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2019-07-08

洞結節機能に対する薬剤負荷(EPS時)

EPS=electrophysiologic[al] study=電気生理学的検査(循環器学用語集より)

臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン(2011年改訂版)では,洞結節機能に対する電気生理検査の方法で,薬理学的自律神経遮断法は以下のように記載されている(※文言そのまま/2019年7月閲覧)

  • 硫酸アトロピン 0.04mg/kgおよびプロプラノロール 0.2mg/kgの静注により薬理学的に自律神経が遮断されて,自律神経の影響を除去した洞結節固有の機能が評価される21).自律神経遮断後の心拍数を,固有心拍数(intrinsic heart rate; IHR)とする.

  • 自律神経の影響を除外するために,硫酸アトロピン0.04mg/kg+プロプラノロール0.2mg/kgを静注し薬理学的自律神経遮断術を行って評価する399).

👵 体重が50kgなら...
  1. プロプラノロール(インデラル)1A=2mg(2mL)➜ よって計算上は5Aを投与
  2. 硫酸アトロピンは1A=0.5mg(1mL)➜ よって計算上は4Aを投与
少しびっくりする量だけど実際に使用する.半減期の関係からはじめにプロプラノロールを投与(10分ぐらいで静注),次に硫酸アトロピンを投与(1〜2分程度で静注).プロプラノロールは体重10kgあたり1Aと覚える.ただし高齢者には負担が大きいから避ける方が賢明なようですが・・・

おまけ Jose(ホセ)の式
  • 固有心拍数(intrinsic heart rate)の推定式(男 118-0.55×年齢;女 119-0.61×年齢)
  • オーストラリアの循環器内科医であるJoseらが提唱(Cardiovasc Res 1970;4:160-7)


🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-07

胎児心音

  • 妊娠後期の妊婦が非産婦人科疾患で休日にERを受診した
  • 疾患自体は重篤でなく特に追加検査や加療を要しなかった

現場での一コマ 🐣

看護師さんがドプラ心音計を産婦人科病棟から自発的に借りてきて胎児心音を確認.「130 bpmで問題ありません」と教えてくれた(とても感心&感動).その後に聴診器でも確認しようとしたが,胎児心音をうまく認識することはできなかった.


🐧 胎児心音(日産婦誌 2007;59:2072-23/日小循誌 2001;17:518-25)
  • 定義 胎児の心臓の拍動によって発生する音
  • 伝達 胎児胸壁➜羊水➜子宮壁➜母体腹壁
  • 方法 ドプラ心音計,トラウベ聴診器(単耳式)
  • 時期 ドプラは11週~,聴診器は5,6ヵ月~可
  • 正常 110~160 bpm(110 bpm未満は徐脈)

(投稿者 川崎)

エレニボーゲンの分類

  • 米国の放射線科医Ellenbogenが提唱した水腎症の重症度分類(Am J Roentgenol 1978;130:731e3)
  • 現在ではエコーで視覚的にGrade 0〜3に分類(水腎症:0=なし,1=軽度,2=中等度,3=高度)

🐤 判定の実際 (泌尿紀要 1991;37:1385-7)
  • Grade 0 ➜ 軽度の腎外腎孟の拡張があるが形態的にはほぼ正常
  • Grade 1 ➜ 中心部エコー像の解離するが腎実質は厚くほぼ正常
  • Grade 2 ➜ 拡張した腎孟が明瞭で範囲も広いが機能回復は可能
  • Grade 3 ➜ 腎実質は薄く小児を除いて機能回復は期待できない


🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-06

今週の総診カンファレンスより

  • 粟粒結核では喀痰から結核菌を検出しにくいが(以前の投稿),肝生検や骨髄生検で結核菌を検出できることが少なくない.
  • 特発性血小板減少性紫斑病は長年ITP (=Idiopathic thrombocytopenic purpura)と呼ばれてきたが,最近では(一次性)免疫性血小板減少症免[(primary) immune thrombocytopenia]と称される機会が増加している(血栓止血誌 2018;29:281-7)

💙 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-05

クイズ Who's Who?

