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2025-09-14

把握対象疾患

👀 先日のカンファレンスで…
  • カルバペネム耐性緑膿菌(カルバペネマーゼ陰性)の届け出が議論されました.届け出を要する感染症(1類~5類)も更新されているため再度まとめておきます.
  • 届け出を要する耐性菌は下記の赤文字です.ちなみに薬剤耐性緑膿菌感染症は定点把握対象疾患ですが,当院は現在定点医療機関ではないため届け出は不要でした.


👺 全数把握対象疾患(全ての医療機関から報告される疾患)
一類感染症
エボラ出血熱,クリミア・コンゴ出血熱,痘そう(天然痘),南米出血熱,マールブルグ病,ラッサ熱,ペスト

二類感染症
急性灰白髄炎(ポリオ),結核,ジフテリア,重症急性呼吸器症候群(SARS),中東呼吸器症候群(MERS),鳥インフルエンザ(H5N1),鳥インフルエンザ(H7N9)

三類感染症
コレラ,腸管出血性大腸菌感染症,細菌性赤痢,腸チフス・パラチフス

四類感染症
E型肝炎,A型肝炎,エキノコックス症,エムポックス(サル痘),黄熱,オウム病,回帰熱,Q熱,コクシジオイデス症,ジカウイルス感染症,ダニ媒介脳炎,炭疽,つつが虫病,鳥インフルエンザ,ボツリヌス症,マラリア,野兎症,ライム病,リフトバレー熱,類鼻疽,レジオネラ症,ウエストナイル熱,狂犬病,重症熱性血小板減少症候群(SFTS),チクングニア熱,デング熱,日本紅斑熱,日本脳炎,ハンタウイルス肺症候群,ブルセラ症,レプトスピラ症,ロッキー山紅斑熱

五類感染症
アメーバ赤痢,ウイルス性肝炎(A型・E型を除く),カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症,急性脳炎クリプトスポリジウム症,クロイツフェルト・ヤコブ病,劇症型溶血性レンサ球菌感染症,後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS),ジアルジア症,侵襲性インフルエンザ菌感染症,侵襲性髄膜炎菌感染症,侵襲性肺炎球菌感染症,先天性風しん症候群(CRS),梅毒,播種性クリプトコックス症,破傷風,バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症バンコマイシン耐性腸球菌感染症,百日咳,風しん,麻しん,薬剤耐性アシネトバクター感染症

👹 定点把握対象疾患(定点医療機関<指定医療機関>より報告される疾患)
RSウイルス感染症,咽頭結膜熱(プール熱),A群溶血性レンサ球菌咽頭炎,感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス等),水痘,手足口病,伝染性紅斑,突発性発しん,ヘルパンギーナ,流行性耳下腺炎,インフルエンザ,新型コロナウイルス感染症,急性呼吸器感染症,急性出血性結膜炎,流行性角結膜炎,クラミジア肺炎(オウム病を除く),細菌性髄膜炎(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を原因として同定された場合を除く),マイコプラズマ肺炎,無菌性髄膜炎,性器クラミジア感染症,性器ヘルペスウイルス感染症,尖圭コンジローマ,淋菌感染症,ペニシリン耐性肺炎球菌感染症メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症薬剤耐性緑膿菌感染症

(投稿者 川崎)

2022-11-22

AMR:非医療従事者にも浸透してきた?

大阪の地下鉄Osaka Metroでも掲示されているポスター
(2022年11月はAMR対策推進月間です)

  • AMR (Antimicrobial resistance)=薬剤耐性
  • 抗菌薬の不適切使用を背景とした薬剤耐性菌が世界的に増加
  • 2015年の世界保健総会ではAMRに関する国家行動計画を要求

💁 耐性菌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-04-12

旅行者下痢とコレラ

💧 市中感染性下痢症
  • 細菌 ➜ カンピロバクター属,ウェルシュ菌,サルモネラ属,腸炎ビブリオ,下痢原性大腸菌など(夏季に多い)
  • ウイルス ➜ ノロウイルスとロタウイルスなど(冬季に多い)

