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2018-09-30

HFrecEF

HFrecEF (Heart failure with recovered ejection fraction) ➜ HFrEFがHFmrEFやHFpEFに改善した心不全
HFpEF improvedとも称されHFpEFより予後が良いと報告されている(Curr Heart Fail Rep 2015;12:360-6

復習
  1. HFrEF (Heart failure with reduced ejection fraction) ➜ 左室駆出率40%以下の心不全
  2. HFmrEF (Heart failure with mid-range ejection fraction ➜ 左室駆出率40%~50%の心不全
  3. HFpEF (Heart failure with preserved ejection fraction) ➜ 左室駆出率50%以上の心不全

関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-09-29

サ高住 

  • サービス付き高齢者向け住宅の「さこうじゅう」と読む(別名:サ付き)
  • 主に民間が運営するバリアフリーの賃貸住宅で,有資格者が日中は常駐
  • 対象者は60歳以上の高齢者または要介護・要支援の認定者とその同居者


🐨 特別養護老人ホームなどへの入所が待てない場合に利用されていることが多い様です

(投稿者 川崎)

2018-09-28

CEAの著明高値

CEA=Carcinoembryonic antigen=癌胎児性抗原(正常値 5ng/mL以下)
  • 当院では2012.1~2018.9の間に48,994回の血清CEAを測定
  • その中で10,000以上の著明高値は以下の9症例(約0.02%)

CEA値 病態予後
79,347直腸癌,肝転移1ヵ月以内に死亡
63,176直腸癌2ヵ月以内に死亡
30,876肺癌測定1ヵ月後の時点で生存
16,379胃癌,直腸癌術後,骨転移1ヵ月以内に死亡
14,797S状結腸癌1ヵ月以内に死亡
14,698肺癌,全身転移1ヵ月以内に死亡
14,657肺癌,骨転移1年以上生存
12,046S状結腸癌,肝転移2ヵ月以内に死亡
10,230胃癌1ヵ月以内に死亡

(投稿者 村上/川崎)

喘息発作のボスミン®


ガイドラインは決して軽視できないが金科玉条(絶対的な拠り所)ではありません ➜ コチラ
気管支喘息ガイドライン2018が販売されているようですがボスミンに関しては確認できず

😈 関連投稿
アドレナリン エピネフリン
(投稿者 川崎)

2018-09-26

コンパニオン診断薬

コンパニオン診断薬とは、特定の医薬品の有効性や安全性を一層高めるために、その使用対象患者に該当するかどうかなどをあらかじめ検査する目的で使用される診断薬である。
がん化学療法の分野では、分子標的薬が多く開発されているが、コンパニオン診断薬を用いた投与対象患者の特定は、分子標的薬の効果の最大化、副作用を最小化し、患者にとって最善の治療を提供できる。
今後ますますの発展が期待される。

現在承認されているコンパニオン診断薬はこちら

(投稿者 小森)

Lynch Syndrome リンチ症候群

常染色体優性遺伝の非ポリポーシス大腸癌で別名はHNPCC (Hereditary nonpolyposis colorectal cancer)
初報は米国の予防医学の医師Henry T. Lynch (1928〜) (Arch Intern Med 1966;117:206-12)

リンチ症候群
  • 大腸癌のうち遺伝性で最多(3%),子宮内膜癌などを合併することがある
  • 特徴は右半結腸のムチン産生の低分化型,印鑑細胞様あるいは髄様癌様
  • DNAミスマッチ修復遺伝子検査で診断(EpCAMなど/健康保険適応)
  • 欧米ガイドラインでは新規に大腸癌と診断された全症例の遺伝検査が推奨
  • 治療は腫瘍の外科切除(大腸亜全摘),転移では免疫チェックポイント阻害薬

参考文献:Lynch Syndrome-Associated Colorectal Cancer. (N Engl J Med 2018;379:764-73)

(投稿者 川崎)

2018-09-25

右心機能の評価

右室は左室と比較して複雑な形態であるためその評価は容易ではないが…

心エコー図を用いた右心機能評価

👼 右心系の評価には身体所見も活用しようネ

(投稿者 川崎)

