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2025-09-30

薬剤性低血糖

  • 薬剤性低血糖はERで頻回に遭遇する病態です.今回,糖尿病薬と関連しない薬剤性低血糖が疑われた症例を経験したのでまとめてみました.
  • 参考は霧島市立医師会医療センター 薬剤部DIニュース No.325 (2025.9) ですが,その元論文「肥満と糖尿病 2009;Vol.8」には辿り着けず😔
  • 下記薬剤のうちジソピラミドの低血糖は経験あり.当時,循環器内科をローテート中だった初期研修医の先生が論文化 ➜ 心臓 2006;38:824-8

💊 薬剤の相互作用による低血糖症
  1. 肝のシトクロムP450多型によるSU剤の代謝阻害
    • 抗凝固薬 ➜ ワルファリン
    • ニューキノロン系抗菌薬 ➜ ガチフロキサシン、シプロフロキサシン
    • ST合剤 ➜ バクトラミン配合錠
    • ヒスタミンH₂受容体拮抗薬 ➜ シメチジン、ラニチジン
    • アゾール系抗真菌薬 ➜ フルコナゾール

  2. 薬剤同士が競合してSU剤の遊離血中濃度が上昇
    • ヘリコバクターピロリの除菌 ➜ クラリスロマイシン、PPI
    • 消炎鎮痛剤 ➜ フェニルブタゾン

  3. 薬剤が腎排泄を阻害しSU剤の排泄遅延
    • フィブラート系高脂血症治療薬 ➜ ベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート
    • 尿酸排泄促進薬 ➜ プロベネシド

🍷 糖代謝へ直接影響を及ぼす薬剤による低血糖症
  1. インスリンの増加
    • 抗不整脈薬 ➜ ジソピラミド、シベンゾリン
    • ニューキノロン系抗菌薬 ➜ ガチフロキサシン
    • 切迫早産治療薬 ➜ リトドリン
    • 抗結核薬 ➜ イソニアジド

  2. インスリン感受性の亢進
    • アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ARB)
    • 非選択性βアドレナリン受容体遮断薬

  3. 肝臓での糖放出の低下
    • エタノール ➜ アルコール飲料

(投稿者 川﨑)

2025-07-05

ビルロート徴候

  • 「ビルロート徴候?」と思った方もおられるのでは? 投稿者もある問題の選択肢で見たときに「??」でした.でもBillroth法と聞けばピンと来る医療従事者が多いと思います.
  • 胃切後の再建法の一つ,Billroth 法に関連する症状:ダンピング症候群(早期:動悸や発汗,めまい/後期:低血糖,倦怠感など)や輸入脚症候群(腹痛や吐気・嘔吐,体重減少など)

👻 復習(胃切後の再建法)
  • Billroth I 法 ➜ 残胃と十二指腸の直接吻合(生理的だが縫合不全がやや多い)
  • Billroth II 法 ➜ 残胃と空腸を吻合し十二指腸は閉鎖(ダンピング症候群など)
  • Roux-en-Y 法 ➜ 残胃と空腸を吻合し残空腸をY字型に吻合(全摘後では最多)

看護roo

💁 胃癌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-10-23

ソモジー効果 Somogyi effect

  • 低血糖に対する生体反応(対抗調節ホルモンの活性化など)で高血糖を生じる現象
  • 原因ホルモンはアドレナリン,コルチコステロイド,成長ホルモン,グルカゴンなど
  • 別名はchronic Somogyi reboundやposthypoglycemic hyperglycemia(低血糖後高血糖)
  • ハンガリー系アメリカ人の生化学者 Michael Somogyi(1883–1971)が提唱した(
  • ただし最近の持続血糖測定(CGM)による研究ではソモジー効果に対する異論あり


ソモジー効果のシェーマ

(投稿者 川崎)

2024-09-17

ツイミーグ®(イメグリミン)

イメグリミンはメトホルミンと一部同じ化学構造を有する、テトラヒドロトリアジン系に分類される新規化合物である。

【薬理作用】
メトホルミン:膵外作用(肝臓・骨格筋での糖代謝改善)
イメグリミン:膵作用(グルコース濃度依存的なインスリン分泌促進)と膵外作用

【安全性】
・乳酸アシドーシス
臨床試験では認められていない。(市販直後調査で1件の報告あり)
重度急性腎不全ラットを用いた非臨床試験では、乳酸アシドーシスの惹起は認められなかった。そのリスクはメトホルミンよりも低い可能性がある。
・胃腸障害
悪心・下痢などの消化器症状はメトホルミンと同様。併用により高率となる。
・低血糖
リスク「低」

