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2023-03-24

原発性胆汁性胆管炎 Primary biliary cholangitis: PBC

  • 概要 胆汁うっ滞に伴い肝実質細胞の破壊と線維化を生じる
  • 原因 不明であるが,自己免疫学的な機序が考えられている
  • 組織 葉間胆管および隔壁胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎
  • 疫学 中年以後の女性に多い(本邦ではおよそ2万人と予想)
  • 症状 長期無症状〜皮膚そう痒感〜肝硬変・肝不全など多様
  • 特徴 抗ミトコンドリア抗体(AMA)が特異的・高率に陽性
  • 合併 シェーグレン症候群,関節リウマチ,慢性甲状腺炎他
  • 治療 対症療法(ウルソ〜肝移植/ステロイドは期待できず)
  • 予後 無症候性が続く限り良好だが5年間で約25%が症候性


😸 おまけ
  • 以前は肝硬変に至ってから診断されることが多かったため原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis)と呼ばれていました.しかし近年では無症候性のうちに発見される症例が増え肝硬変を呈さないため,名称が原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis)に変更されました(欧米は2015年,本邦は2016年).幸い略語はどちらもPBCなので混乱は最小限
  • 同様の変更はニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia)でもありました(旧名はニューモシスチス・カリニ肺炎:Pneumocystis cariniii pneumonia).共に略語はPCPで助かります.もっともこの変更はPCBの臨床変化とは異なり,原虫と考えられていたニューモシスティスが実は真菌の一種(子嚢菌門タフリナ菌亜門)であることが分かったためです(過去の投稿

💁 胆汁に関する過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2020-08-14

黄疸と徐脈

😾 プチ事実
  • 黄疸時に徐脈が出現することがあります.胆汁の投与が徐脈を誘発し,これは除神経心でも生じることが100年以上前に発見されています(London: HK Lewis; 1879).その機序は未だ確立されていないようですが(Pakistan Heart Journal 2010;43:17-9),幾つかのメカニズムが提唱されています.

- 黄疸時の徐脈の機序 -
  1. 内向きNa/Ca電流減少と外向きのK電流増加(Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 1987;335:160-5
  2. 肝障害でコリンエステラーゼの産生低下 ➜ アセチルコリン(副交感神経の伝達物質)の増加 ➜ 徐脈
  3. オッディ括約筋や胆嚢の収縮はいずれも副交感神経支配 ➜ 閉塞性黄疸時には副交感神経亢進 ➜ 徐脈
  4. 胆汁(bile acids)とジギタリス(陰性変時作用あり)が構造的に類似(下図)➜ 胆汁増加時には徐脈
Bile acid and Digoxin on Wiki)

😺 おまけ
  • ジギタリスは心電図のST-T(特に盆状低下)が有名ですが,健常者女性でもST-T変化をしばしば認めます.これはジギタリスが女性ホルモンと似ているためという考えがあります(都市伝説?
Estrogen and Progesterone on Wiki)

(投稿者 川崎)

2021-10-22

無石性胆嚢炎の原因・リスク

無石性胆嚢炎は急性胆嚢炎の10%、胆嚢炎全体の5-10%
原因は胆汁うっ滞や胆嚢虚血である
無石性胆嚢炎の発症リスクが上昇する素因として以下がある
  • 完全静脈栄養、急な体重減少
  • 火傷、外傷、大手術後 ・HIVなど免疫抑制状態でmicrosporidia,、cytomegalovirus、Cryptosporidiumなど特定の日和見感染症に罹患しやすい(これらの微生物は胆汁酸の中で増殖可能)
  • Giardia lamblia、Helicobacter pylori、Salmonella typhiのキャリア

【参考文献】
  1. Jones MW, Ferguson T. Acalculous Cholecystitis. 2021 Sep 21. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan–.PMID: 29083717
  2. 竹中 完、中井敦史、大木俊介ら, 急性胆嚢炎の発症機序と鑑別診断のコツ. 胆と膵 2017;38:1137-1145