2018-09-24

陀羅尼助丸 だらにすけがん

  • 奈良吉野~大峰山系に伝わる1300年にも及ぶ歴史を有する日本の漢方(和漢)
  • 主原料はキハダ(ミカン科落葉性高木)の樹皮を乾燥した生薬(オウバク)など
  • 万能(?)の苦味健胃薬で効能は下痢,食欲不振,胃弱,食べ過ぎ,二日酔など

(株式会社藤井利三郎薬房 フジイ陀羅尼助丸

👴 由来は開祖である行者尊が陀羅尼経(だらにきょう)を唱えながらオウバクを煮詰めたため(諸説あり)

漢方に関連した過去の投稿

(投稿者 川崎)

2018-09-23

第221回近畿地方会(日本内科学会)

演題49 抜管後の喉頭浮腫による陰圧性肺水腫の1例
  • 陰圧性肺水腫(Negative pressure pulmonary edema, NPPE)は上気道閉塞の解除後に急激に発症する肺水腫.その機序として,著明に低下した胸腔内圧(例,-50cmH2O)による肺毛細管透過性亢進,静脈還流の増加,膨張性肺水腫,びまん性の肺胞出血などが考えられている.

演題100 免疫チェックポイント阻害薬による心筋炎が疑われたが、ステロイド治療により救命し得た1例
  • 近年,新しい抗がん剤として免疫チェックポイント阻害薬(ICI: immune checkpoint inhibitor)が多用されているが,心毒性が少なくないようです(1%に心筋炎? 当院でも最近経験).高容量副腎皮質ステロイドの有用性を示す症例報告に注目.

演題173 胸腔鏡下手術後、Hungry bone症候群を発症した異所性副甲状腺機能亢進症の1例
  • Hungry bone syndrome(HBS)とは過剰に分泌された副甲状腺ホルモンにより骨が血清Caを過剰に吸収する結果,低Ca血症が遷延する病態.副甲状腺腫瘍の切除術後に発症する可能性があり,カルシウム補正に時間がかかる(入院期間の延長および退院後の長期内服加療).

👶 上記は個人的に気になった演題です(実は演題8と101も…同一施設から同一症例❓)

(投稿者 川崎)

2018-09-22

グラム染色クイズ

咳嗽が持続する乳児の鼻腔拭い液のグラム染色(強拡大,1000倍)




(投稿者 川崎)

2018-09-21

松下GIMカンファレンス

昨日,第2回松下GIMカンファレンスが開催されました

  • 演者は川俣先生(身体所見が特徴的だった心雑音の1例)と宗川先生(急速に進行した低Na血症の1例)
  • 今回は演者が司会も兼ねるスタイルでしたが,二人ともうまくまとめられていました(とても良かったです)

😊 第1回松下GIMカンファレンス ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

臨床フレイルスケール Clinical Frailty Scale

  • 健常な状態よりは虚弱化が進行しているフレイルの重症度を示す簡便なスケール
  • オリジナルはカナダの医師K. Rockwoodらで7段階評価(CMAJ 2005;173:489-95
  • その後,9段階評価に改定(Canadian Study on Health & Aging, Revised 2008)

スケール状態解説
1Very fit頑強かつ活動的,意欲的で同年代では最も健全
2Well疾患に関連する症状はなく,しばしば活動的である
3Managing well疾患の管理は良好だが,歩行以外の活動は少ない
4Vulnerable日常生活の支援は不要であるが,生活に制限あり
5Mildly frail動作は緩慢で手段的日常生活動作には支援が必要
6Moderately frail屋外活動や家事,階段昇降,入浴に支援が必要
7Severely frailすべてに介助を要するが死期は近くない(半年以内ではない)
8Very severely frail全介助で死期は近づき,軽微な疾患からも回復しない
9Terminally ill疾患予後は半年未満であるが,それ以外は脆弱でない

(投稿者 川崎)

2018-09-20

当院のアンチバイオグラム2018

(画像のクリックで拡大)

※右下にリンクも作成しておきました(同リンクはPDFファイルなので画質良好 😊)

(投稿者 川崎)

2018-09-19

ネイザルハイフローのPEEP効果

PEEP=positive end-expiratory pressure=呼気終末陽圧
ネイザルハイフロー I 型呼吸不全で用いることが多い

心疾患を予定している症例の閉口時(Respir Care 2011;56:1151-5
  • 酸素流量30L/分 ➜ 気道内圧1.93±1.25 cmH2O
  • 酸素流量40L/分 ➜ 気道内圧2.58±1.54 cmH2O
  • 酸素流量50L/分 ➜ 気道内圧3.31±1.05 cmH2O

