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2026-07-14

論文 🏆

  • 2026 FIFAワールドカップもそろそろ4チームに絞られてきました(今朝は6時からで、イングランドがノルウェーに勝利)。予想通りフランスが圧倒的な強さで順当に駒を進めています(本投稿作成時)。
  • 循環器内科のメンバーでサッカーの話をしているときに、2018年ロシア大会の時に、当院で経験した心筋梗塞の症例が話題になりました。本ブログにアップされていないようなので投稿しておきます。
  • 日本 vs ベルギー戦(ベスト16)で、午前3時にキックオフでした。日本が(奇跡的?)に2点リードしたのですが、同点に追いつかれました。まさにそのタイミングで胸痛が出現した中年男性です。
  • 確か午前5時前に呼び出しの電話があって、病院に向かいました。心電図変化も典型的なST上昇ではなかったため、「MIじゃなくて、蛸だな~」と思っていました。でも冠動脈が閉塞していました。


裏話
  • ちょうど先日、この患者さんが外来を受診されました。ワールドカップの最中でもあるため、「8年前、懐かしいですね~」と談笑しました。もっとも今回の北米大会も、早朝の試合が多いので、油断はできませんが…😅
  • 本例を論文にしてくれた初期研修の先生が、2019年4月の医学生・研修医の日本内科学会ことはじめで発表してくれました。その時にSNSでともてバズっていました。(本例は後にアップ済だったことが判明しました)

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-07-10

YUMIKOユミコ- LITAリタ catheter


😐 追加コメント
  • 冠動脈バイパス(CABG)術前に内胸動脈を造影する機会は減りましたが、今でもYUMIKO-LITA catheterを時々見かけます。先日のアンギオカンファでこのユミコ・カテが話題になったので、懐かしくなって本ブログにまとめてみました。
  • 当院でも初期からYUMIKO-LITAカテーテルを使用し、2003年には右内胸動脈(RITA)にも応用できることを報告しています(下図)。この症例報告を三宅先生が論文で引用されていたのを見た記憶があるのですが、探しきれませんでした。

(投稿者 川崎)

2026-07-04

第141回日本循環器学会近畿地方会より

😗 個人的に気になった報告
 
1-15 海外留学生の未修復心室中隔欠損に伴う肺動脈性肺高血圧の一例
  • 症例はネパール出身の20歳代女性。未修復心室中隔欠損に伴う肺動脈性肺高血圧と診断した。患者はネパールの高地出身であり,慢性的な低酸素環境が肺血流増大による左心容量負荷の進行を抑制した可能性が考えられた。(投稿者追記:その解釈は興味深いが…)。

5-26 Arrhythmic mitral valve prolapseが疑われた1例
  • 症例は67歳男性。8年前の健診で心雑音を指摘され,他院で僧帽弁逸脱症(MVP),僧帽弁閉鎖不全症と診断された。6年前に心停止を起こしECPRで蘇生,ICD植え込みとなっていた。(投稿者追記:不整脈性MVPとは、他の不整脈基質がない状態で、僧帽弁輪離開の有無にかかわらずMVPと複雑な心室性不整脈が共存する病態)

6-14 Sense B noiseによるS-ICD不適切作動の1例
  • 症例は77歳男性。6年前に冠攣縮性狭心症を背景とした心室細動の診断で,皮下植込み型除細動器(S-ICD)の植込みを行った。昼食後に仰向けになり休んでいたところ,ショック作動があったが、エピソード記録では,不規則なアーチファクト様のノイズがみられ,オーバーセンシングによって心室細動と認識しショックが送出されていた。(投稿者追記:センスBノイズは、S-ICDシステムの問題に起因する、非生理的な信号過剰感知による不適切なショックの原因)


😀 当院からの発表
  • 2-13 高齢で診断された先天性左冠動脈閉鎖症の一例(循環器内科 大野貴都ほか)
  • 3-14 バレーボールの指導者に発症したPaget–Schroetter症候群の一例(循環器内科 足立沙瑛子ほか)
  • 4-20 通り抜け現象(ウォームアップ狭心症) を呈した冠動脈疾患の2症例(循環器内科 林 寛人ほか)
  • 7-1  運動誘発性のparadoxical jet flowを検出した心尖部肥大型心筋症の一例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • 7-6 低調成分を主体とする大動脈駆出音を伴った左脚ブロックの1例(循環器内科 川﨑達也ほか)

4編は発表前に英語論文化(2編は出版済,2編は投稿中) 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-06-15

