このブログを検索

検索キーワード「ワルファリン」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「ワルファリン」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2021-06-21

透析 vs ワルファリン

1.日本循環器学会らのガイドライン(2020年改訂版 不整脈薬物治療)
📗 維持透析導入後の場合(ページ52〜53)
  • 維持透析導入後の患者においても安易なワルファリン治療は行わないことが望ましい.透析患者にワルファリンを投与することは,出血を増やすのみならず,塞栓症をも増やす可能性が指摘されている.そのため,日本透析医学会では,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与を原則禁忌としている(ここでの引用はCirc J 2011;75:1539-47).本ガイドラインにおいても,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与は原則禁忌として扱う.ただし,心房細動アブレーション周術期にはワルファリンの使用は一般的であり,また機械弁症例や脳梗塞二次予防など,症例によってはワルファリンを使用せざるを得ない場合もある.かならずしも維持透析症例へのワルファリン投与を妨げるものではない.
📘 非弁膜症性心房細動の腎機能に応じた抗凝固療法(ページ53の表36)
  • ダビガトラン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • リバーロキサバン ➜ CCr< 15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • アピキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • エドキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • ワルファリン ➜ CCr<15でも投与可能,維持透析導入後は原則禁忌

2.ワルファリンカリウム錠の医薬品情報(2019年1月改訂 第20版)
📙 禁忌項目に以下の記載(ただし透析という用語の記載はない)
  •  (3) 重篤な肝障害・腎障害のある患者[ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがある。また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある。]

3.慢性腎臓病におけるワルファリンなどの使い方(日内会誌 2018;107:856-64)
📚 血液透析患者の心房細動合併例におけるワルファリン投与
  • まだ結論が出ていないが,ワルファリン投与により出血のリスクが上昇する一方で,脳梗塞の発症は抑えられない懸念あり(下表)
  • 透析例についてはアピキサバンのみFDAで承認されているが,AHA/ACC/HRSガイドライン(2018年時点)や欧州不整脈学会のガイドライン(2018年時点)では全てのDOACについて推奨していない.
(上記の文献3はChest 2016;149:951-9)

😐 少し先ですが...
  • 現在,CHA2DS2-VAScスコア2点以上の心房細動を合併した血液透析患者を対象にしたビタミンK拮抗薬の効果を検討するオープンラベル多施設無作為化比較試験のAVKDIAL試験(NCT02886962)が進行中.2017年7月に開始され2023年に試験終了の予定です.

(投稿者 川﨑)

2023-04-26

ワルファリン誘発性皮膚壊死 WISN: Warfarin Induced Skin Necrosis

  • ワルファリン療法中に生じた皮膚および脂肪組織の壊死
  • 頻度は0.01~0.1%程度で通常投与開始の3~7日目に生じる
  • 初報はFloodらの報告(N Y State J Med 1943;43:1121-4)
  • 機序は不明(プロテインC低下などから易血栓→壊死?)
  • ワルファリン単独治療中のINRは過延長(中央値5.0~5.8)
  • 鑑別はコレステロール塞栓症,カルシフィラキシス,HIT
  • 治療はワルファリン中止と血栓症に対する血栓溶解療法

参考)静脈学 2007;18:13-9,他

ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)に対してアルガトロバンとワルファリンを開始4日後にワルファリン誘発性皮膚壊死(WISN)を発症した女性(a,右乳房;b,足底)
ワーファリン
💁 ワルファリンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2017-11-12

ワルファリンの中和

ガイドライン 日本循環器学会を含む合同研究班の心房細動治療ガイドライン(2013年改訂版)より




医薬品情報(DI) ビタミンKとして使用されるメナテトレノン(ケイツーN)の添付文書より一部抜粋




投与方法の一例 生食100ml+ケイツーN (10mg) 1Aを点滴 ⇒ 1時間後にプロトロンビン時間を再評価

※ワーファリンは一般名ワルファリン(カリウム)の商品名であるため公文書に順ずるカルテにはワルファリンと記載したい
※ただし厳密には公文書になるカルテは国や地方公共団体の機関(例:国立病院や市立病院)の記録に限るようですが…

