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2019-04-28

心房中隔瘤

卵円窩に一致する心房中隔の突出で,目安は心房中隔平面から15mm以上の変位+基部の直径が15mm以上(Int J Cardiol 2016;223:656-9

心房中隔瘤22例の検討超音波検査技術 1993;18:256-61
  • 疫学 頻度0.3%,発見は中高年(平均64歳),女性優位(22例中16例)
  • 機序 先天性なら心房中隔に脆弱部分が存在、後天性なら炎症など
  • 動態 基本的に拡張期に右房側へ突出(収縮期は左房側の症例あり)
  • 症状 無症状~動悸,稀に息切れや胸部圧迫感,めまい,意識消失
  • 合併 上室性の不整脈が多い(発作性上室頻拍や心房細動・粗動など)
  • 経過 4例を3年以上観察 ➜ 心房中隔瘤は増大し振幅も増加していた

自験例1松下心エコー塾症例31) 心房中隔瘤(両心房間を大きく移動)+心尖部の転移性腫瘍(脊索腫)

自験例2松下心エコー塾症例52) 心房中隔瘤(右房側への固定性変位)+心房中隔脂肪性肥大の疑い

😶 おまけ
心房中隔瘤自体は病的意義に乏しく,積極的な治療対象にはならないと考えられる.もちろん心房細動や心不全などを伴うときは各合併疾患に対する治療が必要.

(投稿者 川崎)

2023-06-09

心房中隔脂肪性肥大 LHAS: lipomatous hypertrophy of the interatrial septum

心臓脂肪腫(心臓良性腫瘍の約10%)
  1. 真の脂肪腫(true lipoma)➜ 皮膜に被覆された成熟脂肪細胞にて構成
  2. 心房中隔脂肪性肥大(LHAS)➜ 心房中隔の脂肪細胞増生で皮膜に被覆されず過誤腫様(腫瘍と奇形の中間的な性格) 
  3. 浸潤性脂肪腫(infiltrating lipoma)➜ 皮膜に被覆されず筋線維が徐々に脂肪組織に置換

心エコー図検査の診断基準
  1. 心房中隔の肥厚が15 mm以上
  2. 卵円窩は侵されず特徴的なダンベル様形態(dumbbell-shaped)
  3. 肥厚の原因を説明できる他の疾患を認めない


心房中隔脂肪性肥大(LHAS)と診断された症例の心エコー図と心臓CT

😀 独り言
  • 確定診断には生検が必要と思われます.ただし特徴的な心エコー図所見に加えて,CT値(−50~−100)やMR所見(T1高信号,T2高信号,脂肪抑制画像で抑制)から臨床診断されている症例がほとんどと考えられます.

自験例:本例は心房中隔脂肪性肥大に心房中隔瘤(右房側への固定性変位)を合併

💁 心房中隔に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-11-28

心電図マイスターへの道 ③

上室期外収縮 PAC の起源
  • P波:V1陰性=右房起源:下壁誘導が上方なら上大静脈,下方なら冠静脈洞
  • P波:V1陽性=左房起源:I&L誘導が陽性なら右肺静脈(下壁誘導が上方なら上肺静脈,下方なら下肺静脈),I&L誘導が陰性なら左肺静脈(下壁誘導が上方なら上肺静脈,下方なら下肺静脈)

心室期外収縮 PVC の起源
  • 右脚ブロック(左室起源):I・L・5・6陽性+下壁陽性なら左室弁輪前壁・流出路,I・L・5・6陽性+下壁陰性なら左室弁輪後壁・下壁,I・L・5・6陰性+下壁陽性なら左室前壁心尖近傍,I・L・5・6陰性+下壁陰性なら左室心尖部
  • 左脚ブロック(右室起源):I・L・5・6陽性+下壁陽性なら右室弁輪前壁・流出路,I・L・5・6陽性+下壁陰性なら右室弁輪後壁・下壁,I・L・5・6陰性+下壁陽性なら右室前壁心尖近傍,I・L・5・6陰性+下壁陰性なら右室心尖部
  • 右室起源の大まかなルール:下壁誘導ですべて陽性=流出路,すべて陰性=心尖部,ばらばら=中隔

ペーシングの位置
  • V1でQSなら右室ペーシング,V1でRsなら両室ペーシング
  • 右室心尖部なら胸部誘導は基本,negative concordance (例えば全てQS)で上方軸
  • 下壁誘導で全て陽性なら右室上部ペーシング,すべて陰性なら右室下壁あるいは心尖部ペーシング,一定しなければ中隔ペーシング
  • 左室心尖部のペーシングなら,V1が陽性で,V2-6はすべて陰性(例:QS).ただし両心室の心尖部は近いため,心拡大や回転によって,右室心尖部ペーシングでも同様の所見になり得る.

