして、オリゴマーを経てアミロイド線維として沈着します。

👺 プレアルブミン値 vs 診断
  • ATTRwtの診断時TTR中央値は23 mg/dLで、正常下限付近(基準18–45 mg/dL)にとどまった(Circ Heart Fail 2018)。別の米国研究(45例)では、ATTRwt患者のTTRは対照と差がなかった(Circ Heart Fail 2018)。
  • 診断は、骨シンチとM蛋白の除外による非生検診断アルゴリズムが基本であり、血中TTRはその項目に含まれない(Circulation 2016)。

👹 プレアルブミン値 vs 予後
  • 生検で確定したATTRwtでは、診断時の血中TTRが低いほど生存期間が短く、独立した予後予測因子であった。経時的なTTR低下は心機能の悪化と対応していた。TTR <18 mg/dLの群では生存期間中央値2.8年、≥18 mg/dLの群では4.1年であった(HR 2.3)(Circ Heart Fail 2018)。
  • タファミジスを導入したATTRwt 169例では、ベースラインTTRが低いほど死亡リスクが高く(<18 mg/dLで高リスク)、導入30日後のTTR上昇幅が小さいほど(<7.5 mg/dL)心不全入院が多かった。両者がともに低値(ベースライン<18 mg/dLかつ上昇幅<7.5 mg/dL)の群でイベント率が最も高かった(Eur J Heart Fail 2026)。

👿プレアルブミン値 vs 薬力学的指標(基本:安定化薬で↑、サイレンサーで↓)
  • タファミジス:実臨床のATTR-CM 72例では、血中TTRが21.8から29.3 mg/dLへ34.5%上昇した(JACC CardioOncol 2021)。ATTR-ACTの事後解析では、80 mgで1か月時点に平均36.3%上昇し、30か月まで持続した。早期上昇が5 mg/dL大きいごとに全死亡のオッズは45.0%低下したが、TTR上昇の機序と臨床的意義はなお不明確とされている(Cardiol Ther 2026)。
  • アコラミジス:ATTRibute-CMでは第28日までに平均9.1 mg/dL上昇し、30か月まで維持された。早期上昇が5 mg/dL大きいごとに死亡オッズは31.6%低く、この関連はバリアントの有無、NYHA分類、NACステージ、ベースラインTTRで補正後も独立していた(J Am Coll Cardiol 2025)。
  • サイレンサー(ブトリシランなど):肝でのTTR産生を抑制するため、血中TTRは大きく低下する。HELIOS-Aでは3週以内に低下し、18か月後の定常状態で平均81.0%(トラフ)低下した。血清ビタミンAもTTRと並行して低下した(Amyloid 2023)。

(投稿者 川崎)

2026-06-29

頭の整理:アミロイド

  • TTR ➜ トランスサイレチン(transthyretin)で、Transport of Thyroxine and Retinol-binding proteinに基づく。旧名はプレアルブミン
  • ATTR ➜ Amyloid TTRで、主に肝臓で合成される正常タンパク質であるトランスサイレチンが変性・凝集してできたアミロイド沈着物
  • ATTRアミロイドーシス ➜ トランスサイレチン (TTR)を前駆タンパク質(precursor protein)とする全身性アミロイドーシス
  • プレアルブミン ➜ 名前の由来は電気泳動でアルブミンより陽極側(前)に泳動されためで、アルブミンとは構造的・機能的な関連性はない

(投稿者 川崎)

2026-06-15

LIE CT-ECV

  • Late Iodine Enhancement CT — Extracellular Volumeの略語
  • CTで心筋の細胞外容積分画(ECV)を定量的に評価する手法
  • 造影前後のCT値(HU)の変化量を測定しヘマトクリット補正
  • 延長する病態 ➜ 心筋線維化,心筋浮腫,アミロイド沈着など
  • 短縮する病態 ➜ 心筋への脂質や鉄成分の沈着または出血など
  • 正常目安:25〜28%(心アミロイドーシスで著増は特に有用)


項目 CT-ECV(LIE CT-ECV) MRI-ECV(LGE-MRI / T1 mapping)
造影剤 ヨード ガドリニウム
空間分解能 高い やや低い
軟部組織コントラスト やや劣る 優れる
検査時間 短い(数分) 長い(30分〜)
放射線被曝 あり なし
ペースメーカー・ICD 原則使用可 制限あり(条件付き対応機種を除く)
冠動脈同時評価 可能(冠動脈CTと同時施行) 困難

