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2026-09-08

心不全の頚静脈評価:レアケース

息切れを訴える非閉塞性の肥大型心筋症(座位)

🔎 解説
  • 安静座位で頚部に周期的な拍動あり(矢頭)
  • 用手的に容易に圧迫可→動脈ではなく静脈
  • 時相は前収縮期(橈骨拍動前)→頚静脈a波
  • 吸気後はa波が消失(他の陥凹や隆起なし)
  • 本例は最終的にHCMの心不全と診断された

😐 追加コメント
  • 肥大型心筋症では、頚静脈のa波を半数以上の症例で視認できます。これは心房収縮時に硬い心室に血流がスムースに流入できずに、頚静脈に逆流するからです。右室肥大がなくても左室肥大の硬さが、心室中隔を介して右心系にも伝わります(ベルンハイム効果)。
  • HCMの約7割にa波を認めますが、これは臥位であって、座位で視認できる症例は稀です(その頻度)。座位で認めるためには、中心静脈圧がある程度、上昇している必要があるためと思われます。よって座位でa波を認めるHCMでは、心不全の合併を疑います。
  • 本例は吸気後にはa波の拍動が不明瞭です。通常、a波は視認することが難しい弱い波で、吸気負荷など筋肉(胸鎖乳突筋など)の緊張時には、まず見えないと思います。もっとも、重症心不全ならHCMでも、x谷やy谷の陥凹あるいはv波の隆起を座位で視認します。

(投稿者 川崎)

2026-05-21

今週の一枚 🎯

健診の胸部X線で異常を指摘された症例


(投稿者 川崎)

2026-03-07

成人 PAPVR 👥 新生児 TAPVR

  • 成人を対象とする循環器内科ではPAPVR(partial anomalous pulmonary venous return;部分肺静脈還流異常症)を稀に経験します.特に心エコー図で冠静脈洞の拡大を認めた時に思い出したい3疾患の一つです.他はPLSVC(Persistent left superior vena cava;左上大静脈遺残)とCS-ASD([unroofed] coronary sinus atrial septal defect;冠静脈洞型心房中隔欠損症)です.
  • 先日,いつも人工心肺を対応しているCEさんに,小児心臓外科領域ではTAPVR(total anomalous pulmonary venous return;総肺静脈還流異常)と言えば,新生児緊急手術の代表疾患(ほぼ唯一?)だということを教えてもらいました.PAPVRは日常臨床で口にする略語ですが,TAPVRと聞いてあまりピンと来ませんでした.少し反省を込めて本ブログでまとめておきます.

💜 総肺静脈還流異常[症] PAPVR
  • 全肺静脈が左心房以外の体静脈系に異常に還流する先天性心疾患
  • TAPVRの別名はTAPVDまたはTAPVC (TAPV drainage or connection)
  • 全先天性心疾患の1.5~3%の発生頻度で男女比は1.7~2.1:1程度
  • Darling分類:肺静脈還流が上心臓型~50%,傍心臓型~30%(下図)
  • 新生児の多呼吸で100%酸素でも酸素飽和度が上昇しない時に疑う
  • 緊急外科手術が唯一の治療法(肺静脈低形成や術後再狭窄は不良)
  • ただし下心臓型TAPVRでは静脈管ステント留置なども可能(下図)


- TAPVR 総肺静脈還流異常の分類 -

- TAPVRに対し静脈管ステント留置を行った日齢7の新生児 -

(投稿者 川崎)

2026-01-14

Erbの謎:Revisited

😐 独り言
  • 以前に心臓フィジカル広場にアップした内容ですが(ココ),本ページには投稿されていなったようです.本ページにも関連する内容なのでアップしておきます.
  • 下記のErbの謎:循環器用語集にErb's disease=エルブ病とErb's dystrophy=エルブ・ジストロフィが収載されています.Erb's pointもエルプよりエルブがいいかも…

  • 息切れで来院した中年女性の胸部(第2肋間胸骨左縁に付箋)
  • 抬起性の傍胸骨拍動やⅡ音肺動脈成分の亢進+往復雑音あり


🐥 解説
  • 黄色付箋が周期的に拍動(隆起)している(左右の動画は同時相)
  • 隆起は2LSB〜Erb領域に限局し時相は収縮期 ➜ 肺動脈拍動の疑い
  • 聴診+触診でⅡ音の時相で僅かな振動 ➜ Ⅱ音肺動脈成分の触知
  • 本例の最終的な診断は心房中隔欠損症肺高血圧症+肺動脈拡大

👶 Erbの謎
  • Erb's point (cardiology)は第3肋間胸骨左縁付近でⅡ音が最も聴取しやすい場所として知られています.ドイツの神経内科医 Wilhelm Heinrich Erb (1840–1921)に由来しますが,彼は頸神経叢の皮枝が頸筋膜浅葉を貫通して胸鎖乳突筋の後縁から表層に出現する部位Erb's point (neurology)としての方が有名
  • 意外なことにErb自身の出版物としてErb's point (cardiology)に関する記載はないようです.しかし1890年代にErb自身がドイツのハイデルベルグで行った講義でErb's point (cardiology)について説明し,それ耳にした米国の医師の記録が最近発見されました(Dtsch Med Wochenschr 2018;143:1852-7
  • Erbと書いてエルと発音すると長年信じてきました(ただしエル派も少なくありません).循環器用語集には未登録で,Google Scholarでも同数(エル領域+心臓は4件,エル領域+心臓も4件).米国や英国の発音はアープスと聞こえるし,母国ドイツ人の発音は多様です.是非 ココ で確認してみて下さい.

