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2022-04-30

まごはやさし(こ):孫は優しい(子)

👶 概略
  • まごはやさし=日本の伝統食材で,日本人が昔から食べてきた健康食品
  • まごはやさしこ=金沢の醤油味噌蔵「ヤマト醤油味噌」の食品ブランド

  1. 【ま】 まめ類(大豆加工品)
  2. 【ご】 ごま(種実類)
  3. 【わ】 わかめ(海藻類)
  4. 【や】 やさい(山菜含む)
  5. 【さ】 さかな(魚介類) 
  6. 【し】 しいたけ(キノコ類)
  7. 【い】 イモ類(こんにゃく含)
  8. 【こ】 こうじ(発酵食品)

💁 食事に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-04-29

NSAIDs 👾 心不全

  • 心不全の増悪因子は多数あります(覚え方の一例:FAILURE).薬剤性も臨床ではしばしば経験され,特に非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs: NSAIDs)による増悪が知られています(ガイドラインにも明記
  • NSAIDsが心不全を悪化させる機序に,輸入細動脈の収縮による腎血流量低下やループ利尿薬の尿細管分泌阻害があります.よってNSAIDsの安易な服用は避け,必要に応じてアセトアミノフェンやトラマドール等の代替薬を提案(
  • NSAIDsの添付文章には「腎のPG生合成抑制で循環体液量が増え心仕事量が増加するおそれ」と記されています(例:ロキソニン®).経皮鎮痛消炎剤に記載はないようですが注意は必要(モーラステープL®5枚=ロキソニン®1日分:引用
💁 NSAIDsに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-04-28

🎯 今週の一枚

人名が冠された身体所見3つとは?



(投稿者 川崎)

2022-04-27

復習 👻 失神

問題 危険な失神は?





判定

😉 追加情報


(投稿者 川崎)

2022-04-26

収縮性心膜炎の重症度判定

腹部膨満感を訴える大動脈弁置換術後の症例


👄 解説
  • 本例は座位で自然呼吸時と深吸気負荷時のいずれにも頸静脈拍動なし
  • しかし臥位では外頸静脈の拍動を視認可能(内頸静脈はやはり不明瞭)
  • 急峻y下行(フリードライヒ徴候)と深吸気時怒張(クスマウル徴候)
  • 本例は最終的に収縮性心内膜炎と診断されたが利尿薬のみで症状改善

👅 独り言
  • 身体所見と心エコー図は良きライバルです.前者は””の評価に優れ,後者は””の描出が得意です.よって「フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒
  • 日々の臨床では基礎疾患の診断だけでなく,その重症度まで判定する必要があります.大動脈弁狭窄症ではやはり心エコー図に分がありそうです(過去の投稿
  • しかし心不全の診断と重症度判定ではフィジカルが勝っています.収縮性心膜炎においてはフィジカルの圧勝と思います 😊 自験例:重症,中等症=本例,軽症
個人的に感じている収縮性心膜炎のフィジカル重症度

座 位 臥 位
フリードライヒ徴候 クスマウル徴候 フリードライヒ徴候 クスマウル徴候
重症 ⭕️ ⭕️ - -
中等症 ✖️ ✖️ ⭕️ ⭕️
軽症 ✖️ ✖️ 呼気時 ✖️
吸気時 ⭕️
⭕️

👿「収縮性心膜炎」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-04-25

先日のカンファレンスから…

現場中継 💨
  • 指導医 「失神を生じる原因は?」
  • 研修医 「起立性低血圧」
  • 指導医 「その他には?」
  • 専攻医 「体位変換性の失神」
  • 指導医 「それはトートロジーだよ」

💀 トートロジー(tautology)
  • 【名】同義語反復,類語反復(発音:tɔtɑ́lədʒi/トトロジィ/音声
  • 実例:俺はオレだから,記憶喪失で記憶なし,楽しいといえば楽しい
  • あまり意味をなさない表現で,ネガティブな印象を与えることが多い

🉐 指導医 vs 研修医に関連する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)

2022-04-24

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

閉塞性動脈硬化症 乳がん 肺がん
運動負荷Tl心筋SPECTの撮像後に下肢を撮像(上)、Tl心筋イメージングのplanar像(中)AMIのPYP/Tl同時投与によるイメージングのplanar像(下)
済生会滋賀県病院循環器内科提供
済生会滋賀県病院循環器内科提供



(投稿者 杉原)