- 重度の大動脈弁狭窄症の80歳男性例 -

(投稿者 川崎)

2026-06-01

フェノコピー Phenocopy

  • pheno(表現型)+ copy(複製)の合成語で、芳名は表現型模倣など
  • 遺伝子型は異なるが、環境要因により同じ表現型が現れる現象のこと
  • 類語にジェノコピー(Genocopy): 異なる遺伝子変異で同じ表現型
  • Phenocopy=環境の遺伝子模倣、Genocopy=遺伝子同士の相互模倣

👬 臨床現場での実例
  • 肥大型心筋症は遺伝子の異常に関連する心肥大と考えられるが、高血圧性心疾患や大動脈弁狭窄症、スポーツ心臓、心臓アミロイドーシス、ファブリー病などもよく似た左室形態を呈する(phenocopy 現象)。よって肥大型心筋と診断する時には、これらのフェノコピー疾患を除外する必要がある。

(投稿者 川崎)

2026-03-06

Bayés Syndrome ベイズ症候群

  • 心房間ブロック(P波持続時間>120ms)を特徴とする一連の病態
  • 由来はスペインの循環器内科医 Bayes de Luna の1979年の報告(#)
  • 第1度〜第3度に分類され、心房性不整脈(特に心房細動)と関連
  • 原因は炎症性、心アミロイドーシス、リンパ腫、電解質異常など
  • 治療は抗線維化薬、抗不整脈薬、抗凝固薬,心房再同期療法など


- 動悸を訴えるBayés症候群の76歳女性 -
図1 . II、III、VF誘導でP±が出現し、持続時間が120ミリ秒を超える進行性心房間ブロックの典型的な例。P波が増幅されると、3誘導におけるP波の始まりと終わりがより鮮明に見える。

図2 .心房活性化の図。(A) 正常な状況、(B) 部分的心房間ブロック、(C) 高度心房間ブロック(本文参照)。VFのP波はVF誘導のP波を示し、FPのPループは前額面のPループを示す。



(投稿者 川崎)

2025-09-17

The “5-5-5” sign 「5-5-5」徴候

  • 心臓アミロイドーシスの心エコー図で認められるドプラ所見
  • 全ての組織ドップラー(e', a', s')速度が5cm/秒未満の状態
  • ただし病気の初期の段階では診断感度が低い可能性はある
  • 従来のパルスドプラによる拡張障害のGrade II or IIIも有用


 
(投稿者 川崎)

2025-05-13

第11回日本心筋症研究会より

😀 個人的に気になった報告

SY4-3 肥大型心筋症のエレクトリカルストームに対する最終戦略:体外放射線治療
  • 単極カテーテルアブレーション(RFCA)後の再発性心室頻拍(VT)に対し、2015年に初めて心臓定位放射線治療(Cardiac-SBRT)の臨床報告が発表 され、新たな治療アプローチとして注目されている。2017~2024年の225人を対象としたレビューではSBRT後のVT再発が90%、ICDショックが91%減少した。一方で完全寛解はまれであり、6か月間の生存例のうちVT再発が30%認められた。有害事象は軽症なものが大多数を占めており、心機能低下例は報告されていない。

YIA-2 がん治療関連心機能障害(CTRCD)発症予測における新規心エコー指標 Myocardial Work Index(MWI)の意義
  • MWIは左室心筋仕事量を解析する新しい心エコー指標でCTRCDの発症予測の一助となる可能性がある。(追記:3つの心尖ビューにおける標準的な全体的縦方向歪みGLS分析+収縮期カフ血圧+大動脈弁および僧帽弁の開閉のタイミングからソフトウェアで計算)

P1-6 プレセニリン2欠損心筋細胞の超微形態学的解析
  • プレセニリン2(PS2)は、小胞体(ER)のミトコンドリア関連膜に存在する蛋白分解酵素の触媒蛋白である。PSEN2遺伝子変異は家族性アルツハイマー病の原因となるが拡張型心筋症の発症にも関与する。