(投稿者 川崎)

2026-01-03

心拍出量のFick法

【日本循環器学会専門医試験問題】より
 心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(投稿者 川崎)

2025-03-21

医科診療報酬点数

👥 夜8時半にようやくシャントPTAが終わって...
  • 専門医A 「エコーでVAIVTができると楽だね」
  • 専門医B 「そうです.それで12万ですからね」
  • 専門医A 「高っ! ペースメーカって数万だよ」
  • 専門医C 「でも3ヵ月で2回までですけどね…」

📪 医科診療報酬点数(令和6年)
  • 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 ➜ 12000点
  • ペースメーカ ➜ 経静脈電極移植術9520点,リードレス移植術9520点,交換術4000点
  • 経皮的冠動脈ステント留置術 ➜ 急性心筋梗塞34380点,不安定狭心症24380点,その他21680点
  • 心臓カテーテル法による諸検査 ➜ 左心4000点,右心3600点
  • 冠動脈、大動脈バイパス移植術 ➜ 吻合80160点,吻合以上89250点
  • 経カテーテル弁置換術 ➜ 経皮的39060点,経心尖61530点
  • 弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術 ➜ 157840点
  • 経皮的カテーテル心筋焼灼術 ➜ 心房中隔・心外膜アプローチ40760点,その他34370点
  • 下大静脈フィルター ➜ 留置10160点,除去6490点
  • オープン型ステントグラフト内挿術 ➜ 弓部大動脈114510点,下行大動脈89250点


    😑 独り言
    • 手技料に関しては皆,いろいろな想いがあると思います.循環器内科医なら,「なんでペースメーカ植込みよりシャントPTA(VAIVT)の方が高いの?」って思うかもしれません.逆に心臓外科医は,「循内の経皮的な手技料,高すぎだろう!」って怒っているかも…
    • 手技の難しさ(学ぶのに要する時間)やリスク(術者のストレスを含む),効果(予後改善など)が,手技料に総合的に反映されていることが大切です.例えば下大静脈フィルター植込みの手技料は10160点と高めですが,比較的簡単かつ安全で臨床効果は微妙

    👉 診療報酬に関するの過去の投稿は コチラ

    (投稿者 川崎)

    2025-02-02

    シャント血管マッサージ

    • 透析をはじめようとした際,シャント音が弱い,聞こえないなど,シャントの流れが悪くなっていた場合には,即座にシャント部をマッサージすることで回復することがある.穿刺予定部を手でしっかり揉む,さするなどしてあげる.
    • シャント作製後 3ヵ月以上たっていれば吻合部を揉んでも差し支えないので,穿刺部とともに吻合部もマッサージする.局部静脈に細い針でヘパリン化生食やウロキナーゼを注入してから揉むのが効果的であるが,難しい場合でも,揉むだけで血流が回復することも多い.



    シャント血管マッサージを禁忌とする患者
    • シャント作成後2週間未満
    • 新シャント穿刺3回目以内
    • 狭窄部位に痛みや腫脹がある
    • シャントに瘤がある
    • 人工血管を用いたシャント
    • シャントステントのエッジ部分に狭窄がある
    • ステロイド長期投与
    • 80歳以上
    • 皮膚が薄く,内出血や表皮剝離のリスクがある
    • 心房中隔欠損,心室中隔欠損がある

    引用)透析会誌 2018;51:305-11(元:腎と透析 2013;74:84‒6)

    (投稿者 川崎)

    2024-12-08

    第138回日本循環器学会近畿地方会より

    😃 個人的に気になった報告
     
    B-15 遷延する高度徐脈・低血圧をきたし,蜂蜜中毒と診断した一例
    • 蜂蜜中毒はトルコを中心に世界各地で報告されており, 有毒成分Grayanotoxinが原因である. コリン作動性の症状を呈するのに加え, 低血圧やショック, 徐脈, 完全房室ブロックなどが起こり得る. 本症例ではアトロピンの静脈注射を行い, 数分後速やかに循環動態が改善した.

