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2026-01-21

ホーキンステスト(Hawkins test)
ホーキンス・ケネディテスト(Hawkins-Kennedy test)

  • 概略 肩峰下インピンジメント(棘上筋腱の損傷)の有無を判定する方法
  • 初報 カナダの医師 Hawkins と Kennedy(Am J Sports Med 1980;8:151-8) 
  • 方法 肩関節外転90度+肘関節90度の屈曲位で肩甲骨を受動的に素早く内旋
  • 判定 痛みが出現なら陽性(感度74% [57–85%],特異度57% [46–67%])(

- ホーキンステストの実際 -
(投稿者 川崎)

2026-01-20

漢心調血飲かんしんちょうけついん

  • 先日,外来で患者さんが長年飲んでいるという漢方を教えてもらいました.この手の話は稀ならず経験するのですが,今回は「漢心調血飲」という初めて聞く漢方でした(DI).とてもインパクトのある名前で強く印象に残りました.簡単に調べてみたので忘備録としてアップしておきます.

  • 特徴 丹参(タンジン)を主として6種類の生薬を配合した製剤
  • 成分 丹参,川芎,芍薬,紅花 ,木香,香附子+添加物(各種)
  • 効能 中年以降又は高血圧の頭痛,頭重,肩こり,めまい,動悸
  • 用法 15歳~1回1包,1日3回,食間または空腹時に水またはお湯


👉 漢方に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。

💁 AI (人工知能) に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
(投稿者 川崎)

2026-01-18

肺内リンパ装置

  • 肺内リンパ節(Intrapulmonary lymph node)と同じ意味
  • ただし組織学的には肺内リンパ装置と呼称すべきである
  • 境界明瞭で辺縁平滑な円形・卵円形,多角形な微小結節
  • 7-8 mm程度が多く場所が特徴的(胸膜から10 mm以内)
  • ヘリカルCTの普及などで指摘される機会が増加している
  • 鑑別診断は微小肺癌で確定診断には生検が必要(VATS他)
  • 喫煙歴のある成人男性の中葉~下葉に認めることが多い



(投稿者 川崎)

2026-01-17

しめじ 🍄 えのき

  • 指導医師 「この患者さんの糖尿はひどくないよ」
  • 看護学生 「どうしてですか? HbA1cですか?」
  • 指導医師 「まだ,神経障害が生じてないからね」
  • 看護学生 「なるほど,しめじですもんね」
  • 指導医師 「何?…シメジ…??」
  • 看護学生 「はい,国試の勉強で覚えたのですが...」

しめじ(細小血管の糖尿病三大合併症) 
  • ➜ 神経障害
  • ➜ 網膜症
  • ➜ 腎腎症

えのき(大血管の糖尿病三大合併症)
  • ➜ 壊疽
  • ➜ 脳梗塞
  • ➜ 狭心症・急性心筋梗塞

- 食用キノコ図鑑 -
農林水産省 ← 各キノコの解説あります)

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-16

成功体験

- 息切れで来院した症例 -

👀 解説
  • 通常時には爪床に特記すべき異常所見なし
  • 爪床の圧迫時に色調変化(クインケ徴候)
  • おまけ:検者の爪床にはクインケ徴候なし

😊 独り言
  • 本例は心音で明瞭な拡張期雑音を聴取しました.そこで循環器外来を見学していた初期研修医1年目の先生に爪床を圧迫してもらいました.
  • すると明瞭な拍動が出現したため,大動脈弁逆流と診断してくれました.その後に行った心エコー図でも高度の大動脈弁逆流を認めました.
  • その先生はとても感動していました.このような成功体験を積むことが身体所見を学ぶ近道です.ただし志望は循環器以外のようですが...

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(投稿者 川崎)

2026-01-15

今週の一枚 🎯

高齢者:足趾の痺れ→腰痛と発熱

😈 化膿性椎間板炎
  • X線:腰椎骨棘著明 ➜ DISH?(下記参照)
  • CT:L4/5椎間板の周囲に脂肪織濃度の上昇
  • MRI:同椎間板腔に液貯留かつ前方に連続
  • 高度の変形性変化+両側の外側陥凹狭小化
  • ドレナージ液から黄色ブドウ球菌(MSSA)

😐 DISH(ディッシュ)
  • 脊椎および脊椎外に特徴的な骨増殖(骨化) を呈する変性疾患
  • びまん性特発性骨増殖症 Diffuse Idiopathic Skeletal Hyperostosis
  • 糖尿病,高血圧,肥満,呼吸器疾患などと合併することが多い
  • 本邦での頻度は6~12%(70歳以上の男性に限定すると約50%)
  • 機序は解明されていないが骨形成障害の疑い(遺伝的な要因?)