(投稿者 川崎)

2021-07-01

ワルファリンとβ-ラクタム系抗菌薬の相互作用

 相互作用の内容 

ワルファリンの作用を増強する。

抗菌薬投与中のビタミンK欠乏症は多数報告されている。特に、その構造にN-methylthiotetrazole(NMTT)基を持つ抗菌薬は投与中の出血傾向の報告が多い(CMZ,CPZ,LMOX等)。NMTT基はビタミンK依存性凝固因子合成過程でビタミンK利用障害作用を有する。


 相互作用の機序 

  • ビタミンK産生腸内細菌を抑制して、ビタミンK産生を抑制する。
  • 肝細胞のビタミンK依存性凝固因子の生成を阻害する。
  • 腸管からのビタミンK吸収を阻害する。

 併用時の注意 

血液凝固能の変動に注意し、ワルファリンを減量するなど慎重に投与すること。

低プロトロンビン血症は抗菌薬によっても増強されることを念頭に置いておく。

ビタミンK欠乏症を発症する危険因子としては、

  1. 広域スペクトルの抗菌薬(ビタミンK産生グラム陰性桿菌の抑制)
  2. 胆汁移行率の良い抗菌薬
  3. 肝・腎毒性の強い抗菌薬
  4. NMTT基を有する抗菌薬

などがあげられる。

 【参考:Warfarin適正使用情報 第3版(エーザイ株式会社)】

(投稿者 小森)

2020-08-26

ビタミンK欠損

維持透析中の症例の血液検査

🐜 解説
  • ワルファリンの未服用にも拘らずINRが著明に延長しPIVKA2も高値
  • ミキシング試験欠乏型 ➜ 肝不全・血友病・ビタミンK欠乏等の疑い
  • 血友病ならPT正常でAPTTのみ延長/本例に飲酒歴や肝不全徴候なし
  • 本例は最終的に吸収不全によって生じたビタミンK欠乏症と診断した

🐛 ビタミンK
  • 正常な血液凝固の維持に必要な脂溶性ビタミンの一つである
  • Kはドイツ語で凝固を意味する Koagulation に由来している
  • 食事から経口摂取され小腸で吸収された後に肝臓に到達する
  • 大腸内の細菌もビタミンK2を合成するため欠乏症は稀である
  • 欠乏の原因にはワルファリン内服,肝臓障害,吸収不全など
  • 母乳のみで育つの新生児(特に未熟児)は欠乏のリスクが高い


🉐 関連投稿(ビタミン関連)

(投稿者 川崎)

2023-01-01

元旦からフィジカル 🎯 今週の一枚

  • 心房細動でワルファリンを長期内服している症例.アドヒアランスは良好でINR値も10年以上安定していた.定期受診で本人は「調子よい」と言うが採血で貧血が進行していた(INRは安定し過延長なし).ご本人に問うと「実は...」と言って服を脱いで見せてくれた.



(投稿者 川崎)

2023-12-17

第136回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
4-17 心筋梗塞後のVT/VF stormに対してPurkinje systemのde-networkingが有効であった一例
  • 心筋梗塞後の VT/VF storm は重大な合併症である。Purkinje-related triggerを標的とするアブレーションの有効性が報告されてきたが,新たな手法としてPurkinje de-networkingが注目されている。VT中に先行するPurkinje電位を認め,左脚後枝末梢及び前枝領域のde-networkingを図りnon-inducibleで終了したが再発。再治療時にleft septal fascicle領域のde-networkingを追加することでstormからの離脱と救命に成功。