    D-3 Micra植込み後ダンシングに対し、経皮的抜去を行った一例
    • 右大腿静脈からMicaデリバリー用シースを挿入し、ダブルスネアテクニックにてMicra本体を2本のスネアで固定しながらデリバリーシース内に格納後、デリバリーシースごと抜去した。

    発表ではありませんが…
    • 今回は10時過ぎからコーヒーブレイクセミナーが4会場,15時過ぎからアフタヌーンセミナーが6会場で実施されていました(近畿地方会では初の試み?).いずれも飲み物と和菓子あるいは洋菓子が二つほど入った紙袋がもらえました.もちろんお昼にはランチョンセミナーが7会場でありました.すべて完食したので大満足(でも食べ過ぎ😅)


    👻 当院からの発表
    • B-25 拡張期奇異性血流を呈したATTR心アミロイドーシスの1例(循環器内科 西機恵実ほか)
    • B-38 負荷頚静脈評価法:心不全症例のリスク判定(循環器内科 川崎達也ほか)
    • D-25 収縮性駆出性雑音を呈した動脈管開存症の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
    • D-27 発作性心房細動を契機にPH crisisを生じた心房中隔欠損症の一成人例(循環器内科 川俣博史ほか)
    • I-9 心室頻拍の起源が診断契機になった心臓限局性サルコイドーシスの1例(循環器内科 積木勇人ほか)

    すべて論文化(4編英語:掲載済1,採択1,投稿中2,作成中1)

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2024-09-09

    復習 📚 心アミロイドーシスのMRI

    • ATTR心アミロイドーシスは想定よりも多いと感じている循環器内科医も少なくないと思います.当院でも毎月,新たな症例が診断されているでしょうか.
    • その診断にはシンチグラフィが重要ですが,心臓MRIもなくてはならないモダリティーです.もちろんポパイ徴候Ⅳ音欠損などの身体所見も大切に😊
    • 今回,心臓アミロイドーシスのMRI所見を再確認してみました(参考:2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン ).記載は個人的に重視する順番

    T1 mapping
    • 心筋ダメージの定量的評価で単純のNative T1と造影のECVがある
    • 心アミロイドーシスではNative T1とECVはともに極端な異常高値

    遅延造影
    • アミロイド沈着と微小循環障害による内膜下優位の虚血性変化(線維化)
    • 左室内膜下優位のびまん性遅延造影LGE(右室壁や左房壁,心房中隔も)
    • 血液プールの低信号化(dark bloodpool:アミロイドーシス特有の動態)

    T2 mapping
    • 組織内の水含有を反映し浮腫や炎症を生じると延長する
    • 健常者と比べて有意に上昇(特にALアミロイドーシス)

    Cine
    • 心アミロイドーシスは心基部優位の心肥大を示すことが多い
    • (従来は対称性全周性の肥大が典型的であるとされてきた)
    • 近年の報告では非対称性心肥大(とくにASH)も少なくない

    心筋ストレイン
    • 2D心エコー図と同様に心筋ストレイン解析も実施が可能
    • 撮影法としてはタギング法や feature tracking法を使用
    • 心アミロイドーシスではcircumferentialのピーク値が低下


    💁 アミロイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-05-27

    頚静脈波曲線と三尖弁逆流:覚書

    • TRの頚静脈波曲線はLancisiが初記載(De Motu Cordis et Anetlryslnatibus. Roma,1728)
    • 軽症はx谷浅化+v波増高(共に早期出現),中等症は収縮期波(s波),重症は心室化
    • ただし頚静脈波曲線のTRパターンは心房細動ならTRがなくても30%以上に出現(下図)
    • 開心術後の症例では三尖弁逆流が存在しなくても通常的に三尖弁逆流パターンが出現
    • 原因として心膜の影響?(左心膜完全欠損例では典型的な三尖弁逆流パターンが出現)
    • 術後の心室中隔奇異性運動や右房(切開に伴うコンプライアンス低下)なども関与?

    参考)循環器フィジカルイグザミネーションの実際(文光堂),他

    - AF例の頚静脈波曲線 -

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)

    2024-05-09

    今週の一枚 🎯 有名も役立たず?

    息切れ症例の心尖拍動

    😐 偽ブロードベント徴候(Pseudo Broadbent's sign)
    • 臥床(20度ヘッドアップ)で心尖部拍動を視認(矢印)
    • 拍動は陥凹で時相は収縮期(背後のモニター音に注目)
    • 最終的に本例は心房中隔欠損による心不全と診断した

    😕 独り言
    • 心尖拍動の収縮期陥凹は,収縮性心膜炎で出現する所見(ブロードベント徴候/Broadbent sign)として有名です.しかし本例ではクスマウル徴候や心膜ノック音はありませんでした(フリードライヒ徴候は微妙に陽性?)
    • ベットサイド心エコー図では右心系の拡大が少し目立ちましたが,明らかなシャント疾患を検出できませんでした.その後にハイエンド機で再検して,心房間のシャントを認めたため心房中隔欠損による心不全と診断しました.
    • この収縮期陥凹(systolic retraction)は,様々な病態で認めます(自験例1自験例2).収縮性心膜炎で欠くことも多く,個人的には臨床現場であまり役立たない所見(感度も特異度もともに低い)と思っています.

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)

    2024-05-05

    冠状静脈洞口部閉鎖 CSOA

    • 冠状静脈洞口部閉鎖(coronary sinus orifice atresia: CSOA)は,冠静脈洞(coronary sinus: CS)が右房に開口しない状態である.冠静脈血流のうっ滞を回避する必要があるためCSOAが単独で存在することは稀
    • 通常はunroofed coronary sinus(URCS)や左上大静脈遺残(persistent left superior vena cava: PLSVC),心房中隔欠損症(atrial septal defect: ASD),冠動静脈瘻など代替となる静脈還流路を合併する.
    • 冠動脈の血流量は心拍出量の約5%であり,PLSVC非合併例ではCSのシャント血流は臨床的にあまり問題にならない.またPLSVC,ASD,卵円孔開存など他の合併奇形がなければシャント修復も必要ではない.