2枝ブロック
  • 右脚ブロック+左軸偏位:右脚と左脚前枝のブロック
  • 右脚ブロック+右軸偏位:右脚と左脚後枝のブロック
  • (広義には左脚ブロック:左脚前枝と左脚後枝のブロック)

3枝ブロック
  • 右脚ブロック+左軸偏位+1度房室ブロック
  • 右脚ブロック+右軸偏位+1度房室ブロック
  • 左脚ブロック+1度房室ブロック

Lown分類
  • Grade 0=心室性期外収縮なし,Grade 1=散発性(<30個/時間),Grade 2=散発性(>30個/時間),Grade 3=多形性(多源性),Grade 4a=2連発,Grade 4b=3連発,Grade 5=RonT
  • 急性心筋梗塞症例で心室細動への移行率から作成された分類であることに注意が必要

ケント束の追記
  • デルタ波が下壁誘導で陰性+II誘導でQSなら心外膜(冠静脈洞 CSや中心静脈 MCV)のケント束
  • C型WPWなら前中隔,中中隔,後中隔に分類できる.Δ波から1mmの極性で判断:目安は下壁誘導ですべて陽性なら前中隔,すべて陰性なら後中隔,不定なら中中隔
  • Ⅲ誘導でR波高さは前中隔>中中隔>後中隔の順に大きい
  • Jemes線維は心房から房室結節下部を連結,Mahaim線維はatrio-fascicular/ventricular pathway,nodo-fascicular/ventricular pathway,fasciculo-ventricular pathwayの総称
  • デルタ波が目立たないなら左室側壁(伝わるまでに時間を要しその間に通常伝導が生じる)のケント束,マハイム線維,Fasciculoventricular pathway(purkinje組織から隣接する心筋に接続している副伝導路)
  • 束枝—心室副伝導路(Fasciculo-ventricular pathway)ではWPW patternを呈するが基本的に頻拍は来さないため治療対象ではない

心室頻拍 VT
  • 4特徴:①房室解離,②すべての胸部誘導で陰性波(negative concordant:自験例),③胸部誘導でRS(またはrS)波形がありR開始~S谷≧100ms,④特徴的な波形(RBBBならV1で前半のRが大きい(taller left rabit ear)+V6でR<S,LBBBならRS波の下行(前半)部分にノッチ
  • 左軸偏位やQRS幅>160ms,左脚ブロック+右軸偏位,RBBBでV1で単相性,aVRでQ波なし,なども心室頻拍を示唆
  • wide QRS tachycardiaの鑑別はVT,SVT,偽性心室調律


💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2019-09-05

心臓腫瘍?

  • 完全房室ブロックに対して恒久的ペースメーカが植込まれている症例

  • 心室中隔中部から左室に突出する異常構造物あり
  • 心室中隔基部の菲薄化と右室への突出が目立つ

🐤 当院での判断

ペースメーカ植込み時に心臓サルコイドーシスと診断されていたことが判明したため,本例の心室中隔基部の菲薄化は心臓サルコイドーシスに関連する病変と考えた.その後,加齢に伴いS字状中隔が加わって,菲薄化部分の右室への突出と菲薄化以遠の左室内への突出が目立つようになったと最終的に判断した.ただし心臓腫瘍を完全には否定できないため慎重に経過観察中である.

🉐 関連投稿

(投稿者 酒井/川崎)

2019-03-25

画像クイズ


  • 健診で胸部X線の異常を指摘され当科を受診した症例
  • 20年ほど前に先天性心疾患を指摘されたことがある
  • 冠動脈の評価を兼ねて行った心臓CTの短軸像を示す






👴 解説
  • 右房拡大と心房中隔の中央部の欠損の疑い(ただし卵円窩部分は薄くて見えないことあり)
  • よく見ると左房から右房に造影剤が凸状に流入(ヒントで赤線を境にした造影剤の濃度差)
  • 最終的に心エコ-図で心房中隔に大きな左→右シャントを認め心房中隔欠損症と診断した

(投稿者 川崎)

2018-02-13

感染性心内膜炎の抗菌薬予防投与

基礎疾患を有する一部の症例では観血的処置前に抗菌薬の予防投与が必要(合同研究班ガイドライン

予防投与を要する or 考慮すべき疾患
  • ClassⅠ 人工弁置換患者,感染性心内膜炎の既往,複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症),体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
  • ClassⅡa ほとんどの先天性心疾患,後天性弁膜症(大動脈弁・僧帽弁),閉塞性肥大型心筋症,弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
  • ClassⅡb 人工ペースメーカあるいはICD植え込み患者,長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者

予防投与が必要でないと考えられる疾患
  • 心房中隔欠損症(二次口型)
  • 心室中隔欠損症・動脈管開存症・心房中隔欠損症の根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの
  • 冠動脈バイパス術後
  • 逆流のない僧帽弁逸脱
  • 生理的あるいは機能的心雑音
  • 弁機能不全を伴わない川崎病の既往
  • 弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
ペースメーカー
具体的な抗菌薬の予防投与方法