2022-04-23

たこつぼ漁

  • 医学生 「今回のクリクラではたこつぼ心筋症が印象的でした」
  • 指導医 「おもしろい病名だろう,日本人が見つけたんだ 😤」
  • 医学生 「でも蛸壺ってあんな形じゃないんですけど...」
  • 指導医 「蛸壺の形?」
  • 医学生 「おじいちゃんの代まで和歌山でタコ漁をやってました」
  • 指導医 「マジ?」
  • 医学生 「家の周りにタコ壺がいっぱい転がっているんです」

📷 実際の実家周囲の写真

🐙 ひとり言
  • たこつぼ心筋症の名付け親は広島市民病院の佐藤 光先生です.1983年に第1例を経験され,1990年に3例報告(多枝 spasm により特異な左室造影像「ツボ型」を示した stunned myocardium.臨床からみた心筋細胞障害,児玉和久,土師一夫,堀 正二(編),1990:p56-64) 
  •  佐藤先生は実際のたこつぼ漁は知らないそうですが,神戸大学出身(1963年卒)で明石のタコ漁が有名であったため思いついたそうです(心臓 2006;38:872-81).上記の角ばった蛸壺は一般的な形態ではないかもしれませんが,佐藤先生が和歌山出身ならこの病名はなかったかも
💁 研修医と指導医のやり取りに関する過去の投稿 ➜ コチラ


(投稿者 加納/川崎)

2022-04-22

🏆 論文

  • 当院の初期研修医である土橋先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の胸痛で紹介受診して身体所見のばち指から肺癌合併の診断に至りました
  • 肺癌 ➜ 狭心症の順に治療を行い,バチ指も経時的に改善しています(下の写真)


😀 追加コメント
  • 本例は右肺尖部の肺癌で,パンコースト腫瘍として胸痛を生じることがあります(パンコースト症候群).しかし本例の胸痛は典型的な労作性でした.実際に肺癌切除後も胸痛は続き,冠動脈の治療後に消失しました.
  • バチ指(Clubbed finger)を生じる機序として,「肺内シャントを通過した凝集血小板や巨核球から放出される血小板由来増殖因子で爪床下の軟部組織が増殖する」ことが推測されています(J Pathol 2004;203:721-8
  • 本例のばち指改善は肺癌の術後から始まりました.しかし冠動脈治療に関連して開始された抗血小板による効果もあったのかもしれません.両者の関係に言及した論文 ➜ J Am Acad Dermatol 2005;52:1020-8

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-04-21

🎯 今週の一枚

労作時の動悸で来院した症例



(投稿者 川崎)

2022-04-20

第119回日本内科学会講演会

😊 当院初期研修医が「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ」で発表
  • 演題 265 意識障害を呈する患者の身体所見から神経精神ループス(NPSLE)を疑い,ステロイドパルス療法が奏効した1例(総合診療科 土橋 哉仁先生)
  • 演題 268 子宮内膜癌を合併し多量の胸腹水を伴ったSLEの一例(総合診療科 河野 泰己先生)
  • 演題 352 多発筋膿瘍と亜急性の経過で進行する髄膜炎を認めた1例(総合診療科 熊田 早紀子先生)
  • 演題 371 貧血を伴う前立腺癌の背景に寒冷凝集素症を発見した一例(総合診療科 梶 健太郎先生)

😀 個人的感想
  • いずれも複雑な病態の症例でしたがとても良い発表でした 🎉
  • 山根先生をはじめ指導医の先生方も本当にお疲れ様でした 👍 

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2022-04-19

低カリウム血症と症状

🔍 松下調査隊
  • 昨日のカンファレンスで脱力を呈した低カリウムの症例が提示されました.その時にカリウム値と症状との関連が話題にあがったので調べてみました.
  • もちろん低値であるほうが脱力などの神経症状は出やすいようですが,3.0mEq/L以上の値でも2割程度の症例に出現していることには要注目です(下表)
  • K値に加えて変化したスピードも関連していると予想します.これは心膜液と心タンポナーデの関係と同じかも 😛 つまり絶対量より貯留速度が重要!