【用法用量】
1回1000mgを1日2回朝、夕に経口投与。他の経口糖尿病治療薬と異なり、増減の設定がない。
※現在、eGFRが45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害患者には投与が推奨されていないが、製造販売後臨床試験において安全性および忍容性が示されたため、添付文書が改訂される予定である。
・15≦eGFR<45:1回500mgを1日2回
・eGFR<15:1回500mgを1日1回

詳細な作用機序や有効性・安全性については、審査報告書(https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210630002/400093000_30300AMX00280_A100_1.pdf)、インタビューフォーム(https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/400093_3969026F1027_1_009_1F.pdf
を参照

(投稿者 小森)

2024-01-20

皮質盲 Cortical Blindness

概要
  • 眼科的原因によらない後頭葉の線条皮質の両側性病変による正常な瞳孔対光反射を伴う視力喪失.診断は下記の表で,例えば卒中患者での発生率は20~57%.治療は原疾患に対する治療を行い,その予後も原疾患より異なる.
原因
  • 小児では外傷性脳損傷・後頭葉の先天異常・周産期虚血,成人では脳卒中・塞栓症・外傷・後頭葉てんかん・低ナトリウム血症・低血糖・クロイツフェルト・ヤコブ病・感染症(HIV他)・子癇・MELAS・高血圧性脳症・PRES


💁 皮質に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-05-08

低体温と不整脈

🐶 動物実験
  • 血液希釈されていない犬を20°Cまで急冷すると50%が心停止に至った
  • 26°Cに冷却した犬の心室筋ではVFやVTは冷却よりも再加温中に頻繁
  • 21°C猫で通常量強心剤(アドレナリン他)が心室性不整脈を全例誘発

👴 ヒトデータ
  • 深部体温が16.9°C~29°Cの偶発的低体温19例では7人がVF, 2人は心静止
  • 日本の60人の検討では深部体温>26°CでVF を発症した患者はいなかった
  • 低体温療法中に低カリウム血症+QTc間隔延長なら平均34.7°CでVTが発症


低体温時の一般的な電気生理学的所見
洞調律 房室伝導 心室脱分極 心室再分極 不整脈
軽度〜中等度
(>30度)
不変〜低下 不変〜低下 短縮〜不変〜延長 延長 心房細動,心室期外収縮,心室頻拍
高度
(<30度)
停止まで延長 延長〜停止 遅延〜不変 延長,消失 心房細動,心室細動心静止

🍧 低体温に伴う様々な変化
  • 電解質 ➜ 寒冷利尿による喪失と細胞内移動により低下するため,低Ca血症,低K血症,低Mg血症,低P血症を認める.逆に復温期では高カリウム血症に注意
  • 凝固系 ➜ 35°C以下では血小板機能低下や血小板数の減少が認められる.33°C以下では凝固に関わる酵素活性の低下から出血傾向となる. 
  • 免疫系 ➜ 白血球の遊走能・貪食能および炎症性サイトカイン産生・反応の低下が生じる.また感染時に白血球数やCRPが必ずしも上昇しない
  • 耐糖能 ➜ 低体温ではインスリンの感受性が低下し,膵細胞からのインスリン分泌ならびに糖代謝も低下するため高血糖が助長される.

💁 低体温に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-04-30

副腎クリーゼ(急性副腎不全症) Adrenal crisis

急激な糖質コルチコイド(glucocorticoid)の絶対〜相対的欠乏による致命的病態
  • パターン1:慢性副腎不全にストレスが加わりステロイド需要量が増加
  • パターン2:長期服用ステロイドが不適切に減量・中止され供給量低下

💣 概略
  • ステロイド補償中の副腎不全症の44%が1度は発症(6.3 件/100 人・年)
  • アジソン病での頻度は約8%/その誘因は感染症63%,手術6%,外傷6%
  • 症状は悪心,腹痛,体重減少,発熱,血圧低下など多様で非特異的(下表)
  • 疑えばACTH,コルチゾールの測定用検体を採取後に躊躇なく治療を開始
  • 例:生食1000 ml/時+ヒドロコルチゾン100 mg静注+持続100-200 mg/日
  • 原発性副腎不全1,675名の後方追跡6.5年で副腎クリーゼによる死亡は1.5%

