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2025-10-04

血培:Choosing Wisely(賢明な選択)

👭 先日のカンファレンス
  • 発熱があると家族に連れられて夜間のERを受診した高齢者.本人は無症状で,特記すべき既往歴もない.軽度の炎症反応があり,尿検査と全身CTから尿路系の感染症が疑われた.血培が追加され,内服抗菌薬を処方され帰宅した.改善がないときには再診するよう指示された.
  • 翌日,血液培養から大腸菌が検出されたと病院から連絡があり入院した.すでに炎症反応はピークアウトしていると思われたが,抗菌薬を内服から点滴に変更.その後しばらくして,体幹に皮疹が出現した.皮膚科を受診し抗菌薬による副作用が疑われた.入院期間は延長...

🚨 日本版敗血症診療ガイドライン2024 より
  • 菌血症は,心内膜炎,カテーテル関連血流感染症,肺炎,膿瘍,骨髄炎,腹腔内感染症,尿路感染症などの感染症で生じ,高い死亡率を示している。
  • 敗血症においては,38〜69%で菌血症を合併することが報告されている。各種の迅速診断法が開発されているものの,現在でも血液培養は敗血症の病原微生物を同定する標準的検査法である。
  • 菌血症を疑う症状(発熱,悪寒・戦慄など)の出現,原因不明の低体温,低血圧,頻呼吸,意識障害(特に高齢者や小児),白血球数増加や減少,代謝性アシドーシス,免疫不全患者における呼吸不全・急性腎障害・急性肝障害などがみられた場合は敗血症を疑い,できるだけ早急に血液培養を 2セット以上採取することが推奨されている。
  • 悪寒・戦慄を伴う発熱が生じた場合は菌血症の陽性尤度比が高い。一方,菌血症の可能性が低い場合の発熱や白血球数の上昇のみでは必ずしも血液培養を採取しなくてもよいとする報告もある。

😑 独り言
  • 血液培養の診療報酬点数は225点で,嫌気性培養を行った場合は122点が加算されます.よって2セットなら計6,940円です(令和6年版:今日の診療サポート)
  • 医学は確率の側面を有するため必ずしも想定通りにはいきませんが,医療費の蛇口の開閉を担う医師は Choosing Wisely(賢明な選択)を心がけたいものです.

(投稿者 川﨑)

2025-08-03

PCAS ピーキャス

  • post cardiac arrest syndromeの略で邦名は心停止後症候群

- 脳障害の病態生理 -

😐 おまけ
  • PCASといえば体温管理療法(targeted temperature management;TTM)(旧名はtherapeutic hypothermia,低体温療法)
  •  PCASのもう一つの話題は人工心肺を用いたECPR(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation,体外循環式心肺蘇生)

🚑 蘇生に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-28

「来院時NEWSは…」

  • 一般病棟での容態急変(つまり集中治療の必要性)を予測する世界標準指標の一つ
  • National Early Warning Scoreの略で2012年に英国で開発された(London: RCP, 2012)
  • 呼吸数,酸素飽和度,酸素療法,体温,収縮期血圧,心拍数,意識レベルの7項目
  • 合計0~4点=低リスク,5~6点またはred score 1つ=中リスク,7点以上=高リスク
  • 5点以上ではpreventable deathを減らすため院内専門家に迅速に相談することが推奨


(投稿者 川崎)

2024-06-06

今週の一枚 🎯

新たな鼾と嗄声,便秘で来院した高齢者

👻 解説
  • 扁桃がやや腫大しているように見える
  • 甲状腺もびまん性に低吸収で軽度腫大
  • 採血ではCK 1535,TSH 155,fT4 0.04
  • 喉頭鏡で軽度浮腫あり(声帯麻痺なし)
  • その後の精査で慢性甲状腺炎と診断した
  • チラーヂンの投与で主訴は徐々に軽快

💀 追加コメント
  • 本例では体重増加(3㎏程度)もあり粘液水腫と考えられた.ただし下腿浮腫や易疲労感,低体温(寒がり),動作緩慢は認められなかった
  • 本例では妻が「今までなかった鼾の出現」に気がついたことが病院受診の契機になった.甲状腺腫大に加え咽頭浮腫などが原因と考えられる.
  • 甲状腺ホルモンの低下時に認めることがあるCK上昇の機序として,代謝の低下あるいはATP減少で筋細胞の透過性亢進などが推測されている(※).