🎻 感想
  • 特定の微生物が胆汁酸中でなぜ増殖可能なのかは気になるところです。 臨床では、経口栄養が不十分、外傷や大手術後、免疫抑制状態、特定の微生物キャリアの症例で右季肋部の圧痛を認めた場合は、無石性胆嚢炎を鑑別に加えようと思います。 

(投稿者 中西(雄))

2025-05-06

PSC vs PBC

  • PSC(Primary Sclerosing Cholangitis/原発性硬化性胆管炎,旧:原発性胆汁性肝硬変)とPBC(Primary Biliary Cholangitis/原発性胆汁性胆管炎)はともに自己免疫性肝疾患で胆管に炎症や損傷が生じますが,それぞれ異なる胆管が影響を受ける点に差異があります.先日のカンファレンスで少し混乱が見られたため,PSC Partners Seeking a Cureを参考にして日本語にしてみました.

PSC 原発性硬化性胆管炎 PBC 原発性胆汁性胆管炎
病変部位
  • 肝臓の内外の胆管
  • 肝臓内の小さな胆管のみ
診断方法
  • 通常は胆管MRI(まれに肝生検やERCPが必要)
  • 次のうち2つ: ALP値上昇,疾患特異抗体 (AMA) 陽性,肝生検
胆管がんと大腸がん
  • リスク上昇
  • リスク不変
ウルソデオキシコール酸
  • 肝臓の血液検査値が改善例あり(病気の進行を遅らせるかは未証明)
  • よく反応例では予後も改善
炎症性腸疾患(IBD)
  • 約80%は併存(主に大腸炎)
  • 非常に稀(約1%)
初期症状
  • かゆみ,疲労感,腹痛,胆管炎の悪化
  • かゆみ,疲労感,目や口の乾燥,腹痛
疫学
  • 主に40歳前後で男性60%,女性40%
  • 75%は45歳以上で男性10%,女性90%
過度のアルコール摂取
  • 関連なし
  • 関連なし
喫煙
  • ほとんどの場合,非喫煙者
  • 喫煙歴と関連



(投稿者 川崎)

2023-04-02

薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)

👽 薬物性肝障害(DILI)の分類
  • 肝細胞障害型 ➜ ALT>2N+ALP≦NまたはALT比/ALP比≧5
  • 胆汁うっ滞型 ➜ ALT≦N+ALP>2NまたはALT比/ALP比≦2
  • 混合型 ➜ ALT>2N+ALP>Nかつ2<ALT比/ALP比<5
(N:正常上限,ALT比=ALT値/N,ALP比=ALP値/N)



💀 薬物性肝障害(DILI)の概略
  • 本邦の1,676例中,男性が43%,女性が57%,平均年齢は55歳
  • 内服から発現まで7日以内26%,30日以内62%,90日以内84%
  • タイプは肝細胞障害型59%,混合型20%,胆汁うっ滞型20%


💁 肝臓に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-10-12

Biloma 肝外胆汁性嚢胞

  • 初報 米国の放射線科医Gouldら(AJR 1979;132:1014-5
  • 定義 線維性組織により被包化された胆道外胆汁の貯留
  • 原因 医原性や腹部外傷後(稀に胆道系疾患や特発性)
  • 治療 原因疾患に対する治療+bilomaへのドレナージ

交通外傷(A)の3週間後(B)に発症したbiloma(World J Surg 2015;39:179–83

(投稿者 川崎)

2023-09-06

胆囊ドレナージ

😓 先日のカンファレンスで...
  • 非専門医としてあまりにも多くの略語に打ちのめされそうになりました.でもそれではいけないので一度,整理してみました.