5-21 血行再建を施行された夏型・冬型心筋梗塞の背景因子・予後比較
  • 夏型MIはplaque erosion,冬型MIはplaque ruptureが多いことが示唆されている。しかし今回の単施設での検討では,夏型(6~8月)MIに比して冬型(12~2月)MIでは STEMI患者やLMT病変の割合が多かったが,予後に差は認めなかった。

6-9 Marshall静脈へエタノールアブレーションが奏効した僧帽弁輪旋回型心房頻拍の一例
  • 僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断し,僧帽弁輪峡部に対する線状焼灼およびMarshall静脈(VOM)の走行に沿って内膜を焼灼中に心房頻拍の停止を得た。しかし,4ヶ月後に心房頻拍が再発したため再CAを行った。前回と同じ VOM を介した僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断された。心内膜側からの通電では永続的なブロックが難しいと判断し,エタノールアブレーションを行った。エタノールをVOMに注入したところ頻拍周期が延長を伴って停止し,僧帽弁輪峡部のブロックを得た。(補足)マーシャル静脈は冠静脈洞から分岐し左肺静脈と左心耳の間の心外膜側を斜走する静脈で,心房細動の発生や維持に関与することがある。

7-7 金属アレルギーを有する労作性狭心症患者に対して,proBIO coatingを有するOrsiro stentで治療し得た1例
  • RCAに高度狭窄病変を認めたが,金属アレルギーの申告があったため,薬物治療を優先する方針とした。後日実施した金属アレルギー検査ではニッケルで陽性,ステントではXienceで陽性が確認された。最終的に本症例では金属イオン溶出を抑制し得るproBIO coatingを有するOrsiroステントで治療を実施した。(補足)このproBIO coatingはステントの金属表面と周辺血管組織との間に起こる炎症の一因とされる金属イオンの溶出を抑制することで再狭窄を減らしているそうです。

8-6 Wolf-Ohtsuka法術後に両心房血栓を認めた一例
  • ヘパリンの持続投与を開始したが,腫瘤のサイズに変化はなく,右房内血栓も縮小しなかったため,開心術による摘除を行った。摘除した腫瘤の病理所見は血栓であった。術後,ヘパリン持続点滴,ワルファリン内服を開始したが,血栓の再発を認めた。ワルファリンのコントロールを強化したところ,血栓は消失した。Wolf-Ohtsuka 法術後に血栓を認めることは稀である。(補足)ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡下左心耳閉鎖術で5mmから10mm程度の穴を胸の壁に4ヶ所開けるだけで傷もほとんど目立たず,手術に用いられる自動吻合器代も6万円とWatchmanに比べるとかなり安価(引用)

8-25 最北端の非専門医によるVMTスコアを用いた心不全管理の有用性(市立稚内病院)
  • 常勤の循環器内科医では対応しきれず,非専門医が大半の心不全患者を管理しているため,非専門医でも心不全の診断・治療方針の決定ができる指標が必要である。そこで村山,岩野らが考案した心エコー図のドプラ機能を使うことなくB modeのみで左室充満圧を推定できるVMTスコアを活用し心不全の診断・治療方針の決定に寄与している。(補足)VMT(visually assessed time difference between the mitral valve and tricuspid valve opening)スコアは断層心エコー法を用いて評価した左右の房室弁開放時相差の視覚的評価に基づいたスコアリング法。

👻 当院からの発表
  • 3-1 肥大型心筋症の予後とⅣ音(循環器内科 川﨑達也ほか)
  • 3-29 心不全患者のリスク層別化:各種負荷に対する頸静脈所見(循環器内科 野口理希ほか)
  • 7-14 身体診察が特徴的であったトランスサイレチン型心アミロイドーシスの1例(循環器内科 平野達大ほか)
  • 8-4 身体所見を契機に診断に至った静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江彩佳ほか)

すべて英語論文化(2つは掲載済,1つは投稿中,もう1つは投稿待)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2017-04-11