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告)感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf(2018年2月閲覧)

注意点 👀
  • アモキシリンの投与量2.0gの根拠は必ずしも明確ではなく,本邦の臨床現場での通常投与量とは大きく異なる
  • 表下の記載にもあるようにアモキシリン500mgを提唱している報告もあり(日本化学療法学会誌 2001;49:1-9

(投稿者 川崎)

2026-01-03

心拍出量のFick法

【日本循環器学会専門医試験問題】より
 心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(投稿者 川崎)

2019-03-28

ペースメーカ植込み術

👽 最近SelectSecure®システムを使用するようになったので覚書(あくまでも当院での方法の一つ)

  1. 左上肢静脈から造影剤5-10ml投与(腎機能低下例でもeGFR内の投与量ならほぼOK)
  2. 左鎖骨下静脈と第一肋骨の交点を透視下で仮穿刺➜本穿刺(左斜位で成功率上昇
  3. ワイヤーを右房まで誘導して9Fシースを挿入後にワイヤーとインナーを抜去(息止め)
  4. 6Fタインド型の心房リードを挿入(上大静脈で当たるときはシースやスタイレットを引く)
  5. 9Fシースとその中の6F心房リードの隙間にワイヤーを挿入して9Fシースをピールアウト
  6. ワイヤーに沿って7Fシースを挿入してインナーとワイヤーを抜去する(息を止めておく)
  7. 7Fにラジフォーカス0.035を先行させてSelectSecure®シースとインナーを右室内に誘導
  8. シース選択は上位中隔=His sheathが基本で,閾値が悪ければ下位中隔=S10を考慮
  9. ラジフォーカスとインナーを抜去するとSelectSecure®シースは自動的に心室中隔へ向く
  10. SelectSecure®リード4.1Fをシース先端より少し心室内に出してR波高と閾値を測定する
  11. この時はモノポーラーなのでリード遠位部に黒クリップを,ポケット内に赤クリップを装着
  12. 心室リードをリード手前から見て時計方向に用手的に10回転(実際の先端は約3-4回転)
  13. 心室リードの値に問題がなければ心房リードを留置して測定(通常のバイポーラー測定)
  14. 心室リードを十分にたわませてSelectSecure®シースをリード近位部5cm程度まで引き抜く
  15. 専用のシースカッターで心室リードを挟み込んでシースを切り裂きながら体外へ抜去する
  16. 心室リード用の7Fシースをピールアウト(4.1Fのリードの再挿入は困難なので注意する)
  17. 両リードのアンカリングスリーブを絹糸で一糸固定して麻酔薬追加後に本体ポケット作成
  18. 両リードを再測定し問題なければペースメーカ本体をポケットに挿入して絹糸で一糸固定
  19. 深部をV-Loc™で連続縫合 ➜ 浅部をPDS*II™で埋没縫合 ➜ ステリストリップ™で表皮固定
ペースメーカー
(投稿者 川崎)

2020-07-19

ファロー三徴・四徴・五徴

📢 ファロー四徴症(TOF: tetralogy of Fallot)
  • 肺動脈狭窄+心室中隔欠損+大動脈騎乗+右心室肥大の合併(肺動脈閉鎖時は極型ファロー四徴症)
  • フランス人医師の Arthur Fallot (1850-1911)に由来(Marseille médical 1888;25:77-93, 138-158, ect)
  • 肺動脈と大動脈の元となる動脈幹の分離異常で,先天性心疾患の5-10%でチアノーゼ心疾患の60-70%
  • 身体所見はチアノーゼ+2LSBで最強点を有する収縮期駆出性雑音(肺動脈狭窄)と亢進した単一Ⅱ音
  • 手術なしは予後不良 ➜ 1年生存率75%,10年生存率30%(低酸素発作や脳疾患,心不全などで死亡)
  • 手術例の予後は良好で術後30年の生存率98%/慢性期に肺動脈弁逆流や右心不全が問題になる例あり


(リンクに心音あり ➜ N Engl J Med 2020;382:e97

📣 おまけ
  • ファロー三徴症(trilogy of Fallot)➜ 肺動脈狭窄+心房中隔欠損+右心室肥大の合併
  • ファロー五徴症(pentalogy of Fallot)➜ 肺動脈狭窄+心室中隔欠損+大動脈騎乗+右心室肥大+卵円孔開存の合併
  • 検索内ではファローの二徴(dilogy)や六徴(hexalogy),七徴(heptalogy),八徴(octalogy)~は見つからず

(投稿者 川崎)

2023-06-13

トガリネズミの心拍数

🌟 先日の松下心電塾
  • 当院の初期研修医に「最も心拍数が速い生き物は何?」という宿題をだしました.
  • 翌週にトガリネズミの心拍数がとても速いことを調べてきてくれた方がいました.

