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2025-09-14

把握対象疾患

👀 先日のカンファレンスで…
  • カルバペネム耐性緑膿菌(カルバペネマーゼ陰性)の届け出が議論されました.届け出を要する感染症(1類~5類)も更新されているため再度まとめておきます.
  • 届け出を要する耐性菌は下記の赤文字です.ちなみに薬剤耐性緑膿菌感染症は定点把握対象疾患ですが,当院は現在定点医療機関ではないため届け出は不要でした.


👺 全数把握対象疾患(全ての医療機関から報告される疾患)
一類感染症
エボラ出血熱,クリミア・コンゴ出血熱,痘そう(天然痘),南米出血熱,マールブルグ病,ラッサ熱,ペスト

二類感染症
急性灰白髄炎(ポリオ),結核,ジフテリア,重症急性呼吸器症候群(SARS),中東呼吸器症候群(MERS),鳥インフルエンザ(H5N1),鳥インフルエンザ(H7N9)

三類感染症
コレラ,腸管出血性大腸菌感染症,細菌性赤痢,腸チフス・パラチフス

四類感染症
E型肝炎,A型肝炎,エキノコックス症,エムポックス(サル痘),黄熱,オウム病,回帰熱,Q熱,コクシジオイデス症,ジカウイルス感染症,ダニ媒介脳炎,炭疽,つつが虫病,鳥インフルエンザ,ボツリヌス症,マラリア,野兎症,ライム病,リフトバレー熱,類鼻疽,レジオネラ症,ウエストナイル熱,狂犬病,重症熱性血小板減少症候群(SFTS),チクングニア熱,デング熱,日本紅斑熱,日本脳炎,ハンタウイルス肺症候群,ブルセラ症,レプトスピラ症,ロッキー山紅斑熱

五類感染症
アメーバ赤痢,ウイルス性肝炎(A型・E型を除く),カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症,急性脳炎クリプトスポリジウム症,クロイツフェルト・ヤコブ病,劇症型溶血性レンサ球菌感染症,後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS),ジアルジア症,侵襲性インフルエンザ菌感染症,侵襲性髄膜炎菌感染症,侵襲性肺炎球菌感染症,先天性風しん症候群(CRS),梅毒,播種性クリプトコックス症,破傷風,バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症バンコマイシン耐性腸球菌感染症,百日咳,風しん,麻しん,薬剤耐性アシネトバクター感染症

👹 定点把握対象疾患(定点医療機関<指定医療機関>より報告される疾患)
RSウイルス感染症,咽頭結膜熱(プール熱),A群溶血性レンサ球菌咽頭炎,感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス等),水痘,手足口病,伝染性紅斑,突発性発しん,ヘルパンギーナ,流行性耳下腺炎,インフルエンザ,新型コロナウイルス感染症,急性呼吸器感染症,急性出血性結膜炎,流行性角結膜炎,クラミジア肺炎(オウム病を除く),細菌性髄膜炎(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を原因として同定された場合を除く),マイコプラズマ肺炎,無菌性髄膜炎,性器クラミジア感染症,性器ヘルペスウイルス感染症,尖圭コンジローマ,淋菌感染症,ペニシリン耐性肺炎球菌感染症メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症薬剤耐性緑膿菌感染症

(投稿者 川崎)

2022-12-27

リンパ節腫脹の鑑別:CHICAGO

👽リンパ節腫脹を生じる一般的な原因の頭字語
Cancers(がん) 
  • 血液系悪性腫瘍:ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性・慢性白血病、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症、多発性骨髄腫(稀)、全身性肥満細胞症
  • 転移性 "固形 "腫瘍:乳癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌、その他

Hypersensitivity syndromes(過敏症症候群)
  • 血清病
  • 薬剤感受性:ジフェニルヒダントイン、カルバマゼピン、プリミドン、金、アロプリノール、インドメタシン、スルホンアミド、その他
  • シリコン反応
  • ワクチン関連
  • 移植片対宿主病