    💁 冠静脈洞に関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-04-08

    フィジカル忘備録:第21回循環器Physical Examination講習会より

    • 心房中隔欠損では肺高血圧がなくてもⅡ音の肺動脈成分が亢進する(肺動脈の基部が拡大し胸壁に近づく+肺血流が増加するため)
    • 心房中隔欠損では相対的PSによる収縮期駆出性雑音に加えて三尖弁拡張期ランブルを聴取することがある
    • 循環器フィジカルイグザミネーションの実際(2005/9/1,吉川純一編集,文光堂)は青本と言われている
    • Dr.水野のうたう♪心音レクチャー /ケアネットDVD(ケアネット,2017/1/1)がいい
    • 心不全の心機能分類 NYHA ではⅡ度はⅡs(slight limitation of physical activity)とⅡm(moderate limitation of physical activity)に細分するが,Ⅲ度はⅢa(慢性)とⅢb(最近の症状出現:Patients in NYHA class IIIb closely resemble those with a recent history of dyspnea at rest)
    • 心不全の身体所見の要は低還流,肺うっ血,体液貯留の3つである
    • 敗血症の低灌流は膝を見るとより(一番冷たい)
    • 下肢挙上は自己輸血(補液500mlと同じCRT改善効果)
    • 大動脈のRCCとLCCの間に左脚枝があるので手術時には慎重に行う
    • Prosthesis-patient mismatch (PPM) は患者の体格に対して不適切に小さい人工弁が留置され十分な有効弁口面積(EOA)が得られない状態
    • functional MRは雑音が聞こえにくい


    当日の風景(少数の現地聴講+全国にWEB配信)

    👻「忘備録」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)

    2024-02-12

    🏆 論文

    • 当院初期研修医の大江先生が循環器内科で経験した症例が出版されました🎉
    • 右室拡大があり身体所見は心房中隔欠損に合致するも短絡が見当たらない例
    • 経胸壁心エコー図の攪拌生理食塩水によるコントラスト造影でシャント確認
    • 経食道心エコー図で上大静脈と左房の短絡を確認し上位静脈洞型ASDと診断

    🙊 秘密情報
    • 本論文にはWeb版もPDF版も”Published: January 01, 2024”と記載されています.つまり元日に出版されたことになります.実はCureusは採択された論文の出版日を著者がある程度コントロールできるため,日本との時差を考えらがら狙ってみました.
    • Cureusは2009年に創設されスプリンガー ネイチャーから出版されています.投稿方法が従来誌とは異なるため少し慣れが必要ですが査読は迅速です.(うまくいけば)コストはかからずPubMedに収載されインパクトファクターもつくのは魅力的です.

    👉「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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    (投稿者 川崎)

    2023-12-17

    第136回日本循環器学会近畿地方会より

    😃 個人的に気になった報告
     
    4-17 心筋梗塞後のVT/VF stormに対してPurkinje systemのde-networkingが有効であった一例
    • 心筋梗塞後の VT/VF storm は重大な合併症である。Purkinje-related triggerを標的とするアブレーションの有効性が報告されてきたが,新たな手法としてPurkinje de-networkingが注目されている。VT中に先行するPurkinje電位を認め,左脚後枝末梢及び前枝領域のde-networkingを図りnon-inducibleで終了したが再発。再治療時にleft septal fascicle領域のde-networkingを追加することでstormからの離脱と救命に成功。

    5-21 血行再建を施行された夏型・冬型心筋梗塞の背景因子・予後比較
    • 夏型MIはplaque erosion,冬型MIはplaque ruptureが多いことが示唆されている。しかし今回の単施設での検討では,夏型(6~8月)MIに比して冬型(12~2月)MIでは STEMI患者やLMT病変の割合が多かったが,予後に差は認めなかった。

    6-9 Marshall静脈へエタノールアブレーションが奏効した僧帽弁輪旋回型心房頻拍の一例
    • 僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断し,僧帽弁輪峡部に対する線状焼灼およびMarshall静脈(VOM)の走行に沿って内膜を焼灼中に心房頻拍の停止を得た。しかし,4ヶ月後に心房頻拍が再発したため再CAを行った。前回と同じ VOM を介した僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断された。心内膜側からの通電では永続的なブロックが難しいと判断し,エタノールアブレーションを行った。エタノールをVOMに注入したところ頻拍周期が延長を伴って停止し,僧帽弁輪峡部のブロックを得た。(補足)マーシャル静脈は冠静脈洞から分岐し左肺静脈と左心耳の間の心外膜側を斜走する静脈で,心房細動の発生や維持に関与することがある。

    7-7 金属アレルギーを有する労作性狭心症患者に対して,proBIO coatingを有するOrsiro stentで治療し得た1例
    • RCAに高度狭窄病変を認めたが,金属アレルギーの申告があったため,薬物治療を優先する方針とした。後日実施した金属アレルギー検査ではニッケルで陽性,ステントではXienceで陽性が確認された。最終的に本症例では金属イオン溶出を抑制し得るproBIO coatingを有するOrsiroステントで治療を実施した。(補足)このproBIO coatingはステントの金属表面と周辺血管組織との間に起こる炎症の一因とされる金属イオンの溶出を抑制することで再狭窄を減らしているそうです。