  • トガリネズミ科(Soricidae)は哺乳綱真無盲腸目に分類されるが,ネズミ類とは縁遠くモグラなどに近縁の動物で英語では shrew と総称される.
Wiki CC 表示-継承 3.0)

  • 3頭のソリシントガリネズミ(平均体重3.02 g)を麻酔下で最大超過用量のイソプロテレノールを単回投与したときの最高心拍数は1,043±66 拍/分 (Am J Physiol 1992;262:R842-51

💙 トガリネズミの心臓の特徴
  1. 大きくて細長い心室
  2. 心房中隔と心室中隔,房室弁と動脈弁は通常の哺乳類と同様
  3. 心室壁はほとんどが緻密な心筋で,右心内腔に小柱はほぼなし
  4. 洞結節と心室中隔頂部に連続する房室伝導軸あり
  5. 冠動脈は大動脈に比例して巨大

😎 おまけ
  • 僕が用意していた心拍数が最も早い生物に対する答えは中南米にすむハチドリでした.細小の鳥類で空中で静止するホバリング飛行ができ最大心拍数は毎分1,500回に達するようです(Eur J Cardiothorac Surg 2006;29:S178-87
  • ちなみに最も遅いのはガラパゴス諸島に生息する最大の陸ガメであるガラパゴスゾウガメで心拍数は毎分6回だそうです(Dialogues in cardiovascular medicine 2006;11:5-17).ただし冬眠明けのガマは毎分1回という情報あり.

(投稿者 川崎)

2024-05-09

今週の一枚 🎯 有名も役立たず?

息切れ症例の心尖拍動

😐 偽ブロードベント徴候(Pseudo Broadbent's sign)
  • 臥床(20度ヘッドアップ)で心尖部拍動を視認(矢印)
  • 拍動は陥凹で時相は収縮期(背後のモニター音に注目)
  • 最終的に本例は心房中隔欠損による心不全と診断した

😕 独り言
  • 心尖拍動の収縮期陥凹は,収縮性心膜炎で出現する所見(ブロードベント徴候/Broadbent sign)として有名です.しかし本例ではクスマウル徴候や心膜ノック音はありませんでした(フリードライヒ徴候は微妙に陽性?)
  • ベットサイド心エコー図では右心系の拡大が少し目立ちましたが,明らかなシャント疾患を検出できませんでした.その後にハイエンド機で再検して,心房間のシャントを認めたため心房中隔欠損による心不全と診断しました.
  • この収縮期陥凹(systolic retraction)は,様々な病態で認めます(自験例1自験例2).収縮性心膜炎で欠くことも多く,個人的には臨床現場であまり役立たない所見(感度も特異度もともに低い)と思っています.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2024-04-08

フィジカル忘備録:第21回循環器Physical Examination講習会より

  • 心房中隔欠損では肺高血圧がなくてもⅡ音の肺動脈成分が亢進する(肺動脈の基部が拡大し胸壁に近づく+肺血流が増加するため)
  • 心房中隔欠損では相対的PSによる収縮期駆出性雑音に加えて三尖弁拡張期ランブルを聴取することがある
  • 循環器フィジカルイグザミネーションの実際(2005/9/1,吉川純一編集,文光堂)は青本と言われている
  • Dr.水野のうたう♪心音レクチャー /ケアネットDVD(ケアネット,2017/1/1)がいい
  • 心不全の心機能分類 NYHA ではⅡ度はⅡs(slight limitation of physical activity)とⅡm(moderate limitation of physical activity)に細分するが,Ⅲ度はⅢa(慢性)とⅢb(最近の症状出現:Patients in NYHA class IIIb closely resemble those with a recent history of dyspnea at rest)
  • 心不全の身体所見の要は低還流,肺うっ血,体液貯留の3つである
  • 敗血症の低灌流は膝を見るとより(一番冷たい)
  • 下肢挙上は自己輸血(補液500mlと同じCRT改善効果)
  • 大動脈のRCCとLCCの間に左脚枝があるので手術時には慎重に行う
  • Prosthesis-patient mismatch (PPM) は患者の体格に対して不適切に小さい人工弁が留置され十分な有効弁口面積(EOA)が得られない状態
  • functional MRは雑音が聞こえにくい


当日の風景(少数の現地聴講+全国にWEB配信)

👻「忘備録」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2023-12-08

心電図マイスターへの道 ⑥

誘導の付け間違い:5パターン
  • Ⅱ 誘導が直線 ➜ RとアースRFの間違い
  • Ⅲ 誘導が直線 ➜ LとアースRFの間違い
  • Ⅰ 誘導ですべて陰性+aVRとaVLが逆 ➜ RとLの間違い(アースRFは正しい)
  • Ⅰ 誘導ですべて陰性+Ⅱ誘導ですべて陰性 ➜ RとLFの間違い(アースRFは正しい)
  • Ⅲ 誘導ですべて陰性 ➜ LとLFの間違い(アースRFは正しい)