P2-4 重症大動脈弁狭窄症を合併した閉塞性肥大型心筋症に対する治療戦略
  • 大動脈弁狭窄症と閉塞性肥大型心筋症は一定数で併発することが知られている。両疾患が合併した症例に対し大動脈弁狭窄症に対して経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI:Transcatheter Aortic Valve Implantation)を施行した後に、左室流出路閉塞の増悪による収縮期僧帽弁前方運動から僧帽弁逆流が増悪し、血行動態が破綻する症例があり、"Suicide left ventricle”として知られている。

P3-7 解釈の誤りにより診断が遅れ治療機会を逸した女性心ファブリー病の一例
  • 心筋生検では核の腫大・不正化、空胞変性を高度に認め、電顕でzebra body を確認し Fabry 病を疑った。αガラクトシダーゼ活性は正常で、遺伝子解析(GLA エクソン・IVS4 含むイントロン)も異常なく、心 Fabry 病は否定的と判断。10年後に本人の了承を得てLyso-Gb3を測定したところ 13.9ng/mL(cut off<2)と高値で Fabry 病の可能性が極めて高いと判明した。

P4-3 ピロリン酸シンチ陽性ATTR心アミロイドーシス probable診断連続20症例の腹壁脂肪吸引生検アミロイド陽性率
  • 従来15%とされているよりもはるかに高い80%ものアミロイド陽性率を認めた(全てTTR免疫染色でも陽性)。


💁 参加記
  • 今回は山形県の天童市での開催でした(同研究会への参加は初めてです).空港から天童市へのアクセスが良くありませんでしたが(なんと公共交通機関なし),とても落ち着いたきれいな街でした.
  • (個人的に好きな)将棋の街で,至る所で将棋の駒のオブジェを目にしました.会場の天童ホテルの横に水車生そば(鳥中華の発祥の店)や広重美術館(東海道五十三次を展示中)もあり楽しめます.
  • 全体的に少しこじんまりした会でしたが,心筋症に特化しているだけあって,尖がった濃い演題が多かったように感じました.僕も「肥大型心筋症の身体所見:その頻度と臨床的意義」を発表しました.

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-04-18

👂 最近の耳学問

  • ASの重症度評価でLVOTのVTI(velocity—time integral [時にVTI]; 左室流出路速度時間積分値)を大動脈弁のVTIで割った指標 VTI ratio が0.25以下であれば高度AS,0.25~0.50なら中等度ASと考える.
  • Lamble疣贅は大動脈弁の閉鎖ラインに発生するひも状構造物で,弁の摩耗と損傷から生じ,最終的に線維化する.
  • 心電図と心エコー図で左室肥大の有無に乖離があればκ/λ比を確認 → 正常ならATTR心アミロイドーシスを考えHMDPシンチグラフィなど,κ/λ比が異常ならALアミロイドーシスを疑い口唇唾液腺生検などを行う.
  • 免疫グロブリン分子はH鎖(heavy chain)とL鎖(light chain)から構成され,L鎖にはκとλの2つのタイプが存在する.κ/λ比の正常目安は0.25~1.70程度で,多発性骨髄腫や形質細胞腫ではκ/λ比が大きく変動(例:100以上)
  • PA治療薬はPG製剤のセレキシパグ(ウプトラビ錠)を除いてNO製剤(ニトログリセリン,硝酸イソソルビド,ニコランジル)とは併用禁忌
  • sCG刺激薬の邦名は可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬で,ベルイシグアト(ベリキューボ錠:効能は慢性心不全)とリオシグアト(アデムパス錠:効能は慢性血栓塞栓性肺高血圧症と肺動脈性肺高血圧症)
  • PA治療のsCG刺激薬(リオシグアト)は,PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬(タダラフィルやシルデナフィル)と併用することはできない.
  • 抗アミロイド抗体レカネマブ(レケンビ点滴)の治療中に生じたアミロイド関連画像異常(ARIA: Amyloid-related imaging abnormalities,アリア)に対する静注血栓溶解(rt-PA)療法は適応外(禁忌)とはしないものの通常より慎重に適応を判断すべき.
  • 4D Flow MRIは3D cine phase contrast MRIで,撮像範囲内の血流ベクトルを時相分解して全て収集することで,任意の血管の血流を自由に解析することが可能な撮像法(非侵襲的に血行動態が視覚的に評価可能)

💁 耳学問に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-03-23

クイズ:巨大脾腫

問題 巨大脾腫を生じることが稀な病態はどれか。

 
 