Infections(感染症)
  • ウイルス性:伝染性単核球症(Epstein-Barrウイルス)、サイトメガロウイルス、伝染性肝炎、ワクチン後リンパ節炎、アデノウイルス、帯状疱疹、HIV/AIDS、ヒトT-リンパトロピックウイルス1型
  • 細菌性:皮膚感染症(ブドウ球菌、連鎖球菌)、ネコひっかき病、甲状腺腫、メリオイデス症、結核、非定型抗酸菌症、原発性および続発性梅毒
  • クラミジア:性病性リンパ肉芽腫
  • 原虫性:トキソプラズマ症
  • 真菌症:ヒストプラスマ症、コクシジオイデス真菌症
  • リケッチア:ツツガムシ病
  • 寄生虫症:フィラリア症

Connective tissue diseases(結合組織病)
  • 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、混合結合組織病、シェーグレン症候群

Atypical lymphoproliferative disorders(非定型リンパ増殖性疾患)
  • 血管毛包性(巨大)リンパ節過形成(キャッスルマン病)、異プロテイン血症を伴う血管免疫芽球性リンパ節症、血管中心性免疫増殖性疾患、リンパ腫様肉芽腫症、ヴェゲナー肉芽腫症

Granulomatous disorders(肉芽腫性疾患)
  • 結核、ヒストプラスマ症、マイコバクテリア感染症、クリプトコッカス、珪肺症、ベリリウム症、ネコひっかき病

Other unusual causes of lymphadenopathy(その他のリンパ節腫脹の異常な原因)
  • リンパ節の炎症性偽腫瘍、組織球性壊死性リンパ節炎(菊池リンパ節炎)、大量のリンパ節症を伴う洞組織球症(Rosai-Dorfman病)、洞の血管変化、胚中心部の進行性変化


😎 独り言
  • CHICAGOとうまくまとまっているけど,無理して覚えてもいつも使う環境でなければすぐに忘れます.もっとも毎日鑑別する環境なら覚えなくても勝手に身につきます.こういう語呂って時々見直して頭の整理をするのがいいのかな〜と思います.あとどうしても診断がつかない時の網羅的検索用 😙
  • 他にもALL AGES (age, location, length of time present, associated signs and symptoms, generalized lymphadenopathy, extranodal associations, splenomegaly and fever/年齢、部位、発症期間、関連徴候・症状、全身リンパ節腫脹、節外関連、脾臓腫脹、発熱)などもあります.

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-10-02

感染症法 医師の届出

全ての医師が全ての患者の発生について届出を行う必要がある感染症
  • 1類感染症 ただちに届出
  • 2類感染症 ただちに届出
  • 3類感染症 ただちに届出
  • 4類感染症 ただちに届出
  • 5類感染症 侵襲性髄膜炎菌感染症・風しん・麻しんは直ちに届出,その他は7日以内他に届出

感染症法における感染症の分類(厚生労働省) ※一部変更して1類~4類感染症のみ


当院でもしばしば遭遇する疾患

食中毒の起因菌に関しては個別に指定はされていない食品衛生法の第58条に下記の如く記載されている

食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 (直ちには24時間以内)

(投稿者 川崎)

2025-10-21

大動脈二尖弁の感染性心内膜炎は予後不良

  • 対象 孤立性の感染性心内膜炎の連続患者728名
  • 内訳 計123例(16.9%)が大動脈二尖弁(BAV)
  • 予後 年齢や性別、合併症の指数で補正後に検討
  • 期間 追跡の中央値は67.2ヵ月(IQR: 19~120)
  • 生死 三尖弁(TAV)と比較しBAVで差なし(図)
  • 合併 BAVで弁周囲または神経学的合併症が増加

 

💁 同論文の考察より(3段落目のAI翻訳/引用論文は割愛)
  • 塞栓症のリスクは、疣贅の大きさ(>10 mm)および可動性と相関することが確立されている。本研究においては、BAV-IE(二尖の感染性心内膜炎)とTAV-IE(三尖の感染性心内膜炎)の間で、疣贅の長さおよび塞栓性イベントの頻度に有意差は認められなかった。しかし、主要な神経学的イベントの発生率は二尖弁患者で高く(それぞれ22% vs. 14%、p = 0.027)、主要な神経学的イベントの発生はBAVと独立して関連していた。 これまでの報告と同様に、BAV-IE患者ではTAV-IE患者よりも周弁合併症が多くみられた
  • この周弁病変に対する感受性の高さは十分には解明されておらず、我々は大動脈二尖弁に依存する異常な血流が大動脈基部に影響を及ぼしている可能性を推測している。より懸念される仮説として、感染性心内膜炎の進行過程の後期に弁周囲合併症が発生することを考慮すると、若年層であるこの集団では感染性心内膜炎が疑われず、診断および紹介が遅れる可能性があるという点が挙げられる。 さらに、膿瘍は通常、感染性心内膜炎の進行の後期に発生するため、診断前に投与された経験的抗菌薬治療が診断の遅れやBAV-IEにおける培養陰性率に関連した可能性もある。

