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2019-09-30

ERクイズ

問題 🗿 頭部外傷後にCTは問題ないが意識がはっきりしないときに考える疾患は?




(投稿者 川崎)

2019-09-29

全人的苦痛 Total Pain

英国の看護師(その後39歳で医師になった)シシリー・ソンダース Cicely Saunders (1918–2005)が提唱した観念.終末期の苦しみには身体的,精神的,社会的,霊的(スピリチュアル)な4つの要素があり,これらが相互作用して全体的な苦しみ(全人的苦痛)を形成する.ソンダースは1967年に英国ロンドンに世界で初めてのホスピス(セント・クリストファー・ホスピス St Christopher's Hospice)を設立した.そして終末期の積極的なオピオイド導入などの緩和ケア(palliative care)を行い,全人的医療(holistic medicine)を実践した.

  1. 身体的苦痛 (Physical pain) ➜ 疼痛,倦怠感,嘔気,呼吸困難感など
  2. 精神的苦痛 (Psychological pain) ➜ 不安,孤独,怒り,抑うつなど
  3. 社会的苦痛 (Social pain) ➜ 職場や家庭での役割喪失や経済問題など
  4. 霊的苦痛(Spiritual pain) ➜ 罪の意識や人生の意義,死の恐怖など

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(投稿者 川崎)

2019-09-27

EVTの対側アプローチ

🔍 全先生の論文(Coronary Intervention 2019;15:78-83)
  • 0.035inchのラジフォーカスを用いた標準クロスアプローチで6Fガイディングシースを対側の腸骨動脈に挿入できないことが少なくない(172例中21.5%で不成功)
  • そんな時にはガイディング(論文ではDestination)にCOOK社フレクサーアンセルの0.018inch対応インナーダイレータ挿入が有用(上記不成功例すべてで成功)

おまけ 👀
  • 通常法での対応方法として,①診断カテーテルをインナーとして使用,②よりサポート力の強い0.035inchワイヤーへの変更,③遠位部でのバルーニングによるアンカリング,④3-4mm径の小径バルーンをガイディングシース先端にオーバーラップ(インフレートしたまま進めたりデフレートしたタイミングで進める)などがある.

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(投稿者 川崎)

2019-09-26

シャルコー・ライデン結晶 Charcot–Leyden crystals

  • 由来 フランスの解剖学者シャルコー,その後ドイツの内科医ライデン教授が報告
  • 形態 痰・尿・胸水・腹水・膿瘍・便など様々な部位で見つかる細長い菱形の結晶
  • 意義 アレルギー疾患(喘息など)や寄生虫感染で出現(健常者に認めることは稀)
  • 本体 好酸球に多量に含まれている蛋白ガレクチン10が細胞外に放出されて結晶化

赤痢アメーバによる肝膿瘍の穿刺液のシャルコ・ライデン結晶(無染色)400倍.医学検査 2017;66:273-6

(アレルギー性鼻炎例の鼻汁に出現したシャルコ・ライデン結晶.Patho - Wiki

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(投稿者 川崎) 

2019-09-25

日本内科学会 第225回近畿地方会より

🎃 個人的に気になった演題

演題10 ニボルマブによるirAEでSchmidt症候群を合併した症例
  • irAEとはimmune-related adverse event(=免疫関連副作用).Schmidt(シュミット)症候群とはアジソン病に橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患を合併する多腺性自己免疫症候群(autoimmune polyglandular syndrome, APS)のⅡ型.ちなみにAPSのⅠ型はアジソン病に特発性副甲状腺機能低下症や皮膚カンジダ症を合併(HAM症候群:Hypoparathyroidism, Addison’s disease, Mucocutaneous candidiasis).詳しくはコチラへ 🐤

演題41 経過観察中に尿中マルベリー体を認めたことからFabry病の診断に至った肥大型心筋症の1例
  • マルベリー=mulberry=クワの実.灰白色で透明の特徴的な渦巻状成分で,近年ファブリー病のバイオマーカーとして注目されている.