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 太田/川崎)

2024-03-19

日本内科学会 第243回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題14 痙攣発作にて発症したMOG抗体関連疾患(MOGAD)の1例
  • 自己免疫性脳炎の診断でステロイドパルス療法および抗てんかん薬投与を行った。血液・髄液検査にて抗MOG抗体陽性が判明しMOG抗体関連疾患と診断した。成人発症のMOG抗体関連疾患は視神経炎や脊髄炎として発症することが多い。

演題37 急激な経過で死亡したpheochromocytoma multisystem crisis(PMC)の1例
  • 来院時は不穏状態で,体温38.5℃・血圧200/110mmHg・心拍数142/分・SpO2 70%(カヌラ2L/分)で末梢冷感著明であった。腹部CTで長径7cm大の左副腎腫瘍を認め褐色細胞腫の合併が疑われた。著しい低左心機能を原因とした肺水腫であったためECMO/IABPを導入し血管拡張薬やα遮断薬を開始したが,5時間後に再度心停止となり永眠された。PMCは多臓器不全や精神症状,血圧異常など多彩な症状を示し,急性期での診断は困難である。

演題57 Eight-and-a-half症候群を呈しMRI拡散強調像は偽陰性であった橋梗塞の1例
  • One-and-a-half症候群に末梢性顔面神経(VII)麻痺を合併するものをeight-and-a-half症候群と呼ぶ。本例は左MLF(medial longitudinal fasciculus:内側縦束)症候群と左側方注視麻痺を認め,左one-and-a-half症候群であった。さらに左末梢性顔面神経麻痺も認め,eight-and-a-half症候群を呈しており,病巣は左橋下部被蓋の傍正中部と局在診断した。

演題139 胃glomus腫瘍の1例
  • 症例は50歳代,女性。卵巣腫瘍術前の胸腹部造影CTにて胃前庭部に18mmの濃染される粘膜下腫瘍を認めた。上部消化管内視鏡検査では胃前庭部大弯に20mmの粘膜下腫瘍(SMT)を認めた。glomus腫瘍は四肢末端に存在し体温や血流調節に寄与しているとされるglomus体に由来する非上皮性腫瘍である。glomus腫瘍は胃の間葉系腫瘍の約1%と稀である。

演題191 児にFemoral Facial Syndromeを認めた2型糖尿病合併妊娠の1例
  • 第2病日に選択的帝王切開術施行。児は口唇口蓋裂,大腿骨・腓骨欠損、四肢拘縮・短縮を認めFemoral Facial Syndrome (FFS)が疑われた。FFSは大腿骨低形成や眼瞼斜列上・上唇の菲薄化・小顎症等特徴的な顔貌を呈する疾患で,本邦では数例しか報告されていない。


👻 当院からの発表
  • 演題228 膿胸治療中にバンコマイシン関連円柱腎症を来した1例(腎臓内科 野一色陽菜先生)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2023-05-08

低体温と不整脈

🐶 動物実験
  • 血液希釈されていない犬を20°Cまで急冷すると50%が心停止に至った
  • 26°Cに冷却した犬の心室筋ではVFやVTは冷却よりも再加温中に頻繁
  • 21°C猫で通常量強心剤(アドレナリン他)が心室性不整脈を全例誘発

👴 ヒトデータ
  • 深部体温が16.9°C~29°Cの偶発的低体温19例では7人がVF, 2人は心静止
  • 日本の60人の検討では深部体温>26°CでVF を発症した患者はいなかった
  • 低体温療法中に低カリウム血症+QTc間隔延長なら平均34.7°CでVTが発症


低体温時の一般的な電気生理学的所見
洞調律 房室伝導 心室脱分極 心室再分極 不整脈
軽度〜中等度
(>30度)
不変〜低下 不変〜低下 短縮〜不変〜延長 延長 心房細動,心室期外収縮,心室頻拍
高度
(<30度)
停止まで延長 延長〜停止 遅延〜不変 延長,消失 心房細動,心室細動,心静止