    8-6 Wolf-Ohtsuka法術後に両心房血栓を認めた一例
    • ヘパリンの持続投与を開始したが,腫瘤のサイズに変化はなく,右房内血栓も縮小しなかったため,開心術による摘除を行った。摘除した腫瘤の病理所見は血栓であった。術後,ヘパリン持続点滴,ワルファリン内服を開始したが,血栓の再発を認めた。ワルファリンのコントロールを強化したところ,血栓は消失した。Wolf-Ohtsuka 法術後に血栓を認めることは稀である。(補足)ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡下左心耳閉鎖術で5mmから10mm程度の穴を胸の壁に4ヶ所開けるだけで傷もほとんど目立たず,手術に用いられる自動吻合器代も6万円とWatchmanに比べるとかなり安価(引用

    8-25 最北端の非専門医によるVMTスコアを用いた心不全管理の有用性(市立稚内病院)
    • 常勤の循環器内科医では対応しきれず,非専門医が大半の心不全患者を管理しているため,非専門医でも心不全の診断・治療方針の決定ができる指標が必要である。そこで村山,岩野らが考案した心エコー図のドプラ機能を使うことなくB modeのみで左室充満圧を推定できるVMTスコアを活用し心不全の診断・治療方針の決定に寄与している。(補足)VMT(visually assessed time difference between the mitral valve and tricuspid valve opening)スコアは断層心エコー法を用いて評価した左右の房室弁開放時相差の視覚的評価に基づいたスコアリング法。

    👻 当院からの発表
    • 3-1 肥大型心筋症の予後とⅣ音(循環器内科 川﨑達也ほか)
    • 3-29 心不全患者のリスク層別化:各種負荷に対する頸静脈所見(循環器内科 野口理希ほか)
    • 7-14 身体診察が特徴的であったトランスサイレチン型心アミロイドーシスの1例(循環器内科 平野達大ほか)
    • 8-4 身体所見を契機に診断に至った静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江彩佳ほか)

    すべて英語論文化(2つは掲載済,1つは投稿中,もう1つは投稿待)

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2023-12-10

    日本内科学会 第242回近畿地方会より

    😀 個人的に気になった報告

    演題53 慢性心不全の治療中に急性腎障害が契機となり発症したセフェピム脳症の1例
    • 抗生剤をセフェピムに変更したが,投与開始3日後より意識障害及び左上肢有意の四肢ミオクローヌスを認めた。セファロスポリン系抗生剤の中でもセフェピムによる中枢神経障害は比較的頻度が高い。

    演題62 代謝物の血中濃度の変化を経時的に追えた銀杏中毒の1例
    • 朝に約20個と昼に約50個食べた。翌0時30分頃から嘔気あり、トイレに行く際に浮動性めまいがあった。その後嘔吐3回と下痢2回程認めたが、その他腹部症状やけいれん症状はなかった。入院時の血清及び尿からメチルピリドキシン(MPN)が検出され銀杏中毒と確定診断した。

    演題63 呼吸機能検査後に気胸を発症した1例
    • 定期受診時,胸部X線写真では軽度の線維化を認めていたが,気胸は指摘できなかった.呼吸機能検査を施行したところ,右胸痛及び呼吸困難を自覚し,酸素飽和度も低下した.聴診上,右肺音の減弱を認め,胸部X線写真で,右2度気胸を認めた.胸腔ドレナージを行い,当科緊急入院とした.改善に乏しく,第8病日に胸腔鏡下ブラ切除術を施行した.以降は気胸の再発はなく経過している.

    演題102 茶葉の生食健康法で徐脈を来したと思われる1例
    • 24時間ホルター心電図検査では平均心拍数47/分、最小心拍数37/分で間欠的2~3度房室ブロックを認めた。茶葉の生食をやめたところ労作時息切れ症状消失した。24時間ホルター心電図でも平均心拍73/分、最小心拍数47/分で房室ブロックも消失していた。茶葉に含まれるテアニンは交感神経系を抑制し、血圧降下作用や脈拍低下作用があることが知られている。潜在的房室伝導機能低下症例においては、茶葉の生食によりテアニン摂取量が増大し、徐脈を誘発する可能性があり注意が必要と考えられた。

    演題103 コロナ禍に何度も発熱で来院し最終的にPFAPA症候群が疑われた1例
    • 発熱に随伴する症状には咽頭痛と関節痛が毎回あり、ほか有熱時の口内炎、軽い腹痛、頭痛が見られることがあった。家族性地中海熱あるいはPFAPA症候群が鑑別に挙げられ、コルヒチンの内服を開始した。PFAPAは、周期性発熱(Periodic Fever)、リンパ節炎(Adenitis)、咽頭炎(Pharyngitis)、アフタ症(Aphthosis)の略語で、幼少期、通常は5歳より前に発症する。慢性の経過をたどるが、予後良好で経過とともに症状が改善する傾向にある。