Coumel現象(クーメル)
  • 頻脈発作中にwide QRSからnarrow QRSに移行する際に頻拍周期の短縮を認める,あるいは逆にnarrow QRSからwide QRSに移行する際に頻拍周期の延長を認める現象.通常は同側(右脚なら右側,左脚ブロックなら左側)に副伝導路を有する房室回帰性頻拍 ORTを示唆する所見.わかりやすいショート動画はココからどうぞ

ST上昇の鑑別
  • 早期再分極であれば通常,V6誘導でST高×4<T波高であるが,急性心膜炎ではST高×4>T波高となる
  • V2,3のterminal QRS distortion ➜ S波とJ波の両方がない所見で前下行枝の心筋梗塞を示唆(早期再分極 BRE: benign early repolarizationと鑑別に有用)
  • Spodick徴候 ➜ TからPへの移行が右肩下がりでなだらかになること.PR低下と同様に急性心膜炎を示唆する.
  • V4誘導のfish hook pattern ➜ 早期再分極を示唆する所見で,ST終末部が基線に戻らずJ波を形成(魚の釣り針様)

その他1
  • 多形性心室頻拍はQRS波形が異なりRR間隔が(多少)不整で,その亜型にtorsades de pointes(TdP)がある.いずれもQT延長に合併しやすい.
  • 低カリウム血症ではT波の平坦化に加えてU波の出現や増高を忘れずに
  • 漏斗胸の心電図は通常,V1ですべて陰性(P/QRS/T)+時計回転
  • 交代性脚ブロック(Alternating bundle branch block)は3枝ブロックの一種で,右脚ブロックと左脚ブロックが交互に出現する病態
  • 心房粗動の周期は通常300 bpmであるが,I 群薬(フレカイニドなど)で延長することが少なくない(例,250 bpm).その結果,1:1伝導を呈することがある.
  • P波を伴わない非頻脈性のwide QRSなら心室固有調律を考えるが,通常は20-40 bpmであることに要注意.50 bpmならもともと脚ブロックのある接合部調律のことあり
  • 低Mg血症の心電図はQT延長やST低下,T波の平低化など.ちなみにQT延長はMg,Ca,Kのいずれの低下でも生じる.
  • Sgarbossaの基準(左脚ブロック例で心筋梗塞の診断基準)➜ 上向きQRSを示す誘導で1 mm 以上のST上昇(positive concordant),V1~V3 誘導で1 mm以上のST下降(negative concordant),下向きQRSを示す誘導で5 mm以上のST上昇が2誘導以上のいずれか一つ(過去の投稿
  • スミスの基準ではST上昇あるいはST低下がS波高あるいはR波高の25%以上であれば心筋梗塞を示唆(過去の投稿)➜ 修正Sgarbossaの基準

その他2
  • Ashman(アッシュマン)現象:先行RRが長いと不応期が長くなるため,long-short sequenceで生じたQRSでは変更伝導が生じやすくなること.上室期外収縮や心房細動で見られる.
  • 一見,完全房室ブロックに見えても,一回でもPとQRSが繋がっていれば(RR間隔が短縮する/QRSの形も変化あり),高度房室ブロックに分類
  • 心房中隔欠損 ASD では不完全右脚ブロック(+右脚あるいは正軸)を認めるが,左軸偏位ならば一次孔欠損(心内膜症欠損・房室中隔欠損)を疑う.ちなみにファロー四徴症なら術後に完全右脚ブロックを呈することが多い
  • 平低T波(flat T waves)はR波の1/10以下(ただしR波高が10 mm以上)あるいは-1.0 mm~+1.0 mm
  • ウェンケバッハは基本的にHis束の上(AH伝導)の問題で,徐脈時に多くアトロピンに反応があり運動時には消失する.一方,モビッツⅡ型はHVで切れて頻脈時(労作時など)に多くアトロピンやβ刺激に反応なし(むしろ増悪)
  • QT延長時にはQTを延長させる Ⅲ 群薬(カリウムチャネル遮断薬:アミオダロン,ニフェカラント(シンビット®),ソタコール)はもちろん使用しない
  • 発作生房室ブロック(paroxysmal atrioventricular block: PAVB)は2度房室ブロックに分類され,長時間の心停止からAdams- Stokes発作による外傷やけいれんに至ることが少なくない.
  • 心房細動を合併したWPWとLBBBは似た波形になることがある.しかしWPWではケント束の順行伝導の程度によってQRS波形が多少変化することからも鑑別可能

※参考コンテンツ:心電図マイスターチャンネル,他

💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-12-17

第136回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
4-17 心筋梗塞後のVT/VF stormに対してPurkinje systemのde-networkingが有効であった一例
  • 心筋梗塞後の VT/VF storm は重大な合併症である。Purkinje-related triggerを標的とするアブレーションの有効性が報告されてきたが,新たな手法としてPurkinje de-networkingが注目されている。VT中に先行するPurkinje電位を認め,左脚後枝末梢及び前枝領域のde-networkingを図りnon-inducibleで終了したが再発。再治療時にleft septal fascicle領域のde-networkingを追加することでstormからの離脱と救命に成功。