LIE CT-ECV

  • Late Iodine Enhancement CT — Extracellular Volumeの略語
  • CTで心筋の細胞外容積分画(ECV)を定量的に評価する手法
  • 造影前後のCT値(HU)の変化量を測定しヘマトクリット補正
  • 延長する病態 ➜ 心筋線維化,心筋浮腫,アミロイド沈着など
  • 短縮する病態 ➜ 心筋への脂質や鉄成分の沈着または出血など
  • 正常目安:25〜28%(心アミロイドーシスで著増は特に有用)


項目 CT-ECV(LIE CT-ECV) MRI-ECV(LGE-MRI / T1 mapping)
造影剤 ヨード ガドリニウム
空間分解能 高い やや低い
軟部組織コントラスト やや劣る 優れる
検査時間 短い(数分) 長い(30分〜)
放射線被曝 あり なし
ペースメーカー・ICD 原則使用可 制限あり(条件付き対応機種を除く)
冠動脈同時評価 可能(冠動脈CTと同時施行) 困難

- 重度の大動脈弁狭窄症の80歳男性例 -

(投稿者 川崎)

2026-05-28

今週の一枚 🎯

労作とは関係ない胸痛を訴えて来院した高齢者

💀 解説
  • 左写真:耳垂に皺あり(フランク徴候が陽性)
  • 右写真:「胸部症状はどこですか?」の質問後
  • 手掌で心臓のあたりを指すパームサイン陽性
  • 緊急カテで左回旋枝に高度狭窄を認めPCI施行

💫 臨床裏話
  • 本症例は他院で肥大型心筋症として長年フォローされていた方でした.来院時の心電図では著明な左室肥大を認めました(ST上昇はなし).心エコー図では不均一な左室肥大がありましたが,明らかな壁運動異常はないと判断.高感度トロポニンも陰性
  • 非発作時には心電図のST低下が少しだけ改善しました.しかし派手な左室肥大を呈する肥大型心筋症例では,後負荷や前負荷,心拍数の変化でST-T部分が変わることは稀ではありません.我々もこの時点では積極的に冠動脈疾患を疑っていませんでした.
  • 一旦,入院で経過観察しつつ,かかりつけ医からの情報提供を待つことにしました.しかし,その後も断続的に5-10分持続する胸部症状が出現しました.フランクサインとパームサイン(いずれも虚血性心疾患と関連)もありCAGに踏み切りました.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-04-17

論文 🏆

  • 当院の初期研修医の先生が循環器内科で経験された症例が出版されました
  • 心不全で入院し,その後の精査で大動脈弁逸脱による重症の逆流症と診断
  • 左主冠動脈が右冠動脈洞から起始し中隔内走行を示した先天性冠動脈奇形
  • 同所見は”ハンモックサイン”として知られているようです(下図2D 矢頭)
  • 意外にも予後は悪くないようなので、本例も弁置換術のみを実施しました


💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-12-21

第140回日本循環器学会近畿地方会より

😗 個人的に気になった報告
 
2-7 世界遺産姫路城天守閣で心肺停止になった身長190cm,体重100kgのドイツ人旅行者を後遺症なく救命し得た一例
  • 症例は68歳ドイツ人男性。姫路城天守閣登頂後に心肺停止となり,同伴者によりCPRが開始された。姫路城常駐看護師がAEDを携行して駆けつけ除細動2回で心拍再開。救急隊と他院ドクターカー医師が急峻で狭小な階段を駆け上がり,身長190cm,体重100kgの大柄な患者を迅速に搬出した。

5-18 繰り返す心室細動を伴った難治性冠攣縮発作に対して塩酸ファスジルが著効した1例
  • ニトログリセリン等の投与を行なったが,心室細動に対して頻回に除細動を要した。冠攣縮発作によるものと判断し塩酸ファスジルを投与したところ,ST上昇は改善を認め,心室細動も停止した。その後薬剤調整を行い,第10病日に塩酸ファスジルを終了したが,ST上昇および心室細動の再発なく経過した。※塩酸ファスジルの効能または効果:くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善/#Rhoキナーゼ阻害薬冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)にも記載あり(P14) ➜ 難治性冠攣縮性狭心症患者の発作寛解のためのファスジル投与(クラス IIa)