演題109 右上肢に発症した複合性局所疼痛症候群(CRPS)の1例
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS)は骨折などの外傷や神経損傷の後に疼痛など多彩な症状が遷延する病態.CRPS=complex regional pain syndrome.本ページでも昨年にアップしています ➜ コチラ 🐥

演題129 動悸・呼吸苦にて来院、診断に苦慮したMa2脳炎の1例
  • 血清中の抗Ma2抗体は細胞内抗原を認識する自己抗体.ほとんどの症例で腫瘍を合併し,本抗体陽性脳炎では辺縁系脳炎を伴うことが多い.

演題185 免疫阻害法でCKMB高値を認めた大理石骨病疑いの1例
  • 大理石骨病は破骨細胞の機能障害によるびまん性骨硬化性病変の総称.CK-BBは通常血中に流出することはほとんどないが,大理石骨病では高値になり得る.CK-BB出現時やマクロCK血症では,通常の検査(免疫阻害法)で誤ってCK-MBが高値に算出されることがある.



🎴 当院からの発表は以下

  • 演題19 市販鎮痛薬の内服で急性ブロム中毒をきたした1例(宗川ちひろほか,総合診療科)
  • 演題164 メサラジンにより薬剤性肺炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例(春名優甫ほか,消化器内科)

  • 宗川先生が若手奨励賞(後期)の最優秀演題賞を獲得 🏆
  • さらにすごいことに今回の発表前に英語で論文を完成 🎊

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(投稿者 川崎)

2019-09-23

バウムテスト Baum test

  • 1949年にスイスの心理学者コッホが考案(ドイツ語で刊行し1952年に英語版の訳書)
  • バウム(ドイツ語 Baum=木)の描写から,その絵に隠された心情や深層意識を判定する
  • 臨床現場でしばしば使用される心理検査の一つ(他にロールシャッハテストなどがある)
  • 英語での表記は Tree test,Tree-Drawing Test (TDT),Koch's Baum Test,Koch test など

方法
  • 被検者にA4の白紙と4Bの鉛筆、消しゴムを渡す
  • 被検者に「実のなる木を描いて下さい」と指示

解釈
  1. 空間象徴:樹木の配置 ➜ 社会での自らの位置付けと対人関係の場でのあり方を推測
  2. 形態分析:樹木の形 ➜ 年齢段階に従って分析する(発達とともに形態が変化してくる)
  3. 動態分析:鉛筆の動き ➜ 同じ形態の樹木でも,鉛筆の動きから性格を推測可能である



(投稿者 川崎)

2019-09-22

最近のカンファレンス等から・・・

  1. 緩和医療を要する状態で白血球のリンパ球分画が10%未満ならひと月は持たないと予想(もちろん化学療法後などは除く)
  2. 卵巣成熟(嚢胞性)奇形腫の別名は皮様嚢(胞)腫である(ただし類皮嚢胞は卵巣以外でも生じうるが・・・)
  3. 初診時に身体所見が陰性の疾患はいろいろあるが,肺炎が(圧倒的に)多い(ようです)
  4. ROS陽性・陰性,pertinent positives/negativeなど英語で記載したくないときには,日本語の関連陽性・陰性(所見)が使える

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(投稿者 川崎)

2019-09-21

心電図クイズ

  • 健診で心電図異常を指摘され循環器内科を受診した無症状の若者



(投稿者 川崎)

2019-09-20

不整脈 warm-up & cool-down

定義 👶
  1. warm-up現象 ➜ 不整脈の発症時に心拍数が少しずつ速くなること
  2. cool-down現象 ➜ 不整脈の停止時に徐々に心拍数が遅くなること

  • 不整脈の発生機序:リエントリー,自動能の亢進,激発活動(triggered activity)
  • warm-up現象やcool-down現象は自動能亢進による不整脈に多くβ遮断薬が効きやすい

おまけ 👼 Ashman現象
  • 正常心筋細胞の不応期は先行する心周期に依存するため,先行RR間隔が長いほどand/orそれに続く連結期が短いほど変行伝導を生じやすい(≒右脚ブロック波形になりやすい).命名は米国の医師Richard Ashman(1890-1969)らによる初報(Am Heart J 1947;34:366-73)に依る.