5-21 血行再建を施行された夏型・冬型心筋梗塞の背景因子・予後比較
  • 夏型MIはplaque erosion,冬型MIはplaque ruptureが多いことが示唆されている。しかし今回の単施設での検討では,夏型(6~8月)MIに比して冬型(12~2月)MIでは STEMI患者やLMT病変の割合が多かったが,予後に差は認めなかった。

6-9 Marshall静脈へエタノールアブレーションが奏効した僧帽弁輪旋回型心房頻拍の一例
  • 僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断し,僧帽弁輪峡部に対する線状焼灼およびMarshall静脈(VOM)の走行に沿って内膜を焼灼中に心房頻拍の停止を得た。しかし,4ヶ月後に心房頻拍が再発したため再CAを行った。前回と同じ VOM を介した僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断された。心内膜側からの通電では永続的なブロックが難しいと判断し,エタノールアブレーションを行った。エタノールをVOMに注入したところ頻拍周期が延長を伴って停止し,僧帽弁輪峡部のブロックを得た。(補足)マーシャル静脈は冠静脈洞から分岐し左肺静脈と左心耳の間の心外膜側を斜走する静脈で,心房細動の発生や維持に関与することがある。

7-7 金属アレルギーを有する労作性狭心症患者に対して,proBIO coatingを有するOrsiro stentで治療し得た1例
  • RCAに高度狭窄病変を認めたが,金属アレルギーの申告があったため,薬物治療を優先する方針とした。後日実施した金属アレルギー検査ではニッケルで陽性,ステントではXienceで陽性が確認された。最終的に本症例では金属イオン溶出を抑制し得るproBIO coatingを有するOrsiroステントで治療を実施した。(補足)このproBIO coatingはステントの金属表面と周辺血管組織との間に起こる炎症の一因とされる金属イオンの溶出を抑制することで再狭窄を減らしているそうです。

8-6 Wolf-Ohtsuka法術後に両心房血栓を認めた一例
  • ヘパリンの持続投与を開始したが,腫瘤のサイズに変化はなく,右房内血栓も縮小しなかったため,開心術による摘除を行った。摘除した腫瘤の病理所見は血栓であった。術後,ヘパリン持続点滴,ワルファリン内服を開始したが,血栓の再発を認めた。ワルファリンのコントロールを強化したところ,血栓は消失した。Wolf-Ohtsuka 法術後に血栓を認めることは稀である。(補足)ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡下左心耳閉鎖術で5mmから10mm程度の穴を胸の壁に4ヶ所開けるだけで傷もほとんど目立たず,手術に用いられる自動吻合器代も6万円とWatchmanに比べるとかなり安価(引用

8-25 最北端の非専門医によるVMTスコアを用いた心不全管理の有用性(市立稚内病院)
  • 常勤の循環器内科医では対応しきれず,非専門医が大半の心不全患者を管理しているため,非専門医でも心不全の診断・治療方針の決定ができる指標が必要である。そこで村山,岩野らが考案した心エコー図のドプラ機能を使うことなくB modeのみで左室充満圧を推定できるVMTスコアを活用し心不全の診断・治療方針の決定に寄与している。(補足)VMT(visually assessed time difference between the mitral valve and tricuspid valve opening)スコアは断層心エコー法を用いて評価した左右の房室弁開放時相差の視覚的評価に基づいたスコアリング法。

👻 当院からの発表
  • 3-1 肥大型心筋症の予後とⅣ音(循環器内科 川﨑達也ほか)
  • 3-29 心不全患者のリスク層別化:各種負荷に対する頸静脈所見(循環器内科 野口理希ほか)
  • 7-14 身体診察が特徴的であったトランスサイレチン型心アミロイドーシスの1例(循環器内科 平野達大ほか)
  • 8-4 身体所見を契機に診断に至った静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江彩佳ほか)

すべて英語論文化(2つは掲載済,1つは投稿中,もう1つは投稿待)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2023-12-04

心電図マイスターへの道 ④

急性心筋梗塞 AMI
  • RCA 近位部閉塞=V1でST低下なし(ST上昇とミラーイメージのST低下で相殺),V3R・4RでST上昇あり,ST上昇はIII>II(ただし右室梗塞を合併すればV1で上昇あり)
  • RCA 遠位部閉塞=V1でST低下あり,V3R・4RでST上昇なし,ST上昇はIII>II
  • Cx 遠位部閉塞=V1でST低下なし,V3R・4RでST上昇なし,ST上昇はIII<II
  • おまけ1:V1で上昇があれば急性前壁梗塞,なければタコツボ心筋症(過去の投稿).ちなみにたこつぼではaVRでST低下を生じやすい
  • おまけ2:ST上昇は1 mm以上でV2,3に限れば女性1.5 mm以上,男性なら~40歳は2.0 mm以上,40歳~なら2.5 mm以上.ちなみにST低下は0.5 mm以上