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(投稿者 川崎)

2026-01-14

Erbの謎:Revisited

😐 独り言
  • 以前に心臓フィジカル広場にアップした内容ですが(ココ),本ページには投稿されていなったようです.本ページにも関連する内容なのでアップしておきます.
  • 下記のErbの謎:循環器用語集にErb's disease=エルブ病とErb's dystrophy=エルブ・ジストロフィが収載されています.Erb's pointもエルプよりエルブがいいかも…

  • 息切れで来院した中年女性の胸部(第2肋間胸骨左縁に付箋)
  • 抬起性の傍胸骨拍動やⅡ音肺動脈成分の亢進+往復雑音あり


🐥 解説
  • 黄色付箋が周期的に拍動(隆起)している(左右の動画は同時相)
  • 隆起は2LSB〜Erb領域に限局し時相は収縮期 ➜ 肺動脈拍動の疑い
  • 聴診+触診でⅡ音の時相で僅かな振動 ➜ Ⅱ音肺動脈成分の触知
  • 本例の最終的な診断は心房中隔欠損症肺高血圧症+肺動脈拡大

👶 Erbの謎
  • Erb's point (cardiology)は第3肋間胸骨左縁付近でⅡ音が最も聴取しやすい場所として知られています.ドイツの神経内科医 Wilhelm Heinrich Erb (1840–1921)に由来しますが,彼は頸神経叢の皮枝が頸筋膜浅葉を貫通して胸鎖乳突筋の後縁から表層に出現する部位Erb's point (neurology)としての方が有名
  • 意外なことにErb自身の出版物としてErb's point (cardiology)に関する記載はないようです.しかし1890年代にErb自身がドイツのハイデルベルグで行った講義でErb's point (cardiology)について説明し,それ耳にした米国の医師の記録が最近発見されました(Dtsch Med Wochenschr 2018;143:1852-7
  • Erbと書いてエルと発音すると長年信じてきました(ただしエル派も少なくありません).循環器用語集には未登録で,Google Scholarでも同数(エル領域+心臓は4件,エル領域+心臓も4件).米国や英国の発音はアープスと聞こえるし,母国ドイツ人の発音は多様です.是非 ココ で確認してみて下さい.

(投稿者 川崎)

2026-01-13

循環器学会専門医試験問題より

😅 独り言
  • 先日の出題「心拍出量のFick法」のページに記載されていた問題です.全く分からなかったので,適当に答えたら(もちろん)間違っていました.
  • 薬理作用を考えたら「なるほど…」の選択肢です.反省を込めてここにアップします.当院採用の肺高血圧の治療薬はココ(2022年時点ですが…)


【問題】特発性肺動脈性肺高血圧症の臨床診断で Macitentan と Sildenafil で初期併用療法を行ったとこ ろ,急激な肺うっ血をきたした.最も可能性が高い診断はどれか.







判定


😐 解説:正解 a
  • 肺静脈閉塞性疾患(PVOD)はまれで,診断も治療も難しい難病である.有病率は人口100万人あたり2名以下で,2年以内で死亡する例も多い.肺毛細血管腫症(PCH)とはその異同が議論されている.特発性,遺伝性,薬剤性のほか膠原病と関連しても発生する.
  • PVOD/PCHでは,肺胞中隔から小葉間中隔の微小な肺静脈で狭窄や閉塞が起こる.この抵抗に逆らって血液を流すために右室は高圧を出すが,やがて耐え切れずに右心不全となり,死に至る.確実な診断には肺生検が必要だが,リスクが高いので現実に行われることはあまりない.肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診断基準に合致するが,肺拡散能が低下していたり,運動時に極端に低酸素になったり,肺のHRCTで小葉中心性のすりガラス陰影が見られたり,縦隔リンパ節の腫大や小葉中隔壁肥厚が見られたりする場合に,臨床的に診断することが多い.
  • 主病態は肺細静脈の閉塞であり,しかもその閉塞は線維性であるので,平滑筋細胞に働きかけるPAH特異的治療薬は,普通に使えば無効か有害である.肺細動脈を拡張させれば血流は増えるが肺細静脈が閉塞しているのでその手前の肺胞で水腫が起こりうる.しかし,わが国では脳死肺移植は希望者登録をしてから3年以上の待期期間があるのが一般で,移植を待つ間に死亡する例も多い.そこで,肺血管抵抗を少しでも下げて右室の負荷を軽減しようと,PAH特異的治療薬をあえてPVOD/PCHの患者に試みることもある.これには相当な技術と経験が必要で,しかも決して移植に代わる治療とはならない.