🚑 感染性心内膜炎に関する過去の報告 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-01-10

感染症クイズ

  • 尿路系の炎症が疑われる高齢者の無染色尿標本
  • 残尿感や掻痒感,排尿時痛などの自覚症状なし





(投稿者 江後/川崎)

2017-04-25

肉芽腫性疾患 Granulomatous disease

炎症細胞が集まり周囲をリンパ球や形質細胞,線維組織が取り囲んでいる巣状病変のこと
組織に侵入した異物を貪食・分解できない時,隔離するため形成される炎症反応のひとつ

代表的疾患
  • サルコイドーシス,結核,ヒストプラスマ症(真菌感染症の1つ)

その他の疾患
  • 感染症(梅毒・住血吸虫症・アメーバ赤痢・回虫症・腸チフス・野兎病・猫ひっかき病・心内膜炎・ウィップル病・ノカルジア症・非定型抗酸菌症・アスペルギルス症・Q熱・ハンセン病など),鼠径リンパ肉芽腫,リンパ腫,炎症性腸疾患,血管炎および結合組織病(多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・巨細胞性動脈炎・アレルギー性血管炎など),結節性紅斑,薬剤性,異物(硫酸バリウム・造影剤・脂質・縫合糸など),肝胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎・脂肪肝・脂肪肉芽腫など)

(投稿者 川崎)

2026-05-24

鼻疽びそ 類鼻疽るいびそ

  • 鼻疽は鼻疽菌 (Burkholderia mallei) が感染することによって起こる人獣共通感染症。おもに馬やロバに感染するが、ときにヒトにも感染する。 
  • 類鼻疽は類鼻疽菌 (Burkholderia pseudomallei)によって起こる人獣共通感染症。土壌や池の水など環境中から菌が分離されることがある。
  • いずれも東南アジア、アフリカ、中東地域などの熱帯・亜熱帯地域に分布し、自然感染の例がこれらの地域において散発的に発生している。
  • 鼻疽菌、類鼻疽菌、ともに感染症法にて4類感染症に分類されているため、診断後直ちに最寄りの保健所に届出を行う義務がある。 
  • 鼻疽は致死的感染~数年の潜伏感染など多彩。急性例では1~14日間の潜伏期を経て創部や鼻粘膜の感染およびリンパ節炎など。
  • 類鼻疽は、急性・慢性,局所性・全身性、顕性・不顕性の形態があり、菌血症・急性敗血症型、肺型、局所型、不顕性型に4分類
  • 採血では白血球数増加+核の左方移動を伴うが特徴的な生化学的所見はなし。確定は血液、喀痰、穿刺検体などの培養による同定
  • 治療は抗菌薬(特に鼻疽では早期の抗菌薬投与が必要)。利用可能なワクチンない。鼻疽菌、類鼻疽菌は生物兵器のリスクあり


類鼻疽(melioidosis、メロイドーシス)の発生率

(投稿者 川崎)

2025-10-04

血培:Choosing Wisely(賢明な選択)

👭 先日のカンファレンス
  • 発熱があると家族に連れられて夜間のERを受診した高齢者.本人は無症状で,特記すべき既往歴もない.軽度の炎症反応があり,尿検査と全身CTから尿路系の感染症が疑われた.血培が追加され,内服抗菌薬を処方され帰宅した.改善がないときには再診するよう指示された.
  • 翌日,血液培養から大腸菌が検出されたと病院から連絡があり入院した.すでに炎症反応はピークアウトしていると思われたが,抗菌薬を内服から点滴に変更.その後しばらくして,体幹に皮疹が出現した.皮膚科を受診し抗菌薬による副作用が疑われた.入院期間は延長...