プログラマー心電図
  • 例:上段に心房波形,次段が心室波形,その下に下記記号
  • AP=心房ペーシング,VP=心室ペーシング,AS=心房センシング,VS=心室センシング,AR=心房不応期内センシングVR=心室不応期内センシング,BP/BV=両室ペーシング,TS(VT/VF)=タキセンシング,TP=タキペーシング

偽性心室頻拍
  • pseudo VTあるいはpseudo ventricular tachycardiaは国際的には通じない(PubMedの検索で各々2件と14件).pre-excited atrial fibrillationあるいはAtrial fibrillation in the Wolff-Parkinson-White syndromeなどと表現される.

洞不全症候群 SSSのルーベンシュタイン分類
  • Ⅰ 群 ➜ 特定原因のない洞徐脈(心拍数<50回/分)
  • Ⅱ 群 ➜ 洞停止・洞房ブロック
  • Ⅲ 群 ➜ 徐脈-頻脈症候群

頭の整理:AVRTとAVNRT
  • WPW症候群の頻拍は2種類:①房室結節と副伝導路の間で興奮が旋回する房室回帰頻拍(AVRT),②心房細動の興奮が副伝導路を介して高頻度に伝わる偽性心室頻拍(pseudo VT)
  • 房室結節回帰頻拍(AVNRT)も2種類:①通常型AVNRT:興奮が遅伝導路(slow pathway)を順行性+速伝導路(fast pathway)を逆行性に旋回,②非通常型AVNRT:fast pathwayを順行性+slow pathwayを逆行性に旋回(発症が RP'>P'RのLong RP' tachycardia
  • narrow QRS tachycardia中にPVC出現 ➜ 直後のRR間隔が少し短縮すればAVRT(リセット現象あり),RR間隔に変化がなければAVNRT(リセット現象なし)

その他
  • ペースメーカのAV delayの最大設定は300ms程度
  • aVR誘導でST変化がなければ左主幹部梗塞の可能性は低い
  • QRSの始まりから頂点までの時間maximum deflection index(MDI)とQRS幅の比が0.55以上なら心外膜あるいは中隔深部が起源のPVCを疑う
  • ATがP波で停止することは通常ない
  • 下壁誘導,V1,V6誘導でP波(あるいは粗動様の波)が全て陽性なら三尖弁を回る心房粗動とは考えにくい(心房頻拍を考える)(おまけ:通常型のAFLはIIで陰性・V1で陽性・V6で陰性のワンパターン)
  • AVNRTは通常1:1伝導であるが,下位共通路があれば2:1伝導も生じ得る
  • 移行帯はR<Sになる誘導(R波高が下がり始める誘導ではない)で,通常はV3あるいはV4
  • 心拍数は5mmマスで300,150,100,75,60,50,43,38,33,30・・・


💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-02

シャント血管マッサージ

  • 透析をはじめようとした際,シャント音が弱い,聞こえないなど,シャントの流れが悪くなっていた場合には,即座にシャント部をマッサージすることで回復することがある.穿刺予定部を手でしっかり揉む,さするなどしてあげる.
  • シャント作製後 3ヵ月以上たっていれば吻合部を揉んでも差し支えないので,穿刺部とともに吻合部もマッサージする.局部静脈に細い針でヘパリン化生食やウロキナーゼを注入してから揉むのが効果的であるが,難しい場合でも,揉むだけで血流が回復することも多い.



シャント血管マッサージを禁忌とする患者
  • シャント作成後2週間未満
  • 新シャント穿刺3回目以内
  • 狭窄部位に痛みや腫脹がある
  • シャントに瘤がある
  • 人工血管を用いたシャント
  • シャントステントのエッジ部分に狭窄がある
  • ステロイド長期投与
  • 80歳以上
  • 皮膚が薄く,内出血や表皮剝離のリスクがある
  • 心房中隔欠損,心室中隔欠損がある

引用)透析会誌 2018;51:305-11(元:腎と透析 2013;74:84‒6)

(投稿者 川崎)

2021-09-12

日本内科学会 第233回近畿地方会より

🐤 9/11にWEBで開催(個人的に気になった演題)
演題 34 カテーテルアブレーションの際、中隔穿刺時に下行大動脈を誤穿刺してしまった1例
  • 心房中隔穿刺における大動脈穿刺の合併症は0.03~0.05%.本例ではワイヤーのみの大動脈に穿通していると判断し慎重に抜去してその後は通常通りに肺静脈隔離を実施.