表中のカリウムの単位はmmol/Lですが1価のイオンなのでmEq/Lと同じです

💁 カリウムに関連する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-04-18

👴 歴史クイズ

(Public Domain)



(投稿者 川崎)

2022-04-17

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

右房・左房の描出
各種右心負荷疾患(上)と高血圧性心不全末期症例(下)の安静時Tl心筋planar正面像
Adachi et al : J Nucl Med ;21:914-918 ,1980



(投稿者 杉原)

2022-04-16

経口血糖降下薬

  • 非専門医にとっては混乱することが多くなってきたので(😱 僕だけ?),一度整理してみました

機序 分類 商品名®(一般名) 作用
インスリン分泌:促進 SGLT2阻害 カナグル®(カナグリフロジン),ジャディアンス®(エンパグリフロジン),フォシーガ®(ダパフリグロジン),スーグラ®(イプラグリフロジン),ルセフィ®(ルセオグリフロジン)など 腎でのブドウ糖の再吸収阻害
ビグアナイド メトグルコ®・グリコラン®(メトホルミン)など 肝の糖産生を抑制
α-グルコシダーゼ阻害 グルコバイ®(アカルボース),ベイスン®(ボグリボース),セイブル®(ミグリトール) 腸での炭水化物の分解遅延
チアゾリジン アクトス®(ピオグリタゾン) 筋や肝のインスリン抵抗性を改善
インスリン分泌:促進 DPP-4阻害 トラゼンタ®(リナグリプチン),テネリア®(テネリグリプチン),グラクティブ®(シタグリプチン),ジャヌビア®(シタグリプチン),エクア®(ビルダグリプチン),オングリザ®(サキサグリプチン),スイニー®(アナグリプチン),マリゼブ®(オマリグリプチン)など
インスリン分泌促進+グルカゴン分泌抑制
GLP-1受容体作動 リベルサス®(セマグルチド) インスリン分泌促進+グルカゴン分泌抑制
SU(スルホニル尿素) オイグルコン®・ダオニール®(グリベンクラミド),アマリール®(グリメピリド),グリミクロン®(グリクラシド) インスリンの分泌促進
グリニド スターシス®・ファスティック®(ナテグリニド),グルファスト®(ミチグリニド),シュアポスト®(レパグリニド) 速やかなインスリン分泌促進


医療事故 合併症
(投稿者 川崎)

2022-04-15

NaSSA ナッサ

  • Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略語
  • 邦名はノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
  • 機序は中枢神経のノルアドレナリンとセロトニンの神経伝達増強
  • 他の抗うつ薬には三環系抗うつ薬,四環系抗うつ薬,SSRI,SNRI
  • 厳密にいえばNaSSA(ナッサ)は四環系抗うつ薬の改良版である
  • SSRIやSNRIと比較すると,短時間で効果が発現して効果は持続的

(投稿者 川崎)

2022-04-14

🎯 今週の一枚

ERに搬入された症例の動脈血ガス分析.正しい評価は?





判定

😉 解説
  • 酸塩基平衡が崩れると生じる代償機転では必ずPCO2とHCO3-が同じ方向に動く
  • 両者が逆向の反応なら混合性のアシドーシス or アルカローシス(つまり重篤)
  • 考えなくても反応できる練習が必要 ➜ 一晩で学べる無料ゲーム「血ガス30

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-04-13

クスマウル徴候:陰性? 陽性?

慢性心不全の増悪で来院した症例

🐤 解説
  • 座位で外頸静脈を明瞭に視認できる.呼吸性変動(吸気時に虚脱)があるため中心静脈圧の判定に利用可能(外頸静脈は内頸静脈と異なり逆流防止弁の効果が強いため,呼吸性変動がない場合はあまり信用できない).
  • 外頸静脈は呼気時には怒張しているが,吸気時には虚脱するためクスマウル徴候(Kussmaul's sign)は陰性と判断.しかし深吸気保持(ビデオ後半)では外頸静脈の怒張が出現しているためクスマウル徴候は陽性?
  • 内頸静脈の拍動も鎖骨上窩(矢頭)で観察できるため,中心静脈圧は確実に上昇している.忘れがちな 前頸静脈(Anterior jugular vein:矢印)は吸気時に拍動が明瞭で,広義のクスマウル徴候陽性と考えられる.