(Public Domain, Wiki)



(投稿者 川崎)

2019-07-04

Collagenous colitis

  • 慢性の水様性下痢(血便はほとんどない)が特徴。
  • 通常,内視鏡的には異常所見を認めない。
  • 確定診断には大腸粘膜からの内視鏡的生検が必要→病理医への依頼文でも「Collagenous colitisではありませんか?」と書かないと見落とされることも...
  • 薬剤の中でも,ランソプラゾールが多いとされる。
  • 治療はPPIの中止。一般に,1週間~1ヵ月程度で治癒する。場合によってはステロイドの治療や,小腸瘻造設を行うこともある。

(投稿者 宮本)

梨状筋症候群 Piriformis syndrome

  • 梨状筋内を走行する坐骨神経が絞扼されて生じる病態
  • 症状は殿部の圧痛や坐骨神経領域のしびれ・疼痛など
  • 外傷やスポーツ活動に関連して発症することが多い
  • 治療は梨状筋ストレッチや梨状筋ブロック,稀に手術
  • MRIやレントゲンなどの画像検査では異常なしが多い

(Patrick J. Lynch & KDS4444, Wiki/Sciatic nerve=坐骨神経)

(投稿者 川崎)

2019-07-03

網膜電図 ERG

ERG=Electroretinography
  • 視細胞外節で受容された光エネルギーが電気エネルギーへと変換される過程の記録
  • 単一閃光刺激が最も一般的であるが図形による誘発(パターンERG)やc波解析もある
  • 網膜疾患(網膜中心動脈閉塞症や尿病性網膜症,網膜色素変性,小口病)などで実施


実際の測定 👀

従来は絶縁された絶対暗室で散瞳後に角膜を麻酔し電極(コンタクトレンズ型など)を角膜に直接接触させて記録していたようです.しかし最近では眼の下に電極を張り付け器械を当てるだけで測定が可能になったようです(コチラ).

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-02

BNP値 vs 肥満

臨床研究より(J Am Coll Cardiol 2006;47:85–90)
  • 対象 収縮不全(左室駆出率40%以下)を伴う急性心不全316例(平均53歳)
  • 方法 BMIでlean (<25), overweight (25〜29.9), obese (≧30) に三分類
  • 結果 肥満症例では心不全があってもBNPは低値になりやすい(下図を参照)



推測されるメカニズム 🐹


🉐 過去の投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-01

肥満低換気症候群 OHS

  • OHS=obesity hypoventilation syndrome/旧名はPickwick症候群
  • 睡眠時無呼吸に高度の肥満と肺胞低換気(PaCO2上昇)を伴う病態
  • 治療方針は減量+CPAPで必要に応じnasal BiPAPやAuto–CPAPを考慮


👽 肥満低換気症候群OHSは心不全を伴うことが稀ではない
  • 低酸素やアシドーシス ➜ 肺血管攣縮による肺血管性高血圧 ➜ 右心不全
  • CO2ナルコーシスによる急激な呼吸性アシドーシス ➜ 心筋収縮性の低下
  • 気道閉塞に伴う努力呼吸 ➜ 胸腔内圧の異常低下 ➜ 静脈還流の過度な増加
  • 無呼吸に伴う交感神経活性上昇 ➜ 体血圧と肺動脈圧の上昇 ➜ 後負荷増大
  • 炎症性サイトカインの上昇や凝固系の活性化 ➜ 心筋細胞の慢性的な障害

OHSによる心不全の臨床経過の1例(心臓 2010;42:1466-73)

👻 独り言

当院で経験した症例では上肢より下肢の収縮期血圧が100mmHgほど高値でした(=ヒル徴候 Hill’s sign 陽性).脂肪組織は血管床が豊富であるため肥満低換気症候群OHSに生じた心不全は高心拍出状態になるようです(Am J Med 1976;60:645-53).

(投稿者 川崎)