(投稿者 川崎)

2026-01-12

フィジカルクイズ(No. 35 & 36)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



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(投稿者 川崎)

2026-01-11

Carditis 心[臓]炎

  • リウマチ熱の心炎は,リウマチ熱の主症状で関節炎に次いで2番目に多い症状である.小児では初発例の約50~60%に出現する.頻脈・心雑音で気づかれることが多く,発熱・関節炎の出現後,1~2 週間以内の出現が多い.重症度はさまざまで,軽症で一過性のものから劇症型で死に至るものもある.汎心炎であり,心内膜,心筋,心膜すべての炎症を引き起こすが,多くは弁膜炎を中心とした心内膜炎である.心内膜が最も侵されやすく,心内膜炎のない心筋炎・心膜炎は稀である.


  • The incidence of Lyme disease in the USA is 8 per 100 000 cases and 95% of those occur in the Northeastern region. Cardiac involvement occurs in only 1% of untreated patients. We describe the case of a 46-year-old man who presented with chest pressure, dyspnoea, palpitations and syncope. He presented initially with atrial fibrillation with rapid ventricular response, a rare manifestation of Lyme carditis.


😐 独り言
  • Carditisという用語は成人を対象とする循環器内科医が使うことはほとんどないと思います.通常はもっと具体的に記載します(例:心筋炎,心膜炎,心内膜炎).しかし学会用語集には心[臓]炎の邦訳で収載されています.
  • 調査範囲では,英語論文ではライム病での使用が最多でした(日本語ではライム病自体が稀なためかごく僅か).他は膠原病やリウマチ,COVID-19などに生じた心臓合併症として使用.さらに(なぜか)小児領域で散見😶

(投稿者 川崎)

2026-01-10

血管 りん Vascular Ring

  • 大動脈弓やその分枝が気管や食道の周囲を取り囲み圧迫する先天異常
  • 両側第4鰓弓動脈の遺残で重複大動脈弓 ➜ 一部の血管が退縮し血管輪
  • 重複大動脈弓によるものと右側大動脈弓に伴うものが多くを占めている
  • 右側大動脈弓では動脈管索例と動脈管索に加え鎖骨下動脈の起始異常例
  • 無症状~喘鳴,反復呼吸器感染,嚥下障害,頻回の嘔吐,体重増加不良
  • 重症の気管(支)軟化合併なら啼泣や哺乳で致命的呼吸不全(dying spell)
  • コメレル憩室(鎖骨下動脈起始部の瘤状拡張)による血管輪あり(下図)
  • 症候性なら早期に血管輪の解除術(+気管支や食道の再建術やステント)


- 血管輪による食道の後方圧迫像 -

図2. ( a ) 後方を向いた 3D 再構成の CT スキャンでは、異常な左鎖骨下動脈とコメレル憩室を伴う右側大動脈弓が示されている。 ( b ) コメレル憩室を伴う閉鎖遠位左大動脈部分を伴う二重大動脈弓を示す。CT スキャン 3D 再構成。 ( c ) 食道造影写真では、異常な鎖骨下動脈のコメレル憩室 (白い矢印でマーク) によって引き起こされる後方圧迫が示されている。 AA = 大動脈弓、KD = コメレル憩室、DA = 下行大動脈 (AI訳)

(投稿者 川崎)

2026-01-09

Look-Locker method ルック・ロッカー法

Look-Locker
  • MRIでT1を測定する撮像法(Native T1 mapping)の最も効率的な方法の1つ
  • 米のLookとLockerが開発(Review of Scientific Instruments 1970;41:250-1) 
  • 反転パルス後に画像データセグメントを繰り返し取得しT1緩和時間を測定
  • 問題点は磁化移動,不十分な縦緩和,オフレゾナンス等でT1値の過小評価
  • 現場では修正法を使用:例 MOLLI (modified Look-Locker inversion recovery)