演題59 EBUS-TBNAで結核性リンパ節炎と診断した慢性腎臓病患者の1例
  • EBUS-TBNAとはendobronchial ultrasound-guided trans- bronchial needle aspirationの略で超音波ガイド下経気管支針生検のこと

演題91 1週間前からの咳嗽を契機に診断された気管支結石
  • 気管支結石の成因に関しては,気管支内腔の分泌物・粘液・異物を核に石灰沈着を生じたもの.肺実質・気管支周囲リンパ節の石灰化,気管支壁の石灰化が知られている.

演題97 処方カスケード形成によるポリファーマシーの1例
  • 処方カスケードとは処方された薬剤による有害な反応を新たな病状と誤認し,それに対して新たな処方をすること.本例では利尿薬によって生じた食思不振・嘔吐に対して制吐薬や漢方薬が処方された.

演題112 緊急内視鏡治療が奏功した糞便による閉塞性大腸炎
  • 糞便による閉塞性大腸炎は受診時にショックを呈し緊急手術の適応となる症例が多い.早期診断および内視鏡的治療により重症化を回避しえるため,便秘症の診療に当たっては本疾患に念頭に置く.

🎊 当院からの発表(とてもよかったよ〜)
  • 演題26 ばち指が肺癌の診断と経過観察に有用であった労作性狭心症の1例(土橋哉仁先生ほか,循環器内科・呼吸器内科・呼吸器外科)

🎓「学会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2016-11-16

WPW症候群と先天性心疾患(心電塾より)

WPW症候群とはケント束という副伝導路が存在する疾患で,短縮したPQ間隔とデルタ波を伴う幅広いQRSが特徴
頻脈発作との関連で知られるが,全人口の0.1%~0.3%と比較的多く,生涯発作を生じない症例も稀ではない


WPW症候群に合併しやすい先天性心疾患はエプスタイン奇形(右房と右室の間の三尖弁が右室腔側に変位)


本例では心房中隔欠損を合併している(エプスタイン奇形は心室中隔欠損や卵円孔開存の合併もある)

(投稿者 川崎)

2023-02-20

復習

  • Twitterで特徴的な画像を見たのですが(下図),病名を思い出せませんでした.調べてみると前回眼にしたのは2020年秋の循環器内科地方会でした(ココ).ちょっと反省を込めてまとめておきます.

- 息切れで来院した91歳男性 -

⚔ シミター症候群(Scimitar syndrome)
  • 右肺静脈が下大静脈に流出する部分肺静脈還流異常(PAPVR)
  • 初報は1836年のCooperとChassinatであるが命名は1960年(
  • シミターとは,かつてトルコ軍が使用した剣でサーベルの原型
  • 命名は胸部X線で異常肺静脈が刀身と柄のように見えるため
  • 頻度は10万出生あたり1-3人で男女比は2対1,全PAPVRの3〜6%
  • 心房中隔欠損(80%),動脈管開存症,心室中隔欠損症など合併
  • 症状は無症状〜右心系の負荷(心不全),再発性肺感染症など


- 解剖学的シェーマ -

(投稿者 川崎)

2024-12-08

第138回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
B-15 遷延する高度徐脈・低血圧をきたし,蜂蜜中毒と診断した一例
  • 蜂蜜中毒はトルコを中心に世界各地で報告されており, 有毒成分Grayanotoxinが原因である. コリン作動性の症状を呈するのに加え, 低血圧やショック, 徐脈, 完全房室ブロックなどが起こり得る. 本症例ではアトロピンの静脈注射を行い, 数分後速やかに循環動態が改善した.

D-3 Micra植込み後ダンシングに対し、経皮的抜去を行った一例
  • 右大腿静脈からMicaデリバリー用シースを挿入し、ダブルスネアテクニックにてMicra本体を2本のスネアで固定しながらデリバリーシース内に格納後、デリバリーシースごと抜去した。

発表ではありませんが…
  • 今回は10時過ぎからコーヒーブレイクセミナーが4会場,15時過ぎからアフタヌーンセミナーが6会場で実施されていました(近畿地方会では初の試み?).いずれも飲み物と和菓子あるいは洋菓子が二つほど入った紙袋がもらえました.もちろんお昼にはランチョンセミナーが7会場でありました.すべて完食したので大満足(でも食べ過ぎ😅)


👻 当院からの発表
  • B-25 拡張期奇異性血流を呈したATTR心アミロイドーシスの1例(循環器内科 西機恵実ほか)
  • B-38 負荷頚静脈評価法:心不全症例のリスク判定(循環器内科 川崎達也ほか)
  • D-25 収縮性駆出性雑音を呈した動脈管開存症の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • D-27 発作性心房細動を契機にPH crisisを生じた心房中隔欠損症の一成人例(循環器内科 川俣博史ほか)
  • I-9 心室頻拍の起源が診断契機になった心臓限局性サルコイドーシスの1例(循環器内科 積木勇人ほか)

すべて論文化(4編英語:掲載済1,採択1,投稿中2,作成中1)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)