 
 

判定

📐 脾腫(Splenomegaly)
  • 原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis; PMF)は骨髄増殖性腫瘍に分類され,髄外造血のために脾腫が出現する.血算で血液疾患を疑えば,身体所見で脾腫の有無は確認しておきたい.その他の血液疾患では,非ホジキンリンパ腫や有毛細胞白血病なども巨大脾腫を呈してくる.
  • 特発性門脈圧亢進症も巨大脾腫を呈する.脾腫を生じる他の疾患には,肝硬変やゴーシェ病,うっ血,感染症(結核やマラリア,伝染性単核球症など),先天性溶血性貧血,先天性代謝異常症,アミロイドーシス,ヘモシデローシス,バンチ症候群,フェルティ症候群などがある.
💫 脾腫に関連する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-28

🏆 論文

  • 初期研修医の西機先生が循環器内科で経験した症例がPubMedに収載
  • 左室中部閉塞の形態を呈したATTR心臓アミロイドーシスの一例です
  • 洞調律なのにⅣ音を欠き,OKサイン(Perfect O sign)も不可でした
  • 心アミでParadoxic Jet Flow(奇異性血流)を描出した世界初の報告

🎉 Paradoxic Jet Flow: PJF(奇異性血流)
  • 拡張早期に心尖部から心基部に向かう血流シグナルで,心尖部ポーチの存在の間接的な証拠です.当科は本所見にとても興味を持つ医師が複数名在籍して,今までにPJFに関連する世界初と思われる症例を報告してきました.
  • 例えばPJF雑音(Tex Heart Inst J 2018;45:102-5),運動誘発PJF(J Cardiol Cases 2021;23:170-2),右心系PJF(J Med Cases 2020;11:57-60)などです.とてもニッチな所見ですが,これからもこだわっていこうと思います.

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2024-12-31

H/CL:ATTR心アミロイドーシスの診断

  • ATTR心アミロイドーシスの診断はシンチグラフィ(99mTc-PYPまたは99mTc-HMDP)で視覚的にGrade 2もしくはGrade 3の集積とすることが多い.
  • 正面プラナー画像で心臓に相当する部位へ関心領域(region of interes: ROI)を置き , 対側の下肺野領域で同サイズのROIで判断することも可能
  • その場合はheart-to-contralateral(H/CL)比が、1時間後像で>1.5、3時間後像なら>1.3で陽性と判断.なおH/CL比>1.6は独立した予後不良因子
  • 現場では投与1時間後像で評価していることが多いと思われる(当院も1時間後).1時間後像は検出感度が向上し、3時間後像は検出特異度が向上



👉 アミロイドーシスに関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-12-08

第138回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
B-15 遷延する高度徐脈・低血圧をきたし,蜂蜜中毒と診断した一例
  • 蜂蜜中毒はトルコを中心に世界各地で報告されており, 有毒成分Grayanotoxinが原因である. コリン作動性の症状を呈するのに加え, 低血圧やショック, 徐脈, 完全房室ブロックなどが起こり得る. 本症例ではアトロピンの静脈注射を行い, 数分後速やかに循環動態が改善した.

D-3 Micra植込み後ダンシングに対し、経皮的抜去を行った一例
  • 右大腿静脈からMicaデリバリー用シースを挿入し、ダブルスネアテクニックにてMicra本体を2本のスネアで固定しながらデリバリーシース内に格納後、デリバリーシースごと抜去した。

発表ではありませんが…
  • 今回は10時過ぎからコーヒーブレイクセミナーが4会場,15時過ぎからアフタヌーンセミナーが6会場で実施されていました(近畿地方会では初の試み?).いずれも飲み物と和菓子あるいは洋菓子が二つほど入った紙袋がもらえました.もちろんお昼にはランチョンセミナーが7会場でありました.すべて完食したので大満足(でも食べ過ぎ😅)


👻 当院からの発表
  • B-25 拡張期奇異性血流を呈したATTR心アミロイドーシスの1例(循環器内科 西機恵実ほか)
  • B-38 負荷頚静脈評価法:心不全症例のリスク判定(循環器内科 川崎達也ほか)
  • D-25 収縮性駆出性雑音を呈した動脈管開存症の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • D-27 発作性心房細動を契機にPH crisisを生じた心房中隔欠損症の一成人例(循環器内科 川俣博史ほか)
  • I-9 心室頻拍の起源が診断契機になった心臓限局性サルコイドーシスの1例(循環器内科 積木勇人ほか)