- 修正Look-Lockerシーケンス(MOLLI)の取得戦略 -

この例では180反転パルスの後、心拡張期に5心拍にわたって画像を取得し、その後3心拍の休止期間を設ける。さらに反転後、わずかにオフセットしたTIでさらに3枚の画像を取得し、反転回復曲線に沿ってより多くの点をサンプリングする。各反転パルス後の画像取得に必要な心拍数と、2周期間の3心拍の休止期間に基づいて、このMOLLI取得スキームは5(3)3と呼ばれる。画像はTIの昇順に並べられ、各ピクセルの信号強度はT1回復曲線に適合される。この手法を画像内のすべてのピクセルに対して実行すると、T1マップ(右下)が得られる。(AI訳)

(投稿者 川崎)

2026-01-08

今週の一枚 🎯

発熱と左顔面の発赤で来院した高齢者

😐 解説
  • 身体所見では左眼瞼~頬部の発赤と腫脹
  • 紅斑境界はやや不明瞭?で耳介波及なし
  • 帯状疱疹を疑う水泡または分布形態なし
  • 頭部CTで同部位は軽度肥厚(下図矢印)
  • 皮下組織の腫脹や濃度上昇は目立たない
  • 明らかな頭蓋内出血や腫瘤は指摘しない
  • 採血では白血球数は8100,CRPは1.05
  • 左顔面の丹毒と考え入院してABPC開始
  • 血培からS. dysgalactiae(G群溶連菌)

👂 耳よりな話 👂
  • 感染症による顔面の紅斑を生じる病態には丹毒蜂窩織炎があります.丹毒は真皮浅層の感染症であるため境界が明瞭ですが,蜂窩織炎は真皮深層から皮下組織が主座のため紅斑は境界が不明瞭になります.
  • 丹毒では耳介に病変が及ぶことが多いことが知られています(Milian's ear sign).本例は身体所見(境界不明瞭&耳介波及なし)からは顔面蜂窩織炎が疑われましたが,CTや血培所見は丹毒に合致

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(投稿者 川崎)

2026-01-07

ボウルビィの愛着理論 Bowlby's Attachment Theory

  • イギリスの精神科医(John Bowlby:1907-1990)が提唱した理論(Attachment and Loss, Vol.1 London: Hogarth Press, 1969)
  • 乳児が生存し,健全な社会的・情緒的機能を発達させるためには,少なくとも一人の主要な養育者と親密な関係を築く必要があると仮定
  • ジョン・ボウルビィはアタッチメント理論のなかでアタッチメント行動の発達について4段階に分けて説明している(下記の箇条書き)

👶 アタッチメント行動
  • 第1段階:特定されない対象への定位・信号行動(生後3カ月頃まで)
  • 第2段階:識別された特定の対象への定位・信号行動(生後6ヵ月頃)
  • 第3段階:特定の対象への近接・接近する行動(生後6ヵ月〜3歳頃)
  • 第4段階:行動目標の修正と協調性の形成(3歳頃以降)

💁 各段階の行動の具体例
  • 定位 ➜ 養育者の姿を目で追ったり,声を聞こうとしたりする行動
  • 信号 ➜ 人に注意を向けて泣く,微笑するなど合図する行動
  • 接近 ➜ 吸う,しがみつく,後を追うなどの行動


(投稿者 川崎)

2026-01-06

脳死判定

  • 自発呼吸が消失し脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態で,法に規定する脳死判定(下の3項目)を行って診断
  • 第1回目の脳死判定が終了した時点から6歳以上では6時間以上,6歳未満では24時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始

    • 深昏睡
    • 瞳孔散大固定脳幹反射(対光反射,角膜反射,毛様脊髄反射,眼球頭反射,前庭反射,咽頭反射,咳反射)の消失  
    • 平坦脳波(高感度記録を含むことが望まれる)

(投稿者 川崎)

2026-01-05

肝頚静脈逆流 Hepatojugular reflux: HJR (or Abdominojugular test)