😷 少ないけど全く無いよりはいいよね

NHFとNPPVについては コチラ

(投稿者 川崎)

2018-09-18

オルトナー症候群 Ortner's Syndrome

  1. 心脈管疾患で左反回神経麻痺による左側声帯麻痺を呈した病態でCardio-vocal syndromeと呼ばれることもある
  2. 初報はオーストリアの医師Ortnerによる僧帽弁狭窄症を伴う左反回神経麻痺2例(Wien Klin Wschr 1897;10:753-5)
  3. 左反回神経 left recurrent laryngeal nerve は大動脈弓部下面と肺動脈の間を反回するため麻痺を生じやすい
(上図の紫色が左反回神経/Wikipediaより)

疾患 僧帽弁狭窄症,アイゼンメンジャー症候群,動脈管開存症,大動脈瘤,原発性肺高血圧症など
機序 心拡大や血管拡大に伴う反回神経圧迫あるいは牽引,リンパ節腫大による圧迫など
症状 嗄声+基礎疾患の症状
治療 基礎疾患に対する治療

症例報告 ➜ Ortner 症候群を呈した原発性肺高血圧症の1 例(日呼吸会誌2006;44:823-7

🔘 下行大動脈疾患(高度の屈曲・蛇行・瘤化)で嚥下障害が生じるDysphagia Aorticaと類似した病態

(投稿者 川﨑)

2018-09-17

先日,学会の抄録集に TBA ってありました

  • TBA=To be announced ➜ 後日発表
  • TBC=To be confirmed ➜ 確認中
  • TBD=To be determined ➜ 未定

(投稿者 川崎)

2018-09-16

関節液


👶 ざっくり言って細胞数が5万μL以上なら化膿性の可能性あり😊 10万μL以上なら疑い

(投稿者 川﨑)

2018-09-15

単純性膀胱炎(閉経前)に対する抗菌薬 CLL vs LVFX

JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015による第一選択は以下の3剤(すべてニューキノロン)
(ただしグラム陽性菌が検出されている場合あるいはESBL産生菌が疑われる場合は除く)
  • LVFX レボフロキサシン 経口1回500mg 1日1回3日間
  • CPFX シプロキサン 経口1回200mg 1日2~3回3日間
  • TFLX トスフロキサシン 経口1回150mg 1日2回3日間

CCL(セファクロル)は第二選択に記載されている(経口1回250mg 1日3回7日間)
しかし当院の2018年度アンチバイオグラムではCLLはLVFXよりも有効と思われる

Escherichia coli
(n=389)
Klebsiella pneumoniae
(n=169)
Proteus mirabilis
(n=16)
CLL100%100%100%
LVFX68%95%90%
ESBLs産生(各々28%,2%,5%)とAmpC産生(E. coliの2%)を除く

注意点 当院で採用されている経口の第一世代セフェム薬は以下の二種類です
  • CLL セファクロル(ケフラール®細粒小児用10%)
  • CEX セファレキシン(ケフレックス®カプセル250mg)

👶 当院では大人への処方ならCEXになります

(投稿者 川崎)

2018-09-14

NHFとNPPV

呼吸状態が悪いときに考慮すべき非侵襲的な呼吸管理方法
いずれもERで導入可能(ただし当院のNHFはバッテリーなし)

NHF=Nasal High flow=ネーザルハイフロー療法
  • 酸素濃度(Fi02) ➜ 1.0 (100%)
  • 流量 ➜ 40L/分(≒初期値)
👍 状態が改善すればFi02を漸減していく

NPPV=Non-invasive Positive Pressur Ventilation=非侵襲的陽圧換気療法
  • モード ➜ S/T (spontaneous/timed) あるいは PS (pressure support)(≒初期値)
  • IPAP (吸気圧) ➜ 8 cmH20(≒初期値)
  • EPAP (呼気圧) ➜ 4 cmH20(≒初期値)
  • 呼吸数 ➜ 16回/分(≒初期値)
  • 呼気時間 ➜ 1秒(≒初期値)
  • 酸素濃度(Fi02) ➜ Ⅰ型呼吸不全なら1.0 (100%)/Ⅱ型呼吸不全なら0.4 (40%)
👍 人工呼吸器のPEEPがEPAPで,PSはIPAP-EPAPになるよ