アッシュマン現象
(投稿者 川崎)

2019-09-19

グラム染色クイズ

  • 肺炎が疑われる症例の喀痰グラム染色(強拡大)




(投稿者 川崎)

2019-09-18

キイトルーダの副作用

T細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと。


【注意を要する症状と免疫関連の有害事象】

詳細は適正使用ガイドをご参照ください。

(投稿者 小森)

デーレ小体 Döhle bodies

  • 梢血塗抹標本で好中球に認める直径1〜2μmの卵円形また紡錘形の青味斑点
  • 正確な組成は不明(成熟が遅れた細胞質中にリボゾームが残留と推測:引用
  • 先天性血小板減少症メイ・ヘグリン(May-Hegglin)異常症に出現することあり
  • 後天性では重症感染症や火傷,骨髄異形成症候群などでも出現する(引用
  • その名前はドイツの病理学者 Karl Gottfried Paul Döhle (1855-1928)に由来


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(投稿者 川崎)

2019-09-17

抗結核薬の主な副作用

抗結核薬の使用にあたっては、副作用の発現に十分に注意する。全ての薬剤で肝障害、アレルギー反応(発熱、発疹)は起こりえる。

・INH
肝障害、末梢神経障害、アレルギー反応(発熱、発疹)がある。末梢神経障害の治療にはビタミンB6が有効である。

・RFP
肝障害、食欲不振・悪心などの胃腸障害、アレルギー反応(発熱・筋肉痛・関節痛などのインフルエンザ様症状、まれに血小板減少、ショック症状)、尿・便等の着色(尿、便、唾液、痰、汗、涙液が橙赤色等に着色する)などがみられる。胃腸障害のある場合は、朝食後に服用させる。

・EB
視神経障害(視力低下、視野の狭窄・欠損、色覚の異常など球後神経炎の症状)に注意し、月1回視力検査を行う。

・PZA
肝障害、胃腸障害、高尿酸血症、関節痛がある。

(投稿者 小森)

循環器アラカルト

先日開催された第67回日本心臓病学会学術集会の藤本卓司先生(耳原総合病院 救急総合診療科)の教育講演より

  • 収縮期血圧の半分より拡張期血圧が低値なら脈圧の開大と考える(例:血圧96/40mmHgなら脈圧開大)
  • 比較的徐脈の目安は体温39℃で心拍数110bpm未満(通常は体温が1℃上昇すれば脈拍は8〜10bpm増加)
  • 反跳脈(bounding pulse)は高CO2血症でも生じる(おそらく血管拡張による末梢抵抗低下のため)
  • 褐色細胞腫では"手足が鉛の様に冷たくてじっとりしている"ことが多い(復習 ➜ Nohria-Stevenson分類

👴 おまけ
  • 心電図の計測器はデバイダー(divider/分割機)よりもキャリパー(caliper/測径両脚器)と言いたい(これは別講演からです)

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(投稿者 川崎)

2019-09-16

主訴を大切に!

  • 運動中に突然の頻呼吸と右上肢の痺れが出現した症例の胸部CT(左,単純:右,造影)




(投稿者 川崎)

2019-09-15

頸静脈拍動

  • 頸静脈波は基本的に3つの陽性波(a,c,v)と2つの陰性波(x,y)から成る

主たる成因
  1. a波 ➜ 右房の収縮
  2. c波 ➜ 三尖弁の右房側への膨隆
  3. x下降 ➜ 右房の拡張
  4. v波 ➜ 静脈還流による右房の充満
  5. y下降 ➜ 三尖弁の開放による右房圧の低下