🍧 低体温に伴う様々な変化
  • 電解質 ➜ 寒冷利尿による喪失と細胞内移動により低下するため,低Ca血症,低K血症,低Mg血症,低P血症を認める.逆に復温期では高カリウム血症に注意
  • 凝固系 ➜ 35°C以下では血小板機能低下や血小板数の減少が認められる.33°C以下では凝固に関わる酵素活性の低下から出血傾向となる. 
  • 免疫系 ➜ 白血球の遊走能・貪食能および炎症性サイトカイン産生・反応の低下が生じる.また感染時に白血球数やCRPが必ずしも上昇しない
  • 耐糖能 ➜ 低体温ではインスリンの感受性が低下し,膵細胞からのインスリン分泌ならびに糖代謝も低下するため高血糖が助長される.

💁 低体温に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-08-22

アキレス腱反射の弛緩相遅延

アキレス腱を打腱槌で叩き腓腹筋が収縮した後に,再び弛緩するときに正常よりも時間を要する病態(収縮は早いが弛緩は遅い).甲状腺機能低下症(特に粘液水腫/Myxedema reflex)に比較的特異的な所見で出現頻度は62-100%.その機序は甲状腺ホルモンの不足で水や電解質の排出が遅れるため.ただし本所見は加齢や糖尿病,低体温,神経筋疾患,薬剤性,局所的浮腫,妊娠などでも生じることがあるため要注意

参考)Sapira's Art and Science of Bedside Diagnosis, p501 and Table 26-11, 他


👽 命名権
  • 米国の医師Lambertらが報告(J Clin Endocrinol Metab 1951;11:1186-1205)したため別名はLambert徴候です.しかしそれより前に米国の医師Chaneyによる同様の報告(JAMA 1924;82:2013-6)があるためChaney-Lambert徴候と呼ばれることもあるようです.
  • ただし本所見に注目していたのはChaneyの指導医である米国の神経学者Woltmanだそうです.Chaneyは上司を無視し単独で報告したため,Woltman徴候と呼ぶほうがいいようです(裏事情はココ).もっとも同所見は1870年代にはすでに知られていたようですが...
👉 治療前後でWoltman signが改善している粘液水腫の症例動画 ➜ Woltman’s Sign of Hypothyroidism

(投稿者 川崎)

2020-07-03

AIUEO TIPS あいうえおチップス(+α)

前回の投稿から3年半が経っているので再度アップしました 👶

👿 もちろん意識障害の鑑別疾患です
  1. A ➜ alcoholism (急性アルコール中毒),Aortic dissection(急性大動脈解離)
  2. I ➜ insulin (インスリン:低血糖あるいは高血糖)
  3. U ➜ uremia (尿毒症)
  4. E ➜ endocrine(内分泌異常),encephalopathy(脳症),electrolytes(電解質異常)
  5. O  ➜ oxygen(低酸素),opiate/overdose(薬物中毒)
  6. T ➜ trauma(頭部外傷),temperature(低体温あるいは高体温)
  7. I ➜ infection 感染症
  8. P ➜ psychiatoric(精神疾患),porphiria(ポルフィリア)
  9. S ➜ stroke/SAH(脳卒中あるいはくも膜下出血),shock(ショック),seizure(痙攣),supplement(ビタミン欠乏:特にビタミンB1欠乏)

※意識障害の症例では問診ができないからER室では重宝します

👻 トリビア
  • オリジナルは意識障害の鑑別疾患の頭文字を英語母音字(A, E, I, O, U, 稀にY)のアルファベット順に並べたAEIOU TIPS(発音はコチラ)
  • 開発者は不明ですが,初報はおそらく J Natl Med Assoc 1980;72:331-4(AEIOU TIPS: Alcohol, Epilepsy, Infection, Opium and other drugs, Uremia, Trauma, Insulin, too much or too little, Poisons, and Shockと記載)
  • AEIOUを日本語の母音のあいうえお順に並べ替えたものがAIUEO TIPS(あいうえおチップス)で,それに大動脈解離やサプリメント不足などを追加した版が+α