💦 旅行者下痢症
  • 細菌性(約8割)➜ 下痢原性大腸菌,カンピロバクター属が多い.他にジアルジア,赤痢菌,コレラ菌,チフス菌,パラチフスA菌など
  • 寄生虫性(約1割)
  • ウイルス性(約1割)


👾 コレラ(Cholera) 
  • 原因 汽水域に棲息している細菌 Vibrio cholerae によるコレラ毒素
  • 特徴 急性炎症反応を生じることなく上皮細胞の吸収分泌機構を破綻
  • 経路 水や食物を介した糞口感染から成立(宿主となるのはヒトのみ)
  • 潜伏 数時間から5日間(通常は1~3日位)で突然の大量下痢で発症
  • 疫学 本邦で年10例程(多くはフィリピン,インド,タイの海外渡航)
  • 症状 1日10㍑~の下痢(腹痛や悪心,嘔吐は比較的軽度で発熱は稀)
  • 便性 “米のとぎ汁様”の白色〜灰白色の水様便で,甘くて生臭いにおい
  • 治療 大量補液+ニューキノロン系抗菌薬(耐性ならアジスロマイシン)


 😐 独り言
  • コレラは有名な病気だけど意外に診断方法は知られていないと思います.グラム染色ではコンマ状の湾曲したグラム陰性桿菌で,流れ星様の運動を認めると報告されていますが,検鏡による診断は困難なようです.通常は下記の様な特殊培地で培養して診断します(概ね24時間で推定可能).当院の細菌検査室では10年以上,コレラ菌は検出されていないようです.

(投稿者 川崎)

2020-11-08

NHCAP エヌエイチキャップ

👀 サマリー
  • Nursing and HealthCare Associated Pneumoniaの略(=医療・介護関連肺炎)
  • NHCAPの特徴は薬剤耐性菌が多く,予後が不良で救急外来からの入院が多い
  • 2005年に米国学会が共同提案(Am J Respir Crit Care Med 2005;171:388-416

 定義  以下のいずれかに該当する場合(日本呼吸器学会ガイドライン
  1. 長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床を含)
  2. 90日以内に病院を退院した
  3. 介護(PS 3以上)を必要とする高齢者、身障者
  4. 通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬等による治療)を受けている

日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2014;24:33-6
CAP: community-acquired pneumonia(市中肺炎)
HAP: hospital acquired pneumonia(院内肺炎)

👽 NHCAPの発症機序
  1. 誤嚥性肺炎
  2. インフルエンザ後の二次性細菌性肺炎
  3. 透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)
  4. 免疫抑制薬や抗癌剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎


(投稿者 川崎)

2020-11-06

グラム染色クイズ

胆管炎が疑われる症例の血培のグラム染色(強拡大=1000倍)


(投稿者 川崎)

2020-09-04

久しぶりのグラム染色です

腎盂腎炎が遷延した症例の血液培養グラム染色(強拡大)

🔍 解説
  • 大きなグラム陽性菌であり,酵母真菌が疑われる(=カンジタ感染症)
  • 当院のカンジタは約80%がアルビカンスで,残りの多くがグラブラータ
  • 菌糸が目立たないためグラブラータが疑われるが鑑別には培養が必要
  • 本例は最終的にカンジタ・クルーセイ(Candida krusei)と診断された

😋 カンジタ・クルーセイC. krusei
  • カンジタ属の数%と稀で,一回り大きい「長粒米」のような形態が特徴.標準的な抗真菌剤であるフルコナゾール(FLCZ)に耐性があるため,ミカファンギン(MCFG)あるいはアムホテシリンB脂質製剤(L-AMB)で加療する.
  • カカオ豆からチョコレート🍩を作る過程で,クルーセイによる発酵が苦味の除去に活躍している様です().クルーセイはお酒🍶の匂いがする点でもユニークな真菌(個人的には酒粕の匂いと思います).ちなみに他のカンジタの匂いはパン生地🍞

🚫 おまけ
  • 血液培養で真菌が検出されたら,眼科コンサルトを忘れずに.真菌性眼内炎は重度の視力障害や失明などに繋がります().