💢 症状と検査所見
  1. 脱水,低血圧,原因不明のショック
  2. 食欲低下,体重減少,嘔気,嘔吐,下痢
  3. 原因不明の腹痛・急性腹症
  4. 原因不明の発熱,関節痛
  5. 予期せぬ低血糖
  6. 低ナトリウム,高カリウム血症
  7. 貧血,好酸球増多
  8. 高カルシウム血症,BUN上昇
  9. 色素沈着,白斑


💁 クリーゼに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-21

心臓サルコイドーシスのPET

🍚 検査前の食事内容
  • 12-18時間の絶食単独では心筋への18F-FDG集積抑制が不安定であることから,絶食前の食事を低炭水化物糖質制限食に切り替えることが推奨される.この場合炭水化物は5g未満とする.
  • 18F-FDG投与前の高脂肪食を追加する報告が散見されるが,現時点では単独では明らかなエビデンスはない.
  • 糖尿病患者では血糖コントロールがついている状況で非糖尿病患者と同様のプロトコールで行うことを推奨.長時間絶食の場合は低血糖に留意することが必要である.
  • 18F-FDG PET/CT 前のルーチンとしてのヘパリン投与は推奨しない.

- 実際の判定方法 -
  • A:心筋に18F-FDGの集積を全く認めないもの(none)。陰性所見である。
  • B-1:心筋に局在性の18F-FDG集積を認めるもの(focal)。本所見は陽性と判定される。しかし、局在性の集積を示す他の心疾患(例:虚血性心疾患、肥大型心筋症など)の除外が必要である。また、正常者でも側壁領域の18F-FDG集積が報告 されるケースがあり、同領域の局在性集積は陽性と判定しないとする報告もある。また、中隔基部の限局性集 積や心基部の全周性集積なども、生理的集積である可能性が指摘されている。見解は一致していないが、これらの領域への18F-FDG集積に関しても取り扱いに注意を要する。これらの偽陽性所見に対して、心筋血流像との対比が鑑別に役 立つとの意見がある。
  • B-2:心筋にびまん性の18F-FDG集積が認められるが、そのなかに局在性の強い集積が存在するもの(focal on diffuse)。 本所見は、一般に陽性と判定される。しかし、偽陽性例が含まれる可能性も指摘されているので、注意を要する。また、 心機能低下例や心不全症例では、絶食条件下でも心筋びまん性の18F-FDG集積を伴うことがあるので、この場合の判定は むずかしい。
  • C:左室壁全体にびまん性の18F-FDG集積があるが、局所的な高集積を認めないもの(diffuse)。病理組織学的検討から、 サルコイドーシスの心筋病変はびまん性ではなく局在性であることが知られているので、このようなタイプの18F-FDG集積は異常集積とは判定されない


🍩 心疾患のPET適応
  • 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る)
  • 心サルコイドーシスの診断(心臓以外で類上皮細胞肉芽腫が陽性でサルコイドーシスと診断され、かつ心臓病変を疑う心電図又は心エコー所見を認める場合に限る)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用(※投稿者補足:つまり疑い症例では適応なし

※ 令和2年3月5日 保医発0305第1号 の349ページから抜粋

💁 PETに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-10

平田病 Hirata disease

  • インスリン自己免疫症候群(insulin autoimmune syndrome: IAS)のこと.当時,九州大学の講師であった平田幸正先生らによって初めて報告された(糖尿病 1970;13:312-20
  • 平田先生はインスリン自己注射の適法化にも極めて重要な役割を果たした.1975年から東京女子医科大学第三内科の教授となり,大学病院初となる糖尿病センターを設立し初代所長に就任

👀 平田病(Hirata disease)
  • インスリンの注射歴がないにも拘らず重症の低血糖発作
  • 血中に大量インスリン(主にインスリン自己抗体と結合)
  • HLA DR4(DRB1*04:06)と強い相関あり(66例中61例)
  • 薬剤性も散見される(SH基を含有またはαリポ酸が誘因)
  • 発症年齢は比較的高く(60~69歳にピーク),女性優位
  • 治療は薬剤性なら原因薬の中止,分割食,ステロイド他


💁 インスリンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-06-18

ウィップルの三徴 Whipple’s triad

症状が低血糖に起因することを示す所見でインスリノーマの可能性がある
  1. 低血糖に合致する症状がある
  2. 症状がある時の血糖値が低い
  3. 血糖上昇の処置で症状が改善

👳 医学歴史の調査隊
  • 米国の膵臓外科医である Allen Oldfather Whipple (1881–1963)がインスリノーマの診断のために提案した.膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy; PD)の別名であるウィップル法(Whipple procedure)も由来は同じ.ちなみに原因菌の同定に100年を要したと言われている感染症のウィップル病(Whipple's disease)は,米国の内科医である George Hoyt Whipple (1878–1976) である.