🉐 関連投稿(意識障害編)

(投稿者 川崎)

2020-04-29

📌 今週の一枚(心電図クイズ)

意識消失で倒れているところを発見されてERに搬入された症例




(投稿者 川崎)

2020-03-07

2019年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (IV. 身体診察・臨床手技~V. 疾病各論)

  1. 日本では20歳以上の女性は2年に1度子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)を行うことが推奨されている.ヒトパピローマウイルスワクチンは厚生労働省より現在は積極的な接種の勧奨を一時中止しているが勧めてもよい.性交渉開始前の10~14歳が最も推奨されるが,45歳までの女性に接種してもよい.
  2. 精巣捻転症では精巣挙筋反射(=大腿内側を指でなぞると同側の精巣が挙上すること)が消失する.捻転によって精巣への血流が低下・途絶すると2時間で梗塞が始まり6時間で非可逆的となる(Golden Timeは6時間).
  3. 妊婦の心肺虚脱型羊水塞栓症などではCPR開始より4分間たっても自己心拍再開(ROSC)が得られなければ死戦期帝王切開を考慮する.妊婦の心肺停止では母体救命行為を優先するため,胎児の状態の確認は母体の心拍が再開後に行う.
  4. カフェインはテオフィリンと同様,副腎髄質からのカテコラミン遊離を促しカテコラミン代謝を阻害してβ-アドレナリン受容体刺激作用が発現する.これは頻脈性不整脈や血圧低下が見られた場合はβ遮断薬(プロプラノロールやランジオロール)の投与を行う根拠となっている.
  5. 重度の熱傷では冷却を積極的に行うと低体温が発生しやすい.熱傷面積10%以上の場合では水道水などによる冷却は3~5分程度にとどめ,受傷部以外は毛布で保温しながら搬送することが勧められている.
  6. 症状の有無にかかわらずABIが0.7未満はABIが0.7以上と比較して予後が悪いことが示されている.また閉塞性動脈硬化症患者に対するβ遮断薬は使用可能であることがガイドラインにも明記されている.

🉐 関連投稿 ➜ JAMEP(過去の基本的臨床能力評価試験)

(投稿者 川崎)

2019-12-31

新シリーズ:大晦日の心電図クイズ

  • 急性左心不全に対してICUでECUM中の維持透析症例
  • 多発転移の担癌状態で虚血性心疾患の合併も疑われる




(投稿者 川崎)

2019-12-11

ECPR 体外循環式心肺蘇生

  • ECPR=extracorporeal(体外式)cardiopulmonary resuscitation
  • 体外式人工心肺装置であるECMO (PCPS) を用いた侵襲的な心肺蘇生

初期波形が心室細動あるいは心室頻拍であった院外心停症454例の前向き観察研究で,ECPR(+大動脈内バルーンパンピング+低体温療法)は通常CPRよりも1月後と半年後の神経学的予後を有意に改善することが本邦から報告された(SAVE-J: Resuscitation 2014;85:762-8).

(心臓 2014;46:687-690 ⬅ 一読をおすすめ 😎)

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2019-09-17

循環器アラカルト

先日開催された第67回日本心臓病学会学術集会の藤本卓司先生(耳原総合病院 救急総合診療科)の教育講演より

  • 収縮期血圧の半分より拡張期血圧が低値なら脈圧の開大と考える(例:血圧96/40mmHgなら脈圧開大)
  • 比較的徐脈の目安は体温39℃で心拍数110bpm未満(通常は体温が1℃上昇すれば脈拍は8〜10bpm増加)
  • 反跳脈(bounding pulse)は高CO2血症でも生じる(おそらく血管拡張による末梢抵抗低下のため)
  • 褐色細胞腫では"手足が鉛の様に冷たくてじっとりしている"ことが多い(復習 ➜ Nohria-Stevenson分類)

👴 おまけ
  • 心電図の計測器はデバイダー(divider/分割機)よりもキャリパー(caliper/測径両脚器)と言いたい(これは別講演からです)