  • 中等症以上の急性胆囊炎で,何らかの理由で早期手術治療を行えない手術リスクの高い症例では,標準的ドレナージ法として経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;PTGBD)が推奨されている
  • カテーテルを留置しない簡便なドレナージ法である経皮経肝胆囊穿刺吸引法(percutaneous transhepatic gallbladder aspiration;PTGBA)はベッドサイドでも行える手技的に容易なドレナージ法であるが,濃縮胆汁や膿性胆汁ではドレナージが十分でない
  • 近年,新たな代替治療法としてERCP下に経乳頭的に行う内視鏡的経乳頭的胆囊ドレナージ(endoscopic transpapillary gallbladder drainage;ETGBD),および 超音波内視鏡下に行うEUS下胆囊ドレナージ(EUS-guided gallbladder drainage;EUS-GBD)も報告されている.
  • ETGBD には経鼻胆囊ドレナージ(endoscopic naso-gallbladder drainage;ENGBD)と内視鏡的胆囊ステント留置術(endoscopic gallbladder stenting;EGBS)があり,特に凝固異常,抗血栓薬服用,腹水貯留,解剖学的に PTGBD が困難な例などに有用である.


経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)

経皮経肝胆囊穿刺吸引法(PTGBA)
 

 経鼻胆囊ドレナージ(ENGBD)

内視鏡的経乳頭的胆囊ドレナージ(EGBS)

超音波内視鏡下胆囊ドレナージ(EUS-GBD)

💁 略語に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-03-06

ブラインドループ症候群 Blind loop syndrome

  • 腸吻合術後の合併症の一つで腸管の盲嚢や盲環を主原因とする病態の総称
  • 邦名は盲管係蹄症候群や盲端症候群,盲管症候群など未統一(のようです)
  • 症状は下痢や消化吸収不良,貧血に加え腹部膨満や腹痛のみの場合もある
  • 吻合型式から①短絡による悪性循環,②盲管,③盲嚢の3つに分類(下図)
  • 原因は盲嚢内のうっ滞・過伸展・重積・細菌異常増殖による粘膜障害など
  • 初報は米国の医師であるEstesとHolmの4例報告(Ann Surg 1932;96:924-9
  • 発現は術後1月~37年と個人差が大きく必要に応じ盲嚢切除術などを考慮


😕 関連病態(胃切除後症候群)
  • 輸入脚症候群(afferent loop syndrome)➜ BillrothⅡ法再建後では輸入脚に胆汁や膵液が充満 ➜ 食後の内圧上昇時に残胃内に急激流入 ➜ 胆汁性の大量嘔吐
  • ダンピング症候群(dumping syndrome)➜ 胃全摘後などは残胃容積低下と幽門輪喪失 ➜ 食物が十二指腸~空腸に高張のまま急速流入 ➜ 発汗や動悸,顔面紅潮,腹痛,嘔吐,高血糖,めまいなど


(投稿者 堀内/川崎)

2018-01-15

尿ウロビリノーゲン

ヘモグロビン分解で生じたビリルビンが腸内細菌により還元され生成された代謝物
ウロビリノーゲンの一部は腸管から吸収されて肝臓や腎臓を経て尿中に排泄される

尿ウロビリノーゲンの解釈
  • 基準値 弱陽性(±)あるいは陽性(+)
  • 陰性(-) 胆汁うっ帯,閉塞性黄疸,肝硬変末期,急性肝炎黄疸極期など
  • 強陽性(++以上) 肝炎(急性および慢性),肝硬変,溶血性黄疸,腸管内様停滞(便秘など),大量飲酒,肉食,発熱,心不全など

🐧 トリビア 🐧
  • 尿の色(ウロビリン)や便の色(ステルコビリン)はウロビリノーゲンの酸化物のひとつ
  • Urobilinogenの発音【yu̇rəbīˈlinəjən】はかなり意外 ➜ コチラ  😲

(投稿者 川崎)

2019-09-14

ビリルビン 尿 vs 血

🐟 基本事項
  • 直接ビリルビン=抱合型=水溶性/間接ビリルビン=非抱合型=脂溶性
  • ウロビリノゲンは腸内細菌による直接ビリルビンの分解産物(正常は尿中±)
  • 一般的に尿に出現するビリルビンは水溶性である直接ビリルビンのみである