👿グラム染色の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2019-08-27

グラム染色

  • ケフラールを服用しているが咳嗽が続く子供の鼻汁のグラム染色(x1000倍)

  • 小さいグラム陰性桿菌(球桿菌)が散在 ➜ インフルエンザ菌または百日咳菌が疑われる
  • インフルエンザ菌なら培養翌日に大きなコロニー/耐性菌ならケフラールは効果が乏しい
  • 百日咳菌は培養困難(専用培地で1週間程度)➜ LAMP法の遺伝子検査なら数日で判明

本例は翌日に大きなコロニーが培地に形成され,インフルエンザ菌(BLNAR)であることが確認された.百日咳菌のLAMP法による遺伝子検査はコロニー陰性時に予定していたため実際にはオーダーはしなかった.

(投稿者 川崎)

2019-05-19

グラム染色クイズ

  • 肺炎による慢性左心不全の増悪で入院した高齢者の喀痰(強拡大 X1000倍)




(投稿者 川崎)

2019-03-03

2018年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (IV. ⾝体診察法・臨床⼿技~V. 疾病各論)

  1. Head turning signとは,質問にわからないことを医療者に悟られないよう付き添いの家族などに顔を振って確認しようとするような態度でアルツハイマー型認知症などで観察される
  2. 平成30年度現在,日本の現⾏の法律において認知症が疑われる患者は運転を行うことが禁止されている
  3. 筋肉内注射に際しては「推奨接種部位に大きな血管は存在しないため,あえて内筒を引いて血液の逆流のないことを確認する必要はない.そのまま薬液を注入する」と記載されている
  4. 亜鉛欠乏症は味覚障害の原因としては有名であるが,難治性褥瘡に関与していることを知ることも⾼齢者患者を診察する上で有用である
  5. 通常の帯下は常在菌である乳酸菌の影響で酸性であるが,細菌性膣症や萎縮性膣炎の場合にはアルカリ性となる.カンジダは常在菌であるためカンジダ外陰腟炎でのpHは低値である(4.5以下)
  6. 帝王切開術では以前は新生児への影響を考慮し臍帯結紮後に抗菌薬を投与していたが,近年では臍帯結紮前の抗菌薬投与を推奨(新生児の合併症に影響を与えることなく母体の手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)や子宮内膜炎が減少)
  7. 鉄欠乏性貧血に関連する病態:爪がもろくなる(匙状爪は有名だが頻度は5%),脱毛,Restless leg syndrome(24%),眼球の色調変化が変化(鉄欠乏に伴うコラーゲンの合成障害により青色強膜),頸部の血管雑音(Hyperdynamic stateによる)
  8. ビスフォスフォネート(Bisphosphonate:BP)はビタミンDやカルシウムと共に投与するべきである
  9. STDなら淋菌とクラミジアの混合感染が少なくいないため両方とも治療(淋菌はほぼペニシリン耐性でテトラサイクリンやフルオロキノロンも70~80%耐性).治療の簡便さからアジスロマイシン単回投与+セフトリアキソン点滴1回が良い

(投稿者 川崎)

2019-02-14

グラム染色

  • 尿路系感染症が疑われる症例の尿グラム染色(1000倍)
  • 検体の採取前日から抗菌の投与がすでに開始されていた

所見 👀
  • とても長いグラム陰性桿菌と好中球による貪食像を認める
  • グラム陰性桿菌は形態から菌種の推定が可能 ➜ コチラ
  • しかし本例のような長さのグラム陰性桿菌は通常はない

👱 解説
本症例の培養結果は通常の大腸菌で,ESBLなどの耐性菌ではなかった.うまく分裂できなくなった大腸菌の伸展化と考えられるが,抗菌薬で死に向かっている可能性と抗菌薬の効果が不十分で生き延びている可能性の二つが考えられる.臨床所見を参考に抗菌薬の増量や変更を考慮する必要がある.