禁忌 💀 意識障害・心肺停止・誤嚥のリスク・頭部外傷・気胸など

(投稿者 川崎)

2018-09-13

クレナフィン爪外用液10%

【特徴】
  • 新規トリアゾール系化合物であるエフィナコナゾールを有効成分とする日本初の外用爪白癬治療薬である。
  • 爪白癬の原因真菌(皮膚糸状菌)に対して高い抗真菌活性を有し、更にケラチンとの親和性が低く、爪甲の透過性に優れることから、爪表面に塗布することにより爪中・爪床において高い抗真菌活性を発揮する。
  • ハケ一体型のボトルで、薬液を爪面に容易に塗り広げることが可能である。

従来、承認されている爪白癬治療薬は経口抗真菌薬のみであったが、肝障害等の副作用や薬物相互作用がみられることがあり、特に高齢者や合併症により複数の薬剤を服用している患者では使用が制限される場合があった。外用爪白癬治療薬という新たな治療選択肢が提供され、より多くの患者のQOL向上が期待される。
なお、現在では2剤目の外用爪白癬治療薬ルコナック爪外用液5%が発売されている。

【添付文書】
クレナフィン爪外用液ルコナック爪外用液

(投稿者 小森)

グラム染色クイズ

咳嗽と呼吸困難感を訴える若い症例の喀痰(ミラー・ジョーンズ分類でP3)のグラム染色(強拡大)
身体所見や胸部X線,採血からは非定型肺炎が疑われすでにアジスロマイシンが処方されていた

  • 短いグラム陰性桿菌(短桿菌)が散在し,一部は好中球に貪食されている(左下)
  • 最終的に培養でインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)が確認された
  • 本例のように莢膜を有するタイプは肺炎球菌と同様に侵襲性感染症を生じやすい

👴 H. influenzaeとくればBLNAR(ブルナー)を忘れずに(BLPAR ブルパーもネ)

当院の2018年アンチバイオグラムより
  • H. influenzae 232株数 ➜ 通常型 57%, BLNAR 28%, BLPAR 11%, BLPACR 10%
  • BLNAR, BLPAR, BLPACRにはABPC無効(すべて0%),CTRX有効(すべて100%)

(投稿者 川崎)

胸部X線の縦隔幅の正常値

大動脈解離100例と正常例120例での検討(Emerg Radiol 2012;19:309-15
(白矢印=最大縦隔幅 MW,黒矢印=最大左縦隔幅 LMW)

🔖 最適な分割値は通常撮像なら縦隔幅=7.45cm,ポータブルなら8.65cm

👀 古くは上縦隔幅の正常上限は8.0–8.8cm (Ann Thorac Surg 1976;21:337-40/Surgery 1979;85:363-7)

🔗 ただし撮像条件によって縦隔幅は大きく異なることに要注意

(投稿者 川崎)

2018-09-12

緑膿菌に対する抗菌薬

当院の2018年度アンチバイオグラム(Pseudomonas aeruginosa 91株数での検討)

PIPC 98.9% CAZ 98.9% CZOP 96.7%
CFPM 93.4% IPM 98.9% MEPM 100%
DRPM 100% AZT 86.8% C/S 96.7%
P/T 98.9% GM 91.2% TOB 97.8%
AMK 97.8% MINO 3% LVFX 85.7%
CPFX 89% ST 100% FOM 5.5%
CL 96.7%

😊 ややこしい略語の暗記には松下抗菌塾を活用してね(右下にリンク有)

関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-09-11

wide QRS頻拍に対するブルガダ・アプローチ

スペイン人の医師Brugada Pらが開発(Circulation 1991;83:1649-59
もちろんブルガダ症候群を発見した有名なブルガダ三兄弟のひとりです

  1. 胸部誘導でRS(またはrS)波形なし
  2. 胸部誘導でRS(またはrS)波形がありR開始~S谷≧100msec
  3. 房室解離あり
  4. QRSの波形解析(少し複雑)