🐠 臨床応用
  • 溶血性黄疸 ➜ 直接ビリルビンには変化がないため尿ビリルビンは陰性+尿ウロビリノゲンは上昇
  • 肝細胞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが増加するため尿中ビリルビンが出現+尿ウロビリノゲンも増加
  • 閉塞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが胆汁中から血液中に逆流するために尿中ウロビリノゲンが出現+直接ビリルビンが排泄されないため尿中ウロビリノゲンは陰性

🐡 おまけ
  • 血中の総ビリルビン濃度が約2~3mg/dL以上になると黄疸が出現する
  • 尿ビリルビンは直接ビリルビンがかなり上昇したら出現(5〜10mg/dL)

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2024-06-14

血清ACE活性の上昇

😗 ACEの復習
  • ACE(angiotensin-converting enzyme)はCl-およびZn2+依存性のカルボキシペプチダーゼで,アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換の触媒に関与する.炎症促進作用のある強力な血管拡張物質ブラジキニンやその他のタキキキニン(サブスタンスP他)なども不活性化する.
  • ACE活性の亢進は主に肉芽腫性疾患など単球系細胞株の刺激を伴う病態で報告されている.肺病変の有無にかかわらずサルコイドーシスはこれらの疾患の中で最も頻度が高い.しかし他の肉芽腫性疾患(感染性あるいは非感染性いずれも含む)や非肉芽腫性疾患でも増加する可能性がある.

💥 ACE濃度が上昇する病態(サルコイドーシス以外)
  • 新生児や未熟児(その原因は出産後の肺毛細血管の発達が原因と思われる)
  • 多くの非感染性の播種性肉芽腫性疾患(マクロファージや単球などが産生)
  • 肉芽腫性疾患を生じる多岐にわたる感染症(非感染性肉芽腫性疾患と同様) 
  • 石綿肺(アスベストーシス)(内皮細胞およびマクロファージの両方が原因)
  • サルコイド様病変の類上皮細胞肉芽腫(サルコイドーシスと同等ではない)
  • ゴーシェ病(常染色体劣性遺伝性疾患で最も一般的なライソゾーム蓄積病)

😕 その他
  • アジソン病,α1-アンチトリプシン欠乏症,アミロイドーシス,ブラウ症候群,ディジョージ症候群,糖尿病,胆汁うっ滞,慢性疲労症候群,扁平苔癬,多発性硬化症,乾癬でも上昇した症例の報告あり


(投稿者 川崎)

2025-03-12

急性胆囊炎の重症度判定基準

重症急性胆囊炎(Grade Ⅲ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合 
  • 循環障害(ドーパミン≧5 μg/kg/min,もしくはノルアドレナリンの使用)
  • 中枢神経障害(意識障害) ・呼吸機能障害(PaO2/FiO2<300)
  • 腎機能障害(乏尿,もしくは Cr>2.0 mg/dL)
  • 肝機能障害(PT-INR>1.5)
  • 血液凝固異常(血小板<10万/mm3

中等症急性胆囊炎(Grade Ⅱ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合
  • 白血球数>18,000/mm3
  • 右季肋部の有痛性腫瘤触知
  • 症状出現後72時間以上の症状の持続
  • 顕著な局所炎症所見(壊疽性胆囊炎,胆囊周囲膿瘍,肝膿瘍,胆汁性腹膜炎,気腫性 胆囊炎などを示唆する所見)

軽症急性胆囊炎(Grade Ⅰ)
 急性胆囊炎のうち,「中等症」,「重症」の基準を満たさないもの


👉「胆嚢」に関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2016-08-01

胆石と尿管結石のCT所見

胆石について

1割は見えない、9割は見える
http://遠隔画像診断.jp/archives/18338
という情報がある。
元ネタが出せなかったが、たしか3割は CT でも見えなかったという記憶があり、また9割見えるというのは少し多すぎる印象を持つ。
逆に胆汁よりも低吸収となっていることさえある。


尿管結石について

単純CTの感度、特異度、正診率はいずれも95%以上と報告されている
http://遠隔画像診断.jp/archives/5349
印象としてもほとんど見える。
少ない例外の一つは抗HIV薬によるインジナビル結石などは CT で描出されないことが報告されています。
(投稿者 小谷)