🐥 独り言
  • ドイツの医師 アドルフ・クスマウル が発見したこの負荷法は,非常に奥が深いと思います.臨床現場では本例のように複雑な反応を示す例が散見されます.その詳細な原因は不明ですが,吸気時の胸腔内圧低下と静脈還流の増加にタイムラグがあるためかもしれません.肺の状態(例:肺葉切除後)などの影響を受けることもあるようです(自験例).個人的にはとても気に入っている負荷なので,あまり深く考えずにほぼ全例に行なっています 😊

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(投稿者 川崎)

2022-04-12

Uremic frost 尿素霜

  • 血中尿素の増加に伴い汗中の尿素濃度が上昇して皮膚に尿素が付着した状態
  • 末期腎不全を反映する皮膚所見で古くから知られている(Hirschsprung, 1865)
  • 頻度は極めて稀(1%未満)()で尿素窒素が200 mg/dl以上と関連(


💁 腎不全の関連投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-04-11

オスキー OSCE

  • Objective Structured Clinical Examination の略で邦名は 客観的臨床能力試験
  • スコットランドの Harden らによって開発(Br Med J 1975;1(5955):447-51
  • 教えた内容が実際に身についているか否かを判定するために用いられるテスト
  • 日本の医学部などでは臨床実習前に OSCE と CBT の2つに合格することが条件

循環器領域で求められる内容の例共用試験OSCE資料より)


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(投稿者 川崎)

2022-04-10

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

大動脈弁狭窄症の心内膜下虚血
冠動脈狭窄のない大動脈弁狭窄症の運動負荷Tl心筋SPECT(上)と左前下行枝の冠血流速波形(下)
馬本郁男、他 : 核医学、28:749-757,1991



(投稿者 杉原)

2022-04-09

不整脈時にはMgも意識しよう!

トルサード・ド・ポアント例でマグネシウム濃度が1.3 mg/dLでした(基準値1.8~2.6)

  • 電解質異常に関連する致死性の頻脈性不整脈といえば低カリウム血症が有名ですが,低マグネシウム血症も忘れるわけにはいきません.実際に臨床現場ではTdP型心室頻拍に対してマグネシウム1~2gを緩徐に静注することあり(保険上の適用はないがガイドラインには記載)
  • 低マグネシウム血症による心室性不整脈の機序は不明な点が多いようですが,①低Mg血症が腎尿細管のイオンチャネルを介して低カリウム血症を惹起,②心筋細胞内のMg濃度が低下すると遅延整流外向きK電流が増加し感受性が上昇などが想定(心臓 2015;47:50-4

👿 トルサードに関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-04-08

Revised Cardiac Risk Index: RCRI

👹 概略
  1. 高リスク手術(鼠径上の血管または腹腔内・胸腔内の手術 )
  2. 虚血性心疾患の既往 
  3. 心不全の既往
  4. 脳血管障害(脳卒中あるいは一過性脳虚血)の既往
  5. インスリンを要する糖尿病
  6. 腎機能障害(Cr >2.0 mg/dL)

👺 判定例Can J Cardiol 2017;33:17-32
  • 0点=3.9%, 1点=6.0%, 2点=10.1%, 3点以上=15%

💁 リスク評価に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-04-07

🎯 今週の一枚

心電図診断で適切なものはどれ?





判定

😋 解説
  • 基本ルール:I誘導はP波,QRS,T波がすべて上向き/逆にaVR誘導は下向き
  • 間違えた誘導を考えると混乱するけど,付け間違いだけなら簡単(下は再検)
  • 右胸心なら胸部誘導でR波が減高する(実例:内臓逆位症例左緊張性気胸

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-04-06

😳 ちょっとマニアックだけど…

ある慢性疾患で通院中の症例



(投稿者 川崎)

2022-04-05

ウーダ・ループ OODA loop

業務を有効に進めるためのマネジメントモデル
  1. Observe(観察)
  2. Orient(方向付け)
  3. Decide(決定)
  4. Action(行動)

😎 おまけ
  • ビジネスの世界(医療現場を含む)でPDCAサイクルSDCAサイクルが知られています.いずれも事前準備が必要です(前者はPlan:計画,後者はStandardize:標準化).
  • しかしOODAループは観察から入るため,迅速かつ柔軟に対応できます.空中戦に挑むパイロットの意思決定として,米国空軍で開発されたと聞けば納得です.