🉐 関連投稿 

(投稿者 川崎)

2019-01-22

POTS(ポッツ)の診断

POTS (postural orthostatic tachycardia syndrome)=体位性起立頻脈症候群
若年女性に好発して多彩な立ちくらみ症状(ただし低血圧はなし)を呈する病態

POTS(ポッツ)の診断基準

生じうる症状
血圧異常(高血圧/低血圧),脈拍異常(頻脈/徐脈/激しい心臓の鼓動),胸痛,めまい(特に立位や長距離歩行時),失神/立ちくらみ,倦怠感/疲労,腹痛/嘔吐/嘔気,体温異常(発熱や低体温),神経質/苛立ち,物忘れ/意識混濁,視力異常,頭痛/全身痛/頸部痛,不眠/早朝覚醒/寝汗,振るえ/振戦,四肢の色調変化,運動耐容能の低下,過剰発汗/発汗減少,下痢/便秘

関連投稿 👤 シェロングテスト Schellong test 

(投稿者 川崎)

2018-12-23

vf AED on

ショックを来たす病態の鑑別
👉 心室細動vfみたら自動体外式除細動器AEDのスイッチを入れるonの語呂合わせ

  1. V ➜ Vasovagal reflex(迷走神経反射)
  2. F ➜ Freezing(低体温)
  3. A ➜ AMI,Adamstokes,Acidosis(急性心筋梗塞,不整脈,アシドーシス)
  4. E ➜ Endocrine, Electrolyte(内分泌疾患,電解質異常)
  5. D ➜ Drug(薬剤:β遮断薬など)
  6. O ➜ Oxygen(低酸素)
  7. N ➜ Neurogenic(神経原性:脊髄損傷など)

👿 過去の関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-12-08

悪性症候群の診断

  • 向精神薬(特にドパミン系刺激薬)などの中断や開始に伴って高熱や意識障害,強直を生じた症候群
  • 英語ではNeuroleptic Malignant Syndrome (NMS) であるが,フランス語のSyndrome Malinの方が有名 ★

Levensonらの診断基準 ➤ 大症状3項目または大症状2項目+小症状4項目で確定
  • 大症状:発熱,筋強剛,血清CKの上昇
  • 小症状:頻脈,血圧の異常,頻呼吸,意識変容,発汗過多,白血球増多

Popeらの診断基準 ➤ 3項目を満たせば確定,2項目とその他の1項目なら可能性が高い
  1. 発熱(他の原因がなく、37.5℃以上)
  2. 錐体外路症状(2つ以上):鉛管様筋強剛,歯車現象,流涎,眼球上転,後屈性斜頚,反弓緊張,咬痙,嚥下障害,舞踏病様運動,ジスキネジア,加速歩行,屈曲伸展姿勢
  3. 自律神経機能不全(2つ以上):血圧上昇(通常より拡張期血圧が20mmHg以上上昇),頻脈(通常より脈拍が30回/分以上増加),頻呼吸(25回/分以上),発汗過多,尿失禁
  • その他:意識障害,白血球増加,血清CKの上昇

Caroffらの診断基準 ➤ 5項目全てを満たせば確定
  1. 発症の7日以内に抗精神病投与を受けている事(デポ剤の場合2-4週間以内)
  2. 38.0℃以上の発熱
  3. 筋強剛
  4. その他(5つ以上):精神状態の変化,頻脈,高血圧あるいは低血圧,頻呼吸あるいは低酸素症,発汗あるいは流涎,振戦,尿失禁、CK上昇あるいはミオグロブリン尿,白血球増多,代謝性アシドーシス
  5. 他の薬剤の影響,他の全身性疾患や神経精神疾患を除外できる

DSM-Ⅳの診断基準
  • 基準A:神経遮断薬の使用に伴う重篤な筋強剛と体温の上昇の発現
  • 基準B(2つ以上):発汗,嚥下困難,振戦,尿失禁,昏迷から昏睡までの範囲の意識水準の変化,無言症,頻脈,血圧の上昇または不安定化,白血球増多,筋損傷の臨床検査所見(例:CKの上昇)
  • 基準AおよびBの症状は,他の物質(例:フェンシクリジン)または神経疾患または他の一般身体疾患(例:ウィルス性脳炎)によるものではない
  • 基準AおよびB の症状は,精神疾患(例:緊張病性の特徴を伴う気分障害)ではうまく説明されない