デパケン(バルプロ酸Na)の相互作用

1.併用禁忌
薬剤名(一般名) 臨床症状 機序・危険因子
カルバペネム系抗菌薬
 メロペン(メロペネム)
 フィニバックス(ドリペネム)
 チエナム(イミペネム・シラスタチン)
 カルベニン(パニペネム・ベタミプロン)
 オラペネム(テビペネム)
てんかんの発作が再発することがある。 バルプロ酸の血中濃度が低下する。


2.併用注意(頻用薬のみ抜粋)
薬剤名(一般名) 臨床症状 機序・危険因子
ワーファリン(ワルファリンカリウム) 左記薬剤の作用が増強することがある。 遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
サリチル酸系薬剤
 バイアスピリン(アスピリン)等
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。
エリスロシン(エリスロマイシン)
タガメット(シメチジン)
バルプロ酸の作用が増強されることがある。 左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。
ベンゾジアセピン系薬剤
 セルシン(ジアゼパム)等
左記薬剤の作用が増強することがある。 遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。

(投稿者 小森)

2023-10-24

抗凝固薬と過多月経

👀 月経の復習
  • 月経:限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血(通常は約1月間隔)
  • 過多月経:月経量が多いもの(通常140 ml以上であるが1周期の総量の測定は困難)
  • 月経血が80 mL以上のあると60%の女性が貧血(フェリチン低値のオッズ比は5.71)


🐣 ワルファリン(添付文書)
  • 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 出血している患者(血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等)[本剤を投与するとその作用機序より出血を助長することがあり、ときには致命的になることもある。]
  • 特定の背景を有する患者に関する注意 9.4 生殖能を有する者 妊娠する可能性のある女性に投与する場合には、事前に本剤による催奇形性、胎児の出血傾向に伴う死亡、分娩時の母体の異常出血の危険性について十分説明すること。

🐥 アピキサバン(添付文書)
  • 副作用発現頻度は、19.4%(520/2,676例)であった。主な副作用は、鼻出血2.4%(63/2,676例)、挫傷1.3%(34/2,676例)、月経過多1.2%(33/2,676例)及び血尿1.2%(32/2,676例)であった。
🐤 エドキサバン(添付文書)
  • 副作用発現頻度は、エドキサバン群で25.0%(1,029/4,118例)であった。主な副作用は、鼻出血3.3%(134/4,118例)、月経過多2.1%(85/4,118例)であった。


(投稿者 川崎)

2019-01-11

クマジン稜

  • 左心耳と左上肺静脈の隔壁で正常構造物(下記は経食道心エコ-図の自験例)

  • Coumadin(クマジン)®はワルファリンの商品名の一つ(主として国外)
  • 名前の由来は血栓と間違ってクマジン®を投与されることがあるため
  • 綿棒(英語の俗称Q-tip)からQ-tip sign(綿棒サイン)とも呼ばれている

👂 2例の報告 ➜ J Am Soc Echocardiogr 2001;14:832-3
 

(投稿者 川崎)

2025-04-27

OAC failure

  • 最近,講演などでOAC failureという用語を耳にする機会が増えました.経口抗凝固薬(Oral AntiCoagulation: OAC)を継続しているにも関わらず,虚血性脳卒中を発症する心房細動例の文脈で使用されることが多いように思います.

👀 レビュー論文より(J Clin Med 2023;12:5784)
  • ワルファリン(VKA)投与中の患者の一部(約2.2%)が虚血性の脳卒中を発症する
  • DOACへの割り付け患者では,100患者年当たり2.27件の頻度で虚血性脳卒中が発生
  • OACを使用しているにもかかわらず脳血管障害を起こす心房細動例は予後不良と関連
  • 非心臓塞栓性機序(アテローム性動脈硬化症や小血管疾患)に起因する可能性はある
  • OAC failureの根底にある機序はまだ完全には解明されておらず,再発の予防が課題
  • 脳卒中再発の予防法には有望なものもあるが、裏付けとなるエビデンスはまだ少ない
  • OAC failureへの左心耳閉鎖デバイス+DAPTは塞栓症と出血の両イベントを低減した