🚨 日本版敗血症診療ガイドライン2024 より
  • 菌血症は,心内膜炎,カテーテル関連血流感染症,肺炎,膿瘍,骨髄炎,腹腔内感染症,尿路感染症などの感染症で生じ,高い死亡率を示している。
  • 敗血症においては,38〜69%で菌血症を合併することが報告されている。各種の迅速診断法が開発されているものの,現在でも血液培養は敗血症の病原微生物を同定する標準的検査法である。
  • 菌血症を疑う症状(発熱,悪寒・戦慄など)の出現,原因不明の低体温,低血圧,頻呼吸,意識障害(特に高齢者や小児),白血球数増加や減少,代謝性アシドーシス,免疫不全患者における呼吸不全・急性腎障害・急性肝障害などがみられた場合は敗血症を疑い,できるだけ早急に血液培養を 2セット以上採取することが推奨されている。
  • 悪寒・戦慄を伴う発熱が生じた場合は菌血症の陽性尤度比が高い。一方,菌血症の可能性が低い場合の発熱や白血球数の上昇のみでは必ずしも血液培養を採取しなくてもよいとする報告もある。

😑 独り言
  • 血液培養の診療報酬点数は225点で,嫌気性培養を行った場合は122点が加算されます.よって2セットなら計6,940円です(令和6年版:今日の診療サポート
  • 医学は確率の側面を有するため必ずしも想定通りにはいきませんが,医療費の蛇口の開閉を担う医師は Choosing Wisely(賢明な選択)を心がけたいものです.

(投稿者 川﨑)

2016-11-05

感染症の勉強法

感染症の勉強は、地道にコツコツと。
ICD(Infection Control Doctor)取得を目指すことも、1つの近道。
⇒感染症学会や集中治療医学会に加入、所定のコースで単位取得必要。

次の問題が即座に答えられますか?(現 福知山市民病院 川島先生の感染症小テスト)

例1 肺炎を疑った患者さんで、痰が出ない時はどんな肺炎をイメージする?
例2 血液培養2セットのうち、1セットのみ陽性でもコンタミの可能性が低い菌は?

勉強法は様々ですが、自分に合う本を良く探すこと。
医学書、書籍、学会、研究会参加などへの投資は惜しまないこと。将来の自分への投資です。
自分も半分以上が、自宅の本棚にお蔵入りしてます。

参考として
NCGM感染症レビューコース(インターネットで視聴できる感染症のレクチャー)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際感染症センター 国際感染症対策室 
にあります。ルールを守って視聴しましょう(無料、登録必要あり)。

問題の答え 例1、マイコプラズマ肺炎など非定型肺炎 例2、グラム陰性桿菌、肺炎球菌

(投稿者 安田)

2023-08-30

化膿性汗腺炎 Hidradenitis suppurativa

  • 概要 毛包の慢性・炎症性・再発性・消耗性皮膚疾患で生活の質を著しく障害
  • 発症 思春期以降アポクリン腺の多い部位(腋窩や鼠径,肛門性器部,臀部)
  • 所見 結節や瘻孔,萎縮性・網状・肥厚性・ケロイド様瘢痕,分泌物,悪臭
  • 疫学 男女比1:3で,頻度は欧州で1~4%,米国で 0.1~0.2%,韓国で0.06%
  • 原因 汗腺の感染症ではなくて,自然免疫の活性化を背景にした病態の疑い
  • 遺伝 30~40%は家族性の常染色体優性(顕性)遺伝(家族性化膿性汗腺炎)
  • 併存 脊椎関節症,SAPHO,壊疽性膿皮症,毛包閉塞性疾患,Crohn病など
  • 鑑別 Crohn病による皮膚症状,悪性腫瘍,毛包炎やせつなどの細菌感染症
  • 病期 Hurley分類:病期 I(単発),病期II(瘻孔や瘢痕),病期III(広範囲)
  • 治療 外用薬,抗菌薬,モノクローナル抗体製剤,外科的切除,レーザーなど


化膿性汗腺炎:ハーレーステージ I ( A )、ハーレーステージ II ( B )、ハーレーステージ III ( C )

(投稿者 川崎)

2017-06-14

Hypermucoviscosity Klebsiella pneumonia(hvKP)による肝膿瘍

過粘稠性K. pneumonia(string test:陽性)
通常のK. pneumoniae(string test:陰性)