6-33 診療報酬改定を契機に在宅強心薬療法を導入し得た重症心不全の1例
  • 令和6年診療報酬改定で「在宅強心薬持続投与管理料」が新設された。本制度を活用し在宅強心薬持続投与を導入した症例を報告する。【症例】60代男性。虚血性心疾患により心不全ステージⅣ,EF10〜15%,CRT-D植込み,MVR施行歴あり。カテコラミン依存状態で一年半の間に入院8回167日在院。【経過】入退院を繰り返す中で「自宅で過ごしたい」と希望し,ハートケアチームで検討し在宅DOB導入を決定。【結果】導入後6か月で再入院は1回18日のみ。

8-12 胸骨圧迫で Sapien3 Ultra Resilia が変形した一例
  • 第8病日にTAVIを施行して人工弁S3UR 23mmを留置した。帰室後long pauseを来したため胸骨圧迫を行い心拍再開を得たが,その後も洞不全症候群が遷延するため一時的ペースメーカを留置した。その際の透視で人工弁の変形が疑われた。CTで確認するとS3URが扁平な楕円に変形しており,血栓弁の合併や弁周囲組織の損傷はなかった。


😀 当院からの発表
  • 2-16 術前評価の冠動脈CTで稀な冠動脈起始異常を発見した1例(循環器内科 中野 佑哉ほか)
  • 4-5 β遮断薬を含む点眼薬で誘発された薬剤性3度房室ブロックの1例(循環器内科 吉富 新一ほか)
  • 5-17 難治性の冠攣縮に対してステロイド治療が有効であった急性下壁梗塞の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • 6-27 心不全症例の末梢温と予後との関係(循環器内科 川﨑達也ほか)

3編は発表前に英語論文化(2編は出版済,1編は投稿中) 👏

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(投稿者 川崎)

2025-10-05

心電図:アスランガーのパターン(Aslanger's pattern)

  • 急性下壁梗塞の心電図で出現しうるパターン(下記3所見)
  • トルコの循環器医 Emre Aslanger らが2020年に報告(
  • その出現頻度は急性下壁梗塞の13.3%,non STEMIの6.3%
  • 右冠動脈に加えて他の冠動脈に重篤な狭窄の可能性がある
  • 通常の下壁梗塞より梗塞サイズが大きく死亡率が高くなる
  • ただし右冠動脈を伴わない症例の報告もあり(下図参照)

💁 心電図所見
  1. Ⅲ誘導で孤立性ST上昇(他の下壁誘導でST上昇なし)
  2. V4-V6誘導でST低下+陽性T波あるいはT波終末部陽性
  3. V1誘導のST部分の偏位がV2誘導のST変化よりも高い


- 左冠動脈のACSでAslangerパターンを示した62歳男性 -

(投稿者 川﨑)

2025-10-03

日本内科学会 第249回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題5 中年期に診断された下垂体茎離断症候群の1例
  • 造影MRIで下垂体茎の離断、前葉の低形成、異所性後葉を認め、周産期異常に関連した下垂体茎離断症候群(PSIS)と診断した。原因として、周産期異常、頭部外傷や手術による機械的な下垂体茎の断裂、下垂体の胎生期の発生異常などが関係する可能性が考えられている。発症率は約0.5/10万人で、出生に伴うPSISは0.5/100万出生と極めて稀である。※PSIS=Pituitary stalk interruption syndrome

演題10 虚血性心筋症と診断されていたが中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)と判明した1例
  • 経過中のLDLコレステロール値は50mg/dl前後で管理していたが短期間で冠動脈病変の著しい進行が認め、虚血性心筋症以外を疑いBMIPP心筋シンチ施行した所、Wash out rate 7.7%と低下認め、TGCVと診断した。TGCVは、2008年に提唱された新規疾患概念であり、細胞内の中性脂肪(TG)分解が障害され、難治性心不全、びまん性冠動脈疾患、心室性不整脈等を呈する循環器病の仮面をかぶった代謝病である。※TGCV=Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy

演題129 ジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼをきたした1例
  • 神経因性膀胱に対してジスチグミン臭化物5mg/日を10年前より内服していた。入院2日前より下痢を認め、入院当日より湿性咳嗽、排痰困難、多量の気道分泌物を認め、当院へ救急搬送された。ジスチグミン臭化物(ウブレチドなど)によるコリン作動性クリーゼは内服開始2週間以内に発症することが多いが、長期内服中に脱水や腎機能低下を契機に発症することもある。