  • 上記のひとつでもあれば心室頻拍の感度98.7%,特異度96.5%
  • 特に所見1は分かりやすくてお薦めです(≒胸部誘導がすべてQ波
  • 所見1はwide QRS頻拍554例で心室頻拍の特異度100%,感度21%

実例

ブルガダ・アプローチの所見1があるため心室頻拍と即断できる

👶 じっくり勉強したい方 ➜ JPN J ELECTROCARDIOLOGY 2002;22:S2.5-25 (日本語)

(投稿者 川崎)

2018-09-10

輸血による改善の目安

種類 投与量増加の目安
赤血球濃厚液 MAP2単位ヘモグロビン 1-1.5 g/dl
血小板濃厚液 PC10単位血小板数 4-6万/μL
新鮮凍結血漿 FFP2単位凝固因子 10%

👴 関連投稿

(投稿者 川崎)

画像クイズ

嚥下時の胸痛を訴えて来院した症例の上部内視鏡検査(食道の写真)




(投稿者 川崎)

2018-09-09

IDSA/ATS

  • ATS=American Thoracic Society=アメリカ胸部学会
  • IDSA=Infectious Diseases Society of America=アメリカ感染症学会

しばしばCDC(Centers for Disease Control and Prevention/アメリカ疾病管理予防センター)と共同で感染症ガイドラインを出版

(投稿者 川崎)

2018-09-08

アドコン

アドヒアランスコンプライアンスの略
  • Adherence 【固守/執着】 ➜ 自ら賛同し積極的に参加すること
  • Compliance 【従順/服従】 ➜ 他人の指示に(盲目的に)従うこと
(日本ジェネリック製薬協会 JGAニュースNo.116

😊 もちろんコンプライアンスよりもアドヒアランス重視

(投稿者 川崎)

2018-09-06

冠動脈ステントとMRI (アップデート版)

当院で使用している冠動脈ステント(ザイエンス,リゾリュート,アルチマスター)はMR Conditional
  1. MR Safe=安全 ➜ いかなるMRI環境下でも既知の危険性がない品目
  2. MR Conditional ➜ 条件付き可能=指定されたMRI環境下における指定された条件下の使用で既知の危険性がないことが実証された品目
  3. MR Unsafe=危険 ➜ すべてのMRI環境下で危険性がある品目

😊 つまり冠動脈ステント留置後でもMRは可能(ただし当院の条件下/当院MRは1.5テスラ)

XIENCE Sierra(ザイエンス・シエラ) ➜ 添付文書
本品は非臨床試験において、単一留置、あるいは最大71mmまでステントをオーバーラップさせて留置した場合、特定のMRI検査で危険性のない「MR Conditional」に該当することが立証されている。本品は次の条件下でMRI検査を安全に施行することができる。
  • 静磁場強度が1.5及び3テスラ
  • 空間勾配が3,000ガウス/cm以下(30T/m)
  • 最大全身平均比吸収率(SAR)2.0W/kg(通常操作モード)下で15分間以下のスキャン

Resolute Onyx(リゾリュート・オニキス) ➜ 添付文書
非臨床試験によって、単独留置及びオーバーラップ留置(全長120mm まで)の本品ステントは以下の条件の下で、MR可能(MR Conditional)であることが示されている。以下の条件を満たすMR環境下において本品を植え込まれた患者に対しては安全なスキャンが可能である。
  • 静磁場:1.5及び3テスラのみ
  • 空間磁場勾配:3,000gauss/cm(30T/m)以下
  • 通常の操作モードにおいて報告されている最大MRシステム:最大全身平均比吸収率(SAR)2.0W/kg

Ultimaster(アルチマスター) ➜ 添付文書
本品(全⻑73.6 mm(38 mm のステントを2本オーバーラップ))を用いた非臨床試験において条件付きでMRIの使用が可能である「MR Conditional」に該当することが示されている。本品は、以下の条件下でMRI検査を安全に施⾏することができる。
  • 静磁場強度:1.5テスラ又は3テスラ以下
  • 空間磁場勾配:36T/m 未満
  • 磁束密度と空間磁場勾配の積:99 T2/m未満
  • 最⼤全⾝平均⽐吸収率(SAR)2W/kg未満で15分間以下のMRスキャン

過去の関連投稿

(投稿者 川崎)