参考)悪性症候群 - 厚生労働省

(投稿者 川崎)

2018-11-07

㊗ 論文

  • 当院の総合診療科で経験した症例が論文として出版されました(筆頭著者は吉村先生 🎊)
  • 直前に腎機能障害を認めなかったにもかかわらずアシクロビル脳症を発症した1例です
  • 意識障害による偶発性低体温症も合併していたため心電図でJ波(オズボーン波)も出現


🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-10-19

偶発性低体温症 Accidental Hypothermia

  • 低体温症=通常は深部体温が35℃未満 (👴 ➜ 発熱アラカルト)
  • 偶発性低体温症=意図的な低体温(脳保護など)を除く低体温症


特に30℃未満では致死性不整脈が出現しやすいから愛護的な対応が必要(不要な侵襲行為は回避).心室細動時など致死性不整脈時には少なくとも1回は電気的カルディオバージョンを試みるが,復温するまでは回復する可能性は少ないため心肺蘇生を継続して深部体温が30~32℃になるまで待つ.四肢の復温を優先させると血液分布異常性ショックを生じることがあるため要注意(Rewarming shock).復温の目安は0.5~2.0℃/hrで,深部体温が30℃を越えれば補液量を増やしておきたい.

😊 関連投稿

(投稿者)

2018-06-14

5H5T(ファイブエッチ・ファイブティー)

救急現場で・・・(実話)

若手医師 「5H5Tの採血依頼をお願いします」
指導医師 「エッ何,FABPのオーダー?」
若手医師 「・・・」



5H5T=緊急事態を生じる主要な病態の略語

5H
  • Hypovolemia(循環血液量減少)
  • Hypoxia(低酸素症)
  • Hydrogen ion(水素イオン ➜ 代謝性アシドーシス)
  • Hyper or Hypokalemia(高あるいは低カリウム血症)
  • Hypothermia(低体温)

5T
  • Tension pneumothorax(緊張性気胸)
  • Tamponade, cardiac(心タンポナーデ)
  • Thrombosis, coronary(急性心筋梗塞)
  • Thrombosis, pulmonary(肺塞栓症)
  • Toxins(中毒)

5H5Tの兄弟姉妹
  • 5H5TにHypoglycemia(低血糖)のHを加えて6H5Tに拡大
  • Thrombosisで冠動脈と肺動脈をまとめTrauma(外傷)を追加

🉐 過去の関連した投稿

(投稿者 川崎)

2018-04-19

蘇生後の低体温療法

15年以上以前に低体温療法に関する2つの無作為臨床比較試験が報告された
対象は院外心臓性心停止で蘇生後も昏睡状態の症例で結果はいずれも有効

しかし数年前に同誌に報告されたTTM trial (N Engl J Med 2013;69:2197-206) にも要注目
  • 対象 心原性と推定される院外心停止後に意識のない成人950例
  • 方法 体温目標を33℃と36℃(復温含み計36時間)に無作為割り付け
  • 判定 180日時点の死亡や神経機能障害の程度,重篤な有害事象
  • 結果 両群間で有意な差はなし(既知の予後因子について補正後)
  • 結論 低体温療法の目標体温33℃は36℃と比較して利益を認めず

体温管理の維持期間を比較した初の無作為臨床比較試験も大切(JAMA 2017;318:341-50)
  • 対象 心原性と推定される院外心停止後に意識のない成人355例
  • 方法 体温設定33℃で24時間持続と48時間持続に無作為割り付け
  • 結果 生存期間あるいは半年後の生死は両群間で有意差に至らず
  • 結論 設定体温33℃では24時間から48時間まで延長しても改善なし

👴 蘇生後に意識障害が遷延する症例に対する低体温療法の方法(至適温度と継続時間)はまだ確立されていないようです

(投稿者 川崎)