演題131 HFNCによる100%酸素吸入法によって, シャント率の測定を行った肝肺症候群の1例
  • 経胸壁心エコーでは肺高血圧の所見はなく、バブルテストで 6,7心拍後に左房に大量のバブル流入を認め、肺内シャントが示唆された。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィ・肺動脈造影CT検査で他疾患の除外を行った。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィに加え、high-flow nasal cannula(HFNC)を用いた100%酸素吸入法によってシャント率を測定し、いずれも同等な値であった。HFNCを用いた100%酸素吸入法は、低侵襲な検査であり、利便性の点から有用であると考えられた。

演題155 SACIテストが局在診断に有効であったインスリノーマの1例
  • 造影CTで膵臓に早期濃染を伴う1cm台の腫瘤性病変を認め、EUSで膵頭体移行部に低エコー域を認め、EUS-FNAでクロモグラニンA、シナプトフィジン陽性細胞を認め神経内分泌腫瘍に矛盾しない所見であった。SACIテストでは脾動脈近位でグルコン酸カリウム注入前後でインスリン濃度が3.24倍に上昇したため膵中央部切除術を行う方針となった。※SACI=selective arterial calcium injection=選択的動脈内カルシウム注入法

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(投稿者 川崎)

2025-09-18

今週の一枚 🎯

朝の歩行時に胸痛が出現するが15分程度で改善しその後は何ともない症例

💣 重症の冠動脈疾患
  • 本症例の心電図と心エコー図は正常
  • しかし明瞭なⅣ音(第4音)を聴取
  • 病歴からも冠動脈疾患が示唆される
  • 翌日入院して冠動脈造影 CAG を実施
  • 右冠動脈には有意な狭窄なし(左図)
  • 左冠動脈は主幹部に高度の狭窄あり!
  • 4F(直径1.3 mm)のカテがウェッジ
  • 同日,転院し準緊急バイパス術を施行

😑 独り言
  • 本例では毎朝歩行時に症状が出るが,その後は何ともないという点が興味深い.これは通り抜け現象(walk-through phenomenon)あるいはウォームアップ狭心症(walk-through angina)<ICD-11用語> と呼ばれ,循環器用語集にも掲載されている.
  • 臨床では稀ながら経験し(過去の自験例),重症の冠動脈疾患であることが多い(個人的見解).正確な機序は不明であるが,「心筋虚血時にブラジキニンなどが産生され疼痛が出現→ブラジキニンの強力な血管平滑筋弛緩作用があり血管拡張」など?

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(投稿者 川崎)

2025-08-02

着用型心臓除細動器(WCD: wearable cardioverter-defibrillator)

  • 着用型ベスト内に接触型心電図電極と除細動パッドを有し有線で致死的不整脈に対して除細動を行う医療機器
  • 体表面から行うがICD(植え込み型除細動器)に劣らぬ診断感度,特異度でわが国でも2014年1月から保険適用
  • 使用例は急性虚血ならびに急性心不全のICD の一次予防の適応が確定するまでの期間,突然死予防を目的など
  • 非虚血性心筋症の報告は限定的:心筋炎後心筋症,たこつぼ心筋症,産褥後心筋症,拡張型心筋症の急性期など
  • 心移植待機例,ICD適応であるが感染でデバイス抜去後や他疾患の治療を優先すべき症例などにおいても要考慮
  • わが国ではWCDの使用は短期(3ヵ月間)が原則としているが,長期使用については,今後も検討が必要である



📍 WCDの使用を考慮する病態
  • 左室駆出率35%以下で、NYHAクラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する急性心筋梗塞発症後40日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、NYHA クラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する冠動脈バイパス後または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後 90 日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、非虚血性急性心不全発症後90日以内の症例
  • 心移植待機条件を満たす非可逆性重症心不全症例
  • ICDの適応があるが、他の身体的状況により直ちに手術を行えない症例
  • ICDによる心臓突然死二次予防を考慮するが、臨床経過観察や予防治療の効果判定が優先される症例
  • 感染等の理由で一時的にICDを抜去する症例


🔦 おまけ
  • WCDの保険償還には植込み型除細動器(ICD)施設基準を満たす必要あり
  • つまり年に電気生理学的検査≧50例,開心術など≧30例,PM移植術≧10例
  • 関連医療従事者(医師およびメディカルスタッフ)がメーカー研修を受講
 
(投稿者 川崎)

2025-07-13

第139回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
2-12 クレアチニンキナーゼ欠損症を合併したST上昇型急性心筋梗塞の一例
  • 右冠動脈(RCA)#2 閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した(total ischemic time 144分)。術後,高感度トロポニンI(hs-TnI)の上昇は認めたが,クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇は認めなかった(peak CK[IU/L]/CK-MB[IU/L]/hs-TnI[pg/mL])=169/5/16863)。