💁 糖尿に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-03-14

日本内科学会 第235回近畿地方会より

演題2 病理解剖を行ったLemmel症候群の1例
  • 腹部単純CTで十二指腸に憩室を認め、胆管閉塞となる原因が他にないことから、十二指腸憩室による閉塞性黄疸(Lemmel症候群)と考えられた。病理解剖で十二指腸下行脚に炎症を伴う4cm径の憩室があり胆管が直接圧排されていた。

演題16 茹でた野菜を摂取し続けた結果壊血病に至った1例
  • 造影CTでは両下肢の筋肉内出血を認めたが凝固検査や血小板数は正常であった。偏食歴から壊血病を疑い、ビタミンCを投与したところ症状は速やかに改善した。

演題18 眉墨施術が契機と考えられるサルコイドーシスの1例
  • 刺青を契機とするサルコイドーシスを発症することがある。色素異物へのサルコイド反応、金属へのIV型アレルギー反応等の肉芽腫形成機序が推測されている。

演題55 緑内障に対して処方されたアセタゾラミドで低心拍出症候群を来たした1例
  • アセタゾラミドは緑内障治療薬に対して眼科領域で広く使用されているが、背景に心機能低下がある場合、低心拍出症候群を呈する可能性があり注意を必要とする。

演題81 若年男性のLofgren症候群の1例
  • Lofgren症候群は多発関節炎、結節性紅斑、両側肺門リンパ節腫脹を三徴とする急性サルコイドーシスの一種で、予後は比較的良好とされている。

演題121 気道感染を繰り返したGood症候群の1例
  • Good症候群は胸腺腫に低γグロブリン血症を合併する比較的稀な症候群である。胸腺腫摘出術によっても改善が見られないことも多く、IVIGを施行することで感染症発症を抑制するとされている。
演題212 繰り返す意識消失で発症した過粘稠症候群の1例
  • 過粘稠症候群はIgM型のM蛋白血症で起こることが多いとされているが、本症例ではIgGが5,000 mg/dL。血漿交換を3回施行しIgGは2,000 mg/dL程にまで低下し、意識消失発作も出現しなくなった。

👻 当院からの発表
  • 演題202 SARS-CoV-2に対する鼻咽頭ぬぐい液の採取時に心肺停止を生じた1例(循環器内科 中西雄紀先生:下写真)
  • 演題225 血糖コントロールとCOVID-19罹患後の重症化についての検討(糖尿病・内分泌内科 塩田晃史先生)

😇 みんなの発表とてもナイスでした

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-02-03

🎯 今週の一枚

心不全と末期腎不全で入院中の症例が呼吸困難を訴え,その後に意識消失



(投稿者 川崎)

2022-01-31

心不全の低血糖

  • 先日,急性心不全の症例で低血糖を合併した症例を経験しました.本例には糖尿病の既往はなく,血糖降下薬の服用やインスリンの投与もありませんでした.
  • 心不全を発症時に自覚症状を伴う低血糖を経験することはあまりありませんが,血糖低下自体は起こりやすいようです(下図:ただしいずれの症例も無症状)

💟 機序
  • 血中インスリンは最終的には腎臓の糸球体で分解され尿中に排泄されます.心不全では通常,うっ血(稀に低拍出量)のため腎機能が低下します.よってインスリンの代謝が遷延するため,その血中濃度が上昇して,結果的に心不全の発症時に血糖が低下するのではと推測されます.
  • それ以外には,低酸素やカテコラミン増加によるインスリンの分泌亢進,グルカゴンの分泌低下,低栄養に伴う糖質の供給低下,貯蓄能の低下による糖新生阻害などがあるようです().また心不全時に著増するBNPには,直接的+間接的な血糖低下作用があるようです().