通常のK.pneumoniaeによる感染症とは異なり、過粘稠性を示す株であるK. pneumoniae(rmpAやmagAなどの遺伝子を保有した株)による感染症は、肝膿瘍前立腺膿瘍を主な原発巣とし、厚い莢膜多糖体の産生によって好中球の貪食から逃れ、さらに抗菌薬も菌体へ到達しにくい特徴がある。そのため、敗血症へと進展し様々な臓器に播種され重篤な経過をたどることから危険視されおり多数報告例がある。特に、本菌による感染症は敗血症からの血行性に脳膿瘍眼内炎を合併することが非常に多いため、画像検査によって検索する体制が必要となる。治療の第1選択は膿瘍のドレナージであるが、抗菌薬の選択は合併症として髄膜炎も報告数が多いことから、髄液移行性の良い抗菌薬の選択が推奨されている。過粘稠性株か否かの判断は、遺伝子検査の他に、string testという方法がある。菌の集落を釣菌し、5mm以上糸を引けば陽性と言う簡便な方法で確認することができる。検査室からのstring test陽性の報告があれば、DICへの進展を危惧し、早期の抗菌薬投与とその他の膿瘍などの検索が必ず必要である。

【参考図書】
笠原敬,忽那賢志,佐田竜一(著).感染症みるトレ.医学書院出版

【参考論文】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27852233
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23435082
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16704562

(投稿者 前田)

2020-12-01

筋ジストロフィーに伴う心筋疾患(筋ジストロフィー心筋症)

★ 筋ジストロフィー
  • 筋細胞骨格と細胞外マトリックスを構造的に結合するジストロフィン蛋白の遺伝子変異で進行性に筋力低下(臨床経過は病型で大きく異なる)
  • デュシェンヌ型,福山型,ベッカー型,エメリー・ドライフェス型,肢帯型筋ジストロフィー,顔面肩甲上腕型,筋強直型などに分類される

☆ 各病態の心表現型
  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー ➜ 心筋細胞の脂肪 /線維性置換が左室後壁基部から徐々に左室自由壁に広がるのが特徴的である.肥大性心筋症様よりも拡張型心筋症様の表現型が多い.
  • 福山型筋ジストロフィー ➜ 拡張型心筋症様の心不全を発症する.
  • ベッカー型筋ジストロフィー ➜ Duchenne型で特徴的な左室後壁の線維化は通常認められない.肥大型心筋症様または拡張型心筋症様の表現型をとる.典型的な経過は初期に右室拡大をきたし,その後に左室拡大と左室収縮不全に陥る.
  • エメリー・ドライフェス型筋ジストロフィー ➜ 高頻度に完全房室ブロックや洞不全などの刺激伝導障害を呈するのが特徴である.
  • 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー ➜ 心房性不整脈の頻度が高いが,心筋症の表現型はごく軽度にとどまる.

🌀 おまけ
  • 筋ジストロフィー心筋症の診断は確立されていない(と思う)が,拡張型心筋症と鑑別すべき主な二次性心筋症の除外が基本になる.
  • 例えば心筋異常(虚血,心毒性物質,感染性,サルコイドーシス,糖尿病など)や機械的負荷(圧負荷と容量負荷),心臓の構造異常(先天性あるいは弁膜症など),高心拍出(重症貧血,甲状腺機能亢進症,脚気心など),不整脈による心筋症などを除外
  • 筋ジストロフィー心筋症の根本的な治療は(心移植を除き)未だ開発されていないため,通常の心不全治療を行っていく.

🉐 関連投稿(拡張型心筋症様の珍しい病態)

(投稿者 川崎)

2024-06-14

血清ACE活性の上昇

😗 ACEの復習
  • ACE(angiotensin-converting enzyme)はCl-およびZn2+依存性のカルボキシペプチダーゼで,アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換の触媒に関与する.炎症促進作用のある強力な血管拡張物質ブラジキニンやその他のタキキキニン(サブスタンスP他)なども不活性化する.
  • ACE活性の亢進は主に肉芽腫性疾患など単球系細胞株の刺激を伴う病態で報告されている.肺病変の有無にかかわらずサルコイドーシスはこれらの疾患の中で最も頻度が高い.しかし他の肉芽腫性疾患(感染性あるいは非感染性いずれも含む)や非肉芽腫性疾患でも増加する可能性がある.