👿 再確認
  • 動脈は隆起として触知されるが,頸静脈は陥凹として視認されることが多い.健常者は収縮期のx下降と拡張期のy下降の二峰性陥凹を示すが,y下降が明瞭でない症例も少なくないので注意が必要である(実例

🐳 厳密に言えば…
  • a波以降がx下降で,その最下点がx谷である.同様にv波に続くy下降の最下点がy谷である.x下降の内c波以降はx'(エックスプライム)下降と呼ばれるが,c波は通常視認できないためx下降と呼ぶことが多い.ちなみにc波の"c"はcarotidの"c"である.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶(同ページには多数の頸静脈動画がアップされています 👶)

(投稿者 川崎)

2019-09-14

ビリルビン 尿 vs 血

🐟 基本事項
  • 直接ビリルビン=抱合型=水溶性/間接ビリルビン=非抱合型=脂溶性
  • ウロビリノゲンは腸内細菌による直接ビリルビンの分解産物(正常は尿中±)
  • 一般的に尿に出現するビリルビンは水溶性である直接ビリルビンのみである

🐠 臨床応用
  • 溶血性黄疸 ➜ 直接ビリルビンには変化がないため尿ビリルビンは陰性+尿ウロビリノゲンは上昇
  • 肝細胞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが増加するため尿中ビリルビンが出現+尿ウロビリノゲンも増加
  • 閉塞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが胆汁中から血液中に逆流するために尿中ウロビリノゲンが出現+直接ビリルビンが排泄されないため尿中ウロビリノゲンは陰性

🐡 おまけ
  • 血中の総ビリルビン濃度が約2~3mg/dL以上になると黄疸が出現する
  • 尿ビリルビンは直接ビリルビンがかなり上昇したら出現(5〜10mg/dL)

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(投稿者 川崎)

2019-09-13

今週のモーニングレクチャーより

熱傷指数 👽 Burn index (BI)
  • 定義 ➜ Ⅲ度熱傷面積%+Ⅱ度熱傷面積%×1/2
  • 解釈 ➜ 10~15なら重症,40以上の死亡率60%

熱傷の分類英名状態
Ⅰ度epidermal burn紅斑,疼痛
Ⅱ度浅達性superficial dermal burn紅斑,疼痛,水疱(圧迫で発赤消失あり)
深達性deep dermal burn紅斑,紫斑~白色,知覚鈍麻,水疱(圧迫で発赤消失なし)
Ⅲ度deep burn黒色,褐色または白色,水疱なし,無痛性
参考)日本皮膚科学会ガイドライン

熱傷予後指数 💀 Prognostic burn index (PBI)
  • 定義 ➜ 熱傷指数(Ⅲ度熱傷面積%+Ⅱ度熱傷面積%×1/2)+年齢
  • 解釈 ➜ 80未満なら死亡率20%以下,100以上なら死亡率60%以上

(投稿者 川崎)

2019-09-12

心電図クイズ

  • 非心臓疾患の術後にICUで記録されたモニター心電図の経時変化




(投稿者 川崎)

2019-09-11

丹毒(たんどく) Erysipelas

  • 本体 溶連菌(特にA群β溶血性連鎖球菌GAS)による化膿性炎症
  • 特徴 表皮の基底層および真皮浅層を水平方向に急速に拡大する
  • 病理 浮腫とリンパ球の浸潤が主体(蜂窩織炎では好中球が主体)
  • 原因 菌体および菌が産生する毒素に対する免疫アレルギーの関与
  • 鑑別 全皮膚疾患:特に蜂窩織炎(下肢に多い/丹毒は顔面が多い)
  • 症状 浮腫性紅斑と腫脹,発熱,倦怠感(疼痛は強くないことが多い)
  • 治療 抗生物質(特にペニシリン系)/再発する習慣性丹毒に要注意



関連投稿(顔の紅斑 👹)

(投稿者 川崎)