💁 ビジネスの関連投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-04-04

HCMとⅢ音

  • 肥大型心筋症の心音といえば巨大Ⅳ音ですが,Ⅲ音を聴診することも稀ではありません
  • 当院の検討では心不全徴候のないHCM 53例中13%にⅢ音あり(Circ J 2018;82:509-16
  • 本対象の肥大型心筋症では,Ⅲ音は心臓MRの遅延造影で判定した左室の線維化と関連

上段例はⅢ音があり(A)遅延造影あり(C)・下段例はⅢ音なく(D)遅延造影もなし(F) 

Ⅲ音は遅延造影と関連するがⅣ音は関連しない

👿「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-04-03

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心尖部肥大型心筋症における心筋虚血と拡張期奇異性血流(心エコー)
心尖部肥大型心筋症の運動負荷Tl心筋SPECT(上)と トレッドミル負荷前後の心エコー図(下)
A 収縮期の左室流出部への正常血流 B 拡張期の心尖部への正常血流 C 正常血流のM-モード EおよびF 運動負荷後の拡張早期に心尖部から基部に向かうparadoxical jet flow
(Takeoka M et al : J Cardiol Cases. Jan 9;23(4):170-172 ; 2021)



(投稿者 杉原)

2022-04-02

電気的洞調律・機械的心房細動ほか

月刊「心エコー」の2022年4月号に林田晃寛先生(心臓病センター榊原病院)が執筆された「左室拡張機能の評価」(P370-379)が秀逸だったため一部を要約

  • 貧血による循環器血液量増加も重要な心不全の原因
  • 右心不全(中心静脈圧の上昇)があると,徐脈では循環が回せない
  • 僧帽弁通過血流速度波形と組織ドプラ,肺静脈血流速度波形の組み合わせで,左室stiffness,左房stiffness,心房内伝導障害を鑑別
  • 僧帽弁血流速度波形にてA波が,組織ドプラにてa'が明らかでない場合は,左房stiffness synderomeを念頭に置いて治療する必要がある

おまけ 😂 名言!
  • いくら拡張機能に精通しても,患者さんを不幸にするようではダメですよ.
  • 読んでくれている貴女(男性でも可)が笑顔になってくれるのであれば,小生のSNSに反響がなくとも,原稿料が安くとも小生は幸せである.
  • 小生は,このような症例を電気的洞調律,機械的心房細動と呼んでいるが,世の中に流行っている形跡はない.

💁 名言に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

タスク・シフト & タスク・シェア

👥 医師の負担軽減のための提案
  1. タスク・シフト ➜ 医師の仕事の一部を他職種に任せること
  2. タスク・シェア ➜ 医師の仕事を複数の職種で分け合うこと

👤 補足
  • 2024年4月から勤務医にも時間外労働規制(いわゆる「働き方改革」)が適応されるため,タスクのシフト・シェアはとても大切です.2015年に看護師に対して「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されて,臨床現場での分業が実際に進んでいます.また将来的には診療放射線技師による静脈確保なども想定されているようです.

(投稿者 川崎)

2022-04-01

急性心膜炎の治療

😐 ひとり言
  • 循環器病ガイドラインシリーズ は最新の循環器疾患を網羅し,無料公開されているのでとても重宝します.しかし感染性心内膜炎を除く心膜疾患,特に急性心膜炎に関する記載は限られています.例えば心筋炎の合併症として言及されていますが,そのガイドライン自体が古くなっています(2009年版).合併症を伴わない心膜炎で治療に難渋することは稀ですが,再発例が散見されるためガイドラインがあると臨床現場は助かるのですが…
(僕が知らないだけならスイマセン 🙏)
  • 合併症を伴わない急性心膜炎の治療は対症療法が中心で,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンへの反応は良好(引用1).治療期間に対する明確な基準は確立されていないが,1-2週間のNSAIDs投与と3ヵ月のコルヒチン継続(0.5㎎を1日2回)は妥当(引用2)
  • 急性心膜炎は10~20%で再発し(引用1),女性およびNSAIDsの初期治療無効例に再発が多い(引用3).急性心膜炎の再発時にはコルヒチンを併用したNSAIDsの再導入と長期投与が有効な治療方法(引用1)
  • 心膜炎が再発した100例の後ろ向き検討では,プレドニゾロンの高用量投与群(1.0 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)は,低用量投与群(0.2~0.5 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)よりも重篤な副作用の出現や心膜炎の再発,入院が高率(ハザード比 3.61)(引用3)
  • 急性心膜炎発症後の慢性期合併症には,再発に加えて収縮性心膜炎への移行が知られている.しかし原因が同定できなかった急性心膜炎例の検討では61ヵ月の経過観察中に収縮性心膜炎を発症した症例はなし(引用4)

【引用論文】
  1. N Engl J Med 2014;371:2410-6
  2. N Engl J Med 2013;369:1522-8
  3. Circulation 2008;118:667-71
  4. Am J Cardiol 2007;100:1026-8

💁 心膜炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)