すべて論文化(4編英語:掲載済1,採択1,投稿中2,作成中1)

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(投稿者 川崎)

2024-11-20

ATTR心アミと骨シンチ


- ATTR心アミロイドーシスのシンチグラフィ -
99mTc-PYP
(pyrophosphate)
99mTc-HMDP
(hydroxymethylene diphosphonate)
臨床現場での名称
  • ピロリン酸(DI)
  • 骨シンチ or クリアボーン(DI)
心臓の効能又は効果
  • 心シンチグラムによる心疾患の診断
  • 心アミロイドーシスの診断に対する使用を審査上認める(令和4年2月:※)
剤型
  • 粉末キット(生食で溶解し約30分後に投与)
  • 注射液製剤(調整不要)
吸収線量
  • 0.120 mGy/37 MBq(全身)
  • 0.119 mGy/37 MBq(全身)
費用:薬価基準+検査診察報酬点数
  • 24,554円(740 MBq注射液)+1,800点
  • 22,422円(555 MBq注射液)+1,800点
販売元



おまけ 💫 会社沿革
  • PDRファーマですが何度か社名が変更されています(引用).1968年に第一製薬グループと米国マリンクロット社の合弁会社として設立.2006年に第一製薬より富士フイルムへ全株式譲渡し2007年に富士フイルムRIファーマへ.その後に富山化学工業と統合し富士フイルム富山化学を経て2022年からPDRファーマです.
  • 日本メジフィジックスは1973年に米国メジフィジックスと住友化学工業(現住友化学),住友商事の合弁会社としてスタート(引用).その後にメジフィジックス社が資本撤退して日本ロシュが資本参加(後に撤退).1994年に英国のアマシャム社が資本参加し1996年に住友商事が撤退.2004年にGEがアマシャムを買収し現在の2社の出資(住友化学とGEヘルスケア)に至るようです.

(投稿者 川崎)

2024-10-13

ATTR心アミロイドーシス(ATTR-CM)の治療薬

  • ATTR心アミロイドーシスを診断する機会がグッと増えてきました.本邦で使用できる薬剤はビンダケル®(DI)とビンマック®(DI)です.
  • いずれもTTRの四量体に結合して安定化させます. ビンマック®はビンダケル®の改良版で1日1回1カプセルなのでアドヒアランス向上に期待

ビンダケルとビンマックの違い(参考:コチラ,他)
ビンダケル®カプセル 20mg ビンマック®カプセル 61mg
一般名
  • タファジスメグルミン
  • タファミジス
効能又は効果
  • ATTR家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制
  • ATTR心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
  • ATTR心アミロイドーシス(野生型及び変異型) 
収載および薬価
  • 2013年末梢神経障害
  • 2019年ATTR-CM
  • 1カプセル9,716.5円(2023年6月時点)
  • 2021年11月25日
  • 1カプセル36,021.6円(2023年6月時点)
用法及び用量
  • ニューロパチー:通常,成人には1回20mgを1日1回
  • ATTR心アミロイドーシス:通常,成人には1回80mgを1日1回(つまり1日4錠)
  • 通常,成人には1回61mgを1日1回(つまり1日1錠)


(投稿者 川崎)

2024-10-05

アフェレシス:リクセル®

  • 先日,整形外科の先生とアミロイドーシスの治療薬の話をしているときに,透析症例ではリクセル®でアフェレシスを行うことがあることを教えていただきました.ちなみにその適応に骨嚢胞像というものがあります(下記の赤文字).関節症などで損傷した軟骨部から関節液などが侵入し骨溶解が生じるようです.手根骨や大腿骨に多く,周囲にアミロイドの沈着を認めるそうです.