2-16 自己免疫性心筋症の関与が示唆された虚血性心筋症の一例
  • 心臓MRI検査では冠血流支配領域に一致しない壁運動低下を認めた。さらに血液検査や心筋病理において,自己免疫性心筋症を疑う所見が得られ,至適薬物療法にも関わらず心機能は進行性に低下を認めた。

7-31 irAEによる洞不全症候群に対して心房リードレスペースメーカ植え込みを行った1例
  • ペースメーカ感染を認め全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行,全システム抜去術に成功した。元々のペースメーカ設定はAAIR⇔DDDR,60ppmであったが,累積心室ペーシング率が1%未満であったため心房リードレスペースメーカ(Abbott社製Aveir AR)の植込みを選択,右心耳基部に留置しAAI60ppmの設定とし た。

8-27 シトステロール血症の病原性変異の網羅的文献検索と早発性冠動脈硬化症
  • シトステロール血症はABCG5/G8遺伝子の病原性変異により発症する疾患で血中シトステロール高値に加えLDL-C高値,アキレス腱肥厚を伴い,家族性高コレステロール血症との鑑別を要する。


👻 当院からの発表
  • 2-10 冠動脈ステントで誘発されたコーニス症候群の1例(循環器内科 角本拓也ほか)
  • 4-16 心電図変化が気胸部位の推定に有用であった1例(循環器内科 江上 晟ほか)
  • 8-24 シンプル頚静脈©:負荷頚静脈法の学習アプリ(循環器内科 川﨑達也ほか)

江上先生は優秀賞ゲット & すべて英語論文として発表前に出版 👏

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(投稿者 川崎)

2025-06-12

今週の一枚 🎯

気分不良で来院した症例


2025-05-17

🏆 論文

  • 当院の初期研修医の江上先生が循環器内科で経験した症例報告が出版🎉
  • 主訴は安静時の胸部違和感で身体所見や心電図(),胸部X線は正常
  • 心エコーも正常 ➜ 運動負荷Tl心筋シンチとホルター心電図を予約した
  • 検査当日,負荷前の問診で「数日前から強い息切れがある」ことが判明
  • 心電図()ではST-T変化はないが,負荷は中止して循環器外来を受診
  • 頚静脈所見に異常はなかったが左胸部で呼吸音と音声振盪の減弱を確認
  • 画像で左側気胸 ➜ 心電図を見直すと気胸部位の誘導でR波減高(矢印)
  • 左側にトロッカーを挿入して気胸は改善 ➜ 直後の心電図も改善(
  • 退院後に行った冠動脈CTは正常,ホルターで発作性心房細動が判明した

🙈 本論文の考察より
  • 気胸による心電図異常所見の発生率は,自然気胸を呈した57人の青年のうち21%で,心エコー検査で異常所見を示した患者は4%のみであった.
  • 気胸は電気軸の変化やST部分の変化,T波の異常,不整脈などの心電図変化を引き起こすが,これらの変化は気胸の重症度や部位によって異なる.
  • 自然気胸連続40人の心電図解析では,左気胸ではV2からV6誘導のQRS振幅が有意に減少し,右気胸ではV5およびV6誘導のQRS振幅が増大した.

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心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-05-16

🏆 論文

  • 当院初期研修医の角本先生が循環器内科で経験した症例が出版されました🎉
  • 狭心症に対するPCIでステント留置40分後に前胸部の皮疹と咽頭部の違和感
  • 本例の様々なものに対するアレルギー歴を考慮し速やかにアドレナリン筋注
  • アレルギー症状は改善したがその約50分後に留置したステント内が血栓閉塞
  • バルーンの拡張を繰り返して最終的には改善(その後の経過でHITは否定的)
  • 銀アレルギーの既往が判明 ➜ ステント金属に対する3型Kounis症候群の疑い

🙈 補足
  • Kounis症候群は,アレルギー反応に伴う急性冠動脈イベントを特徴とする稀な病態です.当初はヒスタミン誘発性冠動脈攣縮として報告されましたが,その後にプラーク破裂や血栓症を引き起こすことが分かりました.
  • コーニス症候群は現在では,プラークのびらんや破裂を伴わない冠攣縮タイプ(I型),プラークのびらんや破裂を伴う冠攣縮タイプ(II型),ステント血栓症を生じたタイプ(III型)の3つの型に分類されています.
  • 本例にはほこりや花粉,猫などさまざまなアレルギーがありましたが,金属アレルギーは共有されていませんでした.もっとも患者さん自身も我々の問診でようやく思い出した程度の軽いもの(銀アクセサリーで発赤)

