☆「腹部単純撮影:立位か,臥位か?」より
- 腹部単純写真の基本は,背臥位正面撮影(前後撮影) (Supine position, AP view) である.CTのscout画像は腹部単純写真の背臥位像である。背臥位になることで,各臓器があるべき位置におさまる.すなわち肝脾腫大の有無は肋骨弓下にでているかどうかで判定する.消化管も腹部全体に分布し,腹部の濃淡が均等になり,骨盤内の腫瘤や石灰化の有無の判定が可能である.立位写真では,臓器,腹腔内や腹壁の脂肪が下に降下し,さらに消化管が骨盤内に落ち込む.そのため,下腹部が白く,上腹部は黒い,診断しにくい写真になる.立位写真のメリットはフリーエアー(Free air;遊離ガス) とニボー(Niveau, Air-fluid level:鏡面像)ぐらいである.
★「腹部X線写真の読み方 臥位でもイレウスは診断できる」より
- 一般的にイレウスは立位で撮影し、ニボー(鏡面像)を診断すべしと教えられる。だが病態は、腸管閉塞によるガスや腸液の停滞に伴う腸管内圧の上昇なので、腸管拡張を指摘できれば、臥位でも十分に診断が可能だ。腹部X線撮影は、もちろん立位と臥位の両方が好ましい。だが、どちらか一方なら臥位を選択すべきだろう。なぜなら、触診時の臓器イメージに近いからである。立位では実質臓器は重力に従い下方へ、空気は上方へ移動し、触診時のイメージとずれてしまう。
(投稿者 川崎)