💧 アフェレシス(aphaeresis)
  • 定義 体外循環を用い血中から特定の液性因子や細胞を除去して病態の改善を図る治療法
  • 物質 液性因子は有害代謝物質,中毒物質など,細胞はリンパ球,顆粒球,ウイルスなど
  • 歴史 1914年に初めて plasmaphaeresis という用語が登場(日本の歴史は1977年~下図)
  • 類似 血液浄化療法とほぼ同義←厳密には遠心分離装置やCARTは含まずに腹膜透析は含む



💦 リクセル®(Lixelle®)
  • 概略 透析アミロイドーシスの原因であるβ2ミクログロブリンを除去能する吸着カラム
  • 適応 病理でアミロイド沈着 & 透析歴≧10年+手根管開放術 & 画像診断で骨嚢胞像
  • 頻度 血液透析と併用し初回使用日を起算として1年間を上限(病態に応じて延長可能)
  • 実際 通常はダイアライザ上流に直列にリクセルを設置し吸着・除去する(下図参照)


アフェレーシス

(投稿者 川崎)

2024-09-19

今週の一枚 🎯

検診でNT-proBNP上昇を指摘された症例


(投稿者 川崎)

2024-09-09

復習 📚 心アミロイドーシスのMRI

  • ATTR心アミロイドーシスは想定よりも多いと感じている循環器内科医も少なくないと思います.当院でも毎月,新たな症例が診断されているでしょうか.
  • その診断にはシンチグラフィが重要ですが,心臓MRIもなくてはならないモダリティーです.もちろんポパイ徴候やⅣ音欠損などの身体所見も大切に😊
  • 今回,心臓アミロイドーシスのMRI所見を再確認してみました(参考:2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン ).記載は個人的に重視する順番

T1 mapping
  • 心筋ダメージの定量的評価で単純のNative T1と造影のECVがある
  • 心アミロイドーシスではNative T1とECVはともに極端な異常高値

遅延造影
  • アミロイド沈着と微小循環障害による内膜下優位の虚血性変化(線維化)
  • 左室内膜下優位のびまん性遅延造影LGE(右室壁や左房壁,心房中隔も)
  • 血液プールの低信号化(dark bloodpool:アミロイドーシス特有の動態)

T2 mapping
  • 組織内の水含有を反映し浮腫や炎症を生じると延長する
  • 健常者と比べて有意に上昇(特にALアミロイドーシス)

Cine
  • 心アミロイドーシスは心基部優位の心肥大を示すことが多い
  • (従来は対称性全周性の肥大が典型的であるとされてきた)
  • 近年の報告では非対称性心肥大(とくにASH)も少なくない

心筋ストレイン
  • 2D心エコー図と同様に心筋ストレイン解析も実施が可能
  • 撮影法としてはタギング法や feature tracking法を使用
  • 心アミロイドーシスではcircumferentialのピーク値が低下


💁 アミロイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-08-26

ついにデータが...

  • 心臓アミロイドーシスでは左室肥大を呈するにも関わらずⅣ音(S4)があまり認められません.おそらく心房筋にもアミロイドが沈着して心房の機能が低下しているためと考えられます.ただしいずれもエキスパートオピニオン 😐
  • 今回,高知大学の山崎先生らのグループがこの問題に対する自験例での解析結果を報告されました(ESC Heart Fail 2024 Aug 1. Online ahead of print).とても素晴らしい臨床研究なので本コンテンツにもアップしておきます😁

  • 対象 心音図を施行したATTRwt-CM患者76名(平均80歳)を後向きに評価
  • 方法 S4あり洞調律(SR),S4なしのSR,非SRの3群の臨床背景と予後を検討
  • 結果 SR患者でS4あり例はS4なし例よりBNPが低値で左房の収縮機能が保持
  • 予後 S4なしSR例は他2群と比較し短期予後不良(一般化ウィルコクソン検定)
  • 結論 S4の欠如(SR患者の53%)はATTRwt-CM患者の短期予後不良の前兆



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心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2024-06-14

血清ACE活性の上昇

😗 ACEの復習
  • ACE(angiotensin-converting enzyme)はCl-およびZn2+依存性のカルボキシペプチダーゼで,アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換の触媒に関与する.炎症促進作用のある強力な血管拡張物質ブラジキニンやその他のタキキキニン(サブスタンスP他)なども不活性化する.
  • ACE活性の亢進は主に肉芽腫性疾患など単球系細胞株の刺激を伴う病態で報告されている.肺病変の有無にかかわらずサルコイドーシスはこれらの疾患の中で最も頻度が高い.しかし他の肉芽腫性疾患(感染性あるいは非感染性いずれも含む)や非肉芽腫性疾患でも増加する可能性がある.