2019-09-10

新生児ABR

  • ABRAuditory Brainstem Response ⇒ 聴性脳幹皮応
  • 新生児聴覚スクリーニング検査で難聴の早期発見に有用
  • 小さい音を聞かせその時に脳から出る反応を機械で測定
  • 先天性両側難聴は国内出生数の約0.1%(約1000人/年)
  • 睡眠中に施行(10分で位終了/自費で当院では5000円)


(投稿者 川崎)

2019-09-09

DKAとHHSの鑑別



両者は基本的には似ているが、DKAは嘔吐、腹痛などの消化器症状を認めることが多い。
HHSに比べてDKAで血糖上昇や脱水が軽度であるのは、ケトアシドーシスのためより早期に症状が出現するためと考えられる。
DKAとHHSは連続した病態で、双方の特徴を有する場合も少なくない。

(投稿者 中田)

後壁誘導 Posterior leads

V7〜9誘導のことで背部誘導とも呼ばれ後壁梗塞の診断に役立つことがある
  • V7 ➜ V4の高さ(第5肋間)で左後腋窩線
  • V8 ➜ V4の高さ(第5肋間)で左肩甲骨中線
  • V9 ➜ V4の高さ(第5肋間)で脊椎左縁

  • 18誘導心電図=標準12誘導+右側誘導(V3R・V4R・V5R)+後壁誘導(V7・V8・V9)

👶 おまけ
  • 左回旋枝の閉塞による急性心筋梗塞ではST上昇が不明瞭な症例が少なくない(自験例1自験例2自験例3).そんな時にはちょっと思い出したいのが後壁誘導.ちなみに右冠動脈の急性心筋梗塞時の右側胸部誘導は必須(自験例).

関連投稿 💣

(投稿者 川崎)

2019-09-08

NGAL エヌギャル

  • Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン)
  • 尿細管に急激なストレスがかかると数時間で血中と尿中に検出される(半減期は約1日)
  • 急性腎障害(AKI)の早期診断や重症度判定だけでなく病態のモニタリングにも有用

  • 2017年2月から尿中NGALの測定が保険収載(210点:診断時1回と一連の治療で3回)
  • 当院では外注(数日後に結果)でオーダー可能(現時点では中央検査室に直接連絡要)

💧 尿検査アラカルト

(投稿者 川崎)

2019-09-06

声帯溝症(せいたいこうしょう) Sulcus vocalis

  • 病態 声帯の溝による声門の閉鎖不全を生じた病態で別名は声帯萎縮症
  • 症状 発声時間の短縮(一息で数秒),嗄声,嚥下障害,運動能力低下など
  • 疫学 高齢者(特に70歳以上の男性)に多い(30歳未満は本邦では500人位)
  • 診断 発声時の声帯間隙+声帯溝(喉頭鏡やビデオストロボスコピーなどで)
  • 原因 不明/加齢・声の濫用・先天性(のう胞の破裂など)・炎症などの推測
  • 治療 音声訓練,声帯内注入(ステロイドや自家脂肪など),喉頭形成術など



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(投稿者 川崎)

2019-09-05

心臓腫瘍?

  • 完全房室ブロックに対して恒久的ペースメーカが植込まれている症例

  • 心室中隔中部から左室に突出する異常構造物あり
  • 心室中隔基部の菲薄化と右室への突出が目立つ

🐤 当院での判断

ペースメーカ植込み時に心臓サルコイドーシスと診断されていたことが判明したため,本例の心室中隔基部の菲薄化は心臓サルコイドーシスに関連する病変と考えた.その後,加齢に伴いS字状中隔が加わって,菲薄化部分の右室への突出と菲薄化以遠の左室内への突出が目立つようになったと最終的に判断した.ただし心臓腫瘍を完全には否定できないため慎重に経過観察中である.