2016-11-18

松下金曜会 「黄疸」

黄疸のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 錯乱または精神機能の変化 ⇒ 胆管炎,敗血症,肝性脳障害,凝固障害による頭蓋内出血,低血糖など
  2. 歯肉出血または鼻出血 ⇒ 劇症肝不全による血小板減少,DIC,TTP,エバンス症候群(ITP+AIHA)など
  3. 妊娠 ⇒ 妊娠悪阻,妊娠による急性脂肪肝,子癇,HELLP症候群,妊娠による肝内胆汁うっ滞
  4. 濃い尿 ⇒ 急性溶血,横紋筋融解によるミオグロビン尿
  5. 意図しない体重減少 ⇒ 膵臓癌または肝胆道癌
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-03-13

セフトリアキソン(CTRX)とセフォタキシム(CTX)

第3世代セフェム系薬であり、抗菌スペクトラムはほぼ同様。
大きな違いとしては以下の点が挙げられる。

1.排泄経路
 CTRX:肝胆道排泄型(胆汁中に約45%排泄)
 CTX:腎排泄型
→・腎障害時にはCTRX、肝障害時にはCTXが推奨される。
・尿路感染症に対しては腎排泄型のCTXが有利と考えられる。(ただし、JAID/JSC感染症治療ガイドラインではCTRXのみの記載)

2.半減期
CTRX:7~8時間
CTX:1時間未満
→・CTRXの半減期は既存のセフェム系薬に比べて非常に長く、1日1回の投与が可能。CTXは1日3~4回の投与が必要。

(投稿者 小森)

2020-09-25

ALP分画

🚑 現場中継
  • 動悸で紹介された症例のALPが1651 U/L(当院参考値:1-340)でした

🐣 ALP(Alkaline Phosphatase,アルカリホスファターゼ)
  • アルカリ性条件下でリン酸エステル化合物を加水分解する酵素
  • 6つの分画に分類(食事の影響を受けるため空腹時採血を推奨)

🐥 各分画の意義以前の復習
  1. ALP1分画 ➜ 肝胆道の閉塞などで出現
  2. ALP2分画 ➜ 肝胆道疾患などで上昇
  3. ALP3分画 ➜ 骨生成疾患などで上昇
  4. ALP4分画 ➜ 胎盤由来(主に妊娠時に出現)
  5. ALP5分画 ➜ 小腸由来で脂肪食後や肝硬変で上昇
  6. ALP6分画 ➜ 免疫グロブリンと結合したALP

🐤 実際の疾患
  • 肝硬変(ALP2またはALP2+5)
  • 肝細胞癌(ALP2またはALP1+2)
  • 胆管癌・肝内結石・閉塞性黄疸(ALP1+2)
  • 原発性胆汁性肝硬変(ALP2またはALP1+2)
  • 慢性肝炎・脂肪肝(ALP2ときにALP1+2)
  • 副甲状腺機能亢進症・くる病・骨肉腫(ALP3)
  • 転移性骨腫瘍(造骨性)(ALP3)
  • 悪性腫瘍(骨・肝転移なし)(ALP2+4)
  • 甲状腺機能亢進症(ALP3)
  • 慢性腎不全(ALP2+3、ALP2+5)
  • ウイルス性肝炎・アルコール性肝炎・薬剤性肝障害(ALP2)

🚑 続き+α
  • 最終的に本例の高ALP血症は甲状腺機能亢進症(バセドウ病の疑い)に関連する病態と考えられました(ただし分画は未測定)
  • 知人の医師は3000台のALPを経験したことがあるようです.その原因は副甲状腺機能亢進症で,術後に正常化したそうです
  • ALPは血液型と関連したり(過去の投稿),低値で亜鉛欠乏を疑ったり(過去の投稿),地味だけどかなり個性的な血液マーカーです

(投稿者 川崎)