  • 肝頚静脈逆流のメタアナリシス(J Gen Fam Med 2022;23:393-400)を眼にしたのでPICO(ピコ)形式で共有します

    1. P – 7件の研究とその5195人
    2. I – 二変量ランダム効果解析
    3. C – 心不全に対する診断能
    4. O – 感度0.12,特異度0.96

😑 「う~
  • 先日,卒後15年目くらいの臨床バリバリ循環器専門医から「hepatojugular refluxって何ですか?」と聞かれました.個人的にも実臨床で行うことはまずありません.心不全の感度12%では致し方ないでしょうか...
  • ただし2025年改訂版 心不全診療ガイドラインには(まだ)記載されています「この(←頚静脈のこと)拍動が吸気や腹部圧迫によって明瞭化する所見(Kussmaul徴候,肝頸静脈逆流)も 体うっ血を示唆する」(P32)
  • 肝頚静脈逆流(HJR)の陽性基準は,自発呼吸下で右上腹部を10秒以上圧迫したとき頚静脈圧3cm以上かつ15秒以上続く場合が多いと思います(過去の投稿)…いやはやシンプル頚静脈の方がはるかに簡単で感度も高そう

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-01-04

👂 最近の耳学問

😋 真偽に関しては保証できませんが…
  • 階段を1階から3階まであがれると4メッツ(概ね手術に耐えられる基準)
  • 白内障手術では術後1週間は禁酒(エビダンスには乏しく当院は非採用)
  • ”生理中は生ものを避けた方がよい”は都市伝説(刺激物は回避ベター?)
  • Mentimeter や CommentScreen でプレゼン中に参加者の意見集計(投票)
  • 医学では診断書を手書きしない場合は必ずしも”以下余白”は必須ではない
  • 中心静脈圧(CVP)が高い心不全では体外式膜型人工肺(ECMO)が有用
  • 肺動脈楔入圧(PCWP)が上昇した心不全では経皮的補助人工心臓(PVADピーバド
  • アップルファイバー(主に皮を乾燥・粉末化)は便通改善と腸内環境整備
  • 哺乳類の呼吸は一生で約5億回(総心拍数は有名で約15〜20億回:人除く)
  • 心不全で有名な”病みの軌跡”の初出はAm J Cardiol 2005;19;96:11G-17G
  • 心不全例の多くは複数の臓器不全でいわゆる”全不全”(猪又孝元先生ら)

💁 耳学問に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-03

心拍出量のFick法

【日本循環器学会専門医試験問題】より
 心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(投稿者 川崎)

2026-01-02

Vogt-Koyanagi-Harada (VKH) disease フォークト・小柳・原田病(or 原田病)

  • 概略 メラノサイトに対する自己免疫性(疑い)
  • 命名 スイスのA. Vogt小柳美三原田永之助
  • 症状 両眼性ぶどう膜炎による視力低下や羞明
  • 眼外 髄膜炎、耳鳴、難聴、皮膚白斑、白髪など
  • 鑑別 サルコイドーシスおよびベーチェット病
  • 疫学 20~50歳のアジア女性に多い(特に日本)
  • 治療 大量ステロイドの点滴療法 → 内服の漸減
  • 予後 多くは治療によく反応し視力が改善する


- 初期段階の漿液性網膜剥離(上図)と末期段階の夕焼け眼底(下図) -

(投稿者 川崎)

2026-01-01

今週の一枚 🎯 元旦 🎍

労作時の息切れで来院例(座位)

😐 解説
  • 頚部の上1/3(顎下)に陥凹(右向き矢印)
  • 吸気負荷で別の部位に隆起(左向き矢印)
  • 拍動はいずれも不規則 ➜ 心房細動の疑い
  • 外頚静脈の怒張 ➜ クスマウル徴候(矢頭)
  • 内頚静脈の陥凹+外頚静脈怒張 ➜ 心不全
  • 頚動脈隆起(コリガン脈)➜ 大動脈弁逆流
  • 心エコー図では中等度の大動脈弁逆流あり
  • 最終的にARとAFを伴った心不全と診断した

💟 現場実況
  • 本例で初診時に身体所見を確認したときには,安静時の内頚静脈の陥凹が吸気後には隆起(ランチシ徴候)へ変化しました.もちろんこれで,中心静脈圧が高度に上昇した非代償性心不全と診断できました.
  • その後,看護師さんと車いすで検査に回ってもらいました(心電図や胸部X線,採血).その後の結果説明時(←この時に上記動画を記録)には,ランチシ徴候はなく代わりにクスマウル徴候を認めました.
  • 本例は吸気後に頚動脈拍動(コリガン脈)を認めます.よく見ると安静時にもすでにありそうです.通常,吸気で頚動脈所見は変化しません.本例は筋緊張などが加わり拍動が顕性化したと考えられました.

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(投稿者 川崎)