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(投稿者 酒井/川崎)

2019-09-04

身体表現性障害 Somatoform Disorder

  • 身体症状を説明できる器質的疾患がないにも関わらず繰り返し症状を訴える疾患群
  • 1980年に米国精神医学会が発表したDSM−Ⅲで初採用され別名はBriquet's disorder
  • 精神科や心療内科に限らず一般内科でも増加(一般人の4〜19.7%に認めた報告あり)
  • 正確な病因は不明であるが家族内集積があり遺伝的要因や環境的要因が疑われている
  • 症状は疼痛や倦怠感,腹部膨満感,胸痛,息切れ,しびれ他(抑うつや不安の合併も多い)
  • 治療は増悪因子(睡眠障害や飲酒等)の除去,心理療法,薬物療法(SNRINSAIDsなど)



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(投稿者 川崎)

2019-09-03

妊娠反応の偽陽性

  • 妊娠検査薬は尿中hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)濃度を確認(通常は25 mIU/mL以上で陽性)
  • hCGは成熟卵胞に作用して排卵を促す(投与36-38時間後に排卵)ため不妊治療で筋注することあり
  • 不妊治療中の症例で妊娠検査薬が偽陽性を示すことがある(hCG投与5日頃まで/最長は2週間程)

当院で経験した症例はER来院の前々日と前日に不妊治療のためhCGを2回筋注 ➜ 妊娠検査薬は陽性 ➜ 血清hCG定量は452 IU/L(男性あるいは非妊娠の基準値は3.0以下)でした(血清hCG定量は当院では夜間でも緊急測定可能です) 

👿 その他の偽陽性の原因
  • 分娩後,流産後,人工妊娠中絶後,hCG産生腫瘍,未確認流産,閉経後等
  • 膿や血液等で著しく混濁している尿および酸性尿,高蛋白尿等の検体など
参考)妊娠診断補助試薬 (ゴールドサインHCGワンステップタイプ

おまけ 👀
  • 人工授精後の安静は不要で,運動や入浴,性交に制限はないようです(

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(投稿者 川崎)

2019-09-02

血液ガスの代償性変化の評価

代償範囲の逸脱が認められれば、複数の病態が合併している可能性を考えなければならず、その評価は重要である。

ここでは大まかにPaCO2の基準値を40 mmHg、HCO3の基準値を24 mmHgとする。

血ガス 計算式 重炭酸 呼吸性 代謝性 アシデミア アルカレミア アシドーシス アルカローシス
(投稿者 中田)

高度肥満

  • 高度肥満(BMI>60)の症例が呼吸困難感でER室に搬入された

💁 現場
  • 酸素飽和度は低下し心不全も鑑別に含まれるが頼みの頸静脈は評価不能
  • 心音は聴診できずベットサイド心エコー図で心臓の描出も困難であった
  • BNPは100 pg/ml(ただし高度肥満例のBNPは低値になり要注意:参照
 ➜ 最終的に肥満低換気症候群 OHSと診断(心不全ではないと判断)

👻 独り言
  • 本例では上肢より下肢の収縮期血圧が100mmHgほど高値でした(=ヒル徴候 Hill’s sign 陽性).脂肪組織は血管床が豊富であるため肥満低換気症候群 OHSに生じた心不全は高心拍出状態になるようです(Am J Med 1976;60:645-53).

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

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(投稿者 川崎)

2019-09-01

脈拍:虎の巻

邦名英名代表的な疾患
交互脈pulsus alternans重症心不全
二峰性脈pulsus bisferiens閉塞性肥大型心筋症,大動脈弁閉鎖不全
重複脈dicrotic pulse重症心不全(特に若者,低血圧)
遅脈pulsus tardus大動脈弁狭窄
速脈pulsus celer大動脈弁閉鎖不全,甲状腺機能亢進症
奇脈pulsus paradoxus心タンポナーデ

おまけ 👻
  • 二峰性脈=収縮期に二つのピークを触知
  • 重複脈=収縮期と拡張期にそれぞれ触知

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速脈 大脈 遅脈
(投稿者 川崎)