P波が不明瞭なときは・・・

  • 持続性心房粗動に対して経食道心エコー後に電気的カルディオバージョンを予定症例
  • 直前に施行した心電図で波形が以前と少し変化(粗動波はなさそうだがP波は不明瞭)
  • ルイス誘導(Lewis lead)を追加 ➜ 明瞭なP波を確認できた(=心房粗動の自然停止)



😊 経食道心エコーとカルディオバージョンは中止(自覚症状も改善していたことがその後判明)

(投稿者 川崎)

2018-09-05

心房細動 vs ギャロップ

  • ギャロップは馬の最速歩法(襲歩/しゅうほ)であり規則正しいリズミカルな音質が特徴
  • 通常は心房細動のような絶対不整(irregularly irregular)ではギャロップは出現しない
  • しかし頻脈性心房細動でRR間隔のばらつきが減少しギャロップ様に聞こえることがある

自験例 中年男性で心不全急性期の心音図(赤四角が過剰心音)と実際の心音


※特にRR間隔のばらつきが少ない前半はギャロップのように聞こえる点に注目

(投稿者 川崎)

2018-09-04

馬の歩法

基本的には4種類の歩法(ほほう)がある

英名 邦名速度(平均)
Walk常歩(なみあし)6 km/h
Trot速歩(はやあし)13 km/h
Canter駈歩(かけあし)20 km/h
Gallop襲歩(しゅうほ)69 km/h

(Public Domain: Horse gait in Wiki)

  • 心不全時のギャロップ(奔馬調)の由来は馬のgallopに音が似ているため
  • 過剰心音を伴った頻脈時に聴取する(頻脈は必須でないという意見もある)
  • 低い脈拍数で過剰心音を伴うときはcanter(キャンター,三部調)とも言う
  • 心不全の診断と重症度判定に有用(子供の発熱時にも出現:生理的Ⅲ音)

☆ 実際の心音(5症例あり) ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-09-03

Caサイン

大動脈解離(Ca サイン)

カルシウムサインとは大動脈解離を示唆するレントゲン所見の一つ
大動脈内膜の石灰化が大動脈陰影の外側から10mm以上内側なら陽性
単純写真では斜位になると偽陽性となりやすいので注意。
また感度は非常に低く9%ほど、特異度も1−2割(文献による)程しかないので診断上有用とは言えない。
尚、カルシウムサインは胸部CTでも大動脈壁在血栓と大動脈解離との鑑別に使える。

(投稿者 谷口)

胸水? 心膜液?

息切れで来院した症例の心エコ-図




(投稿者 川崎)


2018-09-02

Hutchinson's sign ハッチンソン徴候

顔面帯状疱疹で鼻尖部や鼻背部に皮疹・水疱があれば陽性 ➜ 高率に眼合併症
英国の外科医・眼科医・皮膚科医・病理医であるJonathan Hutchinson卿が発見
(Ophthalmic Hospital Reports and Journal of the Royal London Ophthalmic Hospital 1864;72:865–6)


  • 機序 鼻背部の滑車上神経は結膜に、鼻尖部の鼻毛様体神経が角膜や強膜に分布しているため
  • 頻度 顔面帯状疱疹62例中Hutchinson徴候陽性は24例(39%),そのうち眼症状は20例(83%)

👀 一読をおすすめ ➜ Hutchinson徴候(川崎医科大学 皮膚科学 松尾先生)

関連投稿 👃

(投稿者 川崎)

2018-09-01

リンクラ=淋菌+クラミジア

尿道炎が疑われる男性の尿グラム染色(最近風俗に行ったと自己告白)

  • 好中球に貪食されたグラム陰性球菌 ➜ 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と診断
  • クラミジア(Chlamydia trachomatis)はグラムで染色されないため尿検体のPCR要
  • グラム陰性球菌のパターン ➜ 喀痰⇒モラクセラ,髄液⇒髄膜炎菌,性器⇒淋菌

近年,淋菌の抗菌薬耐性化は顕著であり多剤耐性化が進んでいる(ペニシリン系抗菌薬はほとんど感受性がなく,テトラサイクリン系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬の耐性率は70~80%).一方,クラミジアはマクロライド・テトラサイクリン・キノロン系抗菌薬が有効であり耐性菌の広がりは少ない

関連投稿

(投稿者 川崎)