💥 ACE濃度が上昇する病態(サルコイドーシス以外)
  • 新生児や未熟児(その原因は出産後の肺毛細血管の発達が原因と思われる)
  • 多くの非感染性の播種性肉芽腫性疾患(マクロファージや単球などが産生)
  • 肉芽腫性疾患を生じる多岐にわたる感染症(非感染性肉芽腫性疾患と同様) 
  • 石綿肺(アスベストーシス)(内皮細胞およびマクロファージの両方が原因)
  • サルコイド様病変の類上皮細胞肉芽腫(サルコイドーシスと同等ではない)
  • ゴーシェ病(常染色体劣性遺伝性疾患で最も一般的なライソゾーム蓄積病)

😕 その他
  • アジソン病,α1-アンチトリプシン欠乏症,アミロイドーシス,ブラウ症候群,ディジョージ症候群,糖尿病,胆汁うっ滞,慢性疲労症候群,扁平苔癬,多発性硬化症,乾癬でも上昇した症例の報告あり


(投稿者 川崎)

2016-08-13

松下金曜会 「下痢」

”下痢” を主訴に来院した症例のレッドフラッグ
  1. 体重減少 ⇒ 食欲正常なら甲状腺機能亢進あるいは吸収不良, 食欲低下なら新生物や糖尿病,結核など
  2. 血便 ⇒ 炎症性腸疾患,悪性腫瘍,虚血性大腸炎,感染(サルモネラ菌・赤痢菌・カンピロバクター・腸出血性大腸菌(O157)・赤痢アメーバ―ほか)
  3. 途中覚醒あるいは50歳以降に出現 ⇒ 器質性の病因
  4. 易感染宿主 ⇒ 感染症
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

 おまけ
赤痢とは血便と下痢を伴う大腸感染症の総称であったが,最近ではもっぱら赤痢菌による細菌性赤痢を意味する(性感染症の一つであるアメーバ赤痢とは要区別).

(投稿者 川崎)

2024-12-15

日本内科学会 第246回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題101 肝硬変に生じたパスツレラ症の1例
  • パスツレラ症は代表的な人獣共通感染症であり,Pasteurella multocidaはヒトを除く哺乳類の口腔内常在菌で,イヌでは75%,ネコではほぼ100%に常在するとされる.免疫能の低下した症例で重症化しやすい.

演題179 Burkholderia属菌によるCepacia症候群の1例
  • Burkholderia属菌は特に嚢胞線維症に致死的な呼吸器感染症を起こす菌として報告され,Cepacia症候群と呼ばれる急性に進行する菌血症を伴う壊死性肺炎は致死率が非常に高く臨床的に問題となる.

演題218 溺水により運動後急性腎不全(ALPE)を発症した 1 例
  • 溺水後の急性腎障害は溺水患者の43%に発生した報告もあり,原因は低酸素による尿細管障害,横紋筋融解症,多臓器不全による全身性炎症反応等が考えられる.

演題234 COVID-19肺炎の経過中にセフトリアキソン脳症が疑われた腹膜透析患者の1例
  • 抗菌薬投与中に意識障害,不随意運動を認めた際には,抗菌薬関連脳症を疑い抗菌薬の中止または変更が必要である.原因薬剤の診断のためには,血中濃度を測定しておくことが望ましい.


👻 当院からの発表
  • 演題35 左鎖骨下静脈経由の二腔ペースメーカ植込み後に両側気胸を生じた1例(総合診療科 國延拓也先生 🎉 すでに論文化してPubMedに収載
  • 演題210 腰椎神経根症による脱神経性筋障害を高CPK血症とともに呈し,炎症性筋疾患との鑑別を要した1例(膠原病・リウマチ内科 正木 暁先生)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-03-23

クイズ:巨大脾腫

問題 巨大脾腫を生じることが稀な病態はどれか。

 
 
 
 

判定

📐 脾腫(Splenomegaly)
  • 原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis; PMF)は骨髄増殖性腫瘍に分類され,髄外造血のために脾腫が出現する.血算で血液疾患を疑えば,身体所見で脾腫の有無は確認しておきたい.その他の血液疾患では,非ホジキンリンパ腫や有毛細胞白血病なども巨大脾腫を呈してくる.
  • 特発性門脈圧亢進症も巨大脾腫を呈する.脾腫を生じる他の疾患には,肝硬変やゴーシェ病,うっ血,感染症(結核やマラリア,伝染性単核球症など),先天性溶血性貧血,先天性代謝異常症,アミロイドーシス,ヘモシデローシス,バンチ症候群,フェルティ症候群などがある.
💫 脾腫に関連する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2017-05-01

侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)