    👻 当院からの発表
    • 演題111 身体所見が診断の手がかりになった静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江 彩佳先生)
    • 演題169 失語・記銘力障害で発症したMOG抗体関連疾患(MOGARD)による皮質脳炎の1例(脳神経内科 竹田 みゆき先生)

    😊 上記のうち1編は英語論文として現在投稿中です

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2023-12-08

    心電図マイスターへの道 ⑥

    誘導の付け間違い:5パターン
    • Ⅱ 誘導が直線 ➜ RとアースRFの間違い
    • Ⅲ 誘導が直線 ➜ LとアースRFの間違い
    • Ⅰ 誘導ですべて陰性+aVRとaVLが逆 ➜ RとLの間違い(アースRFは正しい)
    • Ⅰ 誘導ですべて陰性+Ⅱ誘導ですべて陰性 ➜ RとLFの間違い(アースRFは正しい)
    • Ⅲ 誘導ですべて陰性 ➜ LとLFの間違い(アースRFは正しい)

    Coumel現象(クーメル)
    • 頻脈発作中にwide QRSからnarrow QRSに移行する際に頻拍周期の短縮を認める,あるいは逆にnarrow QRSからwide QRSに移行する際に頻拍周期の延長を認める現象.通常は同側(右脚なら右側,左脚ブロックなら左側)に副伝導路を有する房室回帰性頻拍 ORTを示唆する所見.わかりやすいショート動画はココからどうぞ

    ST上昇の鑑別
    • 早期再分極であれば通常,V6誘導でST高×4<T波高であるが,急性心膜炎ではST高×4>T波高となる
    • V2,3のterminal QRS distortion ➜ S波とJ波の両方がない所見で前下行枝の心筋梗塞を示唆(早期再分極 BRE: benign early repolarizationと鑑別に有用)
    • Spodick徴候 ➜ TからPへの移行が右肩下がりでなだらかになること.PR低下と同様に急性心膜炎を示唆する.
    • V4誘導のfish hook pattern ➜ 早期再分極を示唆する所見で,ST終末部が基線に戻らずJ波を形成(魚の釣り針様)

    その他1
    • 多形性心室頻拍はQRS波形が異なりRR間隔が(多少)不整で,その亜型にtorsades de pointes(TdP)がある.いずれもQT延長に合併しやすい.
    • 低カリウム血症ではT波の平坦化に加えてU波の出現や増高を忘れずに
    • 漏斗胸の心電図は通常,V1ですべて陰性(P/QRS/T)+時計回転
    • 交代性脚ブロック(Alternating bundle branch block)は3枝ブロックの一種で,右脚ブロックと左脚ブロックが交互に出現する病態
    • 心房粗動の周期は通常300 bpmであるが,I 群薬(フレカイニドなど)で延長することが少なくない(例,250 bpm).その結果,1:1伝導を呈することがある.
    • P波を伴わない非頻脈性のwide QRSなら心室固有調律を考えるが,通常は20-40 bpmであることに要注意.50 bpmならもともと脚ブロックのある接合部調律のことあり
    • 低Mg血症の心電図はQT延長やST低下,T波の平低化など.ちなみにQT延長はMg,Ca,Kのいずれの低下でも生じる.
    • Sgarbossaの基準(左脚ブロック例で心筋梗塞の診断基準)➜ 上向きQRSを示す誘導で1 mm 以上のST上昇(positive concordant),V1~V3 誘導で1 mm以上のST下降(negative concordant),下向きQRSを示す誘導で5 mm以上のST上昇が2誘導以上のいずれか一つ(過去の投稿
    • スミスの基準ではST上昇あるいはST低下がS波高あるいはR波高の25%以上であれば心筋梗塞を示唆(過去の投稿)➜ 修正Sgarbossaの基準

    その他2
    • Ashman(アッシュマン)現象:先行RRが長いと不応期が長くなるため,long-short sequenceで生じたQRSでは変更伝導が生じやすくなること.上室期外収縮や心房細動で見られる.
    • 一見,完全房室ブロックに見えても,一回でもPとQRSが繋がっていれば(RR間隔が短縮する/QRSの形も変化あり),高度房室ブロックに分類
    • 心房中隔欠損 ASD では不完全右脚ブロック(+右脚あるいは正軸)を認めるが,左軸偏位ならば一次孔欠損(心内膜症欠損・房室中隔欠損)を疑う.ちなみにファロー四徴症なら術後に完全右脚ブロックを呈することが多い
    • 平低T波(flat T waves)はR波の1/10以下(ただしR波高が10 mm以上)あるいは-1.0 mm~+1.0 mm
    • ウェンケバッハは基本的にHis束の上(AH伝導)の問題で,徐脈時に多くアトロピンに反応があり運動時には消失する.一方,モビッツⅡ型はHVで切れて頻脈時(労作時など)に多くアトロピンやβ刺激に反応なし(むしろ増悪)
    • QT延長時にはQTを延長させる Ⅲ 群薬(カリウムチャネル遮断薬:アミオダロン,ニフェカラント(シンビット®),ソタコール)はもちろん使用しない
    • 発作生房室ブロック(paroxysmal atrioventricular block: PAVB)は2度房室ブロックに分類され,長時間の心停止からAdams- Stokes発作による外傷やけいれんに至ることが少なくない.
    • 心房細動を合併したWPWとLBBBは似た波形になることがある.しかしWPWではケント束の順行伝導の程度によってQRS波形が多少変化することからも鑑別可能