👉 抗凝固に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2021-02-26

イーサス ESUS

  • ESUS=embolic stroke of undetermined source(邦名は塞栓源不明の脳塞栓症)
  • 専門家ワーキンググループによって提唱された(Lancet Neurol 2014;13:429-38)
  • 脳梗塞の20~25%は原因不明(潜因性脳卒中:cryptogenic stroke)で塞栓疑い
  • ESUS塞栓源は低リスクの心内塞栓源や潜在性の発作性心房細動など(下表参照)
  • Branch atheromatous disease (BAD)や Wallenberg症候群もESUSに含む解釈あり
  • ガイドラインでは2次予防は抗凝固薬よりも抗血小板薬の使用が推奨されてきた
  • 近年ではワルファリンの有用性を示唆する報告あり(DOACの臨床試験も進行中)



😉 脳梗塞に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-08-05

臨床トライアル:粋な命名

  • 先日のカンファレンスで担癌症例の静脈血栓塞栓症に対するアピキサバンの有用性を証明したCaravaggio試験を勉強(N Engl J Med 2020;382:1599-607)
  • 同様に2018年にHokusai VTE Cancer試験も同病態に対するエドキサバン(リクシアナ®)の有用性を示しています(N Engl J Med 2018;378:615-24)
  • トルーソー症候群ではワルファリンの効果が不確実(以前の投稿)➜ 急性期ヘパリンはともかく,慢性期のヘパリンカルシウム皮下注は簡便ではない
  • よってCaravaggio試験もHokusai VTE Cancer試験もトルーソー症候群での直接経口抗凝固薬(DOAC)の有用性を示す臨床現場への福音と考えられます

📡 カンファレンス中の一コマ
  • 一人の医師 「Caravaggioってどういう意味?」
  • 参加者全員 「う~ん,何だろう?」
・・・・・・・・・・・・・・・

📭 探偵団の調査
  • Caravaggio試験は国際試験ですがイタリアが中心的な役割を担ったため,バロック期のイタリア人画家 Michelangelo Merisi da Caravaggio(1571-1610)から命名されたと思われます(下図).カラヴァッジオはイタリアの10万リラ(≒1500円)の紙幣にも肖像が採用されていました.
  • ちなみにエドキサバンのHokusai試験の由来は富嶽三十六景などで有名な葛飾北斎(1760?-1849)と思われます.これはエドキサバンが本邦の第一三共株式会社の創薬であることと関連すると予想します.


(投稿者 川崎)


2025-05-18

CYP2C19:シップツーシーナインティーン

  • 薬物相互作用には吸収や分布,代謝,排泄があるが,代謝が最も多く認められる
  • 特に主要な第Ⅰ相薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)の阻害と誘導が多い
  • CYPには約60種あり肝臓のCYP2C19はその一つ(下表:基質特異性を有す代表薬)

  • CYP2C19には遺伝子多型が存在し*2または*3の変異アレルでは野生型(*1/*1)と比較して酵素活性が低下
  • 変異アレルのヘテロ・ホモ・複合へテロ接合体ではCYP2C19活性が低下~欠損し薬剤の代謝速度が低下(下表)
  • 変異アレルはアジア人で多い(日本人を含むモンゴル系人種で13〜20%,コーカサス系人種で3〜4%:下表)