💥 ACE濃度が上昇する病態(サルコイドーシス以外)
  • 新生児や未熟児(その原因は出産後の肺毛細血管の発達が原因と思われる)
  • 多くの非感染性の播種性肉芽腫性疾患(マクロファージや単球などが産生)
  • 肉芽腫性疾患を生じる多岐にわたる感染症(非感染性肉芽腫性疾患と同様) 
  • 石綿肺(アスベストーシス)(内皮細胞およびマクロファージの両方が原因)
  • サルコイド様病変の類上皮細胞肉芽腫(サルコイドーシスと同等ではない)
  • ゴーシェ病(常染色体劣性遺伝性疾患で最も一般的なライソゾーム蓄積病)

😕 その他
  • アジソン病,α1-アンチトリプシン欠乏症,アミロイドーシス,ブラウ症候群,ディジョージ症候群,糖尿病,胆汁うっ滞,慢性疲労症候群,扁平苔癬,多発性硬化症,乾癬でも上昇した症例の報告あり


(投稿者 川崎)

2024-05-26

第137回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
1-9 ペースメーカ留置時に偶発的に採取した心筋片より診断に至った心アミロイドーシスの一例
  • 経静脈PM植込み時にポケットから採取した脂肪とリード先端より偶発的に採取できた心筋を提出し,病理検査で心筋組織にアミロイド沈着を認めた。伝導障害例や高齢者では生検の実施が困難な場合があり,我々は経静脈PMの植込み時に低侵襲でアミロイド沈着を証明できた症例を経験したので報告する。

3-21 右腋窩-右外腸骨動脈バイパスにより心不全の改善を認めたCoral reef aortaの1例
  • 主に腎動脈上の腹部大動脈に起こる限局性,珊瑚状の石灰化及び狭窄病変が特徴的であるCoral reef aortaは,難治性高血圧,臓器・下肢虚血を呈する。後負荷増大による心不全をきたしExtra-anatomical bypassが奏功した症例を報告する。

3-28 右総腸骨動脈の慢性完全閉塞病変に対して0.035 CROSSLEADを用いて秒でwire crossできた一例
  • CTO病変にCROSSLEADを“秒”で通過させることに成功。0.035 CROSSLEADは従来の0.035ワイヤーと異なりトルクレスポンスも良く操作性にも優れているため,このようなCTO病変 治療における1stワイヤーとなり得ると思われた。

6-19 Ehlers-Danlos 症候群に合併した特発性尺骨動脈瘤破裂の1例
  • エコーでは,右尺骨動脈瘤を認めた。しかし,造影剤アレルギーの既往があり,TEAは困難と判断し,経過観察となっていた。翌週に,急激に右前腕の腫脹,尺骨側の神経障害を認めた。エコーで,同部位の破裂を認め,緊急手術となった。術中所見は,血管壁は破綻しており,尺骨動脈の中枢側および末梢側を同定して結紮。

6-35 心膜外脂肪壊死の一例
  • 数日前からの上下肢浮腫と深吸気時胸痛を主訴に前医を受診,両側胸水貯留を指摘され当院へ紹介。入院加療とするも,約1週間で症状は自然軽快し心嚢水と胸水も減少したため,第9病日より外来フォローとした。その後も症状は再燃せず,2か月後のCTでは楕円形腫瘤と心膜肥厚は消失。心膜外脂肪壊死は急性の胸痛を呈するが,保存的治療で自然軽快する良性疾患である。腹膜垂炎等と同様の機序による脂肪壊死が病因とされている。胸痛をきたす疾患の一つとして考慮すべきと思われた。


👻 当院からの発表
  • 3-7 頸静脈所見が診断に有用であった心房頻拍の1例(循環器内科 林 寛人ほか:優秀賞,写真中央)
  • 4-6 身体所見が診断に有用であった急性大動脈弁逆流の1例(循環器内科 髙林彩香ほか)
  • 6-1 急性心筋梗塞を契機に診断された心アミロイドーシスの1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • 6-2 身体所見から形態学的診断に迫ることができた右室流出路狭窄を有する両室肥大型心筋症の1例(循環器内科 川崎達也ほか)

すべて英語論文化(1つは掲載済,2つは投稿中,もう1つは投稿準備中)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)