心尖部肥大型心筋症における心筋虚血と拡張期奇異性血流(心エコー)
心尖部肥大型心筋症の運動負荷Tl心筋SPECT(上)と
トレッドミル負荷前後の心エコー図(下)
A 収縮期の左室流出部への正常血流 B 拡張期の心尖部への正常血流 C 正常血流のM-モード EおよびF 運動負荷後の拡張早期に心尖部から基部に向かうparadoxical jet flow (Takeoka M et al : J Cardiol Cases. Jan 9;23(4):170-172 ; 2021)
💚 解説
心尖部の最大壁厚は27mmであった。運動負荷Tl心筋イメージングでは心尖部に一過性集積低下が認められる。 本症例にトレッドミル負荷前後で心エコー検査を実行した。 もちろん、目的は心尖部腔を有する心尖部肥大型心筋症で認められるparadoxical jet flowが、心尖部腔を有さない例で負荷後に一過性に検出されるかを検討するためである。 負荷前にはなかったparadoxical jet flowが負荷後に見事に検出され、しかも負荷後6分間持続した。
👤
うら話
著者の仲間には心エコーの臨床・研究に優れた循環器内科医がおり、信頼度が高い。 この構想は以前よりあったが、皆で相談の上、本症例を運動負荷前後に心エコーで検討をしてもらった。 運動負荷直後にparadoxical jet flowが検出された。 運動負荷で心筋虚血を生じる症例における負荷によるparadoxical jet flow の検出はまさに“匠のなす技”と言える。 長期経過観察の必要な本疾患をfollowする上で、記憶に留めたい所見である。 Nakamuraらにより発見され、名付けられたparadoxical jet flowは、その有用性が認識され、聴診可能例の発見、運動負荷による検出と進化が続いている。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は
コチラ (PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)