💁 低血糖に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-05-03

✨ 僧侶に糖尿病は多いか?

5年生時の実習で『お坊さんは糖尿病治療のアドヒアランスが良くない』と聞いたことがありました。私が実習で出会った僧侶の方も糖尿病で片足を切断していたにも関わらず糖尿病治療には消極的でした。しかし一般的に僧侶のアドヒアランスが悪いのかは不明でした。

👀 そこで宗教家と糖尿病発症率・アドヒアランスの関係について調査しました。

🎻 結果
  • タイでの研究では、仏教の僧侶に糖尿病が多いことが報告されていますが(文献1,2,3)。これは食生活(長期の断食とそれに続く高炭水化物、高脂肪、低繊維、タンパク質の不足した食事)と座りがちなライフスタイルが関係しているという意見もありました(文献4)。
  • 同じくタイでの研究で、仏教的価値観が高いことは、より良いアドヒアランス、HbA1c低下と相関すると報告されています(文献5)。仏教的価値観のスコア化については研究データを閲覧できなかったため不明です。
  • ネパールでの研究で、チベット人僧侶群と僧侶と違う生活習慣を持つチベット移民群との間において、2型糖尿病、空腹時血糖異常、肥満の発症率に有意差はなかったと報告されています(文献6)。

【参考文献】
  1. International Journal of Diabetes in Developing Countries 2013;33:23–8
  2. The Island: Sunday Island epaper 2012
  3. J Relig Health 2013;52:1319–32.
  4. Indian J Endocrinol Metab 2018;22:806-11
  5. Int J Psychiatry Med 2008;38:481-91
  6. 福岡大学医学紀要 2006;33:265-70

議論&結論  💨
  • 今回日本での研究は見つからなかったためタイやネパールの研究を参考にします。タイでは仏教の僧侶に糖尿病が多いですがネパールではそうではありませんでした。国によって僧侶のライフスタイルが違うのかもしれません。
  • タイでは仏教的価値観が高いとアドヒアランスが良いということでしたので、仏教的価値観が高いであろう僧侶のアドヒアランスも良いのではと思いますが詳細は不明です。一方タイの僧侶は糖尿病が多いので、元々の生活習慣に問題がありそうです。
  • 日本での宗教家とアドヒアランス、糖尿病についての調査は見つかりませんでした。 タイでは僧侶に糖尿病が多いので、国によっては糖尿病のリスクとなる職業であると思われます。一方、仏教的価値観が高いとアドヒアランスが良いので、仏教自体は糖尿病の治療にとって良いものだと思われます。

(投稿者 中西)

2021-04-20

たかが…されど…

🙊 生あくび(yawning)の背景にあった疾患

🏃 感想
  • 神経変性疾患が隠れている場合,あくびの頻度がかなり高くなることや,消化器系の疾患では,あくびとの関連があまりなさそうだということが意外でした.

(投稿者 土橋)

2021-01-02

低ナトリウム血症?

倦怠感,食思不振,呂律困難で搬入された症例


2020-10-07

低血糖の”はひふへほ”

前回のモーニングカンファレンスより...

🍰 低血糖の症状
  1. らがへり
  2. や汗
  3. るえは低血糖
  4. んにドキドキ
  5. うちで昏睡
🍯 つぶやき
  • 低血糖の”はひふへほ”は,北里大学で開発された言葉のようです(
  • 複数のバージョンがありますが上記パターンは五七五七七の短歌調です

🉐 関連投稿(語呂編)

(投稿者 川崎)

2020-08-17

逆アンカリング・バイアス

🚑 臨床現場
  • とても上品に見える中年女性が意識障害で当院ERに搬入された.救急車内の簡易血糖測定器(デキスター)で低血糖が判明したため,救急隊がブドウ糖を投与していた(救命救急士が行える医療処置 ➜ ココ).到着時には意識障害はほぼ改善し,その後の問診で定期薬はないことが分かった.