定義:
Streptococcus pneumoniae による侵襲性感染症として、本菌が髄液又は血液などの無菌部位から検出された感染症とする。
→7日以内の届出義務あり。

DICになり急性感染性電撃性紫斑病に陥るケースもあり注意が必要。
DICになった場合は適切なDIC加療が必要です。

成人のリスクfactor:DM、脾摘後、免疫不全、心疾患、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍術後など

高リスク者には積極的に肺炎球菌vaccine接種を。vaccineによるIPDのカバー率は85%。

(投稿者 國枝)

2019-06-28

GAS咽頭炎と抗菌薬

GAS=Group A Streptococcus=A群(β溶血性)連鎖球菌(溶連菌といえばGASを意味することが多い)

国立感染症研究所感染症情報センター (原文そのまま/2019.6閲覧)
  • 治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬であるが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となり、また第1世代のセフェムも使用可能である。いずれの薬剤も少なくとも10日間は確実に投与することが必要である。除菌が思わしくない例では、クリンダマイシン、アモキシシリン/クラブラン酸、あるいは第2世代以降のセフェム剤も使用される。

亀田感染症ガイドラン 咽頭炎version 2 (原文そのまま/2019.6閲覧)
  • 治療の目的は、症状の緩和(1-2日間罹病期が短縮)、扁桃周囲膿瘍のような扁桃周囲膿瘍のような化膿性合併症の予防(NNT 27)、周囲への飛沫感染予防(投与後24時間で感染性が減少)、リウマチ熱の予防(NNT 3000~4000)である1)
参考文献 1) Ann Intern Med 2001;134(6):509-17

※NNT=number needed to treat ➜ あるエンドポイントに到達する症例を1人減らすために必要な治療患者数

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2025-11-19

ジアルジア症 Giardiasis

  • 概略 鞭毛虫類の一種 Giardia lamblia による人獣共通感染症
  • 形態 ランブル鞭毛虫症とも呼ばれて嚢子と栄養型の2種あり
  • 変化 嚢子が十二指腸,上部小腸,胆道系で脱嚢し栄養型へ
  • 感染 主に食物や水を介した嚢子の経口(塩素では死滅せず)
  • 保因 無症候嚢子保因者も感染源(性感染症でヒト-ヒトあり)
  • 疫学 感染者数は世界中で数億人に達する(本邦では極めて稀)
  • 日本 旅行者下痢症あるいは免疫不全時の日和見感染の病原体
  • 経過 10個程度の嚢子で感染が成立し潜伏期間は約1~3週間
  • 症状 下痢(必発),全身倦怠,体重減少,腹痛,悪心や脂肪便
  • 下痢 非血性で水様や泥状便(1日数回~20 回以上まで様々)
  • 診断 糞便から顕微鏡下に本原虫を証明あるいは抗原(キット
  • 重複 赤痢アメーバ,クリプトスポリジウム,チフス菌など5%
  • 治療 メトロニダゾール(metronidazole;MNZ)が 保険適用


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(投稿者 川崎)

2018-02-13

感染性心内膜炎の抗菌薬予防投与

基礎疾患を有する一部の症例では観血的処置前に抗菌薬の予防投与が必要(合同研究班ガイドライン

予防投与を要する or 考慮すべき疾患
  • ClassⅠ 人工弁置換患者,感染性心内膜炎の既往,複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症),体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
  • ClassⅡa ほとんどの先天性心疾患,後天性弁膜症(大動脈弁・僧帽弁),閉塞性肥大型心筋症,弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
  • ClassⅡb 人工ペースメーカあるいはICD植え込み患者,長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者

予防投与が必要でないと考えられる疾患
  • 心房中隔欠損症(二次口型)
  • 心室中隔欠損症・動脈管開存症・心房中隔欠損症の根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの
  • 冠動脈バイパス術後
  • 逆流のない僧帽弁逸脱
  • 生理的あるいは機能的心雑音
  • 弁機能不全を伴わない川崎病の既往
  • 弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
ペースメーカー
具体的な抗菌薬の予防投与方法

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告)感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf(2018年2月閲覧)

注意点 👀
  • アモキシリンの投与量2.0gの根拠は必ずしも明確ではなく,本邦の臨床現場での通常投与量とは大きく異なる
  • 表下の記載にもあるようにアモキシリン500mgを提唱している報告もあり(日本化学療法学会誌 2001;49:1-9

(投稿者 川崎)