😒 とてもややこしい... 
  • 抗血小板作薬クロピドグレル(プラビックス)はプロドラッグでCYP2C19により代謝されて活性体になるため,遺伝子多型の活性欠損者では期待する抗血小板効果が得られない.一方,プロトンポンプ阻害剤はCYP2C19で代謝されるが,同時にCYP2C19を阻害する.よってクロピドグレルとオメプラゾールやランソプラゾールの併用は避けたい.また真菌薬ボリコナゾール(ブイフェンド)もCYP2C19の阻害作用を有しているため併用禁忌薬が少なくない(添付文書)
  • 一方,リファンピシン(リファジン)やフェニトイン(アレビアチン),フェノバルビタール(フェノバール),ハーブの西洋オトギリソウ(セントジョーンズワート)はCYP2C19を誘導する.その結果,ワルファリン(ワーファリン),シクロスポリン(ネオーラル),ジアゼパム(セルシン),ニトラゼパム(サイレース),ジゴキシン(ジゴシン),メキシレチン(メキシチール),テオフィリン(テオドール)等多くの薬剤の代謝を亢進させるので注意が必要


💁 薬物代謝に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2017-05-09

レミエール症候群

感染症に関連して生じた血栓性頸静脈炎で英語表記はLemierre's syndrome
命名はフランス細菌学者Andre Lemierreによる20例の報告から(Lancet. 1936;227:701–703)
  • 症状 感冒症状後に頸部の圧痛や腫脹,流涎,開口障害,呼吸困難など
  • 疫学 100万人に数名未満,10~20代の健常者に多い,男:女=2:1
  • 原因 嫌気性菌が多い(特に上気道の常在菌であるフソバクテリアム)
  • 検査 血液培養(嫌気培養が必須),頭頸部CT(造影)など
  • 治療 抗菌薬,抗凝固薬(ヘパリン・ワルファリン)他
  • 予後 診断が遅れると不良(死亡率10%)

典型例 ⇒ Lemierre 症候群の1 例.日呼吸会誌 2011;49:449-453

(投稿者 川崎)

2018-03-23

トルーソー症候群のNOAC

悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により血栓症を生じることが少なくない(=トルーソー症候群)
通常はヘパリンで治療を開始して慢性期はヘパリンCa皮下注(ワルファリンは効果が不確実)

最近,エドキサバン(リクシアナ®)の本病態に対する有用性が示された
Hokusai VTE Cancer trial (N Engl J Med 2018;378:615-24)

  • 対象 急性症候性または偶発的に発見された血栓症を有する担癌患者1,050名(その内1,046例をITT解析)
  • 方法 低分子量ヘパリン後に経口エドキサバンと皮下ダルテパリンに割付(非盲検ランダム化非劣性試験)
  • 結果 1年以内の血栓再発あるいは大出血はエドキサバン群12.8%,ダルテパリン群13.5%(ハザード比0.97)
  • 結論 経口エドキサバンは静脈血栓を伴う担癌患者において皮下ダルテパリン(低分子ヘパリン)の代替薬

(投稿者 川崎)

2018-02-28

2017年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (III. 身体診察法・臨床手技)

  1. 眼球結膜と眼瞼結膜の充血があれば結膜炎と考える.ぶどう膜(虹彩+毛様体+脈絡膜)に炎症が生じれば,霧視や飛蚊症,羞明感(しゅうめいかん:まぶしく感じること)などの視野異常が出現する.
  2. 関節リウマチの病変は手関節やMCP関節,PIP関節で,基本的にDIP関節には生じない.抗CCP抗体は早期リウマチでRFよりも感度・特異度ともに高いが,両者が陽性なら診断特異度が上昇する.
  3. Shifting dullness(腹部所見で体位による濁音境界線の移動)は腹水の存在を示唆する.またテリー爪(Terry nails,別名白色爪)は爪の基部が白色のすりガラス状に変化する病態で肝硬変を示唆する.
  4. 熱傷の9の法則とは成人に適用される熱傷面積の推定方法(頭部・右上肢・左上肢を各9%,体幹部前面・後面を各18%,右下肢・左下肢を各18%,陰部を1%).熱傷面積の計算にⅠ度熱傷は含まれず,Ⅱ度とⅢ度熱傷の範囲から算出される.
  5. 発症から4.5時間以内に治療可能な虚血性脳血管障害に対するt-PA(アルテプラーゼ)静注療法の禁忌事項に頭蓋内出血の既往がある.ワルファリンあるいはヘパリン投与も禁忌事項に含まれるが,抗血小板の内服は禁忌事項には含まれない.
(投稿者 川崎)