    ※参考コンテンツ:心電図マイスターチャンネル,他

    💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2023-12-04

    心電図マイスターへの道 ④

    急性心筋梗塞 AMI
    • RCA 近位部閉塞=V1でST低下なし(ST上昇とミラーイメージのST低下で相殺),V3R・4RでST上昇あり,ST上昇はIII>II(ただし右室梗塞を合併すればV1で上昇あり)
    • RCA 遠位部閉塞=V1でST低下あり,V3R・4RでST上昇なし,ST上昇はIII>II
    • Cx 遠位部閉塞=V1でST低下なし,V3R・4RでST上昇なし,ST上昇はIII<II
    • おまけ1:V1で上昇があれば急性前壁梗塞,なければタコツボ心筋症(過去の投稿).ちなみにたこつぼではaVRでST低下を生じやすい
    • おまけ2:ST上昇は1 mm以上でV2,3に限れば女性1.5 mm以上,男性なら~40歳は2.0 mm以上,40歳~なら2.5 mm以上.ちなみにST低下は0.5 mm以上

    プログラマー心電図
    • 例:上段に心房波形,次段が心室波形,その下に下記記号
    • AP=心房ペーシング,VP=心室ペーシング,AS=心房センシング,VS=心室センシング,AR=心房不応期内センシングVR=心室不応期内センシング,BP/BV=両室ペーシング,TS(VT/VF)=タキセンシング,TP=タキペーシング

    偽性心室頻拍
    • pseudo VTあるいはpseudo ventricular tachycardiaは国際的には通じない(PubMedの検索で各々2件と14件).pre-excited atrial fibrillationあるいはAtrial fibrillation in the Wolff-Parkinson-White syndromeなどと表現される.

    洞不全症候群 SSSのルーベンシュタイン分類
    • Ⅰ 群 ➜ 特定原因のない洞徐脈(心拍数<50回/分)
    • Ⅱ 群 ➜ 洞停止・洞房ブロック
    • Ⅲ 群 ➜ 徐脈-頻脈症候群

    頭の整理:AVRTとAVNRT
    • WPW症候群の頻拍は2種類:①房室結節と副伝導路の間で興奮が旋回する房室回帰頻拍(AVRT),②心房細動の興奮が副伝導路を介して高頻度に伝わる偽性心室頻拍(pseudo VT)
    • 房室結節回帰頻拍(AVNRT)も2種類:①通常型AVNRT:興奮が遅伝導路(slow pathway)を順行性+速伝導路(fast pathway)を逆行性に旋回,②非通常型AVNRT:fast pathwayを順行性+slow pathwayを逆行性に旋回(発症が RP'>P'RのLong RP' tachycardia
    • narrow QRS tachycardia中にPVC出現 ➜ 直後のRR間隔が少し短縮すればAVRT(リセット現象あり),RR間隔に変化がなければAVNRT(リセット現象なし)

    その他
    • ペースメーカのAV delayの最大設定は300ms程度
    • aVR誘導でST変化がなければ左主幹部梗塞の可能性は低い
    • QRSの始まりから頂点までの時間maximum deflection index(MDI)とQRS幅の比が0.55以上なら心外膜あるいは中隔深部が起源のPVCを疑う
    • ATがP波で停止することは通常ない
    • 下壁誘導,V1,V6誘導でP波(あるいは粗動様の波)が全て陽性なら三尖弁を回る心房粗動とは考えにくい(心房頻拍を考える)(おまけ:通常型のAFLはIIで陰性・V1で陽性・V6で陰性のワンパターン)
    • AVNRTは通常1:1伝導であるが,下位共通路があれば2:1伝導も生じ得る
    • 移行帯はR<Sになる誘導(R波高が下がり始める誘導ではない)で,通常はV3あるいはV4
    • 心拍数は5mmマスで300,150,100,75,60,50,43,38,33,30・・・


    💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2023-11-28

    心電図マイスターへの道 ③

    上室期外収縮 PAC の起源
    • P波:V1陰性=右房起源:下壁誘導が上方なら上大静脈,下方なら冠静脈洞
    • P波:V1陽性=左房起源:I&L誘導が陽性なら右肺静脈(下壁誘導が上方なら上肺静脈,下方なら下肺静脈),I&L誘導が陰性なら左肺静脈(下壁誘導が上方なら上肺静脈,下方なら下肺静脈)

    心室期外収縮 PVC の起源
    • 右脚ブロック(左室起源):I・L・5・6陽性+下壁陽性なら左室弁輪前壁・流出路,I・L・5・6陽性+下壁陰性なら左室弁輪後壁・下壁,I・L・5・6陰性+下壁陽性なら左室前壁心尖近傍,I・L・5・6陰性+下壁陰性なら左室心尖部
    • 左脚ブロック(右室起源):I・L・5・6陽性+下壁陽性なら右室弁輪前壁・流出路,I・L・5・6陽性+下壁陰性なら右室弁輪後壁・下壁,I・L・5・6陰性+下壁陽性なら右室前壁心尖近傍,I・L・5・6陰性+下壁陰性なら右室心尖部
    • 右室起源の大まかなルール:下壁誘導ですべて陽性=流出路,すべて陰性=心尖部,ばらばら=中隔