類似投稿

(投稿者 川崎)

2019-01-20

グラム染色クイズ

  • ニューキノロン系抗菌薬を服用している免疫不全症例の喀痰のグラム染色(強拡大,×1000)




(投稿者 川崎)

2018-11-12

グラム染色クイズ

  • メロペネム投与中にもかかわらず発熱が続く肺炎症例の喀痰グラム染色(1000倍)




(投稿者 川崎)

2018-10-16

MEPM無効の細菌(可能性ありも含む)

  1. カルバペネム耐性緑膿菌(MDRP: multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa
  2. マルトフィリアStenotrophomonas maltophilia)(当院検出13例すべて耐性)
  3. カルバペネム耐性腸内細菌(CRE: carbapenem-resistant Enterobacteriaceae
  4. 多剤耐性アシネトバクター(MDRA: multidrug-resistant Acinetobacter baumannii
  5. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus
  6. 腸球菌(特にEnterococcus faecium
  7. ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP: penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae)(当院検出の1例耐性)
  8. コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS: coagulase-negative staphylococci)
  9. その他:マイコプラズマクラミドフィラレジオネラ、リケッチア,結核など

😈 当院アンチバイオグラム ➜ コチラ
💀 耐性菌の略語の一覧表 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2018-09-12

    緑膿菌に対する抗菌薬

    当院の2018年度アンチバイオグラム(Pseudomonas aeruginosa 91株数での検討)

    PIPC 98.9% CAZ 98.9% CZOP 96.7%
    CFPM 93.4% IPM 98.9% MEPM 100%
    DRPM 100% AZT 86.8% C/S 96.7%
    P/T 98.9% GM 91.2% TOB 97.8%
    AMK 97.8% MINO 3% LVFX 85.7%
    CPFX 89% ST 100% FOM 5.5%
    CL 96.7%

    😊 ややこしい略語の暗記には松下抗菌塾を活用してね(右下にリンク有)

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    (投稿者 川崎)

    2018-09-01

    リンクラ=淋菌+クラミジア

    尿道炎が疑われる男性の尿グラム染色(最近風俗に行ったと自己告白)

    • 好中球に貪食されたグラム陰性球菌 ➜ 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と診断
    • クラミジア(Chlamydia trachomatis)はグラムで染色されないため尿検体のPCR要
    • グラム陰性球菌のパターン ➜ 喀痰⇒モラクセラ,髄液⇒髄膜炎菌,性器⇒淋菌

    近年,淋菌の抗菌薬耐性化は顕著であり多剤耐性化が進んでいる(ペニシリン系抗菌薬はほとんど感受性がなく,テトラサイクリン系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬の耐性率は70~80%).一方,クラミジアはマクロライド・テトラサイクリン・キノロン系抗菌薬が有効であり耐性菌の広がりは少ない

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    (投稿者 川崎)

    2018-07-14

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    化学療法後の好中球減少中に肺炎を生じた症例の喀痰グラム染色(強拡大 ×1000)



    (投稿者 川崎)

    2018-05-27

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    重症虚血肢で壊死した拇指周辺の浸出液のグラム染色(強拡大 ×1000)
    当院受診前に他の医療機関で第一セフェム系の抗菌薬が投与されていた




    (投稿者 川崎)

    2018-05-12

    グラム染色クイズ

    抗菌薬に反応しない発熱が続くバルーン留置中の症例に対して尿グラム染色を行った(強拡大 X1000)



    (投稿者 川崎)

    2018-03-26

    血液培養

    1. 細菌が増殖するとガスが発生しボトル内圧が上昇 ➜ グラム染色と培養を行う
    2. 当院では感度を高めるため遠沈(3000回転×10分)後の沈澱物も観察している
    3. 培養液のグラム染色とシャーレ培養で菌が検出されなかったら偽陽性と判断


    • 本例では通常の塗抹,沈澱物いずれもグラム陰性球菌の集簇(クラスター)を認める
    • 最終的にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による感染性心内膜炎と診断された

    (投稿者 川崎)

    2017-12-15

    グラム染色クイズ

    排尿痛と頻尿で来院した妊娠していない若い女性の尿をグラム染色(強拡大)




    (投稿者 川崎)