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(投稿者 川崎)

2025-04-17

今週の一枚 🎯

大動脈瘤を指摘された男性



(投稿者 川崎)

2025-04-07

🏆 論文

  • 循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
  • 収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
  • 軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
  • 心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし

🎉 PDA雑音
  • PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(静脈雑音乳腺雑音甲状腺雑音など)があります。
  • 肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
  • Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。

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(投稿者 川崎)

2025-03-25

論文🏆ウェレンス症候群の亜型

  • 当院循環器内科の張本先生が経験された症例が出版されました
  • 30分の胸痛発作の9時間後に来院されました(来院時は無症状)
  • 心電図で軽度のST上昇とT波終末部陰転化(下図矢頭、要比較)
  • 高感度トロポニンTは0.165ng/mLで心エコーで壁運動異常なし
  • 緊急カテーテル検査で右冠動脈中間部に高度狭窄を認めPCI施行
  • 術後経過は順調でクレアチンキナーゼ上昇はありませんでした


😀 追加コメント
  • 前下行枝の近位部の高度狭窄で、心電図記録時には症状がないにもかかわらず、ST上昇とT波終末部の陰転化を示すウェレンス症候群(Wellens' syndrome)という病態はよく知られています。緊急の対応(PCIなど)を必要とします。
  • 本例はウェレンス症候群の右冠動脈版(亜型)と考えられるのではないかと思われます。類似の報告がないため論文にしてみました。心電図の変化は軽微ですが、元来下壁梗塞の心電図変化は、前壁梗塞ほど派手ではありませんし...

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(投稿者 川崎)

2025-03-21

医科診療報酬点数

👥 夜8時半にようやくシャントPTAが終わって...
  • 専門医A 「エコーでVAIVTができると楽だね」
  • 専門医B 「そうです.それで12万ですからね」
  • 専門医A 「高っ! ペースメーカって数万だよ」
  • 専門医C 「でも3ヵ月で2回までですけどね…」

📪 医科診療報酬点数(令和6年)
  • 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 ➜ 12000点
  • ペースメーカ ➜ 経静脈電極移植術9520点,リードレス移植術9520点,交換術4000点
  • 経皮的冠動脈ステント留置術 ➜ 急性心筋梗塞34380点,不安定狭心症24380点,その他21680点
  • 心臓カテーテル法による諸検査 ➜ 左心4000点,右心3600点
  • 冠動脈、大動脈バイパス移植術 ➜ 吻合80160点,吻合以上89250点
  • 経カテーテル弁置換術 ➜ 経皮的39060点,経心尖61530点
  • 弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術 ➜ 157840点
  • 経皮的カテーテル心筋焼灼術 ➜ 心房中隔・心外膜アプローチ40760点,その他34370点
  • 下大静脈フィルター ➜ 留置10160点,除去6490点
  • オープン型ステントグラフト内挿術 ➜ 弓部大動脈114510点,下行大動脈89250点


    😑 独り言
    • 手技料に関しては皆,いろいろな想いがあると思います.循環器内科医なら,「なんでペースメーカ植込みよりシャントPTA(VAIVT)の方が高いの?」って思うかもしれません.逆に心臓外科医は,「循内の経皮的な手技料,高すぎだろう!」って怒っているかも…
    • 手技の難しさ(学ぶのに要する時間)やリスク(術者のストレスを含む),効果(予後改善など)が,手技料に総合的に反映されていることが大切です.例えば下大静脈フィルター植込みの手技料は10160点と高めですが,比較的簡単かつ安全で臨床効果は微妙

    👉 診療報酬に関するの過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2025-01-29

    Complex, Higher-Risk, and Indicated PCI (CHIPチップ)

    • 血行再建の対象となる冠動脈病変を有するが治療のリスクが高い患者
    • Complex and high-risk intervention in indicated patientsの略でもある
    • Indicated=計器他に表示された,指示された,治療などの適応のある
    • 例えば冠動脈自体が複雑病変であったり合併心疾患や併存症を有する
    • PCI時の合併症の発生率はCHIP>CHIPの疑い>非CHIPの順に⤴(下図)

    - CHIPのサマリー図 -

    💁 PCIに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)