    ペーシングの位置
    • V1でQSなら右室ペーシング,V1でRsなら両室ペーシング
    • 右室心尖部なら胸部誘導は基本,negative concordance (例えば全てQS)で上方軸
    • 下壁誘導で全て陽性なら右室上部ペーシング,すべて陰性なら右室下壁あるいは心尖部ペーシング,一定しなければ中隔ペーシング
    • 左室心尖部のペーシングなら,V1が陽性で,V2-6はすべて陰性(例:QS).ただし両心室の心尖部は近いため,心拡大や回転によって,右室心尖部ペーシングでも同様の所見になり得る.

    2枝ブロック
    • 右脚ブロック+左軸偏位:右脚と左脚前枝のブロック
    • 右脚ブロック+右軸偏位:右脚と左脚後枝のブロック
    • (広義には左脚ブロック:左脚前枝と左脚後枝のブロック)

    3枝ブロック
    • 右脚ブロック+左軸偏位+1度房室ブロック
    • 右脚ブロック+右軸偏位+1度房室ブロック
    • 左脚ブロック+1度房室ブロック

    Lown分類
    • Grade 0=心室性期外収縮なし,Grade 1=散発性(<30個/時間),Grade 2=散発性(>30個/時間),Grade 3=多形性(多源性),Grade 4a=2連発,Grade 4b=3連発,Grade 5=RonT
    • 急性心筋梗塞症例で心室細動への移行率から作成された分類であることに注意が必要

    ケント束の追記
    • デルタ波が下壁誘導で陰性+II誘導でQSなら心外膜(冠静脈洞 CSや中心静脈 MCV)のケント束
    • C型WPWなら前中隔,中中隔,後中隔に分類できる.Δ波から1mmの極性で判断:目安は下壁誘導ですべて陽性なら前中隔,すべて陰性なら後中隔,不定なら中中隔
    • Ⅲ誘導でR波高さは前中隔>中中隔>後中隔の順に大きい
    • Jemes線維は心房から房室結節下部を連結,Mahaim線維はatrio-fascicular/ventricular pathway,nodo-fascicular/ventricular pathway,fasciculo-ventricular pathwayの総称
    • デルタ波が目立たないなら左室側壁(伝わるまでに時間を要しその間に通常伝導が生じる)のケント束,マハイム線維,Fasciculoventricular pathway(purkinje組織から隣接する心筋に接続している副伝導路)
    • 束枝—心室副伝導路(Fasciculo-ventricular pathway)ではWPW patternを呈するが基本的に頻拍は来さないため治療対象ではない

    心室頻拍 VT
    • 4特徴:①房室解離,②すべての胸部誘導で陰性波(negative concordant:自験例),③胸部誘導でRS(またはrS)波形がありR開始~S谷≧100ms,④特徴的な波形(RBBBならV1で前半のRが大きい(taller left rabit ear)+V6でR<S,LBBBならRS波の下行(前半)部分にノッチ
    • 左軸偏位やQRS幅>160ms,左脚ブロック+右軸偏位,RBBBでV1で単相性,aVRでQ波なし,なども心室頻拍を示唆
    • wide QRS tachycardiaの鑑別はVT,SVT,偽性心室調律


    💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2023-10-09

    これは指腹ではなく指先で!

    検診で心電図異常を指摘された無症候例

    👥 ダブルインパスルス(二峰性心尖拍動)
    • 左半側臥位で抬起性(持続時間の長い)の心尖拍動(矢印)
    • よく見るとグググといった(スムーズでない)隆起パターン
    • 付箋をつけるとその立ち上がりが一峰性でないことが分かる
    • 最終診断は肥大型心筋症(非閉塞性かつ非対称性中隔肥大)

    👤 コメント
    • Double apical impulseとは小さな振れ(atrial kick=A波=心房収縮波)の後に大きな振れ(抬起性)が続く心尖拍動で,肥大型心筋症にかなり特異的です(感度27%・特異度98%)(当院の研究).つまりあればおそらく肥大型心筋症と確定可
    • 問題はダブルインパスルスを認識できるか否かです.視診・触診・聴診の中では視診が最も難しいと思いますが,これは慣れで克服できると思います.本ページには肥大型心筋症の二峰性拍動が多数アップされているので確認してみてください(ココ
    • 視覚の時間分解能は低いと思われますが,指先は超高感度の圧センサーです.何かギクシャクした隆起だと思ったら是非,指先で感じてみてください(触ってなんぼの法則).ポイントは指腹でなくて指先でしょうか.ズズンと伝わってくるでしょう.
    • 個人的にはⅣ音が好きかつ得意なので,ダブルインパスルスよりも巨大Ⅳ音(心房収縮波の音版)を信頼しています.ただし閉塞生の肥大型心筋症では収縮期雑音が過剰心音の聴診を難しくすることが少なくありません(自験例).この時は指先に全集中

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)