2021-07-01

ワルファリンとβ-ラクタム系抗菌薬の相互作用

 相互作用の内容 

ワルファリンの作用を増強する。

抗菌薬投与中のビタミンK欠乏症は多数報告されている。特に、その構造にN-methylthiotetrazoleNMTT)基を持つ抗菌薬は投与中の出血傾向の報告が多い(CMZ,CPZ,LMOX等)。NMTT基はビタミンK依存性凝固因子合成過程でビタミンK利用障害作用を有する。


 相互作用の機序 

  • ビタミンK産生腸内細菌を抑制して、ビタミンK産生を抑制する。
  • 肝細胞のビタミンK依存性凝固因子の生成を阻害する。
  • 腸管からのビタミンK吸収を阻害する。

 併用時の注意 

血液凝固能の変動に注意し、ワルファリンを減量するなど慎重に投与すること。

低プロトロンビン血症は抗菌薬によっても増強されることを念頭に置いておく。

ビタミンK欠乏症を発症する危険因子としては、

  1. 広域スペクトルの抗菌薬(ビタミンK産生グラム陰性桿菌の抑制)
  2. 胆汁移行率の良い抗菌薬
  3. 肝・腎毒性の強い抗菌薬
  4. NMTT基を有する抗菌薬

などがあげられる。

 【参考:Warfarin適正使用情報 第3(エーザイ株式会社)

(投稿者 小森)

2024-08-03

肥厚性幽門狭窄症 Hypertrophic pyloric stenosis

  • 概要:胃幽門筋が肥厚するため胃内容の通過困難を生じた状態
  • 疫学:出生1000人に対し約1~2人で男女比は4~5:1(特に第1子)
  • 症状:出生後2週目頃から2か月ぐらいで無胆汁性の噴水状嘔吐
  • 診断:エコーで幽門筋肥厚(>4mm)と幽門管延長(>14mm)
  • 治療:硫酸アトロピン,外科的粘膜外幽門筋切開術(Ramstedt法)


肥厚性幽門狭窄が疑われた4週齢男児の腹部超音波検査
a カーソル間の幽門の縦断図 (GB,胆嚢;D1,十二指腸の最初の部分;S,胃),b 幽門の横断図 (矢印;L,内腔)

(投稿者 川崎)

2017-04-25

肉芽腫性疾患 Granulomatous disease

炎症細胞が集まり周囲をリンパ球や形質細胞,線維組織が取り囲んでいる巣状病変のこと
組織に侵入した異物を貪食・分解できない時,隔離するため形成される炎症反応のひとつ

代表的疾患
  • サルコイドーシス,結核,ヒストプラスマ症(真菌感染症の1つ)

その他の疾患
  • 感染症(梅毒・住血吸虫症・アメーバ赤痢・回虫症・腸チフス・野兎病・猫ひっかき病・心内膜炎・ウィップル病・ノカルジア症・非定型抗酸菌症・アスペルギルス症・Q熱・ハンセン病など),鼠径リンパ肉芽腫,リンパ腫,炎症性腸疾患,血管炎および結合組織病(多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・巨細胞性動脈炎・アレルギー性血管炎など),結節性紅斑,薬剤性,異物(硫酸バリウム・造影剤・脂質・縫合糸など),肝胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎・脂肪肝・脂肪肉芽腫など)

(投稿者 川崎)

2026-02-25

シロタ株 strain Shirota

  • 乳酸菌の一種であるラクトバチルス属カゼイの株の1つ(通気嫌気性菌)
  • 乳酸菌は乳糖やブドウ糖など糖類を代謝し乳酸を多量に作る細菌の総称 
  • 1930年に現京都大学の医学博士 代田 稔ヤクルト創始者)が発見した
  • その別名はヤクルト菌やLCS,L.カゼイ・シロタ株,乳酸菌シロタ株など
  • 耐酸性で胃液や胆汁中でも多くは死滅せず最終的に排便まで生き続ける
  • 整腸効果に加えて宿主免疫改善,発癌リスク低減,アレルギー抑制など
  • ヤクルト400やYakult1000の数字は通常,含有されている株の億単位個数


(命題「乳酸菌 シロタ株を説明する1枚の画像」に対するAIの回答)

(投稿者 川崎)