🍙 低血糖の原因

薬剤性低血糖
  1. インスリンによる低血糖
  2. 経口糖尿病治療薬(GLP-1 受容体作動薬を含む)による低血糖
  3. その他の薬物による低血糖(抗不整脈薬,ニューキノロン系抗菌薬,ARB,非定形抗精神病薬,ST合剤など)
その他の疾患
  1. インスリノーマ
  2. 詐病性低血糖(医療従事者や糖尿病患者の家族など/インスリン注射によるものでは高い血中インスリン濃度+低いC-ペプチド濃度)
  3. インスリン自己免疫症候群
  4. 膵外性腫瘍(肝癌,間葉系腫瘍,消化器癌など/インスリン様成長因子の放出,ブドウ糖消費の増大,肝障害による糖新生の低下などによる)
  5. インスリン拮抗ホルモン低下(下垂体前葉機能低下症,ACTH単独欠損症,副腎皮質機能低下症,グルカゴン欠乏症など)


📺 現場中継
  • 最終的に本例の低血糖の原因は慢性大量飲酒によるアルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis; AKA)と診断
  • AKAは糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis; DKA)と異なり高血糖ではない.慢性アルコール飲酒による低血糖は意外に多い(下表の3位)

救急搬送例で血糖値60mg/dl以下であった原因

😳 独り言
  • 不潔で悪臭のある身体所見(セルフネグレクト)など日常臨床では様々なアンカリング・バイアスが生じ得る(実例).しかし本例では「見かけの上品さからまさか慢性大量飲酒者とは思わなかった」という通常とは反対の逆アンカリング・バイアスが生じていた様子.臨床推論における主要な認知バイアスをもう一度,確認しておきたい.

🍶 アルコール性ケトアシドーシス
  • 機序 アルコール代謝の亢進に伴うNADH/NAD上昇+低栄養による飢餓+脱水(下図)
  • 初報 アメリカの医師 Dillon ら(Medical Clinics of North America 1940;24:1813–22
  • 治療 病態の引き金となった飢餓や脱水の補正(糖質を含む補液)+ビタミンB1投与
  • 予後 DKAより良好(ただし大酒家突然死症候群は重症化した AKAとも言われている)


(投稿者 川崎)

2020-07-13

Free Styleリブレ®

  • アボット社が開発したグルコースモニタシステム(リーダーと使い捨てセンサー)
  • 2016年5月に承認され2017年9月に保険点数が確定(2020年改定:3月3回1,250点)
  • センサーを上腕後側に装着(実際の方法)➜ 皮下間質液のグルコース濃度を測定
  • リーダーをセンサーにかざすと現在の血糖値を表示(過去8時間のデータも蓄積)
  • リーダーとセンサーは共にメーカー希望小売価格7,089円(税抜)と比較的安価
  • センサーは14日間連続使用でSMBG較正不要(低・高血糖時は必ずSMBGで検証)
  • ペースメーカなど他の埋め込み式医療機器との併用は避ける(誤作動のリスク)


🉐 関連投稿(血糖編)

(投稿者 川崎)

2020-07-03

AIUEO TIPS あいうえおチップス(+α)

前回の投稿から3年半が経っているので再度アップしました 👶

👿 もちろん意識障害の鑑別疾患です
  1. Aalcoholism (急性アルコール中毒),Aortic dissection(急性大動脈解離)
  2. I  insulin (インスリン:低血糖あるいは高血糖)
  3. U  uremia (尿毒症)
  4. E  endocrine(内分泌異常),encephalopathy(脳症),electrolytes(電解質異常)
  5. O   oxygen(低酸素),opiate/overdose(薬物中毒)
  6. T  trauma(頭部外傷),temperature(低体温あるいは高体温
  7. I  infection 感染症
  8. P  psychiatoric(精神疾患),porphiria(ポルフィリア
  9. S  stroke/SAH(脳卒中あるいはくも膜下出血),shock(ショック),seizure(痙攣),supplement(ビタミン欠乏:特にビタミンB1欠乏)

※意識障害の症例では問診ができないからER室では重宝します

👻 トリビア
  • オリジナルは意識障害の鑑別疾患の頭文字を英語母音字(A, E, I, O, U, 稀にY)のアルファベット順に並べたAEIOU TIPS(発音はコチラ
  • 開発者は不明ですが,初報はおそらく J Natl Med Assoc 1980;72:331-4(AEIOU TIPS: Alcohol, Epilepsy, Infection, Opium and other drugs, Uremia, Trauma, Insulin, too much or too little, Poisons, and Shockと記載)
  • AEIOUを日本語の母音のあいうえお順に並べ替えたものがAIUEO TIPS(あいうえおチップス)で,それに大動脈解離やサプリメント不足などを追加した版が+α

🉐 関連投稿(意識障害編)

(投稿者 川崎)