2019-11-13

PIVKA II

  • Protein induced by vitamin K absence or antagonist-II
  • 凝固因子プロトロンビンの前駆体で肝細胞癌などの時に出現
  • 肝硬変では陽性率が低く(約10%以下)癌との鑑別にも有用
  • 肝臓の腫瘍マーカーAFPとは関連しないため相補的に利用可

😎 おまけ
  • ビタミンKの欠乏時にプロトロンビンは活性のないPIVKA IIになるため,ビタミンK欠乏あるいは抗血液凝固薬ワルファリン(肝臓でビタミンK依存性凝固因子の産生を抑制)の内服中,アルコール多飲でも増加する

(投稿者 川崎)

2019-08-11

HAS-BLED (ハズ・ブレッド)

  • 抗凝固療法を導入(予定)の心房細動患者の出血性リスク評価方法
  • オランダの循環器内科医Pistersらが開発(Chest 2010;138:1093-100)

👿 方法 下記項目の有無を確認
  1. Hypertension:収縮期血圧>160mmHg ➜ 1点
  2. Abnormal Renal/Liver Function:腎機能障害(慢性透析や腎移植,血清クレアチニン>2.26mg/dL),肝機能障害(肝硬変などの慢性肝障害,ビリルビン値>正常上限2倍,AST/ALT/ALP>正常上限3倍)➜ 2点(各1点)
  3. Stroke:脳卒中 ➜ 1点
  4. Bleeding or predisposition:出血歴,出血素因や貧血などの出血傾向 ➜ 1点
  5. Labile INR:INR不安定,高値またはTTR(time in therapeutic range)<60% ➜ 1点
  6. Elderly:年齢>65歳 ➜ 1点
  7. Drugs/alcohol:薬剤(抗血小板薬やNSAIDs併用),アルコール依存症 ➜ 2点(各1点)

👾 判定 各項目のスコアを合計
  • 0点 ➜ 低リスク(重大な出血発症リスク1%/年)
  • 1~2点 ➜ 中等度リスク(同リスク2~4%)
  • 3点以上 ➜ 高リスク(同リスク4~6%)

独り言 👴
  • HAS-BLEDは簡便で有効なスコアであるが,塞栓症を発症するリスク評価法 CHADS2スコア と重複する部分が多いため,出血リスクも塞栓症リスクも高いと判定される症例が少なくない.このような症例では抗凝固薬の減量が必要か否かは今後の検討課題です.

心房細動関連の投稿 👲

(投稿者 川崎)

2025-02-18

TAVIタビ弁の HALTホルト

  • HALT=hypo attenuated leaflet thickening(≒低輝度弁尖肥厚) 
  • TAVI(経カテーテル大動脈弁植込み術)1月後で15%前後に出現
  • 心臓CTで大動脈側の弁基部から弁尖に低吸収領域(200 HU未満)
  • その範囲が広がれば弁尖の可動性低下を生じるが多くは無症候性
  • TAVI後のHALTは抗凝固療法で消失するため血栓と考えられている


💫 HALTの臨床的意義
  • TAVIを受けた856人のうち638人がHALT評価のために30日後にCTを受けた
  • HALT発生率は12%(79/638)で自己拡張型弁とバルーン拡張型弁に差なし
  • HALTを示す患者は1,3,12ヵ月でワルファリンを処方される可能性が高い
  • 平均大動脈弁圧較差は2群間で差がなく出血イベント増加も見られなかった
  • 中央値2.2年でHALTを有する患者の死亡率は高率(30% vs 20%,P=